2018年5月特別号 (1)
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大宮再生の切り札
大宮駅グランドセントラルステーション化構想案
大宮駅北口が盛り込まれず!?
 昨年8月に、国から都市再生緊急整備地域に指定された大宮駅周辺の開発。市は3月に「大宮駅グランドセントラルステーション化構想案」を公表しましたが、「大宮駅北口」の建設は盛り込まれていません。交通渋滞を解消し、「大宮再生」を図るためには、北口開設は不可欠なはずです。
北口広場と新しい街 かつて大宮市が「大宮都心構想」の1つとして掲げていたのが、北口開設です。
 大宮駅と大栄橋との間の線路上に人工地盤を作り、ここに北口広場やデパート、ホテルなどの「新しい街」を作れば、大宮に新たな玄関口が生まれ、中心街が活性化します。
 旧中山道や国道17号を北から来るバスやタクシーは、大栄橋から直接北口に入れるようになり、住民にとっては大宮駅まで行く時間が短縮され、東口周辺の交通渋滞も緩和します。
 市は国や県、鉄道会社、学識経験者や東口商店街の関係者らをメンバーに推進会議を開催してきました。
 しかし、東口商店街の委員が「大栄橋から線路を見る光景こそ大事にすべき」「開発をすると高層化されるが、息苦しいから避けるべき」などと、北口開設はおろか再開発そのものにも反対していました。
 私は昨年2月の大宮駅機能高度化小委員会で、市に北口開設の必要性や、線路の上の地権者はJRであることを認めさせ、『市政レポート』を北区のみならず旧大宮市の全世帯に配布。
 自民真政(大宮派)の鶴崎敏康議員(見沼区)らも、線路の上に北口やバス乗り場などを建設するよう迫り、清水市長は「北口開設に向けて積極的に取り組む」と発言。東口商店街の委員からも露骨に再開発に反対する声は影を潜めました。

 「列車眺める場」優先し
 線路上の北口が犠牲に

 今回の「構想案」は、東口一帯を南地区(高島屋周辺)、中地区(大一デパート北側)、北地区(一番街南側)、西地区(銀座通りと線路の間)の4つに分け、再開発する内容です。
 一番街とニューシャトル乗り場の間に東西連絡通路を作り、JRや東武の改札を設置すると言いますが、大栄橋に面した北口は盛り込まれていません。
 線路の上は開発されないままで、東西連絡通路には大栄橋方向に「列車を眺めたり写真が撮れる視点場」を作るというプランです。
 この案では、バスやタクシーは引き続き東口に集中するため、旧中山道の渋滞は緩和されず、一番街より南の銀座通りが歩行者専用の「交流広場」になるので、かえって車が旧中山道に集中してしまいます。
列車を眺める「視点場」が優先された構想案東西連絡通路上の視点場から大栄橋方面を望む 大宮駅使う住民の声で
 大宮駅北口の実現を!

 「大宮駅グランドセントラルステーション化構想案」は、日常的に大宮駅を利用する住民の意見を集めないまま作成されています。
 市では構想案に対する意見を5月18日まで募集しています。住民の声で「大宮駅北口」の構想を復活させましょう!
意見送付先‥さいたま市役所都市局都心整備部東日本拠点整備課まで郵送、もしくはFAX048(829)1937。区役所情報公開コーナーに用紙もあります。

「浦和の議員をもっと増やせ!」
定数見直しで浦和の議員が露骨に要求
 さいたま市議会の議員定数は60人で、区ごとに4~9人の選出です。
 4月23日の議会運営委員会理事会では、自民(浦和派)の「ドン」こと青羽健仁議員が、「浦和区、南区、緑区の人口が急増している」ことを理由に、浦和の議員を増やすよう要求。
 来春の市議選で議員を61人にし、緑区を1人増やすべきだと言い出しました。
 民進・立憲や公明が渋る中、神田義行議員(共産・北区)も「緑区を増やすべき」と同調。青羽議員は「裁判所の判断でも1票の格差で2倍以上は違憲」と言いますが、格差が最大の緑区と桜区でも1・19倍しか開いていません。
 私は「緑区を増やすなら、次に議員1人あたりの人口が多い大宮区も増やすべきだ」と反論しました。
 03年に政令指定都市になった時、議員の数は大宮29人に浦和30人でしたが、何回かの定数見直しで現在は大宮24人、浦和26人です。このうえ浦和の議員だけを増やせば、「浦和優先」の市政運営にますます拍車がかかってしまいます。

 議員を増やすなら
 政務活動費廃止を

各区の議員数と議員一人あたりの人口 地方自治法では、議員の数は人口90万人以上で64人まで、130万人以上で72人までと規定されていました。市の人口は4月1日時点で129万4343人ですが、毎年1万人増えており、年末までに130万人を超えることが確実です。
「議員の削減」は昨今の風潮ですが、さいたま市では合併前の旧4市の議員計131人が半分以下になり、区ごとの選出になったことで、大政党の議員ばかりになりました。自分の考えで発言できる無所属議員は、私と川村準議員(南区)の2人だけです。
 そこで私は「人口が130万人を超えたら議員を72人に増やし、そのかわり政務活動費を廃止すべきだ」と提案しました。
 議員を12人増やせば報酬総額は1億6254万円増えますが、政務活動費を廃止すれば2億4480万円削減できます。
 議員の支出を抑えながら、政党の方針にとらわれず、多種多様な市民の声を反映できる議会にすべきです。
2018年5月特別号(2)
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ハコモノや生活保護充実で職員が大幅増加
 清水市長は2月議会で、市の職員(市立病院を除く)を1万2592人から1万3020人に増やす議案を提出しました。内訳は学校教職員を100人増の5981人に、消防職員を26人増の1357人に、一般職員を302人増の5682人にするというものです。
 教職員は美園北小や美園南中の開校、消防職員は片柳消防署の新設のためですが、一般職員をなぜ増やすのか、2月7日の本会議で質問しました。

吉田一郎 一般職員の増員による人件費増は?
伊藤総務局長 約15億円。
吉田一郎 どの部署に職員を増やすのか。
伊藤総務局長 権限移譲に伴う業務増や子ども家庭総合センターの開設、生活保護現業員など。【動画で見る】

 18年度の生活保護の総支給額は351億円で、受給者の就労支援や不正防止などの経費4億4000万円や、担当職員の人件費25億円を加えると380億円で、市の一般会計予算全体の7%を占めます。
 景気回復で支給額は17年度より3億円減りますが、職員増加で財政負担はかえって増えます。
 不正受給の発見が進めば良いのですが、昨年の決算審査では発見した不正受給者を警察に告発した件数はゼロで、被害額1億4919万円のうち返還されたのはわずか5.9%でした。担当者を増やしても、不正受給が「野放し」のままでは困ります。

増税ラッシュ!
国保税2年連続値上げ
65歳以上の介護保険料

「所得ゼロ」でも負担増
 2月議会で、清水市長は国保税や介護保険料の増税を提案し、審議されました。
 国保税は2年連続の値上げで、一緒に徴収される後期高齢者医療保険や介護保険の負担分を加えると、最高税額は2年で年額73万円から89万円へ、22%も上がります。
 また今年は後期高齢者医療保険や介護保険の税率が引き上げられて、13万5200世帯の負担が増えます。所得600万円の4人家族(40代の夫婦2人と子ども2人)の場合は、2万48
00円の負担増になります。
 所得が低くても負担は増え、所得200万円以下で3万7076世帯、100万円以下が3万2783世帯、所得ゼロ(年金収入で120万円以下)でも2万7979世帯が増税です。

 介護保険料は独自基準
 国の標準の最高5割増

 65歳以上の高齢者が負担する介護保険料も、年額800~1万1000円増えます。
 国の標準では保険料は所得によって9段階に分かれ、最高は所得300万円以上の人で基準額の1・7倍(さいたま市の場合は年額11万0500円)です。しかしさいたま市は独自に12段階に分けて、最高は基準額の2・55倍(年額16万5800円)も徴収します。
 最低額は所得80万円以下の人と生活保護受給者で、年額2万9200円ですが、生活保護の支給額は80万円以下なのか、2月13日の本会議で問いただしました。

吉田一郎 生活保護の年間支給額は、65歳でいくらか。
志村保健福祉局長 単身の年間支給額は152万4270円、夫婦の年間支給額は211万9350円
吉田一郎 単身の支給額が152万円なら「所得125万円以上200万円未満」の介護保険料で年額8万4573円、夫婦で支給額が211万円なら「所得200万円以上350万円未満」で年額9万7584円のはずだ。生活保護受給者の介護保険料を所得に合わせないのはおかしい。
志村保健福祉局長 生活保護制度と介護保険制度、それぞれの定めに基づいて事業を実施している。【動画で見る】

 生活保護受給者の場合、実際には介護保険料や介護保険を使った時の自己負担額(1~2割)も別途支給されて、すべて無料になっています。
 年間80万円以下の年金で暮らす人が3万円近い保険料と自己負担額を徴収されて、150万円や200万円支給されている生活保護受給者がすべてタダというのでは、まじめに年金を払ってきた人がバカを見てしまいます。

 市民会館484億より
 増税回避に公費投入を

 今回の増税で、市は64歳以下の市民から年間4億1000万円、65歳以上の高齢者からは5億6380万円の税収増を見込んでいます。市民会館の移転に484億円も浪費するより、その2%を増税回避のための財政投入に使うべきです。
 しかし2月議会では、市民会館の移転に賛成した立憲や公明・自民真政(大宮派)の「清水与党」と自民(浦和派)が、増税案にも賛成して可決されました。
 少子高齢化が進み、将来の財政が厳しくなるのはわかりますが、市民の負担を増やす前に、まず無駄な支出を抑えるべきです。

「暴言ヤジ」で出席停止処分 
各政党が法的権限ない「吉田は辞めてしまえ決議」
 2月20日の文教委員会で、中央図書館長の答弁が不誠実だと私が激怒。「首つって死ね」とヤジを飛ばし、翌日の委員会で館長と教育委員会に謝罪した件で、地方自治法の懲罰の規定に基づいて、出席停止処分(3月15日と16日)になりました。
 私は今回の「暴言」は、人として特に議員として許されないものであり、法に基づいた処分に従うことが議員の取るべき責任だと思い、3月16日の本会議は新年度予算案などの討論(意見表明)と採決が行われる日でしたが、やむを得ず欠席しました。
 
 答弁が不誠実だと激怒してヤジ
 2月20日の文教委員会で、私は図書館の蔵書に関して質問しました。
 もともと公立図書館は、書店では入手することが困難な行政資料や郷土資料、過去の書籍が閲覧できるという役割がありました。しかし最近では「多くの市民が読みたい本を揃える」という市民サービスの役割が強くなっています。そのため、すでに市販されていない古い本がどんどん除籍(廃棄)され、今話題の人気書籍に置き換えられています。
 1冊数千円のハードカバーの本は、市民にとっては買いにくいので図書館で借りるのは必然でしょうが、近年は数百円の文庫本を図書館が貸し出すようになり、しかも同じ本を大量に置くことで、「本が売れなくなった原因の1つになっている」と出版業界から抗議の声が挙がっています。
 「人口1人あたりの貸出数が日本一」というさいたま市の図書館はこの問題をどう考えているのか、中央図書館長に問いただしたところ、「1つの本は50冊までの購入にしているので、無尽蔵に買っているわけではない」「(出版業界の声は)直接出版界から要請があるわけでもないし、把握していない」という答弁でした。
 1つの市の図書館で同じ本を50冊も置いて貸出したら、「本が売れなくなる」と言われても当然です。出版社がいちいち全国すべての図書館に「文庫本を置くのは遠慮してほしい」と連絡するわけはないのに、あまりに不誠実な答弁だと、私は怒って「暴言ヤジ」を飛ばしたのが経緯です。
 中央図書館長にはこれまでも、土日の開館時間を平日並みに延ばしてほしいという市民の要望について、6月19日の文教委で平日と土日の図書館の来館者数を質問したところ、「日にちごとに来館者数をカウントする機能は、機械にない」と言い張り、他の委員からも「そんなはずはない」という声が出ると、実は1日ごとの来館者数データは存在していて、土日は平日より25%多かったなど(『市政レポート』10月特別号参照)、答弁に誠実さに欠けているという怒りがありました。
 しかし、いずれにしても今回の「暴言」は、私の不徳の致すところであり、市民とりわけ私を応援してくださった方々にも恥ずかしい思いをさせてしまい、本当に申し訳ありません。

 多くの激励頂き、私は辞めません
辞職勧告決議 2月28日の本会議で、私への懲罰を審査する特別委員会の設置が決まりましたが、自民(浦和派)は反対し、私に対する辞職勧告決議を提出しました。
 その理由は、①吉田が「暴言」を吐いた時、他の委員は誰もその場で問題にせず委員会を続けた。②翌日の委員会で吉田が謝罪した時、他の委員も「私たちにも責任があった」と一緒に謝罪した。③したがって、他の議員に吉田の懲罰を決める資格はなく、どう責任を取るかは吉田が自分で考えればいい…というものでした。
 ところが、他の政党会派は「これを機に、吉田は辞めてしまえばいい」と雪崩を打ち、北区では関根信明議員(自民真政)や神田義行議員(共産)が率先して、辞職勧告決議を再提出し、出席停止の懲罰に加えて3月16日の本会議で可決。反対したのは私と同じく政務活動費を受け取らない川村準議員(無所属・南区)だけでした。
 辞職勧告決議(=議員を辞めろ)には法的な権限はなく、法に基づいた出席停止処分(=謹慎して反省し、今後はしっかりやれ)と矛盾しています。
 また数百人にのぼる地元有権者の方々から、「今後も頑張れ」との激励の声を直接かけていただいており、私はメディアに「辞職するつもりはない」と発表しました。
 私は今回の「暴言」をしっかり反省し、今後も「浦和優先」の市政から大宮を守るために、赤字の地下鉄やハコモノ建設、補助金乱発などの市政を糺すために、そして不正の温床=政務活動費を廃止するために、引き続き全力で頑張ります!
GoogleやYahoo!で「やっぱり大宮市民の会」と検索してくださいhttp://www.geocities.co.jp/WallStreet-Stock/9297/
2018年5月特別号(3)
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合併以降
図書館蔵書数
 大宮は3割増
 浦和は8割増

岩槻や与野は減少
 さいたま市は浦和に中央図書館をオープンさせた一方で、大宮図書館は区役所と統廃合して、3割縮小しようとしています。
 蔵書数を合併当時と比べると、旧大宮は32・7%増えていますが、旧浦和は81・6%も増えていることが判明。そこで10月4日の決算審査で追及しました。

主な図書館の蔵書数推移吉田一郎 毎年2億円の図書購入予算を、なぜ浦和にばかりつぎ込むのか。
中央図書館資料サービス課長 中央図書館は全市エリアをカバーしているので蔵書総数は中央図書館が12・9%、旧大宮は44・1%、旧浦和は29・8%、与野が7%、岩槻が6・2%で、蔵書が多いのは旧大宮エリア。
吉田一郎 「中央図書館は全市的」なんて、浦和へ行かなければその蔵書は見られないのだから関係ない。旧与野の蔵書は3・9%、旧岩槻は12・2%も減っている。
中央図書館資料サービス課長 古い蔵書があった岩槻は除籍数が多かった。
吉田一郎 なぜ岩槻には新しい本を補充しないのか。
中央図書館資料サービス課長 御指摘の通り、今後岩槻の蔵書も増やしていくように努力をしたい。【動画で見る】

 合併から17年間、さいたま市は都市開発や公共施設の整備、道路整備の予算を浦和に集中させてきましたが、本の購入予算まで「浦和集中」は許せません!

 吉田一郎が反対した議案 
■幼児教育センター付属幼稚園の廃止(2件)
 大宮市が「幼小連携」の先進的な取り組みとして、大宮小学校に併設した市立幼稚園を廃止。幼児教育の研究は、浦和に開設した子ども家庭総合センターに移し、どさくさ紛れに市内唯一の市立幼稚園を廃止することには反対です。
■学校数職員の給与アップ
 7700万円の財政負担増。上げ幅は市の人事委員会が勧告したと言いますが、その勧告内容は「県内他市町村と同じ額をアップする」というもので、本市の教職員の勤務実態を調査し、反映したものではありません。
■学校数職員の退職金引き下げ
 定年退職の場合、5年間で480万円減額に。減額前の「駆け込み退職」が相次ぎ全国的に問題になりましたが、老後の人生設計が狂ってしまいます。
■岩槻人形博物館条例
 毎年1億7000万円の赤字を出す盆栽美術館に続いて、同規模の赤字を出す人形博物館を38億円かけて建設。「岩槻の人形文化を紹介する」を目的に掲げながら、展示品に岩槻の人形はゼロというお粗末ぶり。
■市民会館移転のための再開発ビルの取得 《4面参照》
■学校給食費に月千円助成 《4面参照》
 反対する予定だった議案 
■平成30年度一般会計予算
 都市開発予算は合併後初めて大宮が浦和を上回ったとはいえ、これまでの格差は1千億円以上。公共施設の整備予算は大宮171億円に対して浦和266億円で、地域格差は広がるばかりです。
■国保会計事業特別会計予算■介護保険事業特別会計予算■国保税の増税 《2面参照》
■東浦和第二土地区画整理予算■浦和東部第一特定土地区画整理予算■大門下野田特定土地区画整理予算
 浦和美園など浦和東部に開発予算を集中投入することには反対です。
■水道事業会計予算■下水道事業会計予算
 県からの水の仕入れ値は同じなのに、水道料金は和光市の一・八倍で、年間62億5500万円もの黒字を出し、下水道料金も値上げを繰り返しています。水道の黒字を下水道にまわして値上げを回避すべきです。
■病院事業会計予算
 浦和の市立病院を総額421億円かけて建替えるのに、大宮からのバス路線を充実させようとしないのは許せません。
■職員の定員増■子ども家庭総合センターに児童心理治療施設を設置
 浦和区に60億円かけて子ども家庭総合センターを建設し、そのスタッフなどで市職員を302人増員し、年間15億円の支出増。
■養護老人ホーム基準条例の改正■老人施設を共生型に■指定障害者福祉サービス条例の改正■指定通所支援条例の改正■ひまわり学園に居宅訪問を追加
 「共生型」と称して、高齢者祉施設と障害者施設の一体化が可能に。福祉施設を何種類も運営できない過疎地域ならともかく、どちらの利用者にとっても中途半端なものになりかねません。
■介護保険法改正に伴う8条例の改正■介護保険料の値上げ■国保税の値上げ 《2面参照》
■動物の愛護及び管理に関する法律改正の意見書
 動物愛護での過剰な罰則強化は、まるで「生類憐みの令」です。
2018年2月議会の会派別議案賛否一覧表
『吉田一郎 市政レポート』のバックナンバーや、市議会での動画集が、インターネットでご覧になれます!
2018年5月特別号(4)
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484億円の市民会館
コンサートや演劇で使えない!?
エレベータの大きさ考えず
上層階に大ホール設置 【関連動画】
 現在の場所でそのまま建替えれば50億円で済む大宮の市民会館を、清水市政は総額484億円もの公費を投じて中央デパート跡地の再開発ビルに移そうとしています。
 さらに新しい市民会館はコンサートや演劇の公演では使えないシロモノであることが明らかになりました。


 再開発ビルの駐車場が
 満車で主催者入れず?

 現在の市民会館は、街外れにあるので駐車場は広く、車は無料で停められます。
 しかし移転後は、車は再開発ビル地下の有料駐車場に停めなくてはなりませんが、大宮駅周辺の駐車場はいつも満車の状態が続いています。
 一体どうするつもりなのか、私は2月19日の文教委員会で問いただしました。

吉田一郎 駐車料金は現在はタダだが、どうなるのか。
文化振興課長 借りた人に何か補助をするとかも含めて検討しているが、他の公共施設の駐車料金のバランスもある。
吉田一郎 市民会館の集会室も含めて、借りた人用の駐車スペースを確保していないと混乱する。
文化振興課長 現在の案では専用スペースはないが、そのようなご心配は多数あると思うので、主催者枠のスペースは今後検討する。
吉田一郎 駐輪場は?
文化振興課長 1階から4階まで854台分ある。
吉田一郎 駅のすぐ近くだと通勤の人が停めて、市民会館を利用する人が午後来たら一杯だったということもある。1階部分に50台くらい市民会館利用者専用枠を作るとかしないのか。
文化振興課長 現段階では専用スペースは確保できていない。そのような問題もあるので、今後検討する。

 大道具がエレベータに
 入るか検討しないまま


吉田一郎 市民会館で催し物をする時に、トラックで機材を運ぶこともあるが、地下駐車場に入れるのか。または裏口のあたりに停めて、そこで積み下ろしをするのか。
文化振興課長 地下駐車場なので高さ制限がある。搬入は地下からではなく、外から回す形で工夫したい。

 市民会館でコンサートや演劇の公演を行う場合、楽器や大道具、舞台装置などを搬入する必要があります。移転後の市民会館大ホールは、再開発ビル東棟の6~9階に設置されます。
 機材を搬入する場合、トラックは東側の氷川緑道西通線(市役所通り)から入り、搬入口は10トントラックに対応していますが、1車線で歩道もない細い道です。市では拡幅を予定していますが、埼玉りそな銀行などのビルが建ったままで、立ち退きが完了し道路が広がるのは、21年度の移転に間に合いません。
 現在の市民会館やソニックシティの大ホール、スーパーアリーナなどは1階にあるので、搬入口にトラックを横付けして、会場に大きな機材を運び込むことができます(スーパーアリーナの搬入口は幅7・85m×高さ4・2m)。
 しかし再開発ビルでは、大ホールを上層階に設置するのに、エレベーターは幅4m×奥行3m×高さ3mで、大きな機材が入るのかも検討していないままです。
 公演終了まで、トラックが待機する場所も用意されておらず、トラックは周辺のコインパーキングには停められません。
 結局、「大きな機材を使うコンサートや演劇は利用不可」になり、これまでの市民会館のように多彩な公演を楽しむことができなくなりかねません。

 立憲・公明・自民真政ら
 後先考えず無条件賛成

施設構築物の立面図とイメージ もともと再開発ビルに市民会館を移す計画は、NHKさいたま支局が浦和から移転するという話が出たため、「ホールを番組収録に使い、運営費の一部をNHKに負担してもらおう」という発想からでした。
 ところが地権者がまとまらず、しびれを切らせたNHKは大宮移転を撤回。市が尻拭いをする形で公費負担が膨らみ、「プロの視点」が抜け落ちた設計になってしまったのです。
 500億円近い血税を投じて、市民にとっても主催者にとっても利用しにくい施設になるのでは馬鹿げています。
 しかし、議会で市民会館の移転に反対したのは無所属と共産党だけで、民進・立憲や公明、自民真政(大宮派)の「清水与党」はもろ手を挙げて賛成。当初は「費用がかかりすぎる」と渋っていた自民(浦和派)も賛成にまわりました。
 市長の提案ならどんな高い買い物でも認めるのでは、行政を監視する議員の役割を放棄したのと同じです。


●「給食費1000円引き」はチラシのネタ作り?
 学校給食費は小学生が月4100円、中学生が月4800円です。2月議会で共産党が、市が補助を出して給食費を月1000円引きにする条例を提案しました。
 対象は市内の小中学生全員で、年間9億8000万円が必要ですが、共産党は「さいたま市は財政が豊かなので、財源は大丈夫だ」と言います。
 私は2月19日の文教委員会で、共産党の山崎章団長(与野)を問いただしました。

吉田一郎 年収1億円や2億円の人も含めて対象にしているが、所得が低くて給食費を負担するのが大変な人を救うのが目的ではないのか。
山崎議員 学校教育で、この人には支給してこの人には支給しないのではいけない。
吉田一郎 平等性を言うのなら、住んでいる地域によって給食費の助成が出るのはおかしいのでは?経済状況がギリギリの家庭の子と裕福な家庭の子に差をつけるのは良くないが、財政が豊かな地域の子どもと、ギリギリでやっている自治体の子どもとで差が出るのは良いのか。
山崎議員 それぞれの自治体の特徴があるわけだから、財政規模に関わって来ることもあると思う。【動画で見る】

「豊かな地域の豊かな子どもの給食費は安くして、貧しい地域の貧しい子どもはそのままで良い」という主張は、何だか共産党らしくありません。
「給食費1000円引き」を実現するには、市長の予算案を修正して、9億8000万円の確保が必要です。しかし共産党は予算修正案を出しませんでした。
 私は本会議で共産党の真意を問いただしました。

吉田一郎 ようするに、予算の修正案だと他にいろいろな項目も入って目立たなくなってしまうけど、条例案なら「共産党は学校給食費1000円助成で頑張りました!」とアピールしやすいということか。
山崎議員 当然ながら、事実に基づいて議会ニュースに載せて市民に知らせる。それをアピールと受け止めるかどうかは、やはり市民それぞれ。

 山崎団長の「正直」な答弁に、議場は笑いの渦に包まれました。
 所得が生活保護の1.2倍以下の家庭は、就学援助制度で給食費が無料です。公費を投じるのなら、就学援助の対象拡大や、子どもが3人以上いる世帯の減額を行うべきで、困っていない家庭にも「一律1000円引き」では税金の使い方が間違ってます。

●「海外視察は自費で!」と改めて提案
 「議員特権」の1つが、公費による海外視察です。今年は夏に姉妹都市である米・ピッツバーグへの海外視察が予定されています。
 4月23日の議会運営委員会では参加人数が協議され、立憲は「各会派1人ずつに」と言い、自民は「姉妹都市20周年だから、もっと人数を増やすべき」と主張。私は「増やすのは良いが、公費は議長だけで、他の参加者は自費で」と提案しました。
 かつてさいたま市議会では、議員全員が4年間の任期中に1回、公費で海外視察に行けるように予算を組んでいました。
 その後、「どうせ共産党と無所属は行かない」と予算は減額されましたが、現在でも毎年10人×60万円の予算を組んでいます。実際には60万円を上回ることもあり、5年前のピッツバーグ視察では、1人あたり93万円を費やしました。
 3年前の韓国・水原視察では「公費は桶本議長だけ」となり、私は自民3人(関根、萩原、江原)とともに自費で参加しましたが、昨年の中国・鄭州視察では、新藤議長は自費での参加を申し出た私を拒否しました。
 姉妹都市との相互訪問は必要でしょうが、公費での参加は議会を代表する議長か副議長に限定すべきです。
吉田一郎は、市長から支給される政務活動費(年間408万円)を受け取らずに活動しています。

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