2017年4月特別号 (1)
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浦和美園
大学病院誘致で順天堂が言いたい放題
病院開設までに地下鉄作れ!?
 さいたま市は県と共同で、浦和美園に順天堂大学病院を誘致していると報道されています。清水市長は病院誘致のための用地を69億2560万円で購入する補正予算案を提出しましたが、順天堂側は「病院開設までに地下鉄を延長して新駅を作ること」など、無謀な条件を突きつけていることが明らかになりました。

 建物・医療機器にも
 市の負担は数百億?

 病院誘致の交渉で、順天堂側はどんな条件を出しているのか、私は3月21日の本会議で確認しました。

吉田一郎 「公益的施設用地」を69億円で購入すると言うが、何を建てるのか。
中野都市局長 順天堂大学附属病院の立地が有力。
吉田一郎 現段階で順天堂側からどんな条件や要望を提示されているのか。
中野都市局長 土地利用にあたっての要望、建物及び機器・備品について、交通アクセスの改善について、病院運営経費の助成についての要望があった。
吉田一郎 交通アクセスの改善とは地下鉄のことか。
中野都市局長 埼玉高速鉄道の延伸という要望がある。【動画で見る】

 順天堂は15年3月、県を通じて「病院開設までに、地下鉄を延伸して埼玉スタジアム付近(実際には病院の前)に新駅を設置することを求めていたのです。
 他にも①土地の無償貸与、②敷地周辺の道路を廃道にして病院用地の一部にする、③容積率や日影規制の緩和、④綾瀬川を渡る病院専用の橋を建設、⑤建物建設や医療機器、備品購入を半額補助、⑥救急医療、周産期医療、夜間小児救急に毎年経常費を助成…など、言いたい放題の条件を出していたことが明らかになりました。
 これらの条件にすべて応じたら、いったい何百億円かかるかわかりませんが、清水市政はこれまで伏せていました。
 市は地下鉄延伸について「実現の可能性も含めて検討する」と曖昧な返答をし、順天堂側は昨年5月、新駅の具体的な位置やデザインなどを盛り込んだ基本計画案を作成していました。
 岩槻への地下鉄延伸は、市の調査で「採算は国の基準が満たせず絶望的」という結果が出ています。病院誘致と引き換えに、赤字確実な地下鉄建設を強行することがあってはなりません。

 交渉成立まだなのに
 69億円で用地を取得

 69億円で購入する土地は、浦和美園で土地区画整理を行っているUR(都市再生機構)との協定で、「公益的施設用地」とし順天堂が作成した新駅の基本計画案て購入することになっている…と市は説明しています。
 2月議会では、清水市長は順天堂の候補地のすぐ近くに、小学校の建設用地を39億6063万円で購入する議案を提出しました。
 私は3月17日の本会議で、「順天堂との交渉結果がはっきりするまで、学校用地の購入は見合わせ、順天堂との交渉が決裂したら、URから買う土地に学校を建てるべきだ」と訴えましたが、各政党会派は学校用地の購入に賛成しました。
 それなら病院用地購入は、順天堂との交渉がまとまるまで見合わせるべきです。
 地下鉄延伸や専用橋の建設、建物や医療機器への半額補助など、市に莫大な負担がかかるものは無理だと断り、可能な範囲の支援について交渉を続け、順天堂と合意に至ってから用地を購入すべきです。
 私は21日の本会議で、念のために確かめました。

吉田一郎 もし市が購入しなかった場合、協定ではURに違約金を払うのか。
中野都市局長 協定書の中に違約金の記述はないので、発生しない。

 順天堂との交渉が決裂したら、URは商業施設などに土地重冗れば良いのです。
 病院誘致に取り組むのは良いですが、広大な土地を先に抱え込んで、順天堂の言いなりになってしまいかねない進め方には疑問です。

人の命も浦和優先
合併以降、南に偏る医療体制
 合併以来、大きな病院が次々と南へ移されています。大宮医師会市民病院(宮原メディカルセンター)は09年に浦和との境に移転して市民医療センターになり、今年1月にはさいたま日赤(旧:大宮日赤)と小児医療センターが新都心に移転しました。
 浦和東部(緑区)では、市立病院を421億円かけて建替えて病床数を528床から637床に拡大するのに加え、多額の公費を投じて順天堂大学病院(800床)を誘致したりと、大病院の拡充が集中しています。
 私はこの点について、15年6月25日の予算委員会で市の姿勢を問いただしました。

吉田一郎 大きな病院の地域ごとの偏りをどのように考えて、順天堂大学病院と市立病院の建替えを同じ緑区に集中させているのか。市は医療体制の配置を総合的にどう考えているのか。
山本保健福祉局長 順天堂大学病院の誘致については具体的に関わっていないので、さいたま市立病院の医療の充実を図るため、現在地で建替えることを進めている。

 実際には、順天堂は15年3月に県を通じて市に病院開設を申し入れていたことが判明しています。議会を欺いて浦和に病院を集中させるやり方は許せません。

北区から市立病院へのバス運行を提案
 市立病院に行くバスは、大部分が北浦和駅や浦和駅からで、15年度の通院患者数は浦和2020年以降の公的医療機関と大学病院17万5597人に対して、大宮3万0741人です。
 私は見沼区コミュニティバスの市立病院乗り入れや、国際興業バスの東大宮駅~市立病院、大宮駅~片柳~市立病院などの路線開設を要望しましたが、3月13日の企業会計予算決算特別委では北区からのバス乗り入れを提案しました。

吉田一郎 上尾から大宮までのバスがある。昔は浦和県庁前まで行っていたが、大宮駅で終点になった。一方で大宮駅から新都心を通って市立病院へ行くバスがあるが、同じ東武バスなので一本につなげれば、北区から市立病院に行けるようになる。
本間副市長 上尾からのバスについては、既存路線の病院乗り入れについて市立病院とバス会社との協議の場があるので、今後アンケート結果などをバス会社に提供していきたい。

 実現すれば通院の足のほか、北区からコクーンへ、大宮区南部からステラタウンへも行きやすくなり、住民生活の利便性が向上します。私は引き続き東武バスに働きかけるよう市に求めてきます。
吉田一郎は、市長から支給される政務活動費(年間408万円)を受け取らずに活動しています。
2017年4月特別号(2)
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さいたま市の水道料金は高すぎる
仕入れ値同じなのに販売価格は和光の1・8倍
 「さいたま市の水道料金は高い!」とよく言われます。実際に他市と比較してみると、さいたま市の料金は県内40市中8番目の高さですが、県から水道用水を購入している価格は、他市と同じだったことが明らかになりました。

 原価下がれど料金同じ
 68億円の黒字貯め込む

 さいたま市の水道水は、1割は地下水からの汲み上げで、9割は埼玉県が大久保浄水場で荒川から取水した水などを購入しています。
 他市はどうなのか、3月7日の企業会計予算決算特別委で追及しました。

吉田一郎 川越、川口、蕨、戸田、和光など周辺自治体の水道料金はだいぶ安いが、これらの自治体はどこから水を買っているのか。
水道計画課長 大久保浄水場で、埼玉県の供給単価はすべて統一の金額。
吉田一郎 県から買う仕入れ値は同じなのに、なぜ市民への販売価格はさいたま市が1339円で、和光市は771円なのか。
水道財務課長 和光市の財政状況の確認が取れないので、答えられない。
吉田一郎 一般会計(市の財政)からの繰入金は、さいたま市が5880万円、和光市は290万円で、人口比で言えばほぼ同じだ。
水道財務課長 他市では一般会計から出資金が入っていると聞いている。
吉田一郎 決算審査の時に水道局が出した資料に、和光市は補助金や出資金を含んだ額で290万円と書いてある。納得できない。【動画で見る】

県内各市の水道料金 また私は、過去5年間で給水原価が8%下がり、水1㌧あたりの利ザヤが9円50銭から16円に拡大していることを暴露。
 水道局では「さいたま市は水道管の耐震化を進めている」と釈明していますが、和光市と比べて8割も高い根拠にはなりません。
 水道局はこれまでに67億8000万円もの余剰金(累積黒字)を貯め込んでいることも判明しました。

 値上げ繰り返す下水道
 3年後も値上げを画策

 さいたま市の下水道料金は、4年ごとの大幅値上げを繰り返し、合併当時と比べてほぼ2倍になりました。
 中期経営計画では、下水道事業は19年度は1億4000万円の黒字を計上しますが、20年度には黒字がなくなる見通しです。
 そこで私は3月13日の企業会計予算決算特別委で問いただしました。

吉田一郎 2020年に黒字が減る見通しだが、値上げを予定しているのか。
日野副市長 そういう状況であれば、値上げを検討させてもらう。

 一方で、さいたま市は生活保護世帯に対し、水道基本料や下水道料金を無料にしています。免除している料金の総額は、水道で1億0300万円、下水道で1億3400万円です。
 生活保護では毎月、水道代や下水道代に充てるお金(生活扶助第二類)が支給されており、県内で下水道料金をタダにしている自治体は他にありません。

吉田一郎 生活保護世帯には水電光熱費が支給されているのだから、他の自治体のように下水道料金を徴収すれば、値上げは回避できるのではないか。
日野副市長 生活保護の受給者には、健康で文化的な生活を営むための一助として、料金を減免している。
吉田一郎 料金分が保護費として支給されている生活保護世帯の下水道料金をタダにするために、市民は犠牲となって料金値上げを受け入れろというのか。
日野副市長 値上げをするにしても、減免制度は維持していきたい。

 水道と下水道を統合し
 下水道の値上げ回避を

 水道は原価が下がっているにも関わらず、周辺の市よりも高い料金を取り続けて黒字を貯企業会計予算決算特別委員会め込み、下水道は「黒字がなくなりそう」を理由に値上げを繰り返すやり方は間違っています。
 私は3月15日の企業会計予算決算特別委で、①水道と下水道の部署を統合し、問い合わせ窓口を一本化し、水道の黒字を下水道にまわす、②他市と同じように、生活保護世帯からも水道や下水道料金を徴収する…などを提案しました。

●市立病院の保険料、合併前の622万→3550万へ
12月議会で、市立病院が低酸素脳症を発症した元入院患者に対して、医療ミスを否定したまま1億3986万円の和解金を支払う議案が提出されました。病院が加入する病院賠償責任保険で賄えるものの、保険会社に支払う年間保険料が18年度から2倍以上にアップして、3570万円になることが審議で判明。議会は承認せず廃案になりましたが、清水市長は2月に専決処分(市長の独断)で支払いを実行しました。
 私は3月2日の企業会計予算決算特別委で、年間保険料の推移を明らかにさせ、問いただしました。

吉田一郎 合併前の浦和市立病院では622万円だったものが、01年の合併時に694万円、02年に1110万円、政令指定都市になった翌年の04年に1659万円と、どんどん上がっている。
庶務課長 01年は周産期病棟の病床(34床)が増え、02年は補償限度額を1億円から2億円に上げた。
吉田一郎 04年に保険料が550万円も上がっている。
庶務課長 何でこの額なのか、今はなかなかわからないのが実態。
吉田一郎 公立病院は保険に入らなければならないと法律で決まっているのか。
庶務課長 法律で決まりはない。

 年間1兆円の財政規模があるさいたま市にとって、補償限度額が2億円の保険なら、加入しなくても万が一の時には十分対応できます。
 合併以降さいたま市が支払った保険料の総額は2億7000万円で、受け取った保険金の総額も今回の和解金を合わせると2億7000万円です。差し引きトントンになったところで、保険料が2倍以上に上がる前に、保険加入の継続を止めるべきだと提案しました。

●区役所のエスカレーターまで「浦和優先」
 清水市政は大宮区役所を大宮図書館と統廃合し、市民会館の南側へ移す計画を進めています。昨年10月の説明会で発表された案では、1階から3階までエスカレーターを上りしか設置しない内容だったため、参加した市民らが猛反発。私が紹介議員となって「新大宮区役所に上下のエスカレーター設置を求める請願」を提出すると、大宮区の自治会連合会会長からも陳情が出て、2月17日の市民生活委で審議されました。
 すると市は、設計会社と協議した結果として、1階と2階の間に下りエスカレーターを追加する一方で、2階と3階の間の上りエスカレーターは廃止して、「かわりに階段で対処する」と発表しました。
 2階と3階は図書館で、館内を上下する利用者は多いはずです。武蔵浦和に建設したサウスピア(南区役所)は4階まで上下のエスカレーターがあるにも関わらず、大宮区役所にはエスカレーターを満足に設置しようとしない「浦和優先」ぶりは許せません!

●原市駅と工業団地結ぶ「吉野橋」が今夏開通に
 大宮の最北端を東西に貫く白樺通りですが、西側は別所町、東側は吉野原工業団地の北で、いずれも上尾市との境で道路が途切れています。特に東側は目の前にニューシャトルの原市駅があり、道路がつながれば工業団地への通勤が便利になります。
 市境の芝川には「岩野橋」が完成していますが、橋の大宮側は道路が数十㍍途切れていて、通行できない状態です。いつ開通するのか市民が問い合わせたところ、上尾市は「さいたま市次第」と言い、さいたま市は「警察との協議が必要で、早ければ夏頃かも・・・」と曖昧な回答でした。
 そこで私が紹介議員となって、吉野橋の開通を求める請願を提出したところ、2月17日のまちづくり委員会で市は「橋の取り付け部の工事発注を3月中に行う」「夏までに開通させる」と明言しました。
 大宮と上尾の境には、他にも宮原4丁目の地下道→奈良町団地など、市境で寸断された個所がいくつもあります。私は引き続き道路全通を求めていきます。
GoogleやYahoo!で「やっぱり大宮市民の会」と検索してくださいhttp://www.geocities.co.jp/WallStreet-Stock/9297/
2017年4月特別号(3)
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3億円の自転車レース
開催中止の場合でも
フランスに全額支払い!?

違法契約の
疑いで紛糾
【関連動画】

 10億円以上を費やしたトリエンナーレ(芸術祭)に加え、クリテリウム(自転車レース)、国際マラソンと、清水市長はイベント開催に巨額の予算を投じています。
 12月議会では「トリエンナーレやクリテリウムの中止を含めた抜本的見直しを求める請願」を、自民・共産と私が共同提出し、可決されました。
 しかし、清水市長は意に介せず、2月議会でイベント開催費用を含む新年度予算案を提出しました。
 私が2月6日の本会議で問いただしたところ、クリテリウムは2億7398万円、国際マラソンは2億7026万円、人件費はスポーツイベント課の職員15人で1億4369万円、総額6億8793万円になることが判明しました。

 アリーナ使えず変更
 中止でも117万ユーロ

 クリテリウムの開催契約について、自民が「地方自治法に抵触する恐れがある」と指摘。2月16日に清水市長は、予算案からクリテリウム開催費用をいったん削除しました。
 クリテリウムの開催には、フランスのイベント会社(ASO社)にライセンス料など117万ユーロ(約1億4000万円)を支払います。市は「長期契約で安くなる」と、3年契約を結びました。
 開催中止の場合、市は117万ユーロをいったん支払い、後にASO社が一部を市に返金しますが、いくら返金するかは明記されず、契約書では「協議して決める」とあるだけです。
 つまり市は、開催中止になった場合に、支払う金額が不明確な契約を結んだことになります。
 今年のクリテリウムは、これまで使っていたスーパーアリーナが予約済みで使えず、市は三菱マテリアル跡地周辺で行う意向ですが、ASO社が了承するかはわかりません。
 2月21日の総合政策委では私の追及で、クリテリウムを開催しなかった場合にもASO社にいったん全額を支払う契約は、市の要綱に反する違法な契約だったことが判明しました。

 自民分裂で反対せず
 法的問題ウヤムヤに

 こうして市は契約書の法的な問題を4月まで調べることになりましたが、開催に反対していた自民が分裂すると一転。議会最終日前日にクリテリウム開催の補正予算を追加提出し、たった2日間の審議で採決にかけられました。
 私は23日の本会議で、「中止を含めた抜本的見直しを求める請願」を共同提出した自民の議員は、一緒に反対するように呼びかけましたが、「清水与党」に転じた大宮派(自民真政)の一部は民進・公明とともに賛成。浦和派も反対せずに退席し、可決されました。
 イベントに多額の公費を投じる市政のあり方をこれまで批判しながら、肝心な採決では賛成にまわるのでは、市民の政治不信を招くだけです。

 吉田一郎が反対した議案 
■平成29年度一般会計予算 浦和が大宮を200億円上回る公共施設の整備予算には反対です。
■平成29年度国保特別会計予算■平成29年度介護保険特別会計予算■国保税の上限引き上げ 最高8万円もの値上げには反対です。
■東浦和第二土地区画整理特別会計予算■浦和東部第一土地区画整理特別会計予算■大門下野田土地区画整理特別会計予算■市道の認定 浦和東部への開発予算集中に反対。
水道事業会計予算■下水道事業会計予算 《2面参照》
■病院事業会計予算■専決処分の承認 《2面参照》
■一般会計補正予算(8) 保育所へのカメラ設置は、事故が多い認可外施設に補助を出すべきです。
■一般会計補正予算(9)■岩槻人形博物館の設計・建築契約 内装費や人形購入費がいくらかかるのか不明。
■一般会計補正予算(10)
■浦和東部の小学校用地取得 《1面参照》
■一般会計補正予算(1) 《3面参照》
■県費負担教職員の移譲 県が出していた小中学校の教職員給与を市が負担。「国から補助金が増えてまかなえる」と言いますが、実は市が2億円の負担増になることが判明。
■教育委員長と教育長の一本化 教育委員が互選で選ぶ教育委畠長を廃止し、市長が任命する教育長に一本化。教育行政の中立性が損なわれます。
■市立病院の職員増員 大宮からの通院手段を確保しないまま、市立病院の建替えには反対。
■消防職員の給与表創設 「政令指定都市だから」と消防職員の給与をアップし、年間1億8030万円の財政負担増に。
■介護予防適所介護の日常生活総合支援事業への移行 隣接市町村のデイサービスが利用できなくなります。
■宝来グラウンド・ゴルフ場条例の制定 特養を建てるために大宮市が15億円で購入した土地の転用には反対です。
■子ども家庭総合センター条例の制定 総事業費60億円をかけて浦和区にオープン。年間運営経費は27億円で、1年半前の試算と比べて4億円もアップ。
■風営法改正に伴う建築規制条例の条文修正 郊外地区での風俗店の建築を禁止する条例ですが、現実には商業ビルやマンションとして建築された建物内で風俗店が営業しており、いわばザル法です。
2017年2月議会の会派別議案賛否一覧表
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2017年4月特別号(4)
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新都心への市役所移転
市役所をバスターミナル上にと提案
市長選控えて市も前向き?「6年後を目途に建設着手」
 大宮市・与野市・浦和市が合併して、さいたま市が成立して16年。市役所の場所は合併協定書に「新都心周辺地域」と明記されています。そこで私は、市がコクーン南側に建設を予定している長距離バスターミナルの上に、市役所を建てたらどうかと提案しました。

 これまで市役所建設の有力候補地と言われていたのは、新都心駅西側に残っていた最後の空き地(第8-1A街区)でした。
 しかし、浦和市長だった相川前市長はこの場所にさいたまタワーの誘致やサッカープラザを建てようと計画し、浦和に永久に市役所を置き続けるために躍起になっていました。
 私は08年6月議会で、このことを確認しています。

吉田一郎 第8-1A街区にサッカープラザが建つと、新都心に市役所を建て得る候補地は具体的にあるのか。
小林政策局長 新都心周辺での用地確保は、大変難しいと認識しています。

 09年の市長選で「サッカープラザの白紙撤回」を掲げた清水市長が当選しましたが、上田知事の提案で、第8-1A街区には日赤病院と県立小児医療センターが移転し、最後の空き地はなくなってしまいました。

 新都心の周辺ならば
 市役所は大宮区も可

 市役所の具体的な位置については、合併協定書で「市民参加の審議会」を速やかに設置し、協議することになっています。
 本庁舎整備審議会は12年に設置されましたが、4年経っても市役所の位置は論議されないままでした。
 今年1月20日に開かれた審議会で、初めて「市役所の位置」について論議が行われ、「新都心周辺への移転を推す声が相次いだ」と報道されました。
 そこで私は2月20日の総合政策委で、市役所移転の問題を取り上げました。

吉田一郎 「このまま浦和で」という声は出たのか。
都市経営戦略部長 明示的に、ずっと浦和という意見はなかった。
吉田一郎 具体的に新都心周辺に、市役所を建てられる場所はあるのか。
都市経営戦略部長 いま土地が空いているかではなく、事業手法はさまざまあるという論議が出ている。
吉田一郎 例えば、市は新都心駅前に長距離バスターミナルを作ろうと計画しているが、1階はバスターミナルで、その上に市役所という手法は可能か。
都市経営戦略部長 否定する材料は持っていない。
吉田一郎 合併協定書には「新都心周辺」とあるが、バスターミナルの用地は、新都心周辺に含まれるか。
都市経営戦略部長 対象外ではない。
吉田一郎 あそこは大宮区だが、合併協定書に「市役所は中央区でなくてはならない」と入っているのか。
都市経営戦略部長 新都心周辺地域かどうかであり、区で形式的に区切られるものではない。

 新都心周辺であれば、市役所は中央区(旧与野市)ではなく、大宮区でも構わないのなら、長距離バスターミナルを計画している三菱マテリアル跡地をはじめ、新都心周辺で市役所を建てることのできる候補地は広がります。

 市役所が浦和にある
 限り大宮に未来なし

 清水市政は浦和の市役所の耐震化工事を進めています。「耐震化によって、建物の寿命が延びるわけではない」と言いながら、昨年10月20日の本会議では、法的な耐用年数(2026年まで)を無視して、「耐用年数は36年まで」と言い出し、その場で私に徹底追及されました。
 2月20日の総合政策委で、私は改めて確認しました。

吉田一郎 何年くらいかかるのか。
都市経営戦略部長 (浦和の市役所は)1976年に竣工したので、26年度に減価償却は完了する。工事などに要する期間を考慮して、その3年前の23年度を目途として考えている。
吉田一郎 では、6年後に市役所の建設に着手すると理解していいか。
都市経営戦略部長 審議会で審議してもらうので、市としての決定はまだ。

 市役所が浦和にある限り、中央図書館や市民活動サポートセンター、国際交流センター、子ども家庭総合センターなど、あらゆる中核的な公共施設は浦和に集中して建設され、道路網の整備や、医療や教育など市民生活に密着した施設も浦和に重点配置されています。
 合併を解消せずにさいたま市を続けるつもりなら、いち早く合併協定書の履行を果たし、「さいたま市の中心=浦和」の既成事実化を改めるべきです。

新都心に長距離バスターミナル
大宮と比べて実際には非現実的
三菱マテリアル跡地の開発計画 大宮駅は鉄道の巨大ターミナルですが、高速バスについてはお粗末です。成田空港や羽田空港へのバスのほか、東北・北陸や東海、関西、四国へ夜行バスが発着していますが、乗り場は路上です。
 私は08年6月のまらづくり委員会で「乗客は野ざらしで、荷物を抱えてバスを待っている」と指摘。整備を提案したところ、翌年夏に西口そごう前の乗り場に屋根が付きましたが、切符売り場や待合室がある本格的なバスターミナルが必要です。
 清水市政は最近、新都心にバスターミナルを計画しています。場所は三菱マテリアル研究所跡地で、産業道路側は造幣局や大宮警察署、旧中山道側はしまむら本社とマンションが建つ予定ですが、市は中央部分を購入して、防災公園と長距離バスターミナルを建設しようとしています。
 しかし、大宮駅前に発着する高速バスを新都心に移したら、大宮駅の拠点性が失われるうえ、鉄道や路線バスとの乗り換えが不便になって乗客が減り、廃止になる路線が出かねません。2月16日の本会議で、私は計画のズサンさを追及しました。

吉田一郎 市長は「大宮駅と空港とのアクセス強化」と言っているが、長距離バスターミナルを新都心に作って、大宮駅から出ている空港行きのバスを新都心発着にしたら、アクセスが悪くなるじゃないか。
中野都市局長 具体的な内容はまだ回まっていないが、既存のバス乗り場をすべて新都心に集約するわけではなく、大宮駅との連携も図っていく。

 市では大宮駅と新都心のバスターミナルとの間にシャトルバスを走らせると言っていますが、そんな面倒な乗り継ぎをする人がいるとは思えません。
 東京ではかつて浜松町や箱崎にバスターミナルを作りましたが、中途半端な場所で敬遠され、現在では高速バスの大部分は新宿駅や東京駅から発着しています。
 長距離バスターミナルは大宮駅の近くに建設し、三菱マテリアルの跡地は堂々と「市役所建設予定地」として購入すべきです。

自民党が分裂
大宮・与野派の独立で市役所移転が本格論議に?
 予算審議さなかの3月10日、自民党の市議団が分裂しました。大宮(中山・伊藤・高子を除く)と与野の議員8人が新たに自民真政を結成し、「清水与党」に転じました。
 分裂の兆候は、昨年6月議会で大宮区役所と大宮図書館の移転統廃合が審議された時、図書館やコンビニをめぐる入札疑惑を追及しようとした浦和・岩槻派の議員に対し、「せっかく大宮に予算が付くのだから多少のことには目をつぶるべき」と大宮・与野派の議員が反発した事件(2016年8月特別号参照)から顕著でした。
 大宮・与野派が独立した会派を結成したことで、これまで議会ではほとんど私だけしか表立って主張しなかった「新都心への市役所移転」が、本格的に論議されるようになるでしょう。
 自民真政の団長に就任した鶴崎議員は、大宮市議会を代表して「合併協定書」に調印した人です。鶴崎議員とともに上尾・伊奈を含めた「4市1町合併」を主張していた松本敏雄元議員が、現在はさいたま市自治会連合会会長として本庁舎整備審議会のメンバーになり、「合併協定書に基づいた新都心への市役所移転」の口火を切っています。
 2月20日の総合政策委での私の追及は、これらの動きに強力な追い風となるはずです。
大宮市旗を広げる松本、吉田、鶴崎市議 
09年1月、旧大宮市役所での委員会開催を
旧大宮市旗を広げて祝う。
(左から松本氏、私、鶴崎議員)
吉田一郎は、市長から支給される政務活動費(年間408万円)を受け取らずに活動しています。
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