2017年10月特別号 (1)
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中央デパートの再開発ビル
市民会館移転で266億円の負担
NHK撤退の尻ぬぐい?単独で建替えなら50億円
 中央デパートの解体工事が始まりました。跡地には18階建て(西棟)と10階建て(東棟)の再開発ビルが4年後にオープンします。清水市政はここに市民会館を移す予定ですが、負担金は266億円にのぼり、市民会館を単独で建て替えた場合の5倍かかることが明らかになりました。
 市は再開発ビルの東棟に大ホール(1400席)と楽屋、音楽スタジオ、西棟に小ホール(340席)と集会室などを設ける計画です。
 9月15日の文教委員会では市の負担額が、舞台装置などの内装を含めて266億円だと判明しました。

井原隆議員(自民真政・与野)市民会館を単独で整備した場合と比べて、財源圧縮になっているのか。
文化振興課長 単独建て替えなら50億円かかるところ、内装費が37億円で済む。
吉田一郎 ならば単独の建築費はいくらかかるのか。
文化振興課長 単独なら建築・内装を含めて50億円。
吉田一郎 経費圧縮になっていないじゃないか。

高すぎる集会室利用料
浦和の5倍が更に高く

 市民会館の集会室は5つで、定員は20人、30人、40人と50人×2室です。
 移転後は10になり、その内訳を質問したところ、18人×2室、30人×5室、60人×2室と120人でした。

吉田一郎 市民グループが使いやすいのは30~40人用だが、なぜ120人用の部屋を作るのか。
文化振興課長 企業の利用を考えた。
吉田一郎 現在でさえ、大宮の市民会館の集会室は、浦和駅前のコミセン(コムナーレ)に比べて高い。移転後の料金はどうなるのか。
文化振興課長 周囲の貸し出し集会室の料金と比較して設定する。

 駅前に移転し、その「相場」で料金を設定すれば、現在より高くなり、集会室は市民グループが気軽に使えなくなります。
 駐車料金も移転後は再開発ビルの地下駐車場を使い、有料化します。

吉田一郎 浦和駅前のコムナーレには、集会室のほか市民グループが会合などで自由に使えるテーブルや、ロッカー、メールボックス、備品貸し出し、印刷機などがあり、好評だ。そのような施設は作らないのか。
文化振興課長 ロッカーについては検討したい。
吉田一郎 市民が使える施設は浦和に作り、大宮に作る施設は企業利用を想定し、市民グループの集まりは浦和でやれとはトンでもない話だ。266億円もの税金を使って、企業利用のための施設を作るのはおかしい。

市民の為の施設は浦和
企業の為の施設は大宮

 再開発ビル東棟には09年にNHKが浦和の放送局を移転して入居する計画を発表していました。
 NHKは100インチ超の大型画面でスポーツ中継を観戦できるサテライトスタジオや、過去の番組6千本を閲覧できるアーカイブ広場など、市民が利用できる施設も設置。市も番組制作での利用を想定して、市民会館大ホールを東棟に移転する計画を立てました。
 しかし、一部の地権者が再開発に反対し続けたため、13年度予定だった着工は遅れ、NHKは移転計画を撤回してしまいました。
 本来、駅に近い場所には、区役所や図書館、コミセンなど、市民が日常的に使う公共施設を整備すべきで、イベントの時だけ利用する市民会館は、駅から離れていても良いのです。
 しかし清水市政は、大宮区役所や図書館は駅から離れた場所に統廃合する一方で、NHKの移転が消滅した後も、市民会館を駅前に移すことに固守しています。
 大ホールは5階分、小ホールは2階分の吹き抜けになるので、再開発ビルで市の負担分は、床面積に比べて高くなります。
 移転後のホールや集会室の席数は合計で2166ですが、266億円を費やすなら、座席1つ当たり1228万円にもなります。
 市民会館は、現在の場所か市営桜木駐車場に50億円で建て替え、中央デパートの再開発ビルは、市の購入分を減らして、コミセンや大宮の中央図書館、市民活動サポートセンターなど、住民が日常的に使う公共施設を設置すべきです。

吉田プロジェクト
新都心バスタに市役所を提案
怒った浦和の議員が審議を妨害
 清水市長は9月議会で「長距離バスターミナル暫定整備」を目的に、新都心駅東口の三菱マテリアル跡地の一部を57億円で購入する補正予算を提出しました。 3年後のオリンピックまでに待合室、トイレなどを暫定的に完成させ、将来的なバスターミナルはこれから検討すると言います。
 大宮駅や新都心から出発する長距離バス(空港行きを含む)は1日85本です。
 それだけのバスのために、57億円もかけてターミナル用地を購入するのは、馬鹿げています。
 しかし、合併協定書で「新都心周辺を候補地に建設」と明記された市役所を建てるのなら、話は別です。
 私は2月20日の総合政策委で、「1階にバスターミナル、その上に市役所を建設する手法は可能か」と提案したところ、市は否定しませんでした。
 そこで9月7日の本会議で、改めて「吉田プロジェクト」を提案しました。

吉田一郎 バスターミナルの暫定整備用地を、市役所建設の候補地として活用することは有り得るのか。
間々田都市戦略本部長 本庁舎整備審議会で十分議論してもらい、その答申に基づいて判断する。【動画で見る】

 すると、浦和の議員が激しいヤジを飛ばし、審議が中断。都市戦略本部長は答弁を撤回し、清水市長はオロオロするばかりでした。

中央区役所や屠畜場に
市役所位置の提案続々

 7月20日の審議会では、出席した19人の委員のほぼ全員が「市役所は新都心周辺に建てるべき」という考えを示しました。
 9月議会でも市役所の移転先の議論がようやく活発になり、中島隆一議員(自民真政・与野)は中央区役所に市役所を建設する「中島プラン」を、熊谷裕人議員(民進・大宮区)は吉敷町ガード横の屠畜場を移転し、跡地に市役所とマンションを建設する「くまがい構想」を提案しました。
 市は中島プランには「感想を述べるのは差し控える」と答弁し、くまがい構想には答弁がなく、浦和の議員も現実味に乏しいとヤジを飛ばしませんでした。
 新都心に市役所を建てるには、私の提案が最有力のようですが、「バスターミナル用地と称して購入して、市役所を建てる」のでは、将来に禍根を残します。
 バスターミナルは大宮駅付近に建て、新都心の土地は堂々と「市役所建設予定地」として購入すべきです。
吉田一郎市政報告会 10月29日(日) 14:00~16:00 プラザノース第3セミナールーム(入場無料)
2017年10月特別号(2)
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●工事写真の違法修正、3%の現場で発見
 市が発注するさまざまな工事は、業者に写真を提出させて完了を確認し、代金を支払っています。
 しかし私は2015年12月7日の総合政策委で、浅い穴を深く掘ったように見せかけるなど「工事写真の修正」の専門業者が緑区に存在することを暴露。
 市は当初「そんな業者があるとは知らなかった」と呑気な答弁をしていましたが、昨年度検査ソフトを導入して、約1100件の工事の写真のうら、130件を無作為抽出して調べたところ、4件で写真が修正されていたことが判明しました。
 市では今年度、工事を発注する23の課に検査ソフトを導入して、チェックを強化。請負業者に対して、写真修正で市に被害を与えた場合は警察に告発したり、入札参加停止処分になる文書を配布して警告し、業界団体にも注意喚起を始めました。
 私は6月30日の本会議で、工事写真の修正業者が浦和区に移転して営業を続けていることを指摘し、さらなる注意を呼びかけました。

●違法駐停車の取締強化で旧中山道の渋滞緩和 【関連動画】
 大宮中心街の旧中山道は、私が物心ついた頃(50年前)からずっと渋滞が続いています。
 その大きな原因が違法駐停車です。大栄橋交差点から吉野家前まで13時~18時は駐停車禁止ですが、公然と無視されてトラックが停まっています。
 6月議会では市民から「旧中山道の駐停車禁止の徹底対策」を求める請願が提出され、30日の本会議で審議されました。
 私は旧中山道の駐停車禁止が1975年に実施された時、一番街入口のバス停(長崎屋前)が廃止され、上尾方面からのバスは大宮駅まで降りられなくなった経緯を紹介。「バスを使う住民は不便になったのに、違法駐停車は放置して渋滞が続いたままなのはおかしい」と、取り締まり徹底を訴えました。
 請願は自民、自民真政、民進、公明が反対して否決されましたが、旧中山道では警察の監視員によるパトロールが強化され、渋滞はだいぶ緩和されました。私は今後も取り締まりが緩まぬように注視していきます。

●前代未聞!「議長の功績を讃える決議」に反対 【関連動画】
 大宮と浦和の自民党同士で紛糾していた議長争奪戦。
6月30日の本会議では、自民真政(大宮派)と民進に議長交代を求められた桶本大輔議長(自民・南区)が「行方不明」となり、議長信任が否決されて夜中まで議会が紛糾しました。
 桶本議長は「正当な理由がなく、利己的な不信任で、きわめて不本意」とマスコミに手紙を発表し、議長続投の構えを見せていましたが、会期延長した7月10日には一転して辞表を提出。議長は新藤信夫議員(自民真政・大宮区)に交代しました。
 そのかわり自民(浦和派)は10日の本会議で『桶本前議長の功績を讃える決議』を全会一致で挙げるよう要求。「桶本下ろし」に奔走した自民真政や民進、公明も「それで辞表を書くのなら」と賛成し、共産も「賛成できないが、邪魔はしない」と退席しました。
 私は、無所属議員の発言時間の確保に尽力した桶本前議長に感謝しつつも、「桶本前議長だけ功績を讃えるなら、それまでの議長経験者に失礼だし、悪しき前例になる」と指摘し、川村準議員(無所属・南区)とともに反対。自民(浦和派)は怒っていましたが、議長交代の条件で「讃える決議」を挙げるとは、まさに議会の私物化です。

浦和美園に小学校建築43億円
入札結果は1者除き全て失格!?【関連動画】
 清水市政が開発予算を集中投入している浦和美園では、人口増加で子どもの数も増えています。
 2012年に美園小学校が開校しましたが、16年度の児童数は1203人で、大砂土小(1318人)に次ぐマンモス校です。
 そこで市では、浦和美園で用地費38億円と建築費43億円をかけて19年度に新たな小学校の開校を計画。9月7日の文教委員会で工事契約が審議されました。

高齢者施設に転用
所詮絵に描いた餅

 さいたま市の人口は2030年をピークに減少に転じると予想されています。
 市は新しい小学校は、他の施設に転用可能な設計になっていると言います。

吉田一郎 どういった施設に転用を考えているのか。
学校施設課長 一番考えられるのは、高齢者施設。
吉田一郎 これだけ大規模な高齢者施設なら、エレベーター1つでは足りない。準備室や教材室を潰して、エレベーターを増やすのか。
学校施設課長 構造的に床は抜けない。

 入札の結果はかなり異常です。機械設備工事の入札には7者が参加しましたが、落札した1者を除いて、すべて「安すぎる」という理由で失格になりました。
 落札した業者と最安値だった業者の価格差は0・03%しかなく、「事前に調整していた」と疑わざるを得ません。

吉田一郎 落札した1者を除いてみんな失格とは、一体どういうことか。
学校施設課長 業者がいろいろ努力をした結果だと受け止めている。
吉田一郎 わざと低い値段をつけて失格するのはおかしいと、調査しないのか。
学校施設課長 コメントできる立場にないので、結果が全てだと受け止めている。

 隣接する小学校は
 1学年に1クラス

 新たな小学校の場所は埼玉スタジアムの前で、周囲は野田小の学区です。
 野田小一帯は農村地帯で、市街化調整区域のため宅地開発はできません。このため児童数は173人と市内では馬宮西小(82人)に次いで少なく、1学年に1クラスだけです。
 新小学校ができれば、野田小の児童数は150人になり、人口減少が進めば100人を割って、廃校の危機になりかねません。
 また東側にある新和小(岩槻区)も児童数は188人で、市内に4番目に小さな小学校です。
 野田小の開校は1873年(明治6年)3月で、大宮小よりも半年古い学校です。新和小も開校125年の歴史があります。
 私は13日の本会議で、工事入札の疑わしさや、将来の施設転用が「絵に描いた餅」であることを指摘するとともに、野田小や新和小の歴史を紹介。
 80億円以上をかけて新しい小学校を建てるより、野田小と新和小の校舎を増築すればいいと提案し、工事契約に反対しました。
 学校建設は聖域視される風潮がありますが、いま人口が増えていても、10数年後には減るのなら、将来を見据えた議論が必要不可欠なはずです。

大宮区県議補選
区外のイオンに
期日前投票所!?

コストは4倍に 【関連動画】
 最近の選挙では期日前投票が増えています。8月27日投票の大宮区の県議補選では、投票した人の23%が期日前投票でした。
 期日前投票所は大宮区役所とJACK大宮に加えて、投票日前の3日間にはイオンモール与野にも開設されました。なぜ大宮区だけの選挙なのに、選挙区外に投票所を置くのでしょう?
 9月7日の本会議で選挙費用の補正予算が審議され、私は問いただしました。

吉田一郎 各期日前投票所の投票者数は。
後藤選管事務局長 総数は5325人で、うち大宮区役所3064人、JACK大宮1551人、イオンモール与野710人。
吉田一郎 各期日前投票所の開設費用は。
後藤選管事務局長 大宮区役所が246万4000円、JACK大宮が173万3000円、イオンモール与野は229万9000円。

 投票者1人当たりのコストは、大宮区役所804円、JACK大宮1117円に対し、イオンモール与野は3238円にもなります。
 イオングループは昨年7月の参院選で、期日前投票所の設置を積極的に誘致し、市内でも与野と浦和美園の店舗に開設されました。
 しかしイオンの社長は、民進党の岡田代表(当時)の実兄です。私は昨年6月議会で「政党代表の親族が経営する店舗に期日前投票所を設置し、センキョ割(投票した人に割引販売)を実施するのは公選法に抵触しないのか」と問題提起したところ、「選管に商業施設の期日前投票所の監視強化を求める決議」が全会一致で挙がりました。
 選挙運動の期間が設けられているのは、その間に候補者が自分の政策をアピールするためで、有権者は政策を見比べたうえで、投票するのが民主主義における選挙の仕組みです。
 選挙公報すら配布されていないうちに、期日前投票を受け付ければ、主張が浸透していない新人や無所属は不利になります。
 区外の商業施設を利用してまで期日前投票所を増やすのはおかしいと、私は補正予算に反対しました。
GoogleやYahoo!で「やっぱり大宮市民の会」と検索してくださいhttp://www.geocities.co.jp/WallStreet-Stock/9297/
2017年10月特別号(3)
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浦和美園~岩槻
地下鉄建設計画

「吉田プラン」実現で建設断念を
清水市長決断できず、開発予算の投入を継続

 財政破綻を招く無謀な地下鉄7号線建設(浦和美園~岩槻)にかわって、私が4年前の市長選を通じて提案した吉田プラン(東武野田線と伊勢崎線の直通運転)が、ついに実現しました。東武鉄道は4月から通勤特急の運転開始を始め、今後3年間で直通運転を本格化します。岩槻と東京都心が一本で結ばれることで、赤字確実の地下鉄を建設する必要なくなりましたが、清水市長は「決断」を先延ばしにしています。
 浦和美園~岩槻の地下鉄建設は、沿線開発を含め3000億円以上かかります。
 開通後も莫大な赤字の負担がのしかかります。市が11年度に行った調査結果では、B/C(費用対効果、1以上が黒字)は0・86で、国の基準である「開通後30年以内に黒字転換」は不可能だと判明しました。
 しかし清水市長は12年10月1日の議会で、地下鉄建設は「検討段階から実行段階へ移行した」と宣言。開発予算を集中投入して、5年後(=今年秋)に建設に着手すると発表しました。
 そして14年度に地下鉄の採算性調査をやり直しましたが、岩槻の人口減少や上野東京ラインの開通で大宮経由が便利になり、乗客数予測が減少する一方で、建設費は高騰して、B/Cは0・78に悪化。採算は一層厳しくなりました。

東武「吉田プラン」本腰
春日部駅にホーム増設

 地下鉄のかわりに、私が10年6月議会で提案したのが「吉田プラン」です。
 東武野田線と伊勢崎線を直通運転し、春日部に乗り入れている地下鉄日比谷線とも直通すれば、岩槻と東京都心が一本で結ばれます。
 既存路線を活用するため建設費は不要で、運賃も安く、春日部~北千住を急行運転すれば所要時間も短縮されます。
 私は13年の市長選に岩槻への地下鉄建設中止と「吉田プラン」の実現を掲げて出馬。「吉田プラン」は大きな反響を呼び、東武鉄道は14年に発表した中期経営計画で、野田線の急行運転と伊勢崎線との直通化を発表。16年3月から急行が走り、今年4月から浅草発大宮行きの通勤特急アーバンパークライナーが運転を始めました。
 続けて東武鉄道は4月28日に新たな中期経営計画を発表。今後3年間に①野田線と伊勢崎線の直通運転強化、②日比谷線乗り入れ電車の急行運転、③特急の地下鉄乗り入れを進める方針を発表しました。
 春日部駅は10年後の完成を目指して、連続立体交差化の工事が始まりますが、東武は昨年11月「野田線と伊勢崎線のスムーズな直通運転による増発」のために、春日部駅のホームを3つから4つに増やす計画変更を要望。県と春日部市も同意しました。
 遠くない将来、大宮や岩槻からの野田線電車は、柏行きよりも春日部経由の浅草行きや日比谷線直通がメインになりそうです。

採算調査再びやり直し
委員から絶望の声続々

 6月27日の広域的交通ネットワーク推進特別委では、市が昨年度、採算性調査をやり直したところ、B/Cは0・70に悪化したことが判明しました。

吉田一郎 清水市長は「採算性の課題をクリアして建設に着手する」と言っていたが、秋に建設着手はありえないと確認していいか。
東部地域鉄道戦略部参事 今年度もう一度、鉄道の専門家による再算定をして方向性を決定したい。確かに昨年度の数値では大変厳しいと認識している。
吉田一郎 再算定にあたって、東武鉄道が発表した「吉田プラン」の実現もきちんと計算に入れるのか。
東部地域鉄道戦略部参事 恐らく専門家から話が出るかと思うが、その時のご意見次第だと思う。
吉田一郎 専門家に対して、「これに関しても調査をお願いします」と、東武鉄道の中期経営計画を資料として配布すべきだ。
東部地域鉄道戦略部参事 事務局として資料を出す。【動画で見る】

 野田線と伊勢崎線の直通運転を計算に入れて採算性の再算定を行えば、赤字拡大の結果が出ることは目に見えています。
 清水市長は再び採算性調査のやり直しを命じ、9月5日に会合が行われましたが、「このままでは荷が重い」という声が相次ぎ、委員長の久保田尚埼大教授が新聞記者らに「すでに何度も議論されていて、B/C1・0が難しいことは、どの委員もわかっている」とこぼすほどでした。

実現不可能な地下鉄に
すでに571億円浪費

 清水市長が「5年後に建設着手」と宣言してから5年目を控えた9月12日の一般質問で、私は「吉田プラン」が実現したことで、清水市長は地下鉄建設断念を決断するよう迫りました。
 しかし清水市長は答弁に立てず、かわって都市戦略本部長が「地下鉄7号線の延伸実現は、本市にとって大変重要な役割を持つ事業」と開き直るだけでした。

吉田一郎 重要だと言うなら、かつての田中角栄のように、採算性は関係なく赤字ローカル線でも作る決断はできるのか。
間々田都市戦略本部長 今年度中に採算性の調査結果を出してもらい、判断する。
吉田一郎 では、採算が取れないという調査結果が出たら、建設は断念するのか。
間々田都市戦略本部長 採算が取れた段階で、しっかり結論を出していきたい。

一方で、清水市長は地下鉄延伸を実現するための「浦和美園~岩槻地域成長・発展プラン」と称して、12年度から17年度までに571億円もの開発予算を集中投入しています。
 採算が取れないとはっきりしているのに、巨額の予算を浪費して悪あがきを続けるのは許せません。

地下鉄建設に賛成だった議員からも
  「断念か凍結」の声あがる

 清水市長が岩槻への地下鉄建設に「5年後に着手する」と宣言した2012年10月当時、自民・公明・民主・共産の議員らは、浦和美園の大型開発を進めて地下鉄建設を促進する提言書を市長に提出。建設に反対した議員は私だけで、私は翌13年の市長選に「地下鉄建設反対」を掲げて立候補しました。
 その後、15年の市議選では地下鉄建設反対を掲げた川村準議員(無所属・南区)が当選。「地域(=岩槻)の願いだ」と地下鉄に賛成していた共産党も、13年の市長選で私の半分以下の得票しか得られず供託金没収になったことで反省したのか、「採算が取れないなら反対」に転じ、私は今年5月の市長選では地下鉄建設に反対するただ1人の候補者として、共産推薦の前島ひでお氏を応援しました。
 6月27日の広域的交通ネットワーク推進特別委では、これまで議会で「地下鉄推進派の総大将」として鳴らしてきた青羽健仁委員長(自民・浦和区)が「今年秋の事業着手は事実上困難」だと、地下鉄建設の断念や凍結に言及。
「事実上できない『絵に描いた餅』を委員会で議論するわけにはいかない」と、委員会の名称から「推進」の二文字を削除することを提案して、委員長を辞めてしまいました。
「岩槻への地下鉄建設」を掲げている自民・公明・民進も、岩槻選出の議員を除いては、多くが「いいかげんに無理だとハッキリさせるべきだ」というのが本音のようです。それならば、まず自らが「地下鉄は断念を」とハッキリ主張するべきでしょう。
『吉田一郎 市政レポート』のバックナンバーや、市議会での動画集が、インターネットでご覧になれます!
2017年10月特別号(4)
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県議補選
不正の温床=政務活動費の廃止を
沢田力県議(自民)が偽造領収書で1240万円 【関連動画】
 全国で政務活動費の不正が相次いでいますが、大宮でも沢田力県議(自民)が偽造した領収書で1240万円の政務活動費を騙し取っていた事件が発覚。8月に大宮区で県議補選が行われました。
私は政務活動費を受け取らない議員グループ「無所属・無党派」のリーダーとして、県議補選に石川康仁氏を擁立。「不正の温床=政務活動費の廃止」を訴えました。


相場の10倍の領収書
他の議員も怪しまず

 沢田力(つとむ)氏(49)は桜木町在住で、99年の補欠選挙で大宮市議に当選し、11年から大宮区選出の県議になりました。
 沢田氏が偽造した領収書は、チラシの印刷代694万円分と、ポスティングを請け負うPR会社の545万円分です。
 このPR会社はさいたま市議会の自民党市議団のチラシ配布を請け負っていて、ニセ領収書には沢田氏が6年前まで市議だった頃、自民党市議団の控室に預けてあったPR会社のゴム印が使われていました。
 ということは、自民党市議の間で、PR会社のゴム印を勝手に使った議員が他にいるかも知れません。
 県議会では政務活動費は会派にまとめて支給され、それぞれの所属議員に分配されています。
 チラシのポスティング代は、1枚につき4~5円が相場ですが、沢田氏はその3倍の金額の偽造領収書を提出し、さらに昨年は相場の10倍(1枚あたり43円20銭)の金額にエスカレートしていました。
 しかし、他の自民党県議は沢田氏の偽造領収書を誰も怪しまず、政務活動費を配分し続けていたのです。
 政務活動費を受け取っている議員たちには、自浄能力はありません。

政務活動費廃止掲げ
補選に候補者を擁立

 沢田氏が県議を辞職したことで、大宮区では8月27日投票で県議補選が実施されることになりました。
 補選には、自民党の国会議員が支援する藤井健志氏(過去2回の県議選では民主党が公認・支援)、民進党公認の西山晃一氏、共産党公認の竹腰連氏が相次いで出馬を表明しましたが、私が副代表を務める「無所属・無党派」では、石川康仁氏を擁立することを決定。
8月2日に県庁で記者会見を行いました。
 「無所属・無党派」は政務活動費を受け取らない議員グループで、2年前のさいたま市議選では吉田一郎(北区)、石川康仁(大宮区)、河野正弘(見沼区)と川村準(南区)が出馬し、私と川村準が当選。蕨市議選では榎本和孝も当選しました。
 石川氏は「不正の温床=政務活動費の廃止」のほか、浦和に予算を集中させるさいたま市政を批判し、県が中心となって大宮駅北口建設など大宮の再生を進めることや、浦和との境へ移転する土手町の大宮警察署を、大宮北警察署か大宮署の分署として存続させることなどを訴えました。
 開票結果は3位でしたが、投票率が24%と低く、自民・民進・共産が公認・支援する候補が2年前の市議選と比べて得票を減らす中で、石川氏だけは得票を増やし、政務活動費廃止の世論を拡げることができました。
ネットで調べる時代
政務活動費必要なし

 政務活動費は議員報酬とは別に支給される、「議員の活動経費」です。
 インターネットがなかった時代には、他の地域の条例や制度を調べるには、多くの書籍を購入したり、現地まで視察に赴く必要があったかも知れません。
 しかしネットで何でも調べることができる現在では、政務活動費がなくても十分な議員活動ができます。
 私は07年の初当選以来、政務活動費を1円も受け取っていませんが、議会での質問や発言の回数は断トツで1位を続けています。
 8月17日付『朝日新聞』によれば、埼玉県議全体の政務活動費5億1556万円のうち、「本来の使い道」である調査研究費に使われたのはわずか4%の2千万円で、大部分は政党活動や選挙準備を兼ねたチラシや事務所、人件費、親睦旅行を兼ねた会派の視察に費やされています。
 さいたま市議の議員報酬は年間1385万円、埼玉県議は1459万円です。
このうえさらに市議は408万円、県議は600万円もの政務活動費は不要です。

先延ばし続く領収書のネット公開
「犯人探しされたら困る」と抵抗

 相次ぐ不祥事に、全国の自治体では近年、政務活動費で使った領収書の公開が進んでいます。
 しかしさいたま市議会や県議会では、領収書を見るには浦和の市役所や県庁まで行かねばならず、公開は平日の日中に限られています。これでは仕事をしている人は閲覧が事実上不可能です。
 そこで各地で始まったのが、インターネットでの領収書公開です。これなら自宅のパソコンで、24時間いつでも閲覧が可能になります。
 さいたま市議会でも、昨年9月議会で「領収書のネット公開を求める請願」が提出されましたが、私と川村準議員を除く各政党会派は審議の先延ばしを主張し、1年間もたなざらしが続いています。
 各政党会派は市民が傍聴できて議事録が残る本会議や委員会での審議を延ばす一方で、市民が傍聴できず議事録も残らない議会運営委員会理事会で、ネット公開の是非を話し合っています。
 当初、各政党会派は「膨大な数の領収書をネット公開用にスキャンすると、議会局職員の負担が大変になる」と否定的でしたが、私は「各議員が領収書のコピーに加えて、領収書をスキャンしたデータを議会局に提出すればいい」と提案しました。
 7月25日の議会運営委員会理事会では、自民真政(大宮派)や共産などからネット公開に前向きな発言も出ましたが、自民(浦和派)は「領収書のネット公開が『犯人探し』のためになってはいけない」と抵抗を続けました。
 私は「領収書を閲覧しようとする市民は、『政務活動費を不正に使っている議員はいないか』と探すことが目的なのは当たり前で、『犯人探し』をされても困らないように、政務活動費を不正に使わないようにすべきだ」と反論しましたが、「犯人探しをされたら困る」では、政務活動費を不正に使っていると自ら白状したようなものです。

他の政党も不祥事
民進ら907万円返運命じる判決
共産党の口座に968万円を入金

 政務活動費の不正や不適切使用は、自民党だけではありません。
 さいたま地裁は8月30日、県議会の民進党や刷新の会(すでに解散)が人件費、事務費、交通費などに使った政務活動費907万円は違法な支出だったとして、返還を命じる判決を下しました。
 共産党県議団も、昨年度使った政務活動費2300万円のうち、4割以上にあたる968万円を、党職員の給与負担金や政務調査委託費として、共産党の銀行口座に入金(うち12万円は手渡し)していたことが判明。8月14日に返還を求める住民監査請求が提出されています。
 共産党は「政党助成金を受け取っていない」と宣伝していますが、政務活動費を政党の活動資金にするのなら論外です。
 市議会でも同じことがあってはならないと、私は8月21日の議会運営委員会理事会で、自分の所属政党への政務活動費の支払い禁止を提案しました。
吉田一郎は、市長から支給される政務活動費(年間408万円)を受け取らずに活動しています。

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