総費用3000億円超 財政破綻を招く無謀な
清水市長は埼玉高速鉄道(SR)を、浦和美園から岩槻まで7.3km延伸しようとしています。建設費は、車両購入費を含め860億円と算出していましたが、沿線開発を含めると3000億円を超え、市民1人あたリ25万円、4人家族なら100万円以上の負担になります。 地下鉄建設で心配なのが、採算です。新たに地下鉄を建設するには、国の採算基準(開通後30年以内に黒字転換)を満たす必要があります。市が専門家を集めて繰り返し行った調査では、地下鉄の乗客は1日2万3100人で、B/C(費用対効果、1以上が黒字)は0.7~0.9で、いずれも国の基準は満たせないという結果でした。 市が浦和美園~岩槻で年間3000万円をかけて走らせていた快速バスは1日70人の乗客しかなく、19年3月に廃止になりました。バスすら廃止になる区間で、地下鉄の経営は成り立ちません。 清水市政は12年度に「浦和美園~岩槻地域成長・発展プラン」を策定し、予算を集中投入して沿線開発やハコモノ建設やイベント開催を推進。21年度までに782億円を投じました。 その結果、浦和美園の人口は1万7800人増えましたが、浦和美園の人口が増えても乗客は東京方面へ向かい、岩槻への地下鉄利用者は増えません。岩槻区の人口17年度4年間で1万1700人のまま増えておらず、目標の1万5600人を大きく下回っています。 浦和美園や岩槻に巨額な血税を投じても地下鉄の採算性向上のためにはほとんど成果を上げていません。 ■採算性や建設費、沿線開発費すべて未定なのに建設を強行!? それでも清水市長は、浦和美園と岩槻の中間に新たな駅を設置して開発を行えば、B/Cが1.1になって採算が取れるかも知れないと、23年度には埼玉高速鉄道に地下鉄建設を国へ申請してもらうよう要請すると掲げています。 しかしコロナが一段落した後も、テレワークの普及で岩槻駅をはじめ東武野田線の市内各駅の乗降者数は2割減少しています。 一方、円安やウクライナの戦争の影響で、世界的に建築資材の価格が高騰しています。市がこれまで試算していた860億円では建設費が足りないのは確実です。そこで私は22年12月議会で、採算性や建設費の新たな見通しについて問いただしました。
なに1つはっきりした数字を出せないまま、市民の声も聴かずに建設を強行しようとする清水市政の姿勢は危険です! ■「吉田プラン」が現実となり、地下鉄はもういらない 岩槻と東京都心を市がほとんどお金を出さずに1本で結ぶ方法があります。野田線と伊勢崎線を直通運転し、さらに春日部に来ている地下鉄日比谷線や半蔵門線と乗り入れる「吉田プラン」です。 大和田、七里や東岩槻も東京都心まで乗換えなしで行け、大宮と越谷、草加が電車1本で結ばれるメリットもあります。 かつて清水市長は12年9月議会で「17年度に岩槻への地下鉄建設に着手する」と宣言しました。当時さいたま市議会で建設に反対しているのは私1人だけでした。 そこで私は13年の市長選に「吉田プラン」の実現を掲げて出馬し、全国的に報道された結果、東武鉄道は翌14年の中期経営計画で、野田線と伊勢崎線の直通運転と大宮~春日部の急行運転を発表。清水市政に17年度の建設着手を無期限延期させました。 実際に16年3月から野田線に急行が走り、17年4月には浅草から岩槻経由で大宮へ通勤特急「アーバンパークライナー」が走り始めています。20年度に着手した春日部駅の立体高架化では、「野田線と伊勢崎線の直通運転を強化したい」という東武の強い要望で設計を変更し、野田線ホームの増設が決定。日比谷線の車両は20年春までに野田線と同じ規格(4ドア20メートル車)に交換されました。 「吉田プラン」が着々と実行に移されたことで、かつて私以外の議員はすべて地下鉄建設に賛成していた市議会が、右も左もぐらつき、共産党は「きっぱり断念すべき」と方針転換しました。 無謀な地下鉄建設を断念させるまで、私は闘い続けます。
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