2017年7月特別号 (1)
2面   3面   4面
40ページで60ヵ所誤り
間違いだらけの『さいたま市史鉄道編』
執筆者が自分の「功績」を延々と記述して私物化
 さいたま市史の第一弾として、6月3日に『さいたま市史鉄道編』が刊行されました。しかし私はその記述にあまりにも多くの誤りがあることを発見。議会で具体的に指摘したところ、市は内容を再調査し、私の提案をもとに、今後の編集体制を見直すことになりました。

さいたま市史 鉄道編 『さいたま市史鉄道編』は、「鉄道のまち」大宮発展の歴史を中心に、浦和や与野・岩槻の各地域と鉄道の関わりを加えたという内容です。
 282ページのうち、私は40ページほど読んだだけで60ヵ所もの誤りを発見。6月議会の一般質問で追及すると執行部に通告し、7日の要旨説明会で、それぞれの誤りについて証拠となる資料を見せながら、具体的に説明しました。

郷土史に詳しい
スタッフはゼロ

 なぜこんなに多くの誤りが出たのでしょう。
①一次資料をあたらない
 歴史を書く際には、一次資料(その当時の公文書や発行物、新聞記事、当事者が書いたものなど)を探すのが基本です。しかしそういう努力をせずに、誤った記述の本を再確認しないまま引用したり、信頼性が薄いwikipedia(誰でも編集できるインターネットの百科事典)をもとに書いたりしていたのです。
②スタッフに郷土史の研究者がいない
 『市史鉄道編』を執筆したさいたま市史編さん鉄道部会のメンバーは、ほぼ全員が鉄道を専門とする大学教授や講師です。しかし郷土史に詳しい研究者がいないため、古くから大宮に住んでいる人なら知っていること(「大一デパート」など)を誤るという弊害が起きています。
③プロの編集者がいない
 『市史鉄道編』の原稿は、執筆した大学教授らが回し読みして確認したようですが、研究者同士が見るのでは、他の研究者の誤りを指摘しにくくなります。
 プロの編集者が原稿をチェックして、疑わしい記述があれば他の資料を探し、執筆者に再確認させる体制が必要です。
④署名入りの執筆
 市史はさいたま市の公刊物であって、個人の著作ではありません。しかし『市史鉄道編』は、各章やコラムごとに執筆者の名前を載せています。
 これでは誰かがおかしな記述を見つけても「あの先生の署名人りの文章だから、あの先生に任せるべきだ」と間違いを指摘しにくくなり、あえて指摘しても本人が認めなければ「執筆者の意向」で直さないことがまかり通ってしまいます。
市も誤りを認め検証やり直しに 私は14日の一般質問で、これらの問題点を指摘し、編集体制の見直しを提案しました。

吉田一郎 ざっと40ページくらい見ただけで、60ヵ所も間違いがあった。市史としてあまりにひどい。
伊藤総務局長 議員から頂いたご指摘を受けとめて、各執筆者に連絡し、調査結果について検証していく。
吉田一郎 スタッフに、郷土史の専門家や、プロの編集者も入れるべきだ。
伊藤総務局長 指摘の内容を踏まえ、郷土に詳しい人をメンバーに入れたり、全体の監修者を置くなど、検証体制の充実を図りたい。
吉田一郎 コラムや各章ごとに執筆者の名前が入っていることが、原稿を直しにくい原因ではないか。
伊藤総務局長 こういう形もあると思っている。【動画で見る】

新幹線開通時の時刻表を手に追求 『さいたま市史鉄道編』は各区役所で2千円で販売され、全国の図書館や大学などにも売られつつあります。
 市は内容に誤りが多いことを認めましたが、購入者にどう対応するのか問いただしたところ、「正誤表を作成してHPに掲載する」というものでした。
 これでは図書館で市史を借りた人には誤りが伝わらず、間違った記述をもとに論文などが書かれてしまいます。
 その点を追及すると、市は「購入者に正誤表を郵送する」と答弁しましたが、一体誰が本を購入したのか、把握しているのでしょうか?

宮原や土呂駅の開設
市史で1行も触れず

 『さいたま市史鉄道編』には戦後、宮原・東大宮・土呂・南浦和・東岩槻などの駅が、地元住民の数十年にわたる設置運動と、行政の国鉄や東武との粘り強い交渉で、ようやく開設が実現した経緯については、一行の記述もありません。
 その一方で、鉄道とは関係ない盆栽村の話を18ページも載せたり、鉄道博物館の誘致の章では、市史編さん審議会の会長でこの章を執筆した老川慶喜教授(跡見学園女子大)が、シンポジウムで講演したり、コーディネ一夕ーを務めたなど、文字通り「自画自賛」の話を延々と書いています。
 市史編さんには、過去5年間で3億0774万円(担当職員9人の人件費を含まず)の予算を投じています。執筆者個人の「自慢話」は、市の公式な歴史である市史に掲載すべきではなく、一部の学者による「市史の私物化」は許せません。
 『さいたま市史鉄道編』はいったん回収し、内容構成も見直して新たに編さんし直すべきです。

  吉田一郎の指摘   誤った記述内容
●鉄道開通前
東京~宇都宮間に馬車が開通し、浦和・大宮を経由した
大宮から東京への人力車は2時間、30銭
宇都宮への馬車は日光街道経由で、浦和・大宮は通らない
大宮から東京へは人力車で2時間半、1円30銭
●川越電気鉄道(大宮~川越間のチンチン電車)
車両は東京市電から払い下げられたものを使用
1904年12月に川越町で県内初の電灯がともった
 開通時(1906年)に東京市電(11年成立)はまだ存在せず
一方で「1904年4月に大宮町で電灯事業を開始」とも記述
 ●武州鉄道
1910年に川口~岩槻間の敷設免許を受け
 川口~宮ヶ谷塔(春岡村)間の誤り
 ●京浜東北線
日本で最初に走った高速電車は飯田町~新宿間
1968年に大宮~赤羽間の踏切が全面立体化
南浦和と十条で各駅停車を追い抜く快速を計画
 飯田町(飯田橋近く)~中野間の誤り
与野南側の踏切は78年まで、赤羽北側の踏切は
98年まで存在
十条ではなく「東十条
 ●川越線
1937年に大宮~川越間が開通、40年に高麗川まで全通
荒川鉄橋の竣工は38年。40年に大宮~高麗川間が開通
●高崎線
1956年11月に全面電車化が実現した
1956年11月は高崎線下り普通・快速31本中、
電車は10本だけ
●駅弁
(盆栽すしは)海の物とも山の物とも判断しがたい
(新幹線の東京延長後)三立軒とムサシ産業が撤退
盆栽すしはハムやチーズが載った「洋風ちらし弁当」
撤退した業者は三立軒と「ムサシ食品
●大宮駅周辺の発展
1962年10月の第一デパートの開店
 「大一デパート」の誤り
●新幹線リレー号
輸送を在来線に任せるわけにはいかなかった
新幹線特急券がなければ乗車できなかった
 新幹線リレー号が走ったのは在来線
定期券は利用不可だが、特急券は無くても乗車できた
 ●東武野田線
1911年野田駅~柏駅間の千葉県営軽便鉄道が開通
(急行運転で普通電車は)途中駅で退避ができない
 「野田町」駅~柏駅間の「千葉県営鉄道」が開通
大宮発の急行は土休日の夜に岩槻駅で普通電車を追い抜く

吉田一郎市政報告会 8月5日(土) 14:00~16:00 プラザノース第4セミナールーム(入場無料)
2017年7月特別号(2)
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生活保護受給して豊胸手術
美容外科にクレームつけ慰謝料も不正受給
 生活保護の不正受給が増え続けています。15年度に発覚したのは462件約1億4600万円で、05年度の24件3745万円から激増しています。
私は生活保護を受けている女性が、538万円もの不正受給を行い、豊胸手術を受けていた事件を議会で暴露しましたが、市は警察に届けず、毎月34万円以上の保護費などを支給し続けています

 この女性は見沼区大谷に住むT(33歳)で、07年10月に離婚した時から生活保護を受給。子ども3人の母子家庭として毎月34万1490円(12年当時、児童扶養手当や子ども手当を含む)が支給されていました。
 しかしTは09年に品川美容外科で32万円を使って豊胸手術を受けたうえ、その仕上りにクレームをつけて、自分は働いていないにも関わらず、妹の給与証明を改ざんして提出。休業補償など100万円の「解決金」を品川美容外科から騙し取ったうえ、市にも100万円の収入を申告せず、生活保護費も騙し取っていたのです。

警察に届けず放置し
毎月34万円支給継続

 私は昨年6月2日の一般質問で、市の対応を問いただしました。

吉田一郎 生活保護を受けている人でも、乳がんで乳房を切除したり、事故で胸が傷ついた場合なら、乳房を再生することは治療の一環としてあると思うが、見かけを良くするために豊胸手術を受けることは、認められるのか。
藤原保健福祉局長 生活保護法で、受給者の診療は国保の例によると定められており、美容整形は認められていない。
吉田一郎 見沼区で受給者が豊胸手術を受けたうえ、クレームをつけて慰謝料をもらい、市に届けずに不正受給した事件が起きたが、市はどう対処したのか。
藤原保健福祉局長 答弁すること自体が個人情報に係るので、答弁は控える【動画で見る】

 住所や名前を聞いているわけでもないのに、「個人情報」を口実に、不正受給事件を隠蔽しようとするさいたま市の姿勢は問題です。
 私の独自調査で、Tは他にも親族からの仕送りや、自分1人で運営するNPOでの収入などを合わせて、総額537万7804円もの不正受給をしています。
 しかし市は警察に訴えるなどの対処をしないまま、現在まで生活保護費を支給し続け、逆にTから「親族からの仕送りは借りただけ。美容整形外科からもらった100万円は、飼っている犬や猫が十分な面倒を受けられなくなったための補償金」との理由で、不正受給扱いの取り消しを求める裁判を起こされています(今年3月に東京高裁で棄却)。
 生活保護の不正受給は3年以下の懲役または100万以下の罰金で、悪質な場合は詐欺罪も適用されます。
 しかし15年度に発覚した不正受給462件のうち、市が警察に届けたのはたった2件です。
 不正受給を野放しにしているのでは、働いて納税している市民がバカを見るだけです。

土日の図書館
閉館が早すぎる!
嘘の答弁をしてまで

開館時間延長を拒否
 休日に図書館でゆっくり調べ物をしたいという市民は少なくないはずです。
 しかしさいたま市の図書館は、土曜や休日の開館時間が早く、大宮図書館や大宮西部図書館、北図書館は18時、宮原図書館は17時に閉まってしまいます。
 そこで私は6月19日の文教委員会で、開館時間の延長を提案しました。

吉田一郎 土日こそゆっくり調べ物をしたいという人は多いと思うが、全体的にどういう状況なのか。
中央図書館長 利用者の数値はないが、アンケート結果では、閉館時間について33件の要望があった。
吉田一郎 本当に土日の利用者数をカウントしていないのか。
中央図書館長 来館者数は自動的にカウントしているが、日にちごとにはカウントが取れていない。機械にそういう機能はない。
吉田一郎 本を貸し出すときは機械に通すはずだ。
中央図書館長 来館者数は出ないが、貸出者数ならカウントは可能。
吉田一郎 では、土日の貸出者数は、平日と比べてどうなのか。
中央図書館長 すぐには出ない。
吉田一郎 もう少し延長する方向で検討すべきだ。
中央図書館長 開館時間を延ばすのも1つのサービス向上だが、図書館としては、市民の生活スタイルも多様化しているので、来館しなくても利用できるサービスの拡充に努めている。例えば市民の相談にメールで答えたり、電子書籍サービスなら、いつでもどこでも貸し出しや返却ができる。
吉田一郎 いまの答弁は図書館否定論だ。それなら図書館をリストラして、少なくしてもいいことになる。

 図書館のトップが、図書館の存在を否定してしまうのでは、話になりません。
 図書館が1日の来館者数を把握していないという答弁には、他の議員からも「そんなはずはない」という疑問が噴出。29日の文教委員会で「実は把握していた」と来館者数の統計を公表しましたが、土休日は平日より開館時間が短いにも関わらず、来館者数で25%、賃出者数で37%も上回っていることが判明しました。
 議会で嘘をついてまで、土日の開館時間延長を拒もうとする図書館の姿勢は問題です。

1日1館あたりの図書館利用人数
          土休日  平日
平均来館者数 1067人 843人
平均貸出者数 436人  319人

土呂駅を「盆栽駅」に!?
駅名の改称を市に否定させました
 一部の議員の間で、土呂駅を「盆栽駅」に改称しようという動きがあります。
 5月30日に北区役所で開かれた区政懇談会で論議され、私は「トンでもない!」と一喝しましたが、6月14日の一般質問で、念を押して確認しました。

吉田一郎 一部の議員の間から公式の場で、土呂駅を「盆栽駅」に変えようという声が出ている。
中野都市局長 現時点では市としては考えていない。
吉田一郎 土呂駅東口を「盆栽口」に変えようという動きもある。土呂駅は東口も西口も少し先は盆栽町だから、混乱するだけだ。
中野都市局長 そのような要望は、公式には受けていない。
吉田一郎 もし駅名を改称する場合、市の費用負担はどうなるのか。
中野都市局長 駅の看板や運賃表、路線図の取り換えなどの費用負担はJRとの協議によるが、多大な費用がかかると聞いている。【動画で見る】

60年がかりで要望し
新幹線開通で実現に

 土呂駅が開設されたのは1983年ですが、地元では大正時代から新駅設置の運動がありました。
80年頃の土呂駅予定地 当時、大宮と蓮田の間(約9㎞)には駅がありませんでした。64年に東大宮駅が設置されたことで、計画は頓挫しかけましたが、駅の予定地には長い間、砂利の山が築いてありました。
 79年に大宮市は地元住民と土呂駅設置期成同盟会を結成して積極的な誘致活動に乗り出し、「東北・上越新幹線が大宮暫定始発で開通したら、大宮駅や周辺道路は大混雑する」「土呂駅を作れば、大宮駅利用者の一部が土呂に移り、混雑が減る」とアピール。国鉄からも「新幹線開通後は、特急が廃止されてダイヤに余裕が出るので、新駅設置は可能」という回答を得ました。
GoogleやYahoo!で「やっぱり大宮市民の会」と検索してくださいhttp://www.geocities.co.jp/WallStreet-Stock/9297/
2017年7月特別号(3)
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自民同士の議長争奪戦で、深夜まで議会紛糾
 桶本議長「行方不明」で不信任!?
桶本大輔議長新藤信夫議員
 定例会最終日のはずだった6月30日午後、桶本大輔議長(自民・南区)が突然「行方不明」になり、本会議がストップ。
議長不信任案が提出され、翌日未明まで議会が紛糾する事態になりました。
「2年で交代のはずだ」と与党へ
 背景にあるのは、自民党同士の「ポスト争い」です。2年前の市議選後、自民内部では「桶本議員と新藤信夫議員(現:自民真政・大宮区)が、2年ずつ議長に就く」という密約がありました。
 自民は清水市長のイベント予算を批判するなど、野党姿勢を強めていました。
桶本議長は昨年末に市長選への出馬を表明したため、春までに議員を辞職=議長交代と思われていましたが、南区から元自民党代議士の中森ふくよ氏が立候補を表明したため、出馬を断念しました。
 そこで議長交代を巡って自民の大宮派と浦和派が対立。新藤議員を推す大宮派8人は、3月に新たな会派・自民真政を結成し、「清水与党」に転じることで民進や公明と手を結び、議長交代を迫りました。
 しかし、議長の任期は規則上「次の市議選まで」で、自ら辞職しない限り交代しません。民進や公明は、桶本議長が「自民のドン」こと青羽健仁元議長(自民・浦和区)の指揮の下、清水市長が提出する議案を慎重審議させていたことに不満で、議長を清水与党に転じた新藤議員に替え、「議会正常化」と称して市長の議案を右から左へと通過させることを狙っていました。
 しかし6月議会では、自民(浦和派)が桶本議長を守るために慎重審議を主張しなくなったため、公明は「桶本議長のままでもいい」と脱落。公明選出の副議長だけ交代したため、焦った自民真政と民進は、議長不信任案提出のチャンスを虎視眈々と狙いながら、30日の本会議を迎えました。
「手紙」で一杯食わされた大宮派
 桶本議長は体調が悪そうでしたが、昼休みに外出したまま戻らず、本会議は中断。夜になって桶本議長はウイルス性急性胃腸炎のため入院したことが発表されましたが、秘書課や副議長にきちんと引継ぎをしないまま病院へ行き、議会を空転させた責任は重大だとして、自民真政と民進が議長不信任案を提出しました。
 桶本議長の失踪は、「不信任案を出すタイミングを潰すため、自民のドンが仕組んだもの」という噂まで流れましたが、結果的に不信任案を出す口実を与えた形になりました。
 自民は対抗して議長信任案を出し、「議長から、信任案が可決された場合と否決された場合の2つの手紙を預かっている」と発言したため、自民真政と民進は信任案否決なら議長辞職のコメントを発表するだろうと思い込み、「武士の情け」で信任案だけを採決することになりました。
 こうして井上副議長(公明)の下で夜10時過ぎに再開した本会議では、議長信任に賛成したのは自民(浦和派)だけで、公明と共産は退席、私は行方不明になった責任は重いと、信任に反対。賛成13、反対26、退席19で議長信任案は否決されました。
 ただし、信任案否決には法的な拘束力はありません。議長を交代するには桶本議長が辞職願を提出し、議長選挙を実施する必要があります。
 そこで民進は7月10日までの会期延長を提案して可決されましたが、議案採決や翌日への議事繰越の手続きで深夜まで混乱し、私は午前3時過ぎの議会運営委で「『信任案否決の場合の手紙』をこの場で公開すべきだ」と主張しましたが、疲れ果てた議員が多くウヤムヤになりました。
 結局、桶本議長の「手紙」は自民が後にマスコミに公開。「不信任案提出は正当な理由がなく極めて不本意。これからもしっかり議長職をまっとうしたい」という内容で、議長続投を宣言しました。
10日の本会議で、自民真政と民進は再び桶本議長の辞職を求めるでしょうが、私は「行方不明」について桶本議長の釈明を聞いたうえで、判断したいと思います。
「自民は全員議長」の悪習根絶を
 さいたま市議会では、議長は自民が、副議長は自民か公明か民主系が、ほぼ1年ごとに交代しています。自民党の議員なら必ず年功序列で議長か副議長に就けるよう、ポストを回し合っていました。
 過去にも、青羽元議長が08年に2年連続で議長を続けようとした際、自民内部で抗争になり、反発した議員が追い出されて自民彩政会を結成した事件も起きました。
 同じ自民党議員でも政策の違いによって会派を分けるのは大いに歓迎ですが、議長ポストを奪い合って議会が空転するのでは困ります。
 福岡市議会では、「市民の信頼と議会の権威を高めるため」として、任期途中での議長辞職を控える覚書を全会派で結んでいます。
 さいたま市議会でも自民党が議長ポストを回し合う悪習はやめ、議会全体で調整能力を評価された議員が、議長の職を4年間続けるようにすべきです。

吉田一郎が反対した議案【関連動画】
■一般会計補正予算(2) ■赤城少年自然の家解体工事契約
 林間学校を舘岩少年自然の家に一本化するため、浦和の小学生が使っていた赤城少年自然の家を、夏から解体。
 アスベストが予想以上に発見されたため、工期が冬を越すことになり、契約金額が1485万円増。来年春の雪解け後から解体工事を始めれば、工事費を増額せずに済みます。
■一般会計補正予算(3)
 大宮市が文化ホールなど市民のための複合公共施設を建てる目的で、240億円で購入した桜木駐車場(鉄道病院跡地)を、外国人観光客向けホテルに無償提供するため土壌の浄化費用など。
 旧大宮市の住民が1人あたり5万8千円も負担して購入した土地には、大宮住民のための施設を建てるべきです。
■後期高齢者医療事業特別会計補正予算
 保険料を今年度から3ヵ年で最高10倍に値上げするためのパンフ同封費用は認められません。
■美園コミセンの住所変更■美園小学校と美園図書館の住所変更
 巨額の予算を投じた浦和美園の開発や区画整理には反対です。
■順天堂大病院の用地購入
 浦和美園に順天堂大学附属病院を誘致するために、市が69億円で用地購入。順天堂は進出の条件として、岩槻までの地下鉄建設と病院前の新駅設置を要求し、計画図を作っています。採算が取れない赤字の地下鉄を建設する誘致には反対。
■教育委員会委員長の任命
 教育委員による互選から、市長による任命への変更は、教育行政の中立性を損ないます。
■教育委員の任命
 清水市長の選挙スローガンを、小中学校で額に入れて飾っていた事実を、議会で「問題ない」と公言した大谷氏の再任には反対です。
2017年6月議会の会派別議案賛否一覧表
『吉田一郎 市政レポート』のバックナンバーや、市議会での動画集が、インターネットでご覧になれます!
2017年7月特別号(4)
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東西交通大宮ルート
バス限界の片柳経由のはずが、見沼田んぼ経由になり
捏造データで浦和東部に誘導か
 「東西交通大宮ルート」は大宮~浦和美園の鉄道建設計画です。かつて大宮市は地下鉄建設を要望していました。さいたま市になってから、人口が多い片柳を通らず、新都心・見沼田んぼ経由のLRT(次世代型路面電車)に変わり、清水市政は捏造とも言える採算予測をもとに、浦和東部を大きく迂回するルートに変えようとしています。
 片柳方面へは大宮駅から国際興業バスが1日片道411本運行し、2万人が利用しているほ市が発表したLRTの4ルートか、東武バスも北浦和駅から1日160本、新都心駅から44本運行しており、バスの輸送力は限界に達しています。
 しかしさいたま市は、大宮~浦和美園の地下鉄建設計画を放棄して、バスが1日片道27本(昨年9月13日の議会答弁)しか走っていない岩槻~浦和美園に、沿線開発を含めると3千億円と言われる巨額の予算を投じて地下鉄を建設しようと画策しています。
 一方で、大宮~浦和美園は、合併後はLRTの計画になり、新都心や見沼田んぼの中央を経由するルートに変更されました。
 見沼田んぼは人口ほぼゼロで、開発が禁止されているのでニュータウンは建設できません。国の採算予測では、「永久に黒字にならない」という結果でした。
住民の利便を考えろ
私の批判に拍手喝采

 LRTの建設計画について、3月4日に片柳コミセンで小委員会を開催。片柳住民など約100人が集まりました。
 まず、駅から郊外の工業団地までLRTの建設計画を進めている宇都宮市の報告があり、全長14・6㎞の総事業費は458億円で「LRTは安い」と紹介。
 ただし大部分は4~6車線道路に線路を敷き、新たに用地買収が必要な区間は3・5㎞に過ぎません。
 続いて担当の交通政策課が、新都心・見沼田んぼ経由のルートを紹介しながら、「(建設の)意義は、大宮駅周辺と浦和美園地区とのアクセス利便性の向上を期待」と説明しました。

吉田一郎 今の説明を聞いて、ふざけるなと思った。中間に住む片柳住民の利便性には触れていないじゃないか。だから人が住んでいない見沼田んぼを通すという話が出るのだ。多くの費用をかける以上、中間に住む住民が恩恵を受けなければならないはずだ。

 私は続けて新都心・見沼田んぼ経由と片柳経由で、LRTと地下鉄の細かな採算性比較を行うよう市に要求したところ、参加者から万雷の拍手が起こりました。

需要予測デタラメで
肝心な費用除き収支

 5月22日の小委員会では、私は清水市政が行ったLRTの4つのルートの比較算出結果《表参照》を明らかにさせましたが、あまりにお粗末な内容でした。
①2万人のバス利用者がいる片柳ルート(Ⅳ案)は、輸送人員(乗客数)が最低。
②見沼田んぼルート(Ⅰ案)は、平均乗車距離が3・8kmで田んぼの真ん中で乗降する利用者が多く、輸送人員は最高。
③第二産業道路と国道463号左通り浦和東部を迂回するルート(Ⅱ案)が、「需要確保が見込まれるルート」として、B/C(費用対効果、1以上が黒字)が1・83と、最も採算性が良い。
 実際には、第二産業道路を南北に結ぶバスはなく、乗客の需要はありません。
463号を通るバス(1日片道36本)は浦和駅へ行くバスで、東京への通勤客が大宮や新都心へ遠回りするとは思えません。
 また、Ⅰ案~Ⅳ案の総事業費は、いずれも線路の敷設や電車の購入費用だけで、道路を拡幅する費用は含まれていません。

吉田一郎 道路拡幅のための費用は出てこないのか。
交通政策課長 その費用は算出していない。今後、検討が必要だと考えている。
吉田一郎 大宮~新都心間に、LRTが通れる4車線道路は計画されているのか。
交通政策課長 既存の都市計画道路は、ない状況。

 道路を2車線分拡げると、さいたま市では1㎞あたり100~150億円かかります。これを除いて費用対効果や採算性を算出しても、無意味です。
 大宮~新都心間は道路を拡げる計画自体がなく、拡げるとすれば多くのオフィスビルやマンションを取り壊さなくてはならず、現実的に不可能です。

浦和経由大宮抜きに
電気バスで既成事実

 市はオリンピックに合わせて、新都心と浦和美園・埼玉スタジアムの闇にEVバス(電気自動車)を走らせ、五輪終了後も運行を続ける計画を発表しました。
 そのルートは首都高、第二産業道路、国道463号で、LRTのⅡ案と似ていますが、大宮駅を通るのをやめるルートです。
 捏造とも言える数値をもとに、合併前は片柳経由のはずだった「東西交通大宮ルート」を、浦和東部を迂回するルートに変更させ、さらに大宮駅を通らないバスを運行することで、「浦和経由大宮抜き」を既成事実化することは許せません。
「東西交通大宮ルート」はバス輸送が限界に達した片柳経由を基本に、4つのルートについて地下鉄やLRTの建設費や採算性を詳しく調査して比較すべきです。
 そして採算が取れるとはっきり確認した上で、建設の可否を決めるべきです。

 市が発表した東西交通大宮ルート(大宮~浦和美園)の4ルート比較
   延長  総事業費  輸送人員  輸送密度 ピーク時
断面輸送量
 
平均乗
車距離
 
B/C   所要時間
Ⅰ案(見沼田んぽルート)    12.0km  370億円  2万4832人/日  7800人/日km  最大3900人/時  3.9km  1.28  28分
 Ⅱ案(浦和東部ルート)  16.5km  330億円  2万2750人/日  4200人/日km  最大4100人/時 3.1km   1.83  49分
 Ⅲ案(片柳・見沼ルート) 13.7km   400億円  1万9930人/日  4000人/日km  最大3600人/時  2.9km  1.54  36分
 Ⅳ案(片柳ルート)  15.4km  430億円  1万9222人/日  3200人/日km  最大3500人/時  2.6km  1.28 45分 
 ※輸送人員(1日の乗客予測)、輸送密度(1日1kmあたりの乗客数)、B/C(費用便益比=費用対効果、1以上が黒字)

ブーム去り、全国で建設進まぬLRT
香港のLRT LRT(ライトレール)とは、次世代型の路面電車です。数両連結も可能なため、バスより輸送量が大きく、既存の4~6車線道路に線路を敷くだけなら、地下鉄やモノレールよりも建設費が安いという特徴があります。
 欧州や北米に続いて、アジアでは1988年に香港のニュータウン(新界地区)での開通を皮切りに、中国や台湾の各都市で建設が相次いでいます。
 日本でも「中心市街地の活性化の切り札」ともてはやされ、90年代から00年代にかけてLRTの建設計画がブームになりました。しかしこれまで実際に開通したのは富山だけで、既存のJ Rの路線を改良したり、70年代に廃止された路面電車の路線を一部復活したものでした。
 新規のLRT建設は、京都、堺、奈良、長野などで計画されましたが、いずれも建設費や採算性、渋滞悪化などで見送りになり、計画が具体化している宇都宮も、建設費は当初の260億円から458億円に膨らんで、着工は延期されています。
バスより不便で建設費は地下鉄並み?
 LRTの建設方法には、①道路上に線路を敷く(併用軌道)、②一般の鉄道と同じ(専用軌道)、③高架、④地下…などの方法があります。
 ①は道路拡幅のために用地買収が必要で、信号機に従って走るため速度はバスと変わらず、周辺の団地や高校などにも乗り入れられるバスの方がむしろ便利です。
 ②も用地買収が必要で、速度は①より速くなりますが、交差する道路との踏切設置で、沿線は交通渋滞になります(現在、国土交通省は新たな踏切の設置を認めず、実際には建設不可能)。
 ③は用地買収に加えて高架橋も必要なため、建設費が高く、駅では階段の昇り降りが必要でバスのように道端から簡単に乗降できません(ニューシャトルと同じ)。
 ④は建設費が地下鉄とあまり変わらず、むしろ既存の車庫や変電所を利用できる地下鉄の方が総事業費は安く済み、浦和美園経由で東京都心まで1本で行ける地下鉄の方が便利です。
吉田一郎は、市長から支給される政務活動費(年間408万円)を受け取らずに活動しています。

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