2016年11月特別号 (1)
2面   3面   4面
地下鉄7号線
需要があるのは岩槻より大宮
「片柳ルート」の採算調査を提案しました
 沿線開発を含めると3千億円とも言われる岩槻~浦和美園の地下鉄建設計画。市が行った調査でも、採算が取れないという結果が出たにも関わらず、清水市長は17年度に建設に着手しようとしています。一方で、旧大宮市の地下鉄計画は、10倍以上の需要があるにも関わらず、調査もせずに放棄されようとしています。

旧大宮市の構想を変え
田んぼ通る新都心経由

 さいたま市には2つの鉄道建設計画があります。1つは岩槻~浦和美園の地下鉄で、もう合併後偏向されたルート1つは大宮~新都心~浦和美園(東西交通大宮ルート)です。
 8月26日の小委員会で、国が行った採算予測が報告されました。B/C(費用便益比。1以上は経済的効率性あり)は1・1で、岩槻への地下鉄建設(0・78を上回ったものの、採算は「発散=永久に黒字にならない」という結果でした。
 大宮~新都心は京浜東北線があり、新都心~浦和美園は見沼田んぼの真ん中で、沿線人口はほぼゼロ。見沼田んぼは開発が禁止されているので、ニュータウン建設も見込めません。
 これでは採算が取れなくて当たり前です。
 旧大宮市は大宮~浦和美園の地下鉄建設を要望し、大宮駅東口広場には「大宮に地下鉄を!」の巨大看板が立っていました。
 00年の国の答申には、大宮から埼玉スタジアムまで新都心を通らないルート(片柳経由)が描かれていましたが、合併後いつの間にか新都心経由になり、建設するのは地下鉄からLRT(次世代型路面電車)に変わりました。

大宮~片柳はバス限界
1日片道で411本も

 現在、大宮駅から片柳経由で浦和美園へ行くバスは、1時間に1~2本ですが、浦和学院や大谷県営住宅、東新井団地、自治医大など、途中までの路線を合わせると、片柳方面への本数は多く、朝はバスが数珠つなぎに走っています。
 そこで私は9月13日の一般質問で確かめました。

吉田一郎 大宮駅から片柳・浦和美園方面と、岩槻駅から目白大学・浦和美園方面のバスの本数は、平日それぞれ1日片道何本走っているのか。
中野都市局長 大宮駅からは411本、岩槻駅からは27本。
吉田一郎 バスの本数が10倍以上あるのだから、片柳経由で採算予測を立ててみるべきだ。
中野都市局長 東西交通大宮ルートは、特定のルート決定には至っていないので、今後さまざまな可能性を含めて検討を深めていきたい。【動画で見る】

 1日にバスが27本しかない(=それだけしか需要がない)岩槻へは数千億円を投じて地下鉄を建設し、411本もバスが走る大宮への地下鉄は放棄するのでは、狂気の沙汰です。
 東西交通大宮ルートは新都心経由ではなく、沿線人口が多くバス輸送が限界に達している片柳経由で詳しい調査を行うべきです。
 そして採算が取れるという結果が出たら、地下鉄建設は、岩槻ではなく大宮に変更すべきです。

浦和の市役所
50億円近くかけて耐震化工事
法的根拠無視して新都心への移転延期
 01年のさいたま市発足にあたり、大宮市と与野市、浦和市が調印した合併協定書では、さいたま新都心周辺に市役所を建設すると明記されました。
 浦和の市役所は耐震診断で危険という結果が出ましたが、清水市長は浦和の市役所を今後も使い続けようと、38億8800万円の耐震化工事契約を議会に提案しました。
 耐震化工事が完成するのは3年後ですが、浦和の市役所は、そろそろ建物の寿命が来そうです。
 10月20日の本会議では、かつて大宮市議会を代表して合併協定書に調印した鶴崎敏康議員(自民・見沼区)が、「大宮区役所は耐震補強せずに、取り壊して移転することにした。それなら浦和の市役所も大きな金額をかけて耐震補強するよりも、新都心に新しい市役所を建てるべきだと、市民が思うのは当然だ」と言いつつ、耐震化後の耐用年数を問いただしたところ、原財政局長は「耐震化で建物の耐用年数が延びるわけではない。完了後の耐用年数は、あと17年(2036年まで)」と答えました。

吉田一郎 6年前の本会議で私が質問した時は、「耐用年数は2026年までで、その時点で新市役所建設に着手する」と答弁していた。耐震化で耐用年数が10年延びるじゃないか。
原財政局長 税法上の耐用年数は50年なので、「2026年まで」と答えた。
吉田一郎 では、「2036年まで」には、どういう法的裏付けがあるのか。
原財政局長 明確な法的な根拠があるわけではない。
吉田一郎 法に基づいた耐用年数は、あくまで2026年までということか。
原財政局長 ご指摘の通り。
吉田一郎 それ以上延ばすのは、法とは関係なく「浦和の市役所をもっと使いたい」という清水市長の政治的判断なのか!?【動画で見る】

私の追及に、清水市長は答弁に立てず、代わって高橋都市戦略本部長が「本庁舎整備審議会の答申を踏まえて、検討する」と言い訳するだけでした。

新都心の市役所建設
審議会は有名無実に

 合併協定書には、新市役所建設のための審議会を「速やかに設置する」と明記されています。
 しかし、市は合併後も審議会を設置しようとせず、12年にようやく設置しましたが、4年経っても「市役所の具体的な建設場所」は論議すらされていません。
 そこで私は9月13日の一般質問で追及しました。

吉田一郎 一体いつ答申が出るのか。
高橋都市戦略本部長 あとどのくらいかかるかは、聞いていない。
吉田一郎 他の市ではどのくらいで答申が出たのか。
高橋都市戦略本部長 川口市では2年4ヵ月、横浜市では3年8ヵ月。【動画で見る

 5月に市内で開かれた集会に出席した橋下徹元大阪市長は「私だったら、1年以内に答申が出なければ発狂する」と呆れています。
 工事契約に加え、仮配置棟の建設(7億8千万円)や工事に伴う引っ越し費用などを含めると、浦和の市役所の耐震化には総額50億円近い税金が使われます。
 合併協定書で定められた審議会を有名無実化し、法的な耐用年数も無視して、浦和に市役所を置き続け、「さいたま市の中心は浦和」を既成事実化して予算や公共施設を集中し、浦和住民の歓心を買おうとする清水市長の姿勢は許せません。
2016年11月特別号(2)
1面   2面   3面   4面
与野の区役所のSL解体
JRの言いなりに「待った!」
 国鉄で蒸気機関車(SL)が廃止になった70年代、全国の自治体で、公共施設や公園にSLを展示する動きが広がりました。
 大宮市では、鉄道工場で最後まで働いていたC12を、市民会館横の山丸公園(当初は市役所前)に展示しています。
一方、国鉄大宮操車場の大部分があった与野市では、9600形の機関車を市役所(現:中央区役所)前に展示していますが、さいたま市は老朽化が進んでいることを理由に、解体撤去を決定。
 SLの保存を求める市民グループから解体差し止めを求める請願が提出され、9月12日の総合政策委で審議されました。

吉田一郎 1972年に与野市が機関車を譲り受けたというが、譲渡なのか貸与なのか。所有者は?
中央区役所総務課長 所有者は旧国鉄→JRで、貸与されていたが、今年6月13日に市に寄贈された。
吉田一郎 JRの所有物なら、市が補助金を出すにしても、解体費用はJRの負担のはずだが、なぜ解体する直前に市に所有権を移したのか。
中央区役所総務課長 市が解体にするには、市の財産にしなくてはならない。
吉田一郎 機関車が市の所有物になったのなら、解体後の部品や鉄くずも市の所有物だが、売却収入はいくらを見込んでいるのか。
中央区長 JRが指定する価値のある部品は譲渡対象外で、JRや鉄道博物館で活用することになっている。
吉田一郎 解体する業者はどこなのか。
中央区役所総務課長 JR東日本の子会社。
吉田一郎 どうやって業者を選んだのか。
中央区役所総務課長 1社での随意契約。【動画で見る】

部品が欲しいJRが
解体促して随意契約

 そもそも市が解体を決定した経緯は、JRに機関車を診断してもらい「地震が来たら崩壊する恐れがあり危険」「修復して保存を続けるなら4900万円かかる」と言われたことです。
解体された与野の蒸気機関車 JRの子会社と契約した解体費用は1235万円(周辺工事を合わせて1765万円)ですが、他の業者に解体させた自治体では大幅に安く済んでおり、山形県酒田市では770万円でした。
 JRが持って行く「価値ある部品」とは、シリンダの安全弁や空気圧縮機、油ポンプ弁など、走行部や機関部の部品です。
 JRは観光目的で走らせるSLを動態保存していますが、将来の部品交換に備えて、各地で展示してある機関車の検査をもちかけて、解体を請け負い、部品を確保しているかのようです。
 私の追及を見ていた自民党議員からも、JRの言いなりの解体契約に疑問の声が挙がり、解体差し止めを求める請願を趣旨採択しようという動きもありましたが、与野選出の議員全員(自民2、民進・公明・共産各1)が中央区役所に頼まれて、請願提出後に慌てて、機関車の解体を認めてナンバープレートの保存を求める要望書を出していたことが判明。
 結局、請願は無所属だけの賛成で否決され、機関車は解体されました。

大宮の蒸気機関車は
有志の協力で保存を

 全国各地の自治体で展示されている機関車も老朽化が進み、解体の話が出ていますが、多くは市民ボランティアなどが修復・保全を行うことで解体中止になっています。
 大宮の蒸気機関車も近い将来、解体の話が出そうですが、鉄道の町・大宮のシンボルとして保存できるように提案をしていきます。

道路から生える木の安全対策
その場しのぎの対応は許さない

 宮原駅周辺や盆栽町、高鼻町などで、道路の中から木が生えている場所が61ヵ所あります。古い桜や松の木などで、地元以外の人が夜間に車で通ると驚いてしまい、3年前には宮原4丁目で、トラックがぶつかる事故も起きました。
きちんと対応された木 うち3ヵ所では、周辺の住民が木に反射板を取り付けて車に注意を促していますが、他の個所でも市が反射板を設置するなどの対策を!という市民の請願を、私が紹介議員になって6月に議会へ提出しました。 すると市は7月、慌てて58ヵ所の木に反射テープを巻き、「すべて対処した」と8月3日のまちづくり委員会で報告。9月8日の本会議では、自民・公明・民進・共産はこれ以上の対策は不必要だと、請願は否決されました。
 しかし、私が現場を確認したところ、アルミホイルのような細いテープを巻いただけで、車のライトで夜間に照らしても全く反射しないことが判明。
 市民から「きちんとした対策」を求める請願が再び提出されると、市は木に黄色い反射テープを巻き直し、縁石にも新しい反射板を取り付けました。
 市民からの要望に、市が素早く対処したのは良いのですが、形だけ取り繕って誤魔化すことがないよう、厳しく監視することも重要です。【関連動画】

●ふるさと納税は実質収入ゼロで9億円近い税収減
 自分の好きな自治体に寄付をすると、御礼の品がもらえるという「ふるさと納税」。そのコストについて、9月8日の本会議で問いただしました。【関連動画】

吉田一郎 昨年度のふるさと納税の収入と、それに要した御礼の品などの経費、職員の人件費コストは?
原財政局長 寄付金は327件987万7736円、御礼の品などの経費は177万8020円、人件費は担当職員0.5人分で411万円と見積もっている。【動画で見る

 ところが、私はさいたま市が昨年度のふるさと納税の収入を、総務省には「275件578万7161円」と報告していたことを発見。経費は議会での答弁と変わらず、人件費を含めると差し引き10万円の赤字です。私は11月4日の本会議で、清水市政が「ふるさと納税は実質収入ゼロ」という実態を隠すために、嘘の答弁で誤魔化そうとしたことを暴露しました。
 海産物や和牛などの特産品がない都市部の自治体にとって、ふるさと納税は損失を招いています。市民が他の自治体へ寄付して、さいたま市の税収減は8億9239万4310円。こんな制度は廃止すべきです。

実態調査せず生活保護世帯に水道代を二重支給
 さいたま市では生活保護世帯に対して、水道基本料と下水道料金全額の無料サービスを実施しています。
 しかし無料の自治体は、水道は県内では他に上尾だけ、全国20の政令市では5市だけです。下水道は県内で他になく、政令市も仙台しかありません。
 生活保護世帯には毎月、水道光熱費(生活扶助第2類)が支給されています。そこで私は10月7日の企業会計予算決算特別委で問いただしました。

吉田一郎 なぜ下水道料金をタダにしているのか。
下水道総務課長 生活困窮者に健康で文化的な生活を営む一助とするため。
吉田一郎 では、県内の他の自治体の生活保護受給者は、健康で文化的な生活を営めていないのか。
下水道総務課長 そういう判断ではない。
吉田一郎 生活保護の受給者には水道代が毎月支給されているのに、水道代をタダにしたら、懐に入れてしまうことになる。一体何に使えと言うのか。
営業課長 個々の生活実態までは把握していない。【動画で見る】

 水道と下水道で、昨年度は総額2億3799万円の料金を免除しましたが、生活保護受給者の急増で、免除総額は10年間で4倍に増えています。
 その一方で、下水道は過去10年間に3回の値上げを繰り返し、料金は2倍以上になりました。
 生活困窮者に対する減免は必要ですが、4人家族で月28万4670円(昨年度30代夫婦+小学生2人の場合)支給され、税金や医療費等が無料という生活保護世帯に、実態を調べないまま水道代を二重支給していては、料金を負担する市民がバカみたいです。

ニューシャトル市営駐輪場有料化で、問題点続々
 清水市政がニューシャトル各駅で始めたコミニュティサイクルの赤字を補うために、市営駐輪場をコンサル会社に任せて有料化し1年。利用者の方から、有料化後のシステムの問題点が寄せられています。
①月の途中で定期を申し込むと、月末までで1か月分の料金を取られる→他の駅の市営駐輪場のように、月の途中から申し込むと10日以降なら3分の2、20日以降なら3分の1の料金で月末まで利用できる仕組みにするよう、申し入れました。
②JR駅などでSuicaを交換すると、定期情報が消える→大宮駅西口の市営駐輪場で手続さをしなければならないのは不便です。ニューシャトルと提携して各駅で手続きできるように提案しました。
 一時預かりの料金は、他の駅が1日90~120円なのに比べて10時間ごとに100円と高く、利用者が激減。アテが外れたコンサル会社は来年1月まで「24時間100円」に値下げしていますが、私は値下げ期間をもっと延長するよう要求しています。【関連動画】
GoogleやYahoo!で「やっぱり大宮市民の会」と検索してくださいhttp://www.geocities.co.jp/WallStreet-Stock/9297/
2016年11月特別号(3)
1面   2面   3面   4面
教員向けHPにトンデモ指導
さいたま市=浦和
市議会で追及したところ
教育委員会が謝罪し削除

 市内の小学生が、郷土の様子や歴史を学ぶ社会科副読本が、『わたしたちのさいたま市』です。
わたしたちのうらわ 私は10年9月の決算審査で、社会科副読本の内容が浦和の紹介ばかりに偏っていたことを追及。
 そして「大宮の子どもたちに、大宮を教える教科書を!」と呼びかけて集めた1517筆の署名を、教育委員会に提出する一方で、『日本教育新聞』に「郷土学習を後退させるな」と題した私のインタビュー記事が掲載され、さいたま市の「教科書問題」が全国に波紋を広げた結果、翌年から副読本が改訂され、大宮に関する記述を拡大させることができました。
 ところが今年になっても、市立教育研究所の教員向けHPに掲載されている「授業で使えるコンテンツ・地域教材」では、「わたしたちのさいたま」をクリックすると、「わたしたちのうらわ」と題したページが出現していました。
 合併前の浦和市が作成したHPがそのまま残っているかのようにも見えますが、「旧浦和」などの表記もあり、合併後に更新されていたことは明らかです。
一方で大宮や与野、岩槻について授業で教えるための資料は一切ありません。
 そこで私は9月13日の一般質問で、教育委員会を徹底追及しました。

吉田一郎 さいたま市の正体は、浦和市なのか。
村瀬副教育長 合併当時、学校が総合的な学習で活用できるよう、当時の浦和の特色を表したものだが、それがなぜか整理されないままHPに残っていた。大変申し訳ございません。
吉田一郎 浦和の子どもたち向けに、浦和を紹介するHPがあるのは良いが、なぜ大宮や岩槻、与野を紹介するHPはないのか。
村瀬副教育長 合併時のことなので、当時のことをわかる人間がもういない。【動画で見る】

 私の追及後、教育委員会は慌てて「授業で使えるコンテンツ・地域教材」のコーナーを閉鎖しました。
 そして「今後、現在の副読本も活用しながら、新しい内容に更新していきたい」と言っていますが、合併から15年間、市内の教員が「わたしたちのさいたま=浦和」という指導内容に誰ひとり疑問を抱かなかった、もしくは誰ひとり「授業で使えるコンテンツ」を閲覧しなかったというのも問題です。

吉田一郎が反対した議案【関連動画】
■一般会計及び特別会計決算 《4面参照》
■水道事業会計決算■下水道事業会計決算 《2面参照》
■農業委員の選出方法変更
 大宮、浦和・与野、岩槻の3地区で農家が選挙で選出していた委員を、市長の任命に変更し、地区ごとの委員数の配分は考慮しないことに。大宮の農業の課題は、大宮選出の委員で審議すべきです。
■地区計画区域内の建築物制限条例の改正
「良好な環境の街づくり」のために、郊外地区などで風俗店の建築を禁止する条例。現実には、商業ビルやマンションとして建築された建物内で風俗店が営業していて、いわばザル法。
■市道の認定
 西大宮駅南口の駅前通りの予定地を、まだ家が立ち退いていないのに市道に認定。このままカーナビ等に登録されたら危険です。また旧大宮市の計画では、駅前通りは自衛隊通りや旧16号までつなげるはずなのに、整備は遅々として進まず、完成は何十年先かわかりません。浦和美園との予算格差が酷すぎます。
■浦和市役所耐震補強工事 《1面参照》
■中高一貫校(大宮西高)整備・維持管理・運営契約
■PFI事業の抜本的再構築を求める付帯決議
 大宮に中高一貫校を開校する構想には賛成ですが、建築と校舎完成後18年間の維持管理や運営を業者(浦和土建グループ)に任せるという内容。業者選定をめぐる疑惑で議会が紛糾したほか、給食の食材は教育委員会が購入し、調理は業者が行うのでは、食中毒発生時の責任が曖昧になりかねません。
■同一労働同一賃金実現に向けた取組を求める意見書
 年功序列型賃金を崩壊させ、20代と子供が高校・大学に通う50代の給与が同額になれば、少子化が進みます。
■無年金者等の対策を国に求める意見書
 「年金が少ない人に月5千円を増額」という内容で、無年金者の対策になっていません。また財源確保を理由に、消費税を10%に引き上げることには反対。
■駅ホームの事故防止策への支援拡充を求める意見書
 盲人の転落防止のために、全国の駅ホームに設置すると、6兆5100万円かかります。「盲人への声かけ推進」の方が効果的です。
■商業振興条例の改正
「繁華街」の定義が、南銀座通りのみか大宮東口一帯か、はたまた浦和西口も含むのかが曖昧です。


  ヨーロッパ野菜にまたも多額の補助金投入
 さいたま市では、岩槻の農家11軒が栽培するビーツ、ズッキーニ、黒キャベツなどのヨーロッパ野菜を、特産品として売り出そうとしています。
 2月議会では販路開拓に280万円、PRによるブランド化推進事業に952万円などの補助金交付が審議されましたが、9月議会で清水市長は「産地パワーアップ事業」と称して、ビニールハウスや農機具導入に3417万円の補助金を追加することを提案しました。
 そこで私は9月8日の本会議で質問しました。

吉田一郎 補助の対象となる農家は何軒で、どこで何を作っているのか。
井上経済局長 当然岩槻で、品目は小松菜5軒とヨーロッパ野菜4軒。【動画で見る】

 ヨーロッパ野菜の販売先は、ほとんどがイタリア料理店やフランス料理店で、昨年の売り上げは3149万円に過ぎません。売り上げを上回る多額の税金を投入する「補助金漬け農政」は、国を滅ぼします。2016年9月議会の会派別議案賛否一覧表
『吉田一郎 市政レポート』のバックナンバーや、市議会での動画集が、インターネットでご覧になれます!
2016年11月特別号(4)
1面   2面   3面   4面
人件費膨らみ10億円以上に
バカ殿まつり(トリエンナーレ)」に駆り出される職員
残業時間は「過労死ライン」の1・5倍超
 「まるでバカ殿まつりのような芸術祭」と批判していたトリエンナーレが始まりました。9月議会では担当の市職員が、国が定めた「過労死ライン」を大幅に上回る残業を強いられている実態が判明。人件費を含めた開催費用は、10億円を大幅に上回ることが明らかになりました。
 清水市政はこれまで、トリエンナーレ開催費用は3年間で約8億円、そのうち昨年度に実施したプレイベントでは、1億2千万円を使ったと説明してきました。
 しかしこの費用には、担当職員の人件費は含まれていません。私は9月8日の本会議で確認しました。

吉田一郎 プレイベント全体の総来場者数は?
金子スポーツ文化局長 5件のプレイベントの総来場者数は4970人。
吉田一郎 人件費込みで、昨年度いくら使ったのか。
金子スポーツ文化局長 総決算額は1億1150万7000円。担当職員10人の人件費は1億0235万5000円で、合計2億1386万2000円。【動画で見る】

人事委員会の勧告も
清水市長耳を貸さず

 市職員の平均年収は昨年度718万3千円ですが、トリエンナーレ担当の職員は1千万円を超えています。一体なぜでしょう?
 10月7日の決算特別委では、高子景議員(自民・見沼区)の追及で担当職員の残業時間が、昨年度は1人あたり月平均102時間、今年度は担当職員を3人増やしたものの、1~9月は月平均126時間に達したことが明らかになりました。
 厚労省の通達では、「過労死」と判定される基準は、月平均80時間以上の残業が2~6か月続くことです。
 電通の女性社員が過労自殺した事件では、月105時間の残業をさせられていたことで労災認定され、強制捜査が入りました。
 さいたま市では、人事委員会が9月15日、職員の残業問題で清水市長に、「イベント事業のスクラップ(中止)」などを含む是正勧告を行っていたにも関わらず、放置されていたのです。
 10月20日の総合政策委で、私は各会場の開館時間繰り上げを提案し、自民党も賛同。総合政策委として①外部への業務委託の追加、②開館時間の短縮、③職員を強制的に帰宅させる…の3点を清水市長に要求することになりました。
 翌21日の本会議で、清水市長は「総合政策委から指摘されたことは、しっかりと対応して実行する」と回答。その後、清水市長はトリエンナーレ担当職員を23人(兼任を含む)に増員し、午後8時までに帰宅させると発表しました。

ズサンな契約内容で
職員深夜チラシ発送

 職員の残業が増えた背景には、業者との契約の問題があります。
 市はトリエンナーレ全体の采配を振るう総合責任者(ディレクター)として、芹沢高志氏を迎えていますが、同時に芹沢氏が経営する会社は、トリエンナーレの企画・管理などで今年度8130万円の業務を請け負っています。
 契約金額がすでに決まっているのなら、できるだけ仕事は市職員にやらせ、自分の会社が担当する分は減らそうと考えるものです。
 11月2日の総合政策委で、芹沢氏を参考人招致して追及したところ、規約では「総合責任者」となっているのに、芹沢氏自身は「全体ではなく実行委主催の企画だけ担当」「全体の責任者から、現場の監督に変った」と考えていたことが判明。
 また契約に違反して、一部の業務を無断で下請け(再委託)に出していたことも明らかになりました。
 トリエンナーレの広報・宣伝や各種手配、各会場の運営などは、凸版印刷に約3億円で委託していますが、私が職員の残業簿を確認したところ、市職員が連日午前0時頃まで、「広報物発送業務」などで残業していることを発見しました。

吉田一郎 広報業務は凸版印刷に委託しているのに、なぜ市職員が夜中までチラシの袋詰めをしているのか。
文化振興課長 チラシの制作は委託したが、発送は契約しなかったので、職員が行った。

 公務員に夜中まで残業させたら、時給3千円くらいかかります。まったくお粗末な契約です。

 浦和会場の展示作品はこれだけ!?
 吉田一郎が落書きした空き瓶
 浦和駅西口(旧中山道沿い)のアートステーション会場には、動画の放映とビンが4本展示してあるだけですが、実はこれ、私が酔っ払って落書きした焼酎の空きビンなのです。
 この会場を担当したアーティストは、「バカ殿まつり=トリエンナーレは税金の無駄」という私の演説をネットで閲覧して感動。トリエンナーレ浦和会場の展示品また私がジャーナリストとして世界各地の飛び地に関する本を執筆していることを知り、「吉田一郎の演説=芸術」だと、会場で私の動画を流し、「トリエンナーレ会場に、トリエンナーレ反対運動の『飛び地』を出現させる」という企画を考えました。しかし市側が強硬に反対したため断念せざるを得ず、別の動画を流すことになりました。
 その後、知人の紹介で私とアーティストが酒を飲む機会があり、その時に落書きした空きビンが「アート」として本当に出展されているのです。しかしトリエンナーレの会場に作品の解説はないので、一体どんな意味を持つビンなのか見る人にはわかりません。11月4日の本会議で、私はビンの正体を自ら暴露。「アーティストの感性は素晴らしいと思うが、こんなビンを展示するために、巨額の市民の税金を費やす必要があるのか!?」と批判したところ、トリエンナーレを推進している議員も、呆気にとられるばかりでした。【動画で見る】

自転車レースは残業月167時間
3大イベントで今年15億円!?

 清水市長肝いりのイベントで、職員が残業させられているのはトリエンナーレだけではありません。
 私はクリテリウム(自転車レース)や国際マラソンを担当するスポーツイベント課の職員が、昨年9月は1人平均128時間、10月は167時間もの残業をしていた資料を入手。10月21日の本会議で緊急質問を行いました。

吉田一郎 この数字を市長は認識しているのか。
清水市長 把握している。
吉田一郎 今年はどんな対策をとったのか。
清水市長 年々流れをつかみ、昨年と今年はコースも同じなので、(職員の)定員はこのままと判断した。
吉田一郎 担当職員を増やさないで、今年の残業の状況はどうなのか。
清水市長 昨年よりは減少していると認識している。【動画で見る】

 実際には、今年9月のスポーツイベント課職員の平均残業時間は140時間で、昨年より悪化しているのに、清水市長は現場の状況を全く理解していません。
 私は「3つのイベントを同じ時期にやるのは無理だから、まず1つをやめたらどうか」と提案しました。

自共反対し決算不認定
イベント市政は転換を

吉田一郎 1年前、トリエンナーレの開催を批判していたのは、私と川村議員の無所属2人だけでした。
 しかしズサンな計画や膨らみ続ける予算に、自民や共産も反発。9月議会では、昨年度の決算認定が否決され、「清水市政の税金の使い方」を議会が認めない事態になりました。
 職員の残業が過大になれば、市民の負担になります。
 清水市長は今年度、クリテリウムに2億8574万円、国際マラソン大会に2億8026万円、トリエンナーレに6億2488万円の予算を計上しましたが、担当職員の人件費を含めると、3つのイベント開催に今年だけで15億円近くが費やされることになりそうです。
 幹線道路に歩道がないなど都市基盤整備をおろそかにして、市長の趣味としか言えない享楽的なイベント開催に熱中する清水市政は、異常そのものです。
吉田一郎は、市長から支給される政務活動費(年間408万円)を受け取らずに活動しています。

HOME | TOP| 市政レポート一覧
inserted by FC2 system