2016年12月特別号 (1)
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12月議会
清水市長
3年連続ボーナスUP提案
議員・市長・職員で累計年問18億弱の負担増

 清水市長は12月議会で、議員と市長、職員の期末手当(ボーナス)を3年連続でアップする議案を提出し、審議されています。可決されれば、トータルで毎年約17億6500万円の財政負担増です。

議会で可決は年末でも
夏ボーナス増額も支給

 12月議会で審議されているボーナス増額案は、議員のボーナスを11万7千円増やして380万3千円に、市長のボーナスは19万5千円増やして、631万6千円にするものです。
 また、清水市長は職員のボーナス増額も提案しています。私は12月1日の本会議で、市の財政に及ぼす影響を問いただしました。

吉田一郎 現在と改定後の職員の平均年収は?
高見沢総務局長 現在は平均619万円。改定後は621万9000円。
吉田一郎 今回のボーナスアップで、年間の財政負担はいくら増えるのか。
高見沢総務局長 議員の分で705万5000円、市長など特別職で105万5000円、学校を除く職員で約5億3千万円。【動画で見る】

 審議が終了するのは12月22日の予定で、冬のボーナスは支給済みのはずですが、増額は遡って実施され、夏のボーナス増額分と合わせて追加支給されます。

市民の所得減に逆行し
12年で議員年収3割増

 議員や市長、職員のボーナス増額は、3年連続で実施されようとしています。
 12月7日の本会議で、3年前と比べていくら財政負担増になるのか質問したところ、議員(60人)2116・5万円、市長等371・2万円、職員17億4000万円で、合計17億6500万円と判明しました。
 14年度の議員ボーナス増額は、15年春の市議選を控えて自民・公明・民主・共産が「現職候補が批判されかねない」と判断し、廃案になりました。
 そして選挙後の6月議会で改めて議員のボーナス増額案が審議され、私と川村準議員(南区・無所属)の2人だけの反対で可決(共産党は退席)。自民党の提案で「実施日は議会で決める」となり、15年12月議会で2年分まとめて増額となったのです。
 今年7月に厚労省が発表した1世帯あたりの年間平均所得は541万9千円で、「アベノミクス」と言いながら、2年前と比べて4万7千円(0・87%)しか増えていません。
 過去に遡ると04年にさいたま市議会は、議員報酬を3割もアップしました。一方で、厚労省発表の世帯平均年間所得は、04年は580万4千円で、現在ではむしろ39万5千円減少しています。
 市民の暮らしに逆行した議員の年収アップには、私は反対です。

   ボーナス改定案で増える年収
●議員の年収
 1337.0万円 →1348.7万円
 (※政党・会派所属議員は別に政務活動費408万円)
●市長の年収
 2252.9万円 →2272.3万円
 (退職金は4年ごとに2904万円)
●副市長の年収
 1770.7万円 →1785.9万円

政務活動費使う議員が透明化に躊躇
領収書ネット公開先送りに
 議員には、報酬やボーナスの他に「議員活動の経費」として政務活動費が支給されています。
 さいたま市議会では04年に、自民・公明・民主・共産の議員がこぞって賛成して、それまでの年間240万円から408万円へ一挙に7割も増額されました(その後、無所属だけ240万円に減額)。
 私は07年の初当選以来、政務活動費を1円も受け取らずに活動しています。
 兵庫県議会の「号泣議員」や富山市議会での大量辞職事件など、政務活動費の不正が相次いでいます。
 さいたま市議会でも、昨年2月にチラシの郵送で切手代を二重請求した議員が、TBSの報道番組で特集されるなど、不適正な使用が続いています。
 昨年は私や川村議員が紹介議員となって、不正使用した議員の辞職や政党活動に使用した分の返還、海外視察への使用禁止など、改革を求める市民の請願を議会に提出しましたが、すべて否決されました。
 今年9月議会では「政務活動費の領収書のネット公開」を求める請願が提出されましたが、11月4日の本会議では、政務活動費を受け取っている自民・公明・民進・共産の議員によって、審議が先送りされました。

自宅PCで領収書閲覧
全国各地で相次ぎ実施

 さいたま市議会では、政務活動費を使用した議員や会派が提出する領収書は、市民に公開していますが、平日の日中に浦和の市役所まで行かなくてはならず、会社勤めの人は閲覧が不可能です。またコピーには1枚10円が必要です。
 領収書がインターネットで公開されれば、いつでも自宅のパソコンやスマホで調べることができ、政務活動費の透明性は格段に向上します。
 政党の議員たちは「ネット公開をするには、大量の領収書を職員がスキャンしなければならず、コストがかかる」と言っていますが、議員が領収書のコピーと一緒に、スキャンしたデータを提出すれば済む話です。
 領収書のネット公開は、大阪市や京都市、神戸市でなどでは実施され、今年度中に開始すると発表した議会も全国で相次いでいます。
 市民が領収書を簡単に閲覧できるようになると、不都合な議員が少なくないようですが、不正使用を防止するためにも、ネット公開は不可欠です。

 密室で決められる海外視察の人選
 公開の場で説明が実現へ
「議員特権」の1つが公費による海外視察です。政党・会派が議長応接室に集まって談合のように参加者を決定し、本会議で承認する時も、行き先や日程、参加者が記された資料は傍聴者に配られず、私は毎回「傍聴者にもわかるように、資料を読み上げてほしい」と議長に要求してきましたが、拒否され続けました。
 しかし今年6月から9月にかけて、私や川村議員が海外視察の討論(賛否の意見表明)や質疑(質問)を求める市民からの請願を相次いで提出したところ、10月に予定された韓国・水原市の視察では、本会議で質疑を行うことを自民党が提案。他会派からも異議は出ず、実施が決まりました。
 結局、水原市がドイツに「慰安婦像」を設置しようとしたため視察は中止になりましたが、今後は市民に公開された場で、海外視察の目的や人選、費用などを明らかにできるようになったことは大きな前進です。
政務活動費に関する請願の賛否一覧
2016年12月特別号(2)
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総合病院新築移転
「平成30年度末完成」は大丈夫?
現時点での進捗状況を確認しました
総合病院移転予定地の看板 老朽化が著しいさいたま北部医療センター(大宮総合病院)。私は09年2月16日のまちづくり委員会で、市に初めて「北区役所の北側に誘致する」と答弁させましたが、移転時期は延期が繰り返されました。
 今年3月2日の予算委員会で移転時期を問いただしたところ、市は「平成30年度末(=19年3月まで)を目途に移転するとの契約を結ぶことを提案している」と答弁し、現地に「平成30年度末完成予定」と明記した看板が立ちましたが、その後も工事が始まる様子はなく、「本当にあと2年少しで病院が建つのか?」と、住民の間で不安が広がっています。
 そこで私は12月6日の一般質問で改めて確認しました。

吉田一郎 新病院の設計はどこまで進んでいるのか。
藤原保健福祉局長 基本設計を行っている途中。
吉田一郎 着工はいつか。
藤原保健福祉局長 基本設計の後に実施設計を行い、申請手続きを経て、17年8月に着工する予定。
吉田一郎 果たして19年3月までにオープンできるのか。
藤原保健福祉局長 着工から約1年半で完成するので、平成30年度末までには開院できると聞いている。【動画で見る】

病院近くにバス停を
長山団地と共に提案

 新しい病院の正面玄関は、東側(ステラタウン側)に設置される予定です。
 近くにコミュニティバスの停留所がありますが、本数が多く通院の足として重要になるのは、大宮~上尾間の東武バスです。
 しかし、この路線は戦前から存在するため(当初は熊谷まで)、バス停の間隔が他の路線と比べて長くなっています。

吉田一郎 北区役所と宮原一丁目の間に、病院入口のバス停新設を東武バスに要望すべきだ。
中野都市局長 バス停は、バス会社が需要や交通状況などを考慮して設置するものだが、市民から要望を頂いたらバス会社に伝える。

 また赤芝~富士フィルム入口の間には県営長山団地があり、昔と比べて住民の高齢化が進んでいます。押ボタン信号があるマルエツ付近に、バス停新設を要望することも提案しました。

岩槻人形博物館の建築費増額で
「1つ目」だけで総額50億円近くに!?
 盆栽美術館に続いて岩槻人形博物館を建設しようする清水市長。12月議会では、設計・建築契約の議案が審議されましたが、建設費の総額を算定していないお粗末な実態が明るみになりました。
 岩槻人形博物館は、当初12年に着工しようとしていましたが、私の追及で「建設しても岩槻に新たな観光客は増えない」「毎年1億4千万円の赤字が出る」「展示品の人形はボロボロで、岩槻の人形は1つもない」などの実態が明らかになり、岩槻住民からも「人形業者の利権のためのハコモノだ」と反発が広がって、計画が無期延期になっていました。
 しかし清水市長は昨年、「オリンピックまでに建設する」と宣言。しかも岩槻城址公園周辺と岩槻区役所跡地の2ヵ所に建設すると言い出しました。
 今年6月の補正予算で、区役所跡地に17億3117万円かけて「1つ目の人形博物館」の設計と建築を行うことが可決されましたが、入札を実施したところ複数社の応募がなかったため、12月議会では設計・建築費を18億9300万円に増額し、再度入札を行う補正予算が審議されました。
 そこで私は12月1日の本会議で追及しました。

吉田一郎 用地や人形の購入、内装など、岩槻人形博物館の整備費はいくらか。
金子スポーツ文化局長 34億1100万円だが、展示設計や造作(内装)費は含まれていない。来年度に積算する予定。
吉田一郎 オリンピック期間中の来場者数と、そのうち外国人の見込みは。
金子スポーツ文化局長 算出する予定はない。【動画で見る】

岩槻と関係ない人形
大量購入求め大合唱

 市がかつて調査を委託した業者の試算では、内装費は12億円と見積もられていました。
 5月13日の開設準備委員会では「展示品の人形が足りず、浅原コレクションの購入を」「西洋人形が不足している」など、人形学者たちから更なる人形購入を迫る声があがり、岩槻とは関係ない人形を大量購入させようとしています。
 このままでは「1つ目の人形博物館」だけで50億円近い費用に膨らみそうです。
 また入札では、複数社の応募があったものの、1社を除いて辞退し、市が辞退した業者に聞き取りを行って、設計・建築費を増額した経緯も判明しました。
 来場者数の予測も立てないまま、オリンピックまでの建設を焦り、業者の言いなりになって予算を増やす清水市長のやり方は、まったくデタラメです。

日進駅南口ロータリー
バイクは東しか行けず
タクシーは西行だけに

一方通行の改善を提案
日進駅南口ロータリー 今年夏、日進駅南口の駅前広場が完成しましたが、「ロータリーの設計がおかしい」という声があがっています。
 七夕通りを挟んで西側にタクシー用、東側に一般車用のロータリーがありますが、一方通行が七夕通りの角から始まっているため、タクシーは西に、一般車は東にしか行けません。
 駅からタクシーでイオン(旧サティ)や特別支援学校、大成4丁目、北区役所など東へ行くには、いったん逆の西へ向かい、上加道踏切のセブンイレブンをまわって山水へ、遠回りをしなくてはなりません。
 また一般車が西へ行くには、いったん細い路地を東へ向かい、上尾街道踏切→セブンイレブンの信号→山水へ行くことになります。一般車ロータリーの横には市営駐輪場があり、西へ向かう自転車はそのまま広場を横切れますが、バイクは一般車同様に東へ遠回りしなくてはなりません。
 しかし現実には多くのバイクが「交通違反」をして広場を横切っています。
 そこで私は12月6日の一般質問で確認しました。

吉田一郎 タクシー乗り場から山水まで、自転車での距離とタクシーでの距離は。
中野都市局長 自転車は90㍍、タクシーは410㍍。
吉田一郎 駐輪場出口からタクシーロータリーまで、自転車での距離とバイクでの距離は。
中野都市局長 自転車では50㍍、バイクだと420㍍。
吉田一郎 一方通行を七夕通りの角からではなく、ロータリーの先から始まりにすれば、タクシーは東に出られるし、一般車や駐輪場のバイクは西に出られる。改善すべきだ。
中野都市局長 地元のまちづくり団体と協議し、将来の七夕通りの一方通行化を考え、警察と協議して決定したので、現状では変更は考えていない。【動画で見る】

一方通行のはずが逆向き停止線も 実際には、西にしか行けないはずのタクシー乗り場と七夕通りの角には、東へ向かう車のための停止線が引かれています。
 警察と再度きちんと協議すれば、一方通行のスタート地点をずらすことは可能なはずです。
 せっかく椅麗に整備された駅前広場です。タクシーやバイクなどを使う駅から離れた場所の利用者が、不便になるのでは困ります。
GoogleやYahoo!で「やっぱり大宮市民の会」と検索してくださいhttp://www.geocities.co.jp/WallStreet-Stock/9297/
2016年12月特別号(3)
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合併直前まで『大宮市史』の完結を!
新幹線開業など(高度経済成長や) 闇に葬られる栄光の歴史

 大宮市が発行した『大宮市史』は、大宮の歴史を知るうえで第一級の資料です。
 全5巻と資料編(3冊)、別巻(2冊)がありますが、記載されているのは旧石器時代から終戦(1945年)までで、現代資料編の『続大宮市史Ⅰ』も昭和42年(1967年)までの歴史しか触れていません。
 つまり、東口に西武デパートや高島屋が進出して埼玉県下随一の商業都市として発展した70年代や、新幹線(当初は大宮始発)や埼京線、ニューシャトルが開通し、西口再開発でそごうやDOM、ソニックシティが完成して面目を一新した80年代など、高度経済成長期の輝かしい大宮の歩みは、正史にまとめられておらず、きちんと知ることができません。
 同様に、『与野市史』は終戦まで、『岩槻市史』は昭和53年(1978年)までしか記載されていません。『浦和市史』は平成13年(2001年)に通史編4を発行し、合併直前までの浦和の歴史が網羅されています。

大宮市が意図した続編
さいたま市頑なに拒否

 大宮住民から『大宮市史』『与野市史』『岩槻市史』も、『浦和市史』のように合併直前までの歴史を完結させるよう求める請願が提出され、私は9月16日の総合政策委で問いただしました。

吉田一郎 旧4市の市史編さんで使っていた資料は、さいたま市に丸ごと移管したのか、それとも捨ててしまったのか。
アーカイブセンター室長 すべてアーカイブセンターで引き継いで保管している。
吉田一郎 合併前の大宮市は、昭和42年以降の『大宮市史』の現代版を作ろうとしていたのか。
アーカイブセンター室長 当時のことはわからないが、さいたま市で基本方針を考えるにあたって、旧市においてそれぞれ所期の目的を達成して完結に至っていると理解している。
吉田一郎 合併協定書に「市史編さんは合併後検討または継続して実施」と書いてある。「継続」とは、大宮市や与野市はその後の市史も作ろうと計画していたからで、完結して作る気がないのなら「継続して実施」という一文は盛り込まれなかったはずだ。
アーカイブセンター室長 「継続して実施」は、市史研究や資料双書という刊行物のことだと思う。

 実際には、『続大宮市史Ⅰ』という名称からもわかる通り、大宮市が67年以降の歴史を『続大宮市史Ⅱ』として発行しようとしていたことは明らかです。
 市史編さんの責任者であるアーカイブセンター室長が、『大宮市史』が完結していないことを理解していないとは問題です。

「新たな視点」と称した
歴史の捏造は許さない

大宮市史 さいたま市は2031年を目途に、『さいたま市史』の近現代版を刊行する予定ですが、これでは15年先まで高度経済成長期の大宮や、与野の戦後史は知ることができません。
 また、基本姿勢として「地域の歴史や、地域の特性の調査・分析にあたっては、さいたま市を1つの地域として新たな視点で捉える」を掲げていますが、合併協定書を無視して浦和の市役所を永久化し、「さいたま市の中心=浦和」を既成事実化させようとしている現状の下では、浦和中心の歴史観で大宮の歴史が触れられることになりそうです。
 そもそも中山道の宿場町で北足立郡の大宮・浦和と、城下町で南埼玉郡の岩槻は、数百年間にわたりほとんど関わりのない歴史を歩んできたのです。
 それを「1つの地域として新たな視点で捉える」のは、歴史の捏造です。
 合併直前までの歴史をきちんとまとめた浦和市の姿勢は立派ですが、合併直前までは歴史的な事実に即して『大宮市史』『与野市史』『岩槻市史』としてそれぞれの街の立場での歴史をまとめ、『さいたま市史』は基本的に合併以降を記載対象とすべきです。

「ビール飲み放題」の労組イベント
 今年から補助金停止に
 市はこれまで3つの労働団体に毎年200万円以上の補助金を出してきました。要綱の定めでは、補助金は①勤労者の福祉向上、②学習・研修・講座・スポーツ等の事業にしか使えないはずですが、要綱を無視してビール飲み放題や潮干狩り、東京ディズニーランドのファンパーティ等の娯楽イベント等に使われていたことが判明。私は補助金の見直しを求める請願を提出し、半年にわたって追及を続けました。
 その結果、11月18日の総合政策委では、市は今年度から要綱を改正し、補助金を使える事業と使えない事業を明確にすることや、飲食イベントへの使用は禁止することを発表しました。
 24日の総合政策委では、労働団体と密接な関係にある共産は「今となっては対象事業と「ビール飲み放題」の労組イベントしてふさわしいのかと問題提起されるのはあると思う」、民進も「補助金を受け取る団体はきちんと自律して、公金である補助金で公益的活動をしなくてはならないと肝に銘じるべき」と見直しに賛同。12月1日の本会議では、「補助金は見直されたので目的は達成済み」と請願は否決されましたが、市と労組の癒着にメスを入れたことは大きな成果です。【関連動画】

総合振興計画の昨年度実施状況
 自画自賛の自己評価
 清水市政は9月21日の総合政策委で、総合振興計画の実施状況の自己評価を発表。A評価(目標以上)が55項目、B評価(目標ほぼ達成)が139項目、C評価(目標未達成)が42項目という結果でした。
 しかしその評価方法については、おかしなケースが目立ちました。

岩槻への地下鉄延伸は
採算悪化が判明してA

 岩槻~浦和美園間の「地下鉄7号線延伸促進事業」は、浦和美園の定住人口が目標(534人増)よりも多かった(768人増)ことや、岩槻の交流人口(来客者数)が目標(47万1千人)を上回った(49万2千人)こと、岩槻~浦和美園に3459万円を投じて快速バスを運行し、「地域の魅力を高めた」ことで、A評価と自己採点しています。
 しかし、市が昨年7月に発表した地下鉄の採算予測調査では、費用対効果は11年度の調査より悪化し、採算が取れないことがはっきりしています。

吉田一郎 浦和美園も岩槻も、人口で目標を上回る数値を達成しても、地下鉄の採算予測は悪化するばかりということか。
東部地域鉄道戦略部副参事 地下鉄の建設費の高騰や、上野東京ラインの開通で、大宮経由の速達性が高まったのが要因。
吉田一郎 快速バスは1日何人乗ったのか。
東部地域鉄道戦略部副参事 8往復で1日あたり76人。

 バスはガラガラで需要が無く、地下鉄は採算が取れないとはっきりしたのなら、「地下鉄7号線延伸促進事業」はC評価のはずです。
 同様に「さいたまトリエンナーレの開催」は、5つのプレイベントを開催したので自己採点ではB評価ですが、2億1386万円をかけたプレイベントは、4970人の来場者しかなく、1人だけの日もあります。 実績からいえば、C評価以下のはずです。

納税者の視点を無視し
補助金予算消化を優先

 市は「商業活性化支援事業」として、商店街の販売促進や装飾に補助金を出しています。昨年度は目標80件(1834万円)に対して、交付は69件(1086万円)で、B評価でした。

吉田一郎 目標を下回ったことをどう捉えているのか。
総合振興課長 前年夏に各区の担当者が調査を行い予算要求したが、商店街の都合でできなかった。
吉田一郎 商店街の都合で「補助金をもらわなくても自分たちでやれたよ」と言うのなら、それが良いのでは。納税者からすれば、補助金は目標より少なければ少ないほどA評価のはずだ。

 「予算は全部使い切るのが素晴らしい」という役所の体質が、補助金の乱発につながっています。
『吉田一郎 市政レポート』のバックナンバーや、市議会での動画集が、インターネットでご覧になれます!
2016年12月特別号(4)
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平成27年度清水決算
自民・共産・川村準と
吉田一郎の反対で否決
11月4日本会議で吉田一郎が述べた反対理由(抜粋)
 2015年度の市の決算は、一般会計の実質収支が52億5703万円の黒字とはいえ、前年度より6億3000万円減少。市債の発行残高(市の借金)は、前年度より105億円増えて4548億円(市立病院や上下水道などを加えると7170億円)です。「3大イベント」に多額の税金を投じた清水市政を、自民・共産・私を含めた無所属2人が批判。決算は不認定(否決)となりました。【関連動画】

●赤字ハコモノと3大イベントに熱中する清水市政
「無駄なハコモノはもういらない」を掲げていたはずの清水市長は、赤字箱物作りに熱中しています。
 大宮盆栽美術館の昨年度の来場者数は、小中学生の社会科見学や視察、講座参加者を除くと5万6494人に過ぎず、収入2171万円に対して経費が1億7471万円と、1億5300万円もの大幅赤字を出しています。
さらに世界盆栽大会推進事業の2076万円を合わせると、1億7376万円もの市民の血税が盆栽に費やされています。
 このうえ市内にたった数軒の盆栽業者の後継者育成のために、多額の公費を投じて盆栽アカデミーを開設しようと画策することは、到底容認できません。
 清水市長は続けて岩槻人形博物館を建設しようと、昨年度は2342万円を費やし、展示品として購入した岩槻とはまったく関係ないボロボロの人形の修復や展示を行っています。岩槻人形博物館も年間来場者目標は7万人に過ぎず、収入2400万円に対して経費が1億6000万円と、盆栽美術館とほぼ同じ赤字が出ることが予測されていましたが、昨年度は「歴史的な岩槻の象徴である岩槻市役所の跡地には、岩槻区役所を再建してほしい」という岩槻住民の切実な声を無視して、「岩槻人形会館を2ヵ所建設する」という無謀な計画見直しを行い、赤字額はさらに膨大になります。
 ハコモノだけではありません。清水市政はたった1日の自転車レースのために2億8051万円も費やし、経済波及効果を宣伝しながら、市自ら「税収増加を見込むことはできない」と答弁している有様です。また昨年度は横浜が捨てた国際マラソン大会を拾ってきて、1億5014万円を投じて開催し、今年は予算を2億8026万円へ大幅アップしています。
 さいたまトリエンナーレと称する芸術祭では、昨年度は全部で4970人の来場者しかいなかった5つのプレイベントに、担当職員の人件糞を合わせると2億1386万円の経費をかけています。3年間で8億円と言われていたトリエンナーレも、人件費を含めると10億円以上に膨れ上がります。

●岩槻への地下鉄は断念し、「片柳ルート」の調査を
 地下鉄7号線の岩槻への延伸は、想定される建設費が900億円に跳ね上がり、費用対効果の指標(1以上が黒字)は0,9から0.78へ悪化しています。
 昨年度は地下鉄7号線延伸促進事業に1866万円、浦和美園岩槻地域間成長発展事業に5042万円を支出していますが、2月議会の質疑では、浦和美園と岩槻の副都心整備に、昨年度94億6600万円もの予算を投じたことも明らかになりました。
 東京都の豊洲市場への移転問題では、当初990億円と発表していた建設費が2752億円に「吉田プラン」直通特急電車跳ね上がりました。沿線開発を含めると3000億円と言われる岩槻への地下鉄延伸も、最終的にいくらに膨れ上がるかわかりません。開業後は毎年膨大な赤字負担が加わります。
 無謀な岩槻への地下鉄建設は、きっぱりと断念すべきです。1日片道27本のバスしか走っていない岩槻から浦和美園方面へのルートよりも、1日片道411本ものバスが走る大宮から片柳・浦和美園方面へのルートの方が、需要が見込めることは火を見るよりも明らかであり、地下鉄延伸は「片柳ルート」の調査に本格的に取り組むべきです。
 私がかねてから提案して来た東武野田線と伊勢崎線の直通運転、いわゆる「吉田プラン」がいよいよ実現します。東武は来年3月から、浅草~大宮間に特急アーバンパークライナーの運転開始を発表しました。岩槻から東京都心まで電車1本で結ばれるようになり、地下鉄7号線の岩槻延伸は完全に破綻しました。
 特別料金不要の直通電車を一日中走らせることや、野田線と同じ規格の車両に交換される地下鉄日比谷線への乗り入れを積極的に働きかけ、「吉田プラン」を基本に据えた岩槻の街づくりを進めるべきです。
 私が9年前から提案し続けてきた、首都高大宮線の宮前町までの先行整備が、宮前町の少し先の上尾南まで国の新規事業として採用され、11年後に開通することになりました。市はさんざ「整備するなら圏央道まで」と言い続けてきましたが、結局は現実的な「第2吉田プラン」に基づいて、すでに用地が確保されている区間を先に開通させて、新大宮バイパスはじめ大宮西部の渋滞緩和を図ることにしたのは賢明です。
 引き続き国に対して事業主体は首都高とすることや、三橋交差点の立体交差化を要望すべきです。

●移転・縮小のうえ、利便性も無視した新大宮区役所
 清水市長は大宮区役所を大宮図書館と統廃合し、図書館を3割縮小したうえに、市民会館南側へ移転しようとしています。
 武蔵浦和駅前の南区役所が10階建てで、上り下りのエスカレーターがあるのに対して、街外れに移転させられる大宮区役所は6階建てと小さく、住民説明会では、かつて30年以上市会議員を務めた大宮区自治会連合会会長の松本敏雄氏から「なぜ高層にしなかった」「下りのエスカレーターも付けてくれと8割の住民が要望したのに、なぜ付けない」と激しい怒りの追及が行われています。浦和の区役所は豪華に建てる一方で、大宮の区役所は住民の利便性を全く無視することは許せません。
 実質0円で49階建ての新庁舎を建設した豊島区方式が注目を集めていますが、大宮区役所も思い切った高層ビルに計画を変更し、上層部は供給不足が深刻なオフィスとして貸し出し、大宮没落の象徴ではなく、大宮のシンボルとなる庁舎とすべきです。30年前にJACK大宮を建設した大宮市の智慧を、まったく生かそうともしない清水市政は愚の骨頂です。

●120倍の予算格差を開き直る清水市政は「大宮の敵」
 結局のところ、大宮には予算を投入しようとしないのが清水市政の本質です。合併以来、昨年度までの15年間に投じた市街地再開発予算の累計額は、浦和514億円に対して大宮たったの8億円、これに湘南新宿ラインを浦和駅に停車させるための立体高架化事業を含めると、浦和と大宮の予算格差はなんと120倍にも達しています。しかし、清水市政は2月議会で、この非人道的な格差を「地域偏在がなく、バランスが取れている」と開き直るに至りました。
 このような我が国の自治体合併史上最悪の搾取と略奪を続けるのならば、まさに清水市政は「大宮の敵」です。さいたま市は浦和への一極集中を改め、タッチソーン方式を導入し、大宮・浦和・与野・岩槻の財布をきっちり分け、大宮の税収は大宮で使い、大宮のことは大宮で決める仕組みを作るべきです。

無所属議員には質問させない!?
会派の横暴に「奇策」で対抗
 私は9年前に議員になってから、自分自身の考えを主張し、自分自身の判断で賛否を決めるために、政党や会派には所属せず、無所属で活動しています。
 自民・公明・民進・共産など各会派は、本会議で無所属議員の発言を禁止していましたが、私は「すべての議員が発言できる議会を!」を掲げて、署名運動や、議員をいったん辞職しての補欠選挙(09年)など、住民の皆さんの力を借りながら、発言権を獲得してきました。
 しかし9月議会では、決算審査の総括質疑について、「無所属議員には質問させない」という申し合わせを、各会派が画策。私は川村準議員(無所属・南区)とあの手この手で対抗し、総括質疑を認めさせました。【関連動画】

●法的根拠なく「無所属に質問させない」と強行採決
 決算審査は、これまで決算特別委と企業会計予算決算特別委(市立病院と上下水道)で、吉田一郎議員分野別に質問日を設け、課長や局長が答弁していましたが、今年は共産が「総括質疑も実施しよう」と提案しました。
 総括質疑とは、決算全体に関して質問し、最高責任者である市長や副市長が答弁する制度です。
 清水与党の民進は反発しましたが、自民と無所属2人も賛成し、実施が決定。質問時間は私が所属する企業会計予算決算特別委では委員1人あたリ2分、川村議員が所属する決算特別委では3分になりました。
 しかし、各会派は「総括質疑を行うのは会派のみ」という申し合わせを画策。私は企業会計予算決算特別委で「法的根拠がない申し合わせは、すべての委員が同意しない限り成立しないはずだ」と抗議して撤回させましたが、9月20日の決算特別委では川村議員の抗議を無視して、熊谷裕人委員長(民進・大宮区)が申し合わせを強行採決で決めるという暴挙に出ました。

●2週間だけ「無所属・無党派」を結成して質問
 そこで私と川村議員は、翌21日に無所属・無党派(略して無所属)という会派を結成し、とりあえず総括質疑の時間を確保。
 さらに26日の議会運営委で、私が「『この委員には質問させない』と多数決で決めるのは、おかしい」と問題提起したところ、青羽健仁代表理事(自民・浦和区)も、「委員会で時間制限は多数決で決められても、委員の質問禁止は決められない」と同調。民進・公明・共産の委員は誰ひとり反論できず、今後は無所属議員も総括質疑を行えることが確定しました。
 こうして、私と川村議員がそれぞれ総括質疑を行ったところで、無所属・無党派は10月5日に解散。もとの無所属に戻りました。

●問題意識が異なれば、会派結成は無理
 会派に所属すると、議案や請願に対する賛否は、原則として一致させなくてはなりません。
 政党の方針に従うだけの議員はそれで良いのでしょうが、政党に所属しない私や川村議員は、一致できるところでは共闘できても、問題意識は異なります。
 今回の決算審査でも、川村議員は相川前市長の著書を片手に「相川氏がお元気なうちに、武蔵浦和に新幹線ホームの建設実現を」と、浦和へのさらなる予算投入を訴えています。これでは会派を組めるはずはありません。
吉田一郎は、市長から支給される政務活動費(年間408万円)を受け取らずに活動しています。

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