2018年3月特別号 (1)
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大宮市民会館再開発ビルへ
市の予算総額は484億円に
ウソの答弁で130億も誤魔化し、訂正を拒否

 大宮の市民会館を中央デパートの跡地の再開発ビルに移転する計画。移転費用266億円に加えて、土地の現物出資や補助金を合わせた市の総予算を質問したところ、答弁は「355億円」でしたが、実は484億円にのぼることが判明。清水市政は答弁の訂正を拒否し続けています。嘘の答弁で巨額の費用を少なく見せかけようとするのは、市民を欺くものです。

 本当の数字言うよう
 議長が促せど応じす

 2月議会では18階建て再開発ビルのうち3~5階に、市民会館を移転する契約を審議しています。
 9月15日の文教委員会で、市は現在の場所にそのまま建替えた場合の費用は50億円で、再開発ビルに移転する費用は266億円だと説明していました。
 しかしこの費用には、再開発ビルに市有地を現物出資する分や、再開発への補助金が含まれていません。
 2月7日の本会議で、私は全体額を質問しました。

吉田一郎 用地取得の分も含めて、全体の総予算はいくらかかるのか。
蓬田スポーツ文化局長 21年度までに合計約355億円を支出する予定。
中野都市局長 再開発の中に用地取得費はない。
吉田一郎 では、タクシープールに使っていた市有地の現物出資分はいくらか。
中野都市局長 市有地の資産額は46億円。
吉田一郎 全体でかかるのは400億円なのか!?【動画で見る】

 再三の追及にも、市は「400億円かかるかどうか」に答えないままでした。
 その後、私は交付金を加えると市の総予算は土地分も含めて484億円に達することを確認。
 新藤信夫議長(自民真政・大宮区)らが執行部に答弁の修正を促しましたが、執行部は頑なに拒否しました。

文教委の徹底追及で
ようやく真相を白状

 2月19日の文教委員会で私が追及した結果、「355億円」という答弁は、市民会館移転の交付金10億円は含めても、再開発の交付金83億円は含めないという、操作された数字だったと明らかになりました。

吉田一郎 市の予算計上と、土地の現物出資を含めると、484億円でよいか。
蓬田スポーツ文化局長 数字をどうとらえるかで疑義が生じたが、単純に足した数字は484億円。
吉田一郎 全部足せば484億円になると局長は認めたが、今の説明と同じことを本会議でも言うべきだ。
蓬田スポーツ文化局長 当日の質疑では私どもの解釈で355億円と答えた。
吉田一郎 私は最初から市の総予算はいくらかと聞いたし、事前に渡した通告書にもそう書いた。正直に本会議で訂正すべきだ。ホールや集会室の座席1つあたり、いくらになるのか。
文化振興課長 1991万円になる。
吉田一郎 四捨五入したら違うのでは。
文化振興課長 四捨五入すると1992万円。

 巨額の負担をできるだけ少なく見せかけようと誤魔化す市の姿勢は許せません。

あくまで隠し続ける
移転後の経費も巨額

 市民会館の移転は484億円では済みません。
 ホールの椴帳やピアノ、備品、机や椅子も必要で、質問しても「調査中」。再開発ビルの年間共益費は「算出されてない」と、明らかにしませんでした。

吉田一郎 西口のソニックシティやJACK大宮では、共益費はいくらか。
文化振興課長 他の施設は機能や規模で算出方法が異なり、把握していない。
吉田一郎 年間何億円とか、おおよその目安はないのか。
文化振興課長 全体の共用部分と部分共用部分とかあるので、時間がかかる。
吉田一郎 共益費の他にどんな費用がかかるのか。
文化振興課長 まず数十年後の修繕に向けた積立金が大きい。また共用部分の清掃・警備、駐車場の整理員、消防機器やエレベーター、エスカレーターの点検、光熱費、建物の保険料など。
吉田一郎 全体でおおよそいくらか見当つかないか。
文化振興課長 具体的な数字になっていない。
吉田一郎 職員の人件費などの運営コストは、現在の市民会館はいくらで、移転後はいくらかかるのか。
文化振興課長 現在は指定管理料含め1億円。移転後は事案の多様性もあるので、全体のコストを計算中。

 移転後に毎年いくらかかるのかを説明しないまま、市民会館の移転を強行しようというのは問題です。

浦和駅の高架化より
費用上回る市民会館

 私は湘南新宿ラインを浦和駅に停めた市の総予算を質問したところ、475億円でした《4面参照》。
 私は大宮の議員ですが、街の発展や住民の利便性向上を比べれば、市民会館の移転よりも、新宿方面へ行く電車を停めることにお金を使った方が有意義です。現に浦和駅は湘南新宿ラインの停車後、乗降客が2割近くも増加し、新たなデパートがオープンするなど、賑わっています。
 大宮駅の北口開設や、大宮駅から大栄橋にかけての線路上に「新しい街」を作るなど、大宮発展のための大きなプロジェクトに多額の予算を投入するのならともかく、「大宮にも予算をつけた」というアリバイ作りのために、50億円で済むはずの市民会館建替えに、10倍もの血税を投入するのは止めるべきです。


 答弁に激高して「暴言
皆様にお詫び致します
 2月20日の文教委員会で、私が図書館の蔵書に関する質問をしたところ、中央図書館長の答弁が誠実でないと激高して「首をつって死ね」というヤジを飛ばし、翌日の委員会で発言を取り消して館長に謝罪したと、新聞やテレビで報道されました。
 事実その通りで、人として、特に議員として、議会で絶対に口にしてはならない暴言だったと、深く反省しています。
 議員が議会で「問題」を起こした場合、地方自治法の規定では懲罰として処分を決めることになっています。22日に自民真政(大宮派)、公明、民進・立憲、共産が私の「暴言」に対する懲罰動議を提出。28日の本会議で、処分を検討する懲罰特別委員会が設置されました。2月定例会最終日の3月16日までに戒告・陳謝・出席停止・除名など、議会としての処分を決めることになります。
 私は今回の「暴言」が懲罰の対象になることは当然であり、議会として決定した処分に従うことで、議員としての責任を取りたいと思います。
 一方、自民(浦和派)は私に対する「辞職勧告決議」を提出しましたが、他の会派が賛同せず、この日審議されないことになりました。
 私が「暴言」を発した経緯や背景などは、処分を検討中の段階では詳しく述べることは差し控えざるを得ませんが、後日『市政レポート』で説明いたします。
 このたびの「暴言」は、まったく私の不徳の致すところであり、市民、とりわけ私を支援してくださった地元の皆さまにもご迷惑をかけ、本当に申し訳ありません。
 私は今回の不祥事をしっかり反省し、今後も私たちの街・大宮のために全力で頑張らせていただけたらと思っています。
吉田一郎市政報告会 6月3日(日) 14:00~16:00 プラザノース (北区役所) 第3セミナールーム(入場無料)
2018年3月特別号(2)
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東西交通大宮ルート
大宮~浦和美園のLRT建設計画
「LRTは安い」どころか2千億円以上!?

 清水市政は岩槻~浦和美園に地下鉄を建設しようとする一方で、大宮~浦和美園にはLRT(次世代型路面電車)を計画しています。市は「LRTは建設費が安い」と宣伝していますが、私の追及で用地買収の費用を含めると、2千億円以上がかかることが明らかになりました。
 市が検討しているLRT(東西交通大宮ルート)のルートは4つです。昨年5月22日の広域的交通ネットワーク特別委員会で、線路の敷設や電車の購入などの総事業費は330億~430億円だと説明しました。
 1kmあたりでは20億~30億円です。岩槻から浦和美園への地下鉄の総事業費が、1㎞あたり120億円と予測しているのと比べ、「LRTは大幅に安く建設できる」という触れ込みでした。
 しかし、LRTを建設するには既存の道路を4~6車線に拡幅せねばならず、その費用は含まれていません。私は拡幅費用も明らかにするよう要求し、市は12月21日の特別委員会で説明しました。
 それによると、大宮での道路拡幅費用は、三橋中央通り線(大宮駅西口駅前通り)が、2車線から4車線への拡幅で1㎞あたり112億円、4車線道路を新設する産業道路バイパスは、北袋~天沼が129億円、天沼~堀の内が176億円でした。

吉田一郎 LRTの用地買収の費用は1500億円から2000億円かかるのか。線路の敷設や電車の購入費用を含めると、どのルートでも2000億円以上になるということか。
交通政策課長 想定の金額はないので、答えられない。
吉田一郎 用地買収や道路整備が不要な地下鉄の方が安いのでは。
交通政策課長 LRT建設に合わせて道路整備をすれば、企業誘致や観光振興なども期待できる。
吉田一郎 2車線の道路を6車線にするならわかる。2車線分にLRTの線路を敷いても、道路も4車線になるから。しかし三橋中央通り線や産業道路バイパスのように4車線にするのなら、車が通れるのは2車線のままだ。線路の部分にも車を入れたら、渋滞に巻き込まれて廃止になった荒川線以外の都電と同じだ。
交通政策課長 ルートの選定も含めてケースを設定していくので、道路が4車線とか今は答えられない。

用地買収の費用は
全く計算に入れず

 仮に道路を6車線に拡げてLRTを建設すれば、用地買収費用は2000億円どころでは済みません。立ち退きが必要な家屋の数も膨大になって、何十年かかるかわかりません。
 岩槻~浦和美園はバスが1日片道27本(16年9月13日の議会答弁)しか走っていません。一方で、片柳方面には大宮駅から国際興業バスが1日片道411本走っているのに加えて、東武バスが北浦和から160本、新都心から44本走らせており、バス輸送は限界です。
 採算が取れないとはっきりしている岩槻への地下鉄建設や、用地買収に膨大な費用や時間がかかる大宮へのLRT建設は断念して、旧大宮市が構想していた大宮~片柳~浦和美園の地下鉄建設の採算性を改めて調査すべきです。

大宮国際中等学校
開校まであと1年
全員必修の海外研修に
奨学金制度は
 不十分

 市立大宮西高が19年春に中高一貫の大宮国際中等学校に生まれ変わります。
 大宮国際は「世界で活躍できる人材の育成」がウリで、2年生で語学研修、4年生はフィールドワーク(現地調査)で、すべての生徒が海外へ行きます。
 その具体的な内容について、私は2月20日の文教委員会で質問しました。

吉田一郎 どこへ行くのか。
学校教育部長 語学研修はオセアニア、フィールドワークはアメリカで準備している。相手校はこれから。
吉田一郎 費用は。
学校教育部長 25万円から35万円で考えている。
吉田一郎 奨学金はどうなるのか。
学校教育部長 市がやっている奨学金制度があるが、それ以上は今後の調査研究と理解してほしい。

 多額の出費が必要な海外研修が全員必修なら、受験用パンフを作成する夏までには、充実した奨学金制度を整えるべきです。
 また「世界で活躍できる人材の育成」が目的なら、英語に加えてニーズが高いアジアの言語も必要です。
 私は「第二外国語として取り入れたらどうか」と提案したところ、「生徒のニーズに合わせて選択できるよう、教育課程に取り入れることを検討する」と言明させました。


●子どもの見守り、同じ人が朝・昼・夕に?
 子どもたちの安全を守るため、小学校の登下校時にPTAや自治会などの協力で、2万人近い方に防犯ボランティアをお願いしています。2011年には学校警備員を削減するかわりに、自治会を通じて立哨ボランティアを募集し、「これ以上の協力は難しい」と反発を受けたりしました。
 市は18年度から、早朝や夕方に子どもたちへの「新たな見守り活動」をスタートし、20年度までに3000人のボランティアを募ろうとしています。そこで私は12月12日の文教委員会で問いただしました。

吉田一郎 一体どうやって人を集めるのか。
健康教育課長 小中学校を通じた父兄への周知や市報への掲載を考えている。
吉田一郎 登下校の見守りをやっている人と重複するのではないか。自治会を通じて高齢者の見回りもやっているが、結局また自治会を通じて募集し、朝も昼も夕方も見守りをやる人が出てしまうのではないか。
健康教育課長 今あるボランティアの制度と、今回の新しい制度と、重複登録を避けるべきか認めるかはまだ検討中。

 清水市長は「新しい公共」という方針を掲げ、市の施策に地域組織や市民団体が協力するよう働きかけていますが、高齢化が進んでいる自治会に、過度の負担をかけるべきではありません。

●生活保護で差額ベッド、1年間対処せず
 市立病院には一般病床510に対して、57の差額ベッドがあります。料金はA室が1日1万0800円、B室が1日3240円です。
 生活保護の受給者は医療費が無料になりますが、2016年10月4日の市立病院の15年度決算審査で、受給者がのべ72日間、差額ベッドに入院していたことが発覚しました。

吉田一郎 この差額ベッド代は誰が出すのか。
市立病院経営部長 本人から徴収している。
吉田一郎 生活保護は最低限の文化的生活を保障するものなのに、なぜ特別室へ入ってしまうのか。
藤原保健福祉局長 本人の希望だと思うが、生活保護のケースワーカーからの指導が必要と思う。【動画で見る】

 そして1年後。12月1日の決算審査で確認したところ、16年度はさらに増えていました。

吉田一郎 生活保護受給者が差額ベッドに入っていることについて、保健福祉局長は「ケースワーカーから指導が必要」と昨年言っていたが、その後どうなったのか。
医事課長 16年度は有料ベッドに入った受給者はのべ80日間だった。昨年の流れはよくわからない。
吉田一郎 この1年間、指導はしなかったのか。
藤原保健福祉局長 改めて生活福祉課にきちんと指導をしていきたい。
吉田一郎 これから指導しますではなくて、この1年間指導しなかったのか。
藤原保健福祉局長 全区の福祉会議があり、そこの中で指導する機会があるので、きちんと機能するようにしていきたい。

 市立病院ではかねてから、一般の患者も含めて「本人の希望なくして差額ベッドには入れない」と約束しています。
 生活保護受給者の医療費が無料なのは、最低限の文化的生活を保障するためですが、それに加えて保護費を差額ベッドの料金に使ってしまうのでは困ります。
GoogleやYahoo!で「やっぱり大宮市民の会」と検索してくださいhttp://www.geocities.co.jp/WallStreet-Stock/9297/
2018年3月特別号(3)
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返済不要の奨学金制度
稼いだ卒業生は返済免除で
就職決まらないと返済要求

 さいたま市では経済的に困難な家庭を対象に、高校(月額1万5千円)や大学(月額2万5千円)の奨学金制度があります。
 これはあくまで貸し付けなので、卒業後には返済しなくてはなりません。しかし卒業後に就職がうまく行かず、返済が滞る人もいます。
 そこで市では、20年度から「本市の発展に寄与する人材になった者」に対して奨学金の返済を免除する新制度を導入しようとしています。

 ノーベル賞取っても
 「本市に貢献せず」?

 12月12日の文教委員会では、教育委員会は「本市の発展に寄与する人材とは、具体的に本市で住民税の課税対象者になった人のこと」だと説明しました。

吉田一郎 私は大学を卒業して大阪の会社に就職し、高槻市に住民税を払っていた。1年後に香港へ行って香港政府に納税した。私のような場合はどうか。
学事課長 返済時期にさいたま市に住んでいない人は免除の対象にならない。
吉田一郎 アメリカの大学院に進学して、そのままアメリカに定住してノーベル賞を取るような大発明をした人は、本市の発展に寄与しないからダメなのか。
学事課長 本市ならずとも世界に寄与する人材だと思うが、本市の制度なので返済時期に本市に住んでいる人だけが、免除の対象となる。
吉田一郎 そもそも奨学金というのは、どんな人に出すのか。
学事課長 就学意欲があっても経済的に困窮している人にお貸しするもの。
吉田一郎 住民税の課税対象になって、もう困窮していない人の返済は免除して、大学は出たけどバイト暮らしで困窮している人には全額返せというのは、逆ではないか?
学事課長 返済免除の条件として、課税状況の他に、学生時代の成績も考慮しようと考えている。
吉田一郎 難関大学でCの成績と底辺大学でAの成績とでは、どちらが評価されるのか。
学事課長 どこの大学かではなく、卒業したところの成績で評価する。

学生の将来狭める
「市内居住」の条件

 過疎に悩む自治体が「卒業後も地元に残ってくれたら、返済を免除する」というのならわかります。
 しかしさいたま市の場合、奨学金を得た学生が「卒業後も市内に住み続けなければならない」というのでは、就職の選択肢を狭めるだけです。
 本当に経済的に困難な家庭の学生向けには、返済が不要な給付型奨学金制度も創設すべきです。

大型イベント開催の経済効果
周辺店舗の売上げはマイナス

「イベント好き」の清水市長は、毎年巨額の税金を新都心の自転車レース(クリテリウム)や国際マラソン、そして「バカ殿まつりのような芸術祭」トリエンナーレの開催に費やしています。
 私が12月11日の文教委員会で問いただしたところ、16年度は3つのイベントに14億円以上の公費を投入したことが判明しました《表参照》。

多額の税金使って
儲かったのは誰?

 清水市政はトリエンナーレの経済波及効果(企業・商店の売り上げ増等)は16億5830万円、クリテリウムは30億8800万円、国際マラソンは41億8000万円で、「イベント開催は、経済波及効果が大きい」と宣伝しています。
 しかし、私が9月15日の文教委員会で追及したところ、トリエンナーレの来場者数が大幅に水増しされていたことが判明したのに続き(『市政レポート17年11月特別号』既報)、1月30日の文教委員会では、クリテリウムや国際マラソンの開催中は、会場周辺の商店の売り上げが普段より落ちていたことが明らかになりました。
 市がクリテリウム開催日の新都心周辺の115店舗の売り上げを調査したところ、普段より多いが27%、普段より少ないが28%で、普段と変わらないが43%。国際マラソン開催日は、普段より多いが19%、普段より少ないが34%、普段と変わらないが46%です。

吉田一郎 売り上げが増えた店より減った店の方が多いということは、周辺店舗では経済効果はマイナスだったと理解していいか。
スポーツイベント課長 経済波及効果に関しては、新都心周辺だけでなく、全国で見ているので、これが当てはまるというわけではないという認識。

 会場周辺店舗の売り上げが減ったのは、交通規制や混雑が予想されて、買い物を避けた人が多かったためです。
 JRの運賃収入が増えたり、イベント会社や警備会社が儲かっても、市内の店は売り上げがマイナスになるのでは、何のために市民の巨額な税金を使っているのかわかりません。

3大イベントの支出額(2016年度)
   市の負担額 職員人件費   合 計
 自転車レース 2億7883万円   2億7883万円  3億5825万円
国際マラソン  2億8000万円  6456万円   3億4456万円
トリエンナーレ  5億6337万円  1億4196万円  7億0533万円 
合 計  11億2220万円  2億8594万円   14億0814万円

大宮総合病院の跡地活用
「体育館建設」に賛同せず

 老朽化していたさいたま北部医療センター(大宮総合病院)が、来年春にステラタウン向かいに新築・移転します。
 現在の病院の跡地について、1月に北区自治会連合会が私を除く6人の北区選出市議とともに「体育館を建ててほしい」という要望書を清水市長に提出しました。
 さらに2月15日の代表質問では、関根信明議員(自民真政・北区)がこの問題を取り上げましたが、高橋副市長の答弁は「民間事業者からの要望を受け取っているので、公民連携制度の活用も含めて検討する」というもので、関根議員は「自治会より民間の提案の方がいいから、そっちもありうるよということか」と追及していました。

病院跡地には半世紀前から東西道路の計画
 私が体育館の要望書に賛同しなかったのは、病院跡地の一部は、50年以上前から都市計画道路・指扇宮ヶ谷塔線の予定地に指定されているからです。
 指扇宮ヶ谷塔線は大宮北部を東西に結ぶ主要幹線です。国道16号(東大宮バイパス・西大宮バイパス)と旧16号(大栄橋)の間には、東西を一直線に結ぶ道路は存在せず、大栄橋へ向かう国道17号や旧中山道、産業道路は長年にわたって慢性的な渋滞に悩まされてきました。指扇宮ヶ谷塔線が開通すれば、大宮中心街や北部の渋滞は大きく緩和されます。
 しかし指扇宮ヶ谷塔線の整備は、80年代半ばに国道17号線と旧中山道の間(東大成小の横)が完成しただけで放置されています。
 私は11年前に議員になった当初から、指扇宮ヶ谷塔線の整備の必要性を訴え続けてきましたが、首都高が上尾南まで延長することが決まり、大宮西警察署付近に宮前南インターが設置されることになりました。
 しかし現状ではインターに行く道がなく、このまま首都高が開通したら大宮北部一帯の交通は大混乱になってしまいます。
 そこで10月6日の決算特別委で、私は指扇宮ヶ谷塔線のうち新大宮バイパス~国道17号と旧中山道~産業道路の区間の整備を改めて提案。道路計画課長は「各インターへのアクセス道路の整備については必要性を認識している。アクセス強化に向けた対策の検討を始めたところ」と答弁しています。
 渋滞解消の切り札となる指扇宮ヶ谷塔線の整備がようやく動き出したのに、その予定地に体育館を建てることには賛成できません。病院跡地のうち道路予定地にかからない部分は、植竹公民館の建替え場所にはなるでしょうが、残りは立ち退きが必要となる周辺家屋の代替地に充てるべきです。

閉鎖される大宮公園体育館の新築・活用を
 では、地域の要望として挙がった体育館はどこに建てるべきでしょう。私は大宮公園に建てるべきだと思います。
 大宮公園には県営体育館がありますが、県は老朽化を理由に、近い将来に廃止する予定です。
 大宮公園体育館は団体利用しかできませんでしたが、これを機に一般利用もできる新しい体育館に建替えるよう市が県に要望するか、場合によっては市と県が共同で建替えるべきです。
 病院跡地よりも大宮公園の方が、周囲の環境も良く、駅から近いことで多くの市民に利用しやすくなります。
 体育館の建設は、まず既存の施設の活用を最優先にすべきだと思います。
『吉田一郎 市政レポート』のバックナンバーや、市議会での動画集が、インターネットでご覧になれます!
2018年3月特別号(4)
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2018清水予算
開発予算は大宮が浦和上回れど
合併以来の格差はいまだ1千億円以上
 合併以来17年間、さいたま市の開発予算はことごとく浦和に集中してきました。私は11年前に議員になってから、毎年のように予算格差の実態を暴露。「大宮の税収は大宮で使う仕組みを!」と訴え続け、ようやく大宮の都市開発予算は浦和を上回るようになりましたが、これまでの開発予算の合計では、まだ浦和が1000億円以上も上回っていることが判明しています。
 大宮の都市開発予算は17年度に初めて浦和を2億円上回り、18年度は2倍以上になっています。
 しかし、合併以来これまでは、大宮の予算は浦和の4分の1や8分の1といった状態が続いてきました。
 そこで私は2月7日の本会議で、合併以来これまでの市街地再開発の総額を質問したところ、浦和552億円に対して大宮は52億円で、10分の1以下でした。
 さらに浦和では5年前、湘南新宿ラインを浦和駅に停めるために、線路の高架化やホーム新設に市がお金を出しています。

吉田一郎 浦和駅高架化に投じた予算の総額と、JRに譲渡した土地の価格は。
中野都市局長 浦和駅高架化事業は350億4000万円、ホーム設置事業は63億9500万円、合計414億3500万円。JRに譲渡した用地費は60億4000万円。【動画で見る】

 合計で475億円になり、浦和の市街地開発に市はトータルで1027億円もつぎ込んだことが明らかになりました。

 郊外の副都心では
 27倍もの予算格差

 郊外での都市開発も「浦和優先」です。
 さいたま市には大宮・新都心と浦和の2つの都心に加えて、北部拠点宮原、武蔵浦和、浦和美園、岩槻の4つの副都心があります。
 私が合併以来の副都心ごとの都市開発予算の総額を問いただしたところ、大宮の北部拠点宮原が32億円に対して、浦和は2つの副都心で計855億円と、27倍もの格差がついています。
 浦和美園駅の周りは急ピッチで街づくりが進んでいますが、西大宮駅の周辺は開発が遅れ、南口は開業から10年経っても広場も駅前通りもないままです。
 私は08年12月の予算委員会で、西大宮駅南口から自衛隊通りまでの道路を整備して、大宮駅西口~三進自動車・シティハイツ三橋のバスを、西大宮駅に乗り入れできるように提案。市は19年度完成で区画整理を進めているとしていましたが、工事は遅々として進まず、開通は27年度に先延ばしされています。

 大宮駅前に商談場
 週1利用で3億弱

 市民のための公共施設の整備も浦和優先です。
 さいたま市は09年、内科・小児科の24時間診療で大宮住民の命を守って来た大宮医師会市民病院(宮原メディカルセンター)を、老朽化を理由に市民医療センターとして浦和との境へ移転する一方で、浦和の市立病院(緑区三室)は同じ場所で建替え、建替え後の赤字を含めて総額421億円を使おうとしています。一方で清水市政は大宮には、2億6711万円で東日本連携支援センターを開設するつもりです。
 銀座通りの三井住友信託銀行の旧店舗を賃借し、東日本の新たな経済圏創出のため、民間企業の商談・打ち合わせの場として使用。まずは「年間50件の商談・打ち合わせ」を目標に掲げています。
 1週間に1回くらい、どこかの企業が打ち合わせに使う程度なら、大宮区役所やJACK大宮の空き会議室を開放すれば十分です。わざわざ巨額の税金を使ってまで市が駅前のビルを借り上げる必要はありません。
 1階では東北や北陸の物産展や観光キャンペーンを行う構想がありますが、JRの駅構内で日常的に行われている各地の物産展と一体どう異なるのか、はっきりしないままで、具体的な企画はありません。
 中央図書館や市民活動サポートセンター、国際交流センター、コミュニティセンター、子ども家庭総合センターなど、市民が使う中核的な公共施設は浦和に集中させ、大宮駅前には市民不在の企業向け施設をオープンさせて、「大宮にも予算をつけた」というのでは、まったく意味がありません。

 旧4市の財布を分け
 大宮にも市民施設を

 合併前、大宮市の税収は浦和市を毎年20億~50億円上回っていました。
 大宮・浦和・与野・岩槻の財布を分け、大宮の税収は大宮で使うとともに、「市民向けの施設は浦和に、企業向けの施設は大宮に」という清水市政の方針を改め、大宮には大宮住民が使える各種の中核的な公共施設を整備すべきです。

 4つの副都心の合併以来の都市開発予算
 北部拠点宮原   32億0900万円
武 蔵 浦 和   344億5900万円
浦 和 美 園  510億1200万円
岩    槻     117億2800万円

 2018年度の都市開発予算
  【旧浦和市】
浦和駅西口南高砂市街地再開発  533万円
浦和駅鉄道高架化        761万円
浦和駅中ノ島地下通路整備   1316万円
西浦和駅周辺まちづくり推進   680万円
武蔵浦和駅周辺まちづくり推進  1448万円
東浦和第二地区土地区画整理  17億7818万円
浦和東部第一特定土地区画整理  22億0900万円
浦和東部岩槻南部地域整備推進  9678万円
大門下野田特定土地区画整理  1億8800万円
      旧浦和市計 43億1934万円
 【旧大宮市】
大門町2丁目中地区市街地再開発  42億0400万円
大宮駅周辺地域戦略ビジョン推進  1億7909万円
大宮駅西口第三地区まちづくり推進  27億0783万円
大宮駅西口第四地区土地区画整理  14億6600万円
大宮駅西口第五地区まちづくり推進  362万円
桜木駐車場用地活用      1024万円
日進駅周辺まちづくり推進  1億1097万円
西大宮駅周辺まちづくり整備  4億5561万円
指扇土地区画整理      7億8400万円
大和田駅北口周辺まちづくり推進  1913万円
      旧大宮市計 99億4049万円
 【旧与野市】
与野駅西口土地区画整理    6996万円
与野本町駅周辺まちづくり推進  1993万円
南与野駅西口土地区画整理  13億6700万円
南与野駅西口まちづくり推進  2億1709万円
さいたま新都心(西口)賑わい創出 1億7022万円
      旧与野市計 18億4420万円
 【旧岩槻市】
岩槻駅西口土地区画整理  4億1488万円
岩槻駅周辺まちづくり事業  1303万円
江川土地区画整理     1億3100万円
南平野土地区画整理      1900万円
      旧岩槻市計 5億7771万円

  合併以降の都市開発予算総額
   市街地再開発  土地区画整理
 浦和  552億1000万円  829億2100万円
 大宮  51億8700万円  661億9200万円
 与野  21億7000万円  109億1000万円
 岩槻  0  229億9300万円

 2018年度の施設整備予算
  【旧浦和市】
浦和市役所耐震補強  14億1970万円
浦和市役所耐震化仮議場整備  1116万円
市民会館うらわ移転  605万円
浦和シルバーワークプラザ中規模修繕 1億0520万円
寿楽荘、グリーンヒルうらわ修繕  2億9385万円
市立病院建て替え     148億1256万円
クリーンセンター大崎第一工場解体 6億6758万円
スマートホームコミュニティ整備  1億3080万円
農業交流施設整備        1182万円
浦和美園駅ホームドア設置補助   2167万円
見沼通船堀公園整備      3億0148万円
市営道祖士戸崎団地建て替え  2億8442万円
消防庁舎中規模修繕      2億0783万円
美園北小学校建設      35億5313万円
美園南中学校建設      38億6339万円
仲町小学校増築        8億8128万円
       旧浦和市計 265億7192万円
 【旧大宮市】
市税事務所開設準備        8672万円
大宮区役所新庁舎整備    75億2986万円
市民会館おおみや移転    40億6588万円
高木第二最終処分場水処理施設建替  1578万円
新サーマルエネルギーセンター整備  5447万円
東楽園再整備  2468万円
東日本連携支援センター整備  2億6711万円
長距離バスターミナル整備  1億3003万円
七里駅舎改修  3615万円
市営峰岸住宅建て替え  743万円
芝川見沼伏越場改修  2億8983万円
片柳消防署整備  18億0069万円
大宮国際中等教育学校整備  26億9437万円
JACK大宮計画修繕  1億1481万円
     旧大宮市計  171億1781万円
 【旧与野市】
食肉中央卸売市場修繕    1億2166万円
北与野駅北口地下駐輪場改修設計  801万円
与野中央公園整備  5773万円
高沼用水路整備  2億4127万円
与野本町小学校複合施設整備  12億8848万円
与野南図書館改修  2億7806万円
与野郷土資料館整備  1170万円
      旧与野市計  20億0691万円
 【旧岩槻市】
岩槻人形博物館整備  12億1295万円
にぎわい交流館いわつき整備  3126万円
市営浮谷住宅建て替え  3384万円
岩槻消防署移転  100万円
柏崎消防分団車庫建て替え  1889万円
真福寺貝塚整備  1億9173万円
      旧岩槻市計  14億8967万円
吉田一郎は、市長から支給される政務活動費(年間408万円)を受け取らずに活動しています。

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