2024年3月特別号 (1)
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2024年度清水予算
大宮の未来を担う「副都心」のはずが
整備予算ゼロで放置続く日進・宮原
 さいたま市が抱える最大の問題は大宮と浦和の予算格差です。24年度の大宮の施設整備予算は七里のサーマルエネルギーセンター(ごみ処理施設)の建設費が膨らみましたが、都市開発予算は浦和との格差が拡大し、郊外の副都心にこれまで投じられた整備予算は、大宮は浦和の28分の1に過ぎないことが明らかになりました。私は悪化する交通渋滞緩和のために道路整備を優先的に進めるよう要求しました。
 さいたま市の副都心は日進・宮原と武蔵浦和、浦和美園、岩槻の4つです。
 日進・宮原は大宮市が「大宮の未来を担う北部拠点」として位置づけ、富士重工の工場跡地に、商業地(ステラタウン)やマンション、プラザノース(北区役所)、病院などが建てられました。
吉田一郎議員 しかし道路整備は中途半端です。ステラタウンの4車線道路(加茂宮広路線)は、17号線と東大宮を結ぶ砂本郷線の100㍍手前で建設が中断したまま20年間放置され、旧中山道の渋滞原因になっています。
 ステラタウンとイオンを結ぶ指扇宮ヶ谷塔線は、イオンの先は一方通行です。
 宮原駅西口周辺で歩道がある道は駅前通りだけで、それと交差する奈良別所通り(西郵便局通り)は南側のマンション群まで歩道整備を始めたものの、用地買収はスローペースでいつ完成するのかわかりません。
 私が2月7日の本会議で、合併以来4つの副都心に投じた都市基盤整備予算を質問したところ、日進・宮原は浦和の副都心の28分の1に過ぎないことが判明。
 市は「日進・宮原地区は新年度の公共事業の予算は計上していないが、地元まちづくり団体との情報交換で副都心としてのまちづくりを推進していく」などと開き直っていました。

吉田一郎 日進・宮原のこれまでの都市基盤予算は1ケタ少ない。指扇宮ヶ谷塔線や加茂宮広路線、西郵便局通りなどの道路整備を重点的に行うべきだ。
篠崎都市局長 日進・宮原地区は一定の基盤整備は終えていると認識しているが、総合振興計画に照らして副都心として課題があるのかをこれから検証していく。
吉田一郎 新しい道路整備計画に宮ヶ谷塔線が入った。すぐ着手すべきだ。
篠崎都市局長 道路整備計画に書き込まれたので、関係機関と協議を進めたい。

古い都市計画を改め
日進北口の活性化を

 日進駅北口は14年前に開設されましたが、駅前の土地は「第一種住居地域」のままで、大型店舗は建てられず広大な駐車場です。そのため駅ができても賑わいは生まれず、コンビニすら閉店してしまいました。
 私は日進・宮原が名実ともに副都心として発展できるよう、予算審議を通じて道路整備や都市計画の見直しを訴えていきます。2024年度の施設整備予算合併後の都市開発予算
吉田一郎市政報告会 4月29日(祝) 14時~16時 プラザノース第3セミナールーム(入場無料)
2024年3月特別号(2)
1面   2面   3面   4面
中3まで
医療費無償化
予算が想定の3倍に
高3まで拡大を計画
他市は一部自己負担も
子育て支援医療費の推移 さいたま市では中3までの子ども医寮費が無料です。23年度は51億5180万円の予算を用意していましたが足りなくなり、12月議会で64億8969万円への増額を審議しました。
 08年までは小4までの入院だけが無料で、年間予算は21億円前後でした。
 09年に通院費も含めて中3までに拡大した時、市は医療費が16億円増えると想定していましたが、現実には約30億円増え、23年度には想定の3倍近い44億円増えた状況です。
 私は12月14日の予算委員会で確認しました。

吉田一郎 コロナ前だって55億円だったのに、なぜいきなり65億円なのか。
子育て支援課長 私どももびっくりしている状況。
吉田一郎 想定以上に乱用されているのか。
子育て支援課長 いわゆる「コンビニ受診」のような考えで受診しているわけではないと思うが、引き続き医療費の抑制に努めたい。
吉田一郎 これまで私や自民党は500円の自己負担を提案したが、検討したか。
子育て支援課長 現在の社会状況を踏まえると、今はやる時期ではないと思うが、将来的に安定した事業運営をするためには、委員のご指摘も再度検討しなくてはならないと思う。

 市は10月から、自己負担なしの医療費無償化を高3までに拡大する方針です。
 しかし全国の20政令指定都市で、高3まで医療費無償化している8市のうち自己負担なしは名古屋だけ。中3まで無料にしている9市でも、横浜とさいたま市以外は1回数百円の自己負担を導入しています。
 私は12月22日の本会議で「子どもが指をケガして、薬局で絆創膏を買ったら数百円かかるのに、病院へ行ったらタダなのはおかしい」と、ワンコインの自己負担を改めて提起しました。

大宮の小学生に授業で大宮の歴史を
『大宮ふるさと絵本』の活用を実現
 環境省は荒川流域で自然の恵みと地域の暮らしを考える絵本『ありがとう あらかわ』シリ大宮ふるさと絵本ーズを制作。上流の秩父市、下流の荒川区に続いて中流のさいたま市を舞台にした絵本を23年春に出版しました。
 荒川は大宮と浦和の西部を流れていますが、『ありがとう あらかわ』は浦和には一切触れず大宮だけを対象にし、さいたま市は『大宮ふるさと絵本』と名付けて原画展を行いました。
 内容は氷川神社や中山道大宮宿、大宮駅の開設に尽力した白井助七翁や鉄道工場、大宮公園、高度経済成長期のデパートや新幹線の開通、そして十日市や日進餅つき踊りなど多彩で、北区の小学生たちが描いた絵も掲載し、大宮の歴史や文化が紹介されています。
 さいたま市には小学生の社会科副読本『わたしたちのさいたま市』がありますが、市や県全体の現状を紹介するだけで、歴史の記述はほとんどありません。
 私はこれまで「大宮・与野・浦和・岩槻それぞれの郷土史を学ぶ副読本も必要だ」と訴えてきましたが、12月6日の一般質問で『大宮ふるさと絵本』を旧大宮市の小学校で活用することを提案しました。

吉田一郎 大宮の歴史がすべて載っている素晴らしいこの本を、旧大宮市の小学校で社会科副読本として活用したらいいと思う。
栗原副教育長 郷土を愛する態度や伝統と文化の尊重を育む上でも有用だと考えている。各学校が実態に応じながら進んで活用できるよう、情報端末での閲覧利用など効果的な活用方法も含めて、校長会や教科書委員会、研修会で周知してまいります。

 こうして2月21日までに、旧大宮市の小学校38校のうち31校が、『大宮ふるさと絵本』を授業で使用することになりました。
 大宮の子どもたちに大宮の歴史を教えることに、教育委員会が積極的になったのは喜ばしいことです。
 2月29日の予算委員会では、私は与野や岩槻、浦和でも地域の歴史を学ぶ教材の制作を提案。岩槻の子どもたちが「岩槻城にどんなお殿様がいたのか」を教わらないのでは可哀想です。

議会で審議する工事契約
議員が自ら大幅制限!?
自公立維の共同提案を
委員会では「強行採決」

 地方自治法に基づく政令では、政令指定都市では3億円以上の工事契約は議会での議決が必要です。
 しかしこれを都道府県並みの5億円以上に変更しようと、自民、公明、立憲、維新、みらいは2月議会で改正案を共同提出しました。
 過去3年間にさいたま市議会で審議された工事契約は51件でしたが、5億円以上に限定されれば29件です。それだけ市長が独断で結べる工事契約が増え、議会の権限が縮小します。
 2月15日の本会議で、提出者代表の阪本克己議員(立憲・桜区)は変更理由を「近年の物価変動」などと説明しました。
 しかし過去3年間の卸売物価や資材、労務費の上昇率を問いただすと平均約2割に過ぎないことが判明。
 16日の総合政策委員会では、阪本議員らは事前に清水市長と打ち合わせ「市長が提出するよりも、議員自ら出してほしい」と言われたことが判明しました。
 私がさらに追及を続けようとしたところ、青羽健仁議員(自民浦和派・浦和区)が時間制限による審議打ち切りを提案し、私と共産党を除く委員が賛成。「強行採決」の形で19日の委員会で可決されました。
※        ※        ※
 私はこれまで工事契約の審議で「入札に参加した7社中6社が安すぎる価格を提示して失格」「8社中6社が同じ金額で入札」などの疑惑を追及してきました。
 議会での審議が必要な契約が5億円以上に引き上げられたら、問題を明るみにできる機会は大きく減ってしまいます。
 議会の最大の役割は市政に対するチェック機能です。市長の意向を受けて議会の権限を自ら削る自民・公明・立憲・維新らの提案は、議会としての自殺行為に他なりません。

●無料のスケボー場を浦和東部ばかりに集中建設
 スケートボードは東京五輪で競技種目になり、日本人選手が金メダルを獲得したため愛好者が増えました。しかし街中で遊ぶ人が増え、騒音や衝突事故、ベンチやシャッターなどを傷つける行為も問題になっています。
 そこで市は周囲に住宅がない見沼田んぼの新見沼大橋(緑区)高架下と、1学年1クラスしかない野田小学校(緑区)の壊れたプールを修理しないでスケボー場にすべく、設計費など658万円を12月の補正予算案に盛り込みました。
12月14日の予算委員会で、大宮の議員からの「なぜ同じ緑区なのか」という質問に、市は「バランス良く各区に民間施設を整備して進めたい」と答えていました。

吉田一郎 利用料は無料か? 民間は有料だと思うが。
スポーツ政策室長 市の施設は基本的に無料で、民間の施設は料金を取ってという形になる。
吉田一郎 緑区にはドッグランも作ったが、バランス良くと言いながら浦和東部に無料の施設をじゃんじゃん造って、大宮や岩槻、与野の人はお金を払って民間施設を使えと言うのはおかしくないか。
スポーツ政策室長 持に北は有料で南は無料という分け方はしていない。

 緑区には都市公園課のスケボー場(新見沼大橋スポーツ広場スケートパーク)がすでに存在しています。市が設置した無料のドッグラン(犬の運動場)も新見沼大橋と大間木公園で、どちらも緑区です。
 見沼田んぼで高架下の空き地なら、新都心と第二産業道路の間の首都高にもあります。大宮の高架下は利用しようとせず浦和の高架下ばかりに無料施設を集中させ、大宮住民はそのうち有料の民間施設ができたらそちらを使えという「浦和優先」ぶりは許せません!

●魅力的な宿泊地にはホテルだけでなく旅館も
 近年さいたま市はホテルの誘致を進め、13年末の17館2161室から23年12月は27館4166室に増加。今年3月には大宮駅西口で265室のホテルがオープンします。
 一方で旅館は21館232室から15館164室に減少しました。かつて旅館が点在していた大宮駅東口から大宮公園にかけては、新道山家と五月旅館が残るだけです。
 12月11日の総合政策委員会では旅館の必要性を問いただしました。

吉田一郎 家族旅行では旅館は部屋で食事できて楽しいというニーズがあるはずだ。
商工観光部長 昔ながらの旅館で家族団らんを楽しんでもらうことは、観光振興に重要だと認識している。
吉田一郎 旅館の宿泊客に盆栽美術館や人形博物館の無料券を配ったり、キャンペーンをやったらどうか。
商工観光部長 例えば学生の部活動の大会や大型イベントを誘致して利用客を増やしていきたい。

 家族で鉄道博物館を訪れる人は多いのに、魅力的な宿泊地になるには多彩な宿泊施設が必要なはずです。
2024年3月特別号(3)
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盆栽町の病院跡地
民間企業が建設・運営する
体育館の料金はいくらに?
 19年春にプラザノース隣に移転したさいたま北部医療センター。病院跡地は市有地ですが、市は民間企業の資金で植竹公民館と児童センターを移転し、屋内スポーツ施設(バスケットボールコート1面分)を建設する方針です。
 企業の公募にあたり、「屋内スポーツ施設は平日9~17時には市内の公共体育館と同程度の料金にする」という条件を付けますが、私は2月21日の予算委員会で確認しました。

吉田一郎 「同程度」とは大宮体育館と同じ料金なのか、上下2割の範囲内みたいに「ある程度高くなってもしょうがない」なのか。
スポーツ政策室長 特定の体育館と全く同額にするわけではない。同程度として最終的には契約で決める。
吉田一郎 プラス5割でも「同程度」では困る。
スポーツ政策室長 現時点では明確な基準はないが、事業者との対話の中で我々の考えを精査していく。

 本来なら市が建設すべき施設を、民間企業に建設と運営を任せるなら、明確な料金を決めておくべきです。

 住民にメリットない
 オフィスにさせるな

 病院跡地のうち約半分は民間企業の収益施設が占め、スポーツ施設のほか社会福祉機能、商業機能、文教機能(学習塾)、業務機能(オフィス)などの提案を受け付ける予定です。

吉田一郎 オフィスは住民にとってメリットがない。
スポーツ政策室長 地域住民の健康に資する活動、あるいは交流・憩いの場が基本的な方針。
吉田一郎 健康食品の営業所も含まれるのか。
スポーツ政策室長 地域の皆さまの交流の場であるかに重点を求めていく。
吉田一郎 健康の名をつけたオフィスや営業所では住民の交流の場にならないと、きちんと審査するのか。
スポーツ政策室長 ご指摘も踏まえて審査をしていく。

 市有地を住民にとって何のメリットもない企業のオフィスにしてはいけません。

 移転後の公民館等は
 売却せず公園整備を

 病院跡地の活用について、北区自治会連合会では18年1月に①体育館を含むスポーツ施設、②植竹公民館や児童センターの建替え、③多目的広場などの要望書を提出していました。
 22年夏に開かれた住民説明会でも「公園が欲しい」という声が相次ぎました。
 市は移転後の植竹公民館と児童センター跡地は売却する方針でしたが、私は22年9月議会で隣接する盆栽西公園と合わせて大きな公園か多目的広場にするよう提案。高橋副市長に「地元の声も届いているし、行政での使用が最優先になる」と約束させました。
 2月21日の予算委員会で改めて確認しました。

吉田一郎 以前は売却すると言っていたがどうなのか。
スポーツ政策室長 公民館や児童センターを所管する部局が利活用を検討し、それから全庁による利活用の検討というプロセスを踏まえて決まる。現時点で売却を決定したわけではない
吉田一郎 住民からの要望の多い公園も含めて全庁的に考えるのか。
スポーツ政策室長 今後の全庁的な活用の在り方の検討になっていくと思う。

 移転後の公民館や児童センターを、副市長の約束通り売却しないよう、私は今後も監視を続けます。

大宮警察署の跡地
 子ども・子育て
  の公園に

狭く危険な高崎線踏切と
土手町ガードの改善要望

高崎線踏切の拡幅を 北区と大宮区の境にあった大宮警察署は、17年秋に浦和との境の北袋町へ移転してしまいました。
 市は跡地に子ども・子育て世帯向け「こどもまんなか公園」を建設し、28年度にオープンする計画です。
 大宮警察署の跡地は宇都宮線や東武野田線と高崎線に挟まれた場所で、大宮区からは線路を越えなくてはなりません。
 高崎線の踏切(工場裏踏切)は新幹線高架下にかけて道幅が狭く、車がすれ違うのがやっとです。旧中山道の土手町ガードも階段やスロープの斜面が急です。
 これでは子どもの自転車やベビーカーが通るには危険だと、2月7日の本会議で改善を提案しました。

吉田一郎 高崎線の踏切は狭くて危険だが、整備を考えているのか。土手町のガードは北大宮駅の横だし、エレベーターを付けるべきではないか。
篠崎都市局長 踏切に歩道がないことや旧中山道のガードが階段になっているなど、移動の円滑化に課題があると認識している。「こどもまんなか公園」としての整備を目指しているので、公園へのアクセス円滑化も含めた基本計画を検討する。
吉田一郎 高崎線の踏切と土手町ガードは、公園のオープンまでに改善を完成させると理解していいか。
篠崎都市局長 基本計画を作成する中で関係機関と調整していく。

 高崎線踏切の拡幅は、18年6月議会でも要望しましたが、駅に近い踏切の整備が優先され、後回しになっていました。
 18年12月議会では、土手町ガードへのエレベーター設置や北大宮駅との直結を提案しましたが、「多額の費用がかかる」とこれまで放置されてきました。
 大宮警察署跡地の公園建設を契機に、市に重い腰を上げさせることができたよ
うです。

●震災時に自販機の破壊を防ぐ打ち合わせを提案
 能登地震で高校の自販機3台が破壊される事件が起きました。災害対応型自販機でドリンクを無償提供する協定でしたが、鍵の保管場所がわからなかったようです。
 さいたま市では避難所の他に、鉄道の運行停止で駅にあふれた人たちを収容する「帰宅困難者一時滞在施設」が大宮駅や新都心駅、浦和駅の周辺に38カ所あり、そのうち大宮そごうや浦和コルソなど25カ所が民間施設です。私は2月19日の総合政策委員会で鍵の保管について提案しました。

吉田一郎 震災時には市の職員が派遣されるが、発生日や時間帯によっては施設の自販機担当者が不在なこともある。鍵の保管場所は市が把握しておくべきだ。
危機管理部長 現状では鍵の保管や管理方法について防災部局は把握していないが、複数人で情報共有を図るよう、今回の事例も踏まえて施設管理者に周知したい。
吉田一郎 時間帯に関係なく必ず警備員がいる守衛室で自販機の鍵を保管するよう市が呼びかけたらどうか。
危機管理部長 毎年実施している帰宅困難者対策訓練や協議会を通じて、守衛室も含め災害時の瞬時に開錠できる方法について民間事業者に依頼していきたい。

 夜に震災が発生すれば帰宅困難者には酔客も少なくありません。混乱を未然に防ぐ工夫も必要です。

●補助金は出さずに済んだ部署こそ評価を
 さいたま市が抱える大きな問題が補助金の乱発です。2月19日の総合政策委員会で質問したところ、22年度は351種類の補助金総額は426億4329万円で、12年度の328種類247億1054万円から1.73倍に激増しています。
 毎年各部署では自己評価シートを作成していますが、補助金交付の評価方法を改めるよう提案しました。

吉田一郎 例えば「商店街活性化で10団体に補助金交付」という目標で、10団体に出すとA評価、5団体だとC評価だが、民間では逆だ。10団体分の予算を組んだけど、商店街が自分たちで何とかして5団体しか出さずに済んだらA評価、10団体に出したらC評価にすべきだ。
財政部長 委員の言う通り目標の見直しが必要。
吉田一郎 自己評価にあたっては、「全部使い切ったからA」ではなく「使わないで済んだからA」という視点も必要だと、財政局から全庁的に通知を出すべきだ。
財政部長 成果の出し方について、今後適切な判断ができるよう財政局からの指導等を検討していく。

「予算は全部使い切る」というお役所的な発想で補助金が膨らんできた現状は根本的に改めるべきです。

●「手数料」を隠れミノにした業者との癒着を暴露
 市の契約規則では、入札を行わずに随意契約を結ぶ時は2社以上から見積もりが必要です。例外は葉書や切手など価格が決まっているものや災害など緊急時です。
 しかし浦和の住民が、岸町小学校がプール排水管の調査を1社だけの見積もりで契約していたことを発見。教育委員会は「手数料なので問題ない」と開き直っていました。そこで私が紹介議員となり1月29日に「手数料の明確化と不適切な事務処理の再発防止」を求める請願を提出。2月16日の総合政策委員会で審議されました。

吉田一郎 調査なども「手数料」扱いで、複数の見積もりを取らないのは、どこの部署でもやっているのか。
契約課長 財政局としては、銀行の振込手数料とか1社しか見積もりできないものは必要ないが、価格が定まっていないものは経済性の観点から2社以上の見積もりを取ることが望ましいと考えている。
吉田一郎 今回の請願を契機に、複数の見積もりを取るように全庁的な通知を出すつもりはあるか。
契約課長 2月6日に財政管理部長が、契約規則の趣旨を踏まえて複数社の見積もりを取るよう通知を出した。

 契約を「手数料」で誤魔化し、複数業者の価格を比較しないで発注する悪習は、根絶しなくてはなりません。
2024年3月特別号(4)
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 新しい『さいたま市道路整備計画』
訴え続けた路線が「10年以内着手」に
 大宮は鉄道網の大ターミナルですが道路網は貧弱で、大宮駅周辺をはじめ各地で交通渋滞が慢性化しています。私は07年に議員に初当選してから道路整備の重要性を訴え続けてきましたが、24年度から10年間の道づくりの方針である『さいたま市道路整備計画(第4期)』案では、私が優先整備を主張してきた路線の多くが「事業化予定路線」として追加され、10年以内に建設に着手することになりました。

  60年放置された指扇宮ヶ谷塔線
  首都高接続の重要性訴え建設へ

 大宮北部を東西に貫く指扇宮ヶ谷塔線は1963年に計画されながら、新幹線が開通した時に東大成小裏の高崎線踏切が立体化されただけです。合併後は周辺に西、北、見沼区役所が設置され、ステラタウンやイオン(旧サティ)もオープンして重要性が増しました。
 私は07年9月議会から早期整備を繰り返し訴え、首都高延伸と宮前南インターの設置が決まるとインターに接続する指扇宮ヶ谷塔線の必要性を強調。市は18年度にインターから自衛隊東側の道まで建設した場合を試算しましたが、整備費用70億円に対して費用対効果は0.39(1以上が経済効果あり)で、論外とされました。
 あと200㍍延ばしてイオン前まで建設すれば、17号や旧中山道につながります。そこで私は21年2月の予算審議で、市が試算した指扇宮ヶ谷塔線の予定地には宮前小学校が建っており、建設不可能なことを暴露。21年3月12日の予算委員会で代替案を提案しました。

吉田一郎 とりあえず既存の松山新道(上野さいたま線)に歩道を付け、この道から東側のイオンや17号まで指扇宮ヶ谷塔線を暫定整備したらどうか。
阪口副市長 宮前南インターを16号から都心に向かうだけでなく、周辺の東側や西側からどうやってたくさん使っていただける形になるのかを念頭に入れながら、次期道路整備計画策定の際に検討していく。
吉田一郎 首都高が開通したら松山新道に大型車が集中する。子どもたちが安全に道路も円滑に17号までつなげるよう、教育委員会から強く念を押すべきだ。
細田教育長 都市局や建設局と慎重に検討していくとともに、ぜひ教育委員会としても現状を伝えたい。

 こうして市は私が提案した松山新道~イオン430㍍で費用対効果を計算し直したところ、73という優れた経済効果をもたらすことが判明。長年放置された指扇宮ヶ谷塔線を「都市の骨格」を形成する重要路線として、『道路整備計画』案に盛り込ませることができました。

  終戦から80年も中途半端なまま
  大宮の東口駅前通りを4車線に

 大宮駅東口の駅前通りは4~6車線の立派な道ですが、500メートル先の氷川参道からはここまで広げたら「玉音放送」が急に細くなります。これは戦時中に米軍機の空襲に備えて防火帯を作ろうと、東口から産業道路までの建物を45年4月から強制疎開で撤去していたところ、氷川参道まで壊したところで終戦を迎え、そのままずっと放置されているからです。
 私は10年3月の予算委員会で歴史的な経緯を紹介して以来、産業道路までの4車線化を繰り返し要望しましたが、市は「浦和や新都心の4車線環状道路が完成してから」と後回しにしようとしていました。
 23年2月2日の本会議で「浦和東口や大宮西口の駅前通りは4車線化したのに、大宮東口は80年近くほったらかしているのはおかしい」と指摘。天沼で建設中の産業道路バイパスまでの4車線化を改めて提案し、『道路整備計画』案に明記させることができました。
 市は大宮駅GCS化構想と称して東口駅前広場を地下にも広げようと計画しているのに、その入口となる駅前通りが2車線の狭いままでは絵に描いた餅です。

  用地は用意されてもったいない!
  旧16号4車線化を蓮沼まで延長

空き地が続く旧16号沿い 市は堀の内の産業道路バイパス交差点予定地から第二産業道路の大和田交差点までの2kmで、旧16号の4車線化を進めています。しかし渋滞が激しいのはロードサイド店舗が増えている大和田より東側です。旧16号は岩槻手前まで4車線化する構想はありますが、いつ実現できるかわかりません。そこで私は20年12月7日のまちづくり委員会で提案しました。

吉田一郎 第二産業道路の交差点の先は蓮沼まで区画整理で北側に土地が空いている。もったいないから早く優先的に整備すべきだと思う。
まちづくり推進部長 用地が確保された部分は下水道や側溝整備をしている。今後は歩道の整備を進めるが、車道整備は一定区間連続した形で整備を進めなくてはならないと考えている。

 蓮沼までの1kmの4車線化も今回の『道路整備計画』案に追加されましたが、まとまって用地が空いたところから少しずつでも完成させていくべきです。

  新大宮バイパス~第二産業道路
  一気に結ぶ南大通東線の完成を

産業道路バイパスと南大道東線 新大宮バイパスから吉敷町ガードを通って第二産業道路まで、大宮南部を東西に貫く道が南大通東線です。産業道路までは20年近く前に4車線化が完成し大栄橋の渋滞が緩和。現在は産業道路~同バイパスの用地買収をしていますが、それより東の建設は未定でした。
 市は自治医大近くの合併記念見沼公園を南へ4倍に拡大して、セントラルパークにしようと用地買収を始めています。大災害時にはさいたま新都心を補完する災害拠点として、全国から集まる応援部隊の基地にもなるため、公園の南側には数百台規模の駐車場が設置されます。
 しかし駐車場に入るための道はありません。そこで21年2月18日のまちづくり委員会で追及しました。

吉田一郎 巨大な駐車場ができても、そこへ行く道路ができなきゃ意味がない。南大通東線の整備はどういった計画で進めるのか。
都市公園課長 おっしゃる通り、この大規模公園にアクセスする道路が現状では弱い。南大通東線に大きく期待しているが、まだ具体的な道路整備計画に入っていないので、今後建設局と事業化に向けて調整していきたい。

 大規模な公園を作り始めて「公園へ行く道を忘れた」とはあまりにマヌケです。『道路整備計画』案では中川地区の土地区画整理と合わせて第二産業道路までの区間が整備対象になりましたが、南大通東線は市役所が移転する新都心と東西を結ぶ道としても重要なはずです。

 大宮~新都心~浦和を縦貫する
 産業道路を市役所移転で4車線

 産業道路は新都心周辺だけが4車線化され、それより北は現在の道の東側に4車線のバイパスを新たに造る計画で、東口駅前通り(旧道)までは工事中、旧16号と交差してサッカー場までは設計中です。
 浦和でも駒場~太田窪などで4車線化を進めていますが、新都心への市役所移転を機に中途半端な形ではなく一気に4車線化を進めるべきだと22年10月7日の決算委員会で提案しました。

吉田一郎 新都心への市役所移転が正式に決まったが、新都心へのアクセス道路の整備は研究しているのか、。
道路計画課長 第3期道路整備計画では都心・副都心間の移動時間短縮を目的に整備を進めている。結果的には市内各所から市役所へのアクセスが確保されると思う。
吉田一郎 新都心に市役所を移すという市のプロジェクトをもとに道路整備計画を考えるべきだ。産業道路なら大宮サッカー場から太田窪までというように、新都心中心の道路整備を10年以内に着手すべきだ。
道路計画課長 次期道路整備計画作成の際には、いまお話いただいた社会の変化に応じた公共施設等の需要も追加すべきと考えている。

 こうして大宮サッカー場~太田窪の4車線化(旧16号以北は2車線)が『道路整備計画』案に盛り込まれました。新大宮バイパスと第二産業道路の間に、大宮~新都心~浦和の市街地を貫く4車線の道ができれば、中心街の渋滞は大きく緩和されるはずです。

道路の用地買収拒まれ
支出6倍で再開発に!?

 大宮駅東口の旧中山道の渋滞緩和のため、市は東側に並行する氷川緑道西連綿の2車線化と歩道設置を進めています。20年に駅前通りから南側(市役所通り)が完成し、現在は旧16号までの北側(ときわ通り)で用地買収を進めていますが難航し、21年度完成のはずが大幅に遅れています。
 大口の地権者は埼玉りそな銀行とその北側で、道路拡幅の用地買収に合わせて共同でホテルを建てようとしましたが、市の誘致策で大宮駅周辺のホテルが倍増したため頓挫してしまいました。
 そこで地権者らの土地を再開発する計画が浮上。再開発ビルは21階建てで銀行、店舗、オフィスが入り28年度完成予定ですが、再開発扱いになれば地権者の土地全体に補助金が投入されるのではと、私は2月7日の本会議で問いただしました。

吉田一郎 大門町3丁目中地区市街地再開発の総事業費と市が出す補助金の見込み額はいくらか?
篠崎都市局長 総事業費は267億円で補助金は107億円。
吉田一郎 用地の一部を氷川緑道西通り線の拡幅で買収しようとしていた時はいくらを見込んでいたのか、?
篠崎都市局長 17億円。

 17億円のはずだった市の支出が、用地買収を拒まれて再開発にしたら6倍に膨れ上がった格好です。
 大宮門街の再開発には、市民会館の移転を含めて市は491億円を支出しましたが、地権者の意向でテナントにクリニックを集めたため「巨大な雑居ビル」と化して閑散としています。
 新たな再開発ビルも「工事中も現在地で営業を続けたい」という埼玉りそな銀行の意向で、駅前通りに面した銀行の一角がビル完成後は広場になります。奥まった場所に建つ再開発ビルが賑わいを生みだせるか疑問です。
吉田一郎は、市長から支給される政務活動費(年間408万円)を受け取らずに活動しています。

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