2015年10月特別号 (1)
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移転統合で3割縮小に
大宮図書館が危ない
業者に運営任せ、他市では郷土資料を廃棄

 さいたま市は相川前市長の時、浦和に蔵書収容数70万冊の中央図書館を開館しました。一方で清水市長は、大宮図書館を区役所と統廃合して、市民会館南側へ移転し、面積を3割縮小。民間業者に運営を任せる指定管理者制度を導入しようとしています。

縮小を誤魔化すために
図書館でコンサート?

 清水市長は9月議会で、大宮区役所と大宮図書館を統廃合して移転するための補正予算案を提出しました。
 この計画では、大宮図書館の面積は3割縮小します。9月3日の本会議で、教育委員会を追及しました。

吉田一郎 大宮図書館の移転で、床面積はどうなるのか。市内図書館での順位は。
村瀬副教育長 現在3521㎡。移転後は文化機能を有するふれあいスペースが1600㎡、開架や閲覧室・書庫など図書館機能の部分が2400㎡で、計4000㎡なので、移転前も後も中央図書館に次いで2位。
吉田一郎 ふれあいスペースは区役所のイベントでも使うスペースのはずだ。図書館の専有面積では何位から何位になるのか。
村瀬副教育長 ふれあいスペースは図書館と一括して教育委員会が管理するので、同じ土俵でないというのが奇異に感じる。

 しかし昨年12月に、大宮区役所の移転説明会で配布した資料では、ふれあいスペースは「コンサートやイベント開催」「市民団体の打ち合わせやビジネス利用」ができる場所として、写真付きで紹介されています。
 9月17日の予算委員会で改めて問いただしました。

吉田一郎 図書館でコンサートをやるのか。
区政推進室 勉強している図書館利用者に音が聞こえないよう配慮を、指定管理者に考えてもらう。
吉田一郎 図書館で市民団体がミーティングするのか。
区政推進室 現在の大宮区役所で各団体が打ち合わせをしているが、継続した形で使えるようにしたい。

 実際には、大宮図書館の面積は3割縮小することで、大宮西部、北浦和、桜、与野図書館より狭くなり、2位から6位に転落します。
 しかし清水市政は、プラザノースのホールやセミナールームのような有料部分まで「図書館の一部だ」と言い張り、大宮図書館の縮小を誤魔化そうとしています。

業者が図書館を運営
全国的に問題が噴出

 大宮図書館の移転に際して、清水市政は指定管理者制度を導入し、図書館の運営を20年契約で業者に任せようとしています。
 指定管理者制度を導入した市では、「売れ残りの古い本が大量購入された」「タイの風俗店案内が蔵書に入った」などの問題が相次ぎ、愛知県小牧市では10月4日の住民投票で、指定管理者制度が否決されました。
 大宮図書館は市内で唯一、戦前からある図書館で、郷土資料、旧大宮市の行政資料、明治以来の新聞バックナンバーが置かれています。
 8年前に中央図書館が開館した際、市はこれらの貴重な歴史史料を浦和へ移そうとしましたが、大宮住民から抗議の声が巻き起こり、大宮図書館に残しました。
 9月3日の本会議で教育委員会を追及したところ、「大宮図書館の史料は、そのまま新しい図書館に移す予定」と答弁していますが、実際には蔵書の選定は民間業者に委ねられます。
 指定管理者制度を導入した佐賀県武雄市の図書館では、郷土資料や新聞縮刷版など5506点の史料が、「貸出実績が少ない」を理由に廃棄されました。
 さいたま市教育委員会は昨年策定した『図書館ビジョン』で、「指定管理者の導入は行わないことが望ましい」と答申していましたが、業者と手を組みたい清水市長の意向に屈した形です。
※      ※      ※
 清水市長は「公共施設マネジメント計画」を策定し、公共施設の統廃合や縮小を進めようとしています。
 大宮図書館の区役所との統合や3割縮小もその一環ですが、一方で岩槻人形会館は2つ建設すると宣言するなど、支離滅裂です。
 大宮の歴史的な文化拠点である大宮図書館は、区役所と統合せずに「大宮の中央図書館」として拡充を図るべきで、蔵書選定を民間業者に委ねてはなりません。
市が配布した資料の写真市が配布した資料の写真

住民の怒りの声相次ぎ
ニューシャトル各駅の市営駐輪場
有料化が1ヵ月延期に
 市は10月から、ニューシャトル各駅の市営駐輪場を有料化すると発表しました。
 しかし料金は、他の市営駐輪場は1日単位なのに、10時間毎の料金設定で、ゲート式(Suica使用、要事前登録)が100円、ラック式(現金払い、登録不要)は150円と高額です。
 私は9月8日の一般質問で、この点を追及しました。

吉田一郎ニューシャトルの市営駐輪場が有料化するが、料金が他駅より高い。
関都市局長 市内各駅の駐輪場利用者の公平性を確保するため、10月1日から有料化し民営駐輪場にする予定。10時間毎の料金としたが、他駅の駐輪料金と比べて一概に高額とは言えない。
吉田一郎 10時間以上では200~300円になる。他駅の市営駐輪場は1日停めて110~120円だ。
関都市局長 市営・民営さまざまな料金体系があり、他と比べて高いと思わない。

 「公平性のための有料化」と言いながら、他駅と比べ2~3倍の料金を取り、「高くない」と開き直る姿勢は許せません。

住民を犠牲にして
駐輪場が利権に?

 ニューシャトルの市営駐輪場が有料化し、料金が他より高くなるのは、コンサル会社に経営を委ねて、「民営駐輪場」にするからです。
 「自転車のまちづくり」をウリにしたい清水市長は、3億2574万円の税金を投じて、10月24日に自転車レース「ツール・ド・フランス」を開催しますが、もう1つ力を入れているのが「コミュニティサイクル」です。
 市内各駅で貸自転車を始めて、「外来者に便利」とアピールするのですが、経営はコンサル会社任せです。
 しかし、ニューシャトルの駅前では、採算が取れるほど利用者はいません。
 そこで市営駐輪場の経営を、抱き合わせでコンサル会社に移し、駐輪場の収入でコミュニティサイクルの赤字を埋めて、利益を上げようというからくりです。
 つまり、コンサル会社の利益のために、住民が犠牲になるのです。
※      ※      ※
 私が8月特別号でこの問題を掲載したところ、市の担当部署(自転車まちづくり推進課)やコンサル会社に抗議が寄せられ、有料化実施は11月まで延期になり、今後の料金の再検討も行われているようです。
 業者との癒着を放置しておけば、将来はJR各駅の市営駐輪場も「コミュニティサイクルの拡大」でコンサル会社に経営が移り、料金が値上げされかねません。
10月中は無料です駐輪場に関する問合せは
℡0120-29-6761
コミュニティサイクル運営本部
吉田一郎市政報告会 11月3日(祝) 14:00~16:00 プラザノース第3セミナールーム(入場無料)
2015年10月特別号(2)
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血税投入17.4億円
旧大宮市が購入した特養老人ホーム用地
清水市政はグラウンドゴルフ場に転用
 高齢化社会を迎えて、介護施設の不足が深刻な問題です。安倍首相は9月24日の記者会見で、16年度から特別養護老人ホーム(特養)の大幅な増設を発表しましたが、さいたま市ではそれに逆行して、旧大宮市が特養建設用に購入した土地が、グラウンドゴルフ場に化けようとしています

 9月議会で清水市長は、西区宝来の市有地を、2億4095万円かけてグランドゴルフ場に整備する補正予算案を提出しました。
 もともとこの市有地は、92年に旧大宮市が購入したもので、金利を含め15億円の税金を投じています。
 旧大宮市の購入目的は「高齢者福祉施設の建設」で、特養(100床)のほか、ショートステイ施設(20床)、ケアハウス(50床)や、デイサービスセンターを建設する計画でした。
 そこで私は9月17日の予算委員会で追及しました。

吉田一郎 旧大宮市民として「高齢者のための施設を作ります」と15億円の土地を購入したのに、なぜグラウンドゴルフ場になるのか。
高齢福祉課(宮原メディカルセンター南側にあった)特養の原殿園が、宝来の隣接地に移転拡充して、敬寿園宝来ホームができたから。
吉田一郎 原殿園が移転して、定員はどれだけ増えたのか。
高齢福祉課 定員50人が120人になった。
吉田一郎 170人分の施設を作ろうとしていたのに、結局70人しか増えないで、計画をやめるのか!?

試合の後にひと風呂
西楽園閉鎖で不可能

 市が予算委に提出した資料によると、グラウンドゴルフの愛好者は1530人で、市内にはプレイ可能な広場や公園が少なくとも24ヵ所あります。
 しかし愛好者団体から「専用のゴルフコースがほしい」「西楽園の近くで、試合の後にお風呂に入りたい」という要望が出て、市は特養予定地をグラウンドゴルフ場に転用するのです。
 ところが今年4月、西浦和に大浴場を併設した桜環境センターがオープンしたことで、清水市政は西楽園を数年後に閉鎖しようとしています。
 西楽園への無料送迎バスが利用できず、風呂にも入れなくなり、交通不便なグラウンドゴルフ場は、大会以外ではほとんど使用されなくなりかねません。
 また当初6000万円と見積もっていたグラウンドの整備費用は、4倍に跳ね上がってしまいました。
 私は9月24日の予算委で「特養老人ホームを建てるためにと、旧大宮市民の血税15億円を使って購入した土地を、1530人の愛好者のために、1人あたり100万円プレゼントするような形でグラウンドゴルフ場に転用するのはおかしい」と批判。
 そして市内で特養の入所待ちをしている高齢者は1907人に上ることを指摘し、特養の建設こそ必要なはずだと訴えました。
 旧大宮市の未来を見据えた高齢者福祉の計画を、台無しにするようなさいたま市のやり方は許せません。
閉鎖される予定の西楽園閉鎖される予定の西楽園

災害情報を市HPに
避難勧告が市民に伝わらず
 9月の台風18号による豪雨では、茨城県の鬼怒川で堤防が決壊し、大きな被害が出ました。
 さいたま市でも泰平小や春里中などで授業が打ち切りになり、岩槻を中心に家屋への浸水被害が出ました。
 そんななか、ある市民の方から私に「さいたま市のHPに災害情報が出ていない。他の市のHPでは被害状況が具体的に載っているのに」という通報が寄せられました。
 さっそく確認してみたところ、HPの下の方に小さく災害情報へのリンクがありましたが、「道路冠水58ヵ所」と書かれていても、具体的にどこの道路が冠水しているのか記載がなく、しかも半日前の発表でした。
 また市は9月9日から10日にかけて、7地区に避難勧告を出し、大砂土小や大成小など避難場所11ヵ所を開設しましたが、実際に避難した人はゼロでした。
 それもそのはず、市のHPで避難勧告の具体的な情報を目立つように掲載していないのでは、市民に伝わりません。
 勧告を出した地区では、防災無線を流したようですが、豪雨で雨戸を閉め切っていたら住民に聴こえるとは限らず、通勤などで外出している市民には、自宅に避難勧告が発令されていることが伝わりません。
 9月11日の総合政策委では、危機管理センターを訪れて、大雨の被害状況の報告を受けました。
 そこで私は「市のHPの目立つ場所に、具体的な被害状況をリアルタイムで掲載すべきだ」「避難勧告を発令したら、すぐに市のHPで告知すべきだ」と提案。
 高見沢総務局長に「ご指摘はもっともなので、改善する」と約束させることができました。

浦和への一極集中で
岩槻の被害は「不明」

 今回の大雨で、新たな問題が浮き彫りになりました。「災害対策の浦和への一極集中」です。
 危機管理センターでは、各区の被害状況を聞きましたが、岩槻区に関しては「徳力地区で床上浸水があったが、戸数は不明」との報告でした。
 合併前の旧岩槻市なら、浸水常襲地区には職員が急行して、被害状況を把握していたはずです。
 東日本大震災では、「平成の大合併」で町役場や村役場が無くなった地区での津波被害がなかなか把握できず、合併による弊害だと指摘されていました。
 私は「岩槻の隅の被害状況まで、浦和では即座に把握できないから、各区役所でも担当責任者の下で、危機管理体制を定めて、連携すべきだ」と提案しました。
 浦和には県が11年に危機管理防災センターを建設しましたが、さいたま市も昨年12月に、約4億円かけて浦和に危機管理センターを
開設しました。旧大宮市が自治医大横に建設した防災センターは、ヘリポートがあるにも関わらず、活かされないままです。
 県の防災拠点が浦和なら、市は大宮に設置して、防災拠点の分散を図るべきです。

火葬場への指定管理者導入
「市民葬」実施を提案
葬儀不要のニーズに応え
蕨では3万円強で利用可
 最近のお葬式では、通夜や告別式をせずに、近親者が火葬に立ち会うだけの「直葬」が増えています。NHKの報道では、首都圏では葬儀の2割が直葬になっています。
 直葬のメリットは費用が安いことですが、さいたま市では火葬場の使用は必ず葬祭業者を通じて申し込むことになっているので、20万円近くかかります。
 しかし他の自治体では、市が葬祭業者と提携して「市民葬」というプランを提供しています。例えば蕨市では、霊柩車と火葬、骨壷、祭壇がセットで3万4162円(税込)です。
 清水市長は6月議会で、浦和斎場と市営霊園に指定管理者制度を導入し、民間業者に経営を任せる議案を提出しました。
 そこで、私は6月11日の本会議で、指定管理者制度の導入で市民へのメリットについて問いただしました。

吉田一郎 立川市は指定管理者と提携して市民葬を実施しているが、本市で実施する意向はあるのか。
山本保健福祉局長 現時点で指定管理者に市民葬を実施させる考えはない。ただし葬祭事業のあり方については、多方面から様々な状況を注視していきたい。

 結局、各政党からも「住民にとってもメリットが見えない」という声が多く、6月議会では結論が出ないまま継続審議となりました。
 9月9日の本会議でようやく指定管理者制度の導入が採決されることになり、私は火葬場については「市民葬を導入しないのでは、市民にメリットがない」と反対しましたが、自民・公明・民主が賛成して可決。
 市営霊園については、民間業者に経営を任せることで、遠方や海外に居住している遺族のために、墓の清掃や墓参を代行して、写真を送り報告するサービスが可能になるという清水市長の提案に賛同しましたが、私以外の議員が全員反対して否決されました。
 市長が提出した議案に、私1人が反対したことは、これまで無数にありますが、私1人だけが賛成したケースは初めてです。
GoogleやYahoo!で「やっぱり大宮市民の会」と検索してくださいhttp://www.geocities.co.jp/WallStreet-Stock/9297/
2015年10月特別号(3)
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企業へ補助乱発にメス
捻じ曲げられた企業誘致補助金
市内の引っ越しにも最高10億円を支給
 さいたま市では企業誘致のために、他市から市内へ本社や研究所を移した企業に補助金を出しています。本社が増えれば法人市民税など税収が増え、雇用も増えますが、私の追及で、実際には市内から市内へ本社を移しただけでも、補助金を出していることが明るみになりました

 問題の補助金は「さいたま市産業立地促進補助金」で、製造技術や情報通信など8分野の企業が、さいたま市に従業員500人以上の本社や研究所を移した場合、1社につき最高10億円の補助金を交付するという制度です。
 しかし、9月14日の総合政策委で追及したところ、補助金を交付した30社のうち、約半数の14社は市内から市内へ引っ越しだったことが判明しました。

吉田一郎 市内から市内へ本社を移しただけでも、補助を出すのか。
商工観光部長 市外の企業を誘致する場合、これまで本市の財政に貢献した市内企業をどうするかと考え、敢えて市内で事業を継続する企業にも同様の支援をするのが望ましいとなった。
吉田一郎 よそから企業を誘致するなら税収が増える。しかし市内から市内に移った企業に補助金を出しても、税収は増えない。
商工観光部長 市内の企業へは、今のところ新たに本社機能や研究開発機能を拡張する場合にのみ、補助を出している。
吉田一郎 拡張と言うのは、面積や従業員数が何%増えたとか、具体的な基準はあるのか。
商工観光部長 基準はないが、内容を判断している。
吉田一郎 ようするに、引っ越しで本社に商品開発の部署が増えたが、実は同時にリストラもやって従業員数は減っている場合でも、「拡張した」と認めて補助金を出しているのか。
商工観光部長 業務拡張として今までなかったものがどう加わったのかを見て、補助決定している。

 本来、企業誘致で税収を増やすための補助金だったはずが、「市内の企業に不公平だから」と言う理由で、市内での引っ越しにも補助を出すようになり、目的を外れているようです。
「不公平」と言うのなら、従業員500人未満の企業の引っ越しには補助が出ないのも不公平…とキリがありません。
 私は「あくまでさいたま市の税収がどれだけ増えるかで、中小企業も含めて、補助金交付に明確な基準を設けるべきだ」と提案し、執行部も「今後、政策見直しの中で、専門家の意見を聞きながら検討していく」と答えていました。
 10億円といえば、大宮盆栽美術館の建設費に匹敵する巨額の税金です。
 私は今後もおかしな補助金の乱発について、調査を進めていきます。

税金滞納の分割納付
過酷すぎる取立てを追及
 市民税や国保税を滞納すると延滞金がかかりますが、一括して払えなければ分割納付ができ、やむを得ない事情の場合には、延滞金の減免制度もあります。
 しかし、滞納者に無理な納付を迫っているという話があり、9月11日の総合政策委で問いただしました。

吉田一郎 無資産の市民に、月収の2倍の分納額を迫るなんてことがあるのか。
収納対策課長 納税猶予制度では、1年間で完納すれば延滞金の減額ができるので、結果的に月収の2倍になる形になる。ひょっとして蓄えや親族からの援助があるかも知れない。
吉田一郎 収入に対して最大何割まで取り立てるという基準はあるのか。
収納対策課長 基本的に給与の差し押さえでは、収入から各種税金や社会保険料を控除して、生活保障費として本人は10万円、家族は4万5000円×人数、それと予備費として20%を残した額が基準。
吉田一郎 最長どのくらいの分納を認めるのか。
収納対策課長 税法上の時効が5年間なので、5年以内に何とかしてもらう。
吉田一郎 納税期限を5年間過ぎても払わなかったら時効になるが、市と分納の協議を結べば、5年以上かけて納付しても時効にならないはずだ。
収納対策課長 ご指摘の通り、文書で誓約書を交わした場合は、時効が伸びる。

 納税は市民の義務ですから、滞納はきちんと回収するのが当然とはいえ、何か滞納者には曖昧なことを言って無理な納付を迫っているようです。一方で9月3日の本会議では、私の追及で市は昨年度、生活保護の不正受給者に最長763ヵ月間もの分割返済を認めたことが判明しました。
 私は14日の総合政策委で「生活保護の不正受給は犯罪なのに警察に届けず、利子も取らずに63年間かけて返済という、現実的には返さなくていいような分割を認め、税金の滞納は延滞金を取ったうえに、1年以内に完納しろと無理を言うのでは、まるで働いて納税する人がバカを見る」と批判。
 滞納者には柔軟な対応で、納付の分割方法を協議するように求めました。

●不親切な納税催告書の封筒を改めさせました
 税金の納入期限が近づくと、催告書が送られてきます。しかしさいたま市の場合、催告書の入った封筒には何も記載がなく、差出人すら書いていません。これでは何の手紙かわからないので、9月14日の総合政策委で問いただしました。

吉田一郎 なぜ差出人もなければ、「納税期限が近づいています」とか書かれていないのか。怪文書みたいだ。
債権整理推進部長 事務コストを図るため、区役所の収納課と債権回収課の封筒を、業者委託で一括して作成し発送している。差出元は封筒の穴あき部分に記載している。
吉田一郎 こんな小さな字では読めない。封筒に差出部署をスタンプで押すようにしたらどうか。
債権整理推進部長 ご指摘の通り、封筒に表示がなければ差出人がわかりづらく、怪文書かと誤認されないように、改善に向けて対応を進める。

 コスト削減とはいえ、不親切なやり方は見直すべきです。

●市議会で何を審議していたのか、永久に公開を
 さいたま市議会のHPでは、2001年の合併以降の本会議や委員会の会議録が公開されています。
 一方で、市長が提出した議案の中身は市のHPに掲載されていますが、過去5年分しか掲載されていません。これでは過去の審議のやり取りは確認できても、議員が一体何を審議していたかはわからず、会議録を公開する意味がありません。私は9月14日の総合政策委で追及しました。

吉田一郎 なせ会議録のように永久に公開しないのか。
総務部長 議案書は、紙媒体は30年間保存しているが、HPではコンテンツの見やすさから5年間の掲載としている。しかし市議会のHPでは合併以来の会議録を公開していることは認識しており、今後は文書の保存年限と合わせて、HPに掲載する情報を拡充したいと思う。

 私の追及後、総務局はさっそくHPで6年前の議案を公開しましたが、それ以前の議案も早急に公開すべきです。

●圏央道関通で大宮も高速道路網に接続を
 圏央道 圏央道の桶川北本IC~白岡菖蒲ICが10月31日に開通し、東北道や関越道、中央道、東名道が一本で結ばれます。
 大宮は新幹線など鉄道の要衝ですが、高速道路網との接続は不十分です。新大宮バイパスの宮前町から西上尾を通り、桶川北本ICまでの上尾道路が今年度中に開通する予定ですが、高速道路がなければ効果は半減です。
 私は07年12月の建設水道委員会で、首都高埼玉大宮線の北への延長に積極的に取り組むべきだと提案。09年に市と国、県、首都高、東日本高速の検討会が発足し、12年には首都高の中期経営計画で、埼玉大宮線の北伸が「広域的なネットワーク整備」の1つとして盛り込まれました。
 6月17日の一般質問で、その後の進展を問いただしました。

吉田一郎 首都高埼玉大宮線の圏央道との接続について、国との最新の協議状況はどうか。
本橋建設局長 市長と知事が昨年6月と今年6月に太田国交相へ要望し、埼玉県中央地域渋滞ボトルネック検討ワーキンググループが設立された。
吉田一郎 宮前町までは40年前からすでに用地が確保してあるが、暫定開通させたらどうか。
本橋建設局長 圏央道まで全線の事業化が重要と思う。

 上尾道路は上尾と桶川の境の湿地帯で、植物保護をめぐって環境団体と調整がつかず、開通が大幅に遅れたうえ当面は片道1車線となります。高速道路は目途が立っていません。
 せっかくその気になった首都高に着手させ、大宮西部の渋滞を早急に解消するためにも、すぐに建設が可能な与野~宮前町を先に開通させることが必要です。
『吉田一郎 市政レポート』のバックナンバーや、市議会での動画集が、インターネットでご覧になれます!
2015年10月特別号(4)
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清水市長が
無謀な計画

岩槻人形会館を2つ建設
建設や運営コストは考えず、岩槻区役所も2つに!?
 「無駄なハコモノはもういらない!」を公約にしていたはずなのに、岩槻人形会館の建設に熱中している清水市長。5年前に私の追及でズサンな計画の実態が明るみになり、着工が延期されていましたが、「東京オリンピックまでに建設する」と宣言し、9月議会に調査費を提出しました。ところがその内容は、「人形会館を2つ建設する」というものでした。

展示品に岩槻人形なし
呆れた中身で着工延期

岩槻人形会館の建設予定地 岩槻人形会館は、05年に岩槻市が合併した際、相川前市長が岩槻人形協同組合の要望に応じて、約40億円で建設を計画しました。
 相川前市長は人形組合に1900万円の補助金を出して人形1720体を購入。
 続いて清水市長は岩槻城址公園近くの土地を12億円で購入し、建設反対は私など無所属3人だけでした。
 当初は10年度の開館を目指していましたが、予定地で遺跡が見つかり、発掘調査で着工が遅れました。
 さらに10年秋に私の追及で「人形会館を建設しても、岩槻への観光客は増えない」「毎年1億4000万円の赤字が出る」「展示用に購入した人形の多くはボロボロで、修復が必要」「展示品に岩槻人形が1つもない」など、ズサンな実態が次々と明るみになりました。
 また人形組合が「展示品の数が足りないので、他の人形コレクションを揃えてほしい」と、市に数億円の人形購入を要求していることも判明し、岩槻住民の間から「人形屋の利権のための人形会館なんかいらない」という反発の声が高まって、着工は無期延期になっていました。

住民意向で場所変更?
副市長の根回しを暴露

 清水市長は今年になって「オリンピックまでに岩槻人形会館を建設する」と言い出し、9月議会で調査費3156万円の補正予算案を提出しようとしました。
 建設場所は岩槻区役所跡地に変更するというものでしたが、議会側は「岩槻城址公園周辺からなぜ変更するのか、説明がない」と反発。9月2日の本会議で清水市長の説明と、3日にそれに対する質疑が行われました。
 清水市長は変更の理由を「旧岩槻区役所跡地利用検討委員会で、変更を求める意見が多数を占めたので、それを尊重して決定した」と説明していましたが、私が検討委員会の会議録を調べたところ、委員の間では「区役所跡地には区役所を!」という声が強かったことが判明しました。
会議録を手に副市長を追求会議録を手に副市長を追及

吉田一郎 14年1月の検討委員会で、委員の1人が『木下副市長が来て、人形会館は岩槻区役所跡地に変更したいと説明してきた』と発言し、他の委員から『市の方で流れが出来ているように感じる』という発言が出ている。
木下副市長 特定の委員に会って、そういう話をした記憶はない。
吉田一郎 斉藤委員の発言として会議録に載っている。
木下副市長 斉藤委員は人形組合の理事長で、場所は岩槻城址公園がいいか、区役所跡地がいいか、個人的な意見交換をした。

 清水市政は「区役所跡地には人形会館を」と、意図的に誘導していたのです。

区役所跡地は区役所を
住民の怒りに一旦撤回

 岩槻区役所は12年1月に、サティの撤退で経営破綻しかけた駅前再開発ビル(ワッツ)に移転しました。
 当時、岩槻住民から区役所移転反対の強い声が巻き起こり、3万7000人の反対署名が提出され、岩槻区の自治会長ほぼすべてが連名で提出した「移転の白紙撤回を求める請願」が議会で可決されました。
 このため、清水市政は当時「ワッツへの岩槻区役所移転は一時的なもので、将来は元の場所に岩槻区役所を戻す」と言っていました。
 しかし今回、区役所跡地に人形会館を建てたら、岩槻区役所は建てられません。
 清水市長は「跡地の北半分に人形会館を建て、南半分の駐車場(80台収容)に、将来区役所機能を移す」と説明しましたが、駐車場を潰したら観光客はどこに車を停めるのでしょう。

吉田一郎 区役所跡地の南側部分に区役所を建てたら、残りの駐車スペースは何台分なのか。
関都市局長 何台確保するかはまだ検討していない。
吉田一郎 人形会館に加えて区役所の駐車スペースも必要なのに、合わせて十数台しか停められないのか。
関都市局長 これで足りるのかは、今後検証したい。

 結局、清水市長の人形会館建設案は、岩槻住民の意向とはかけ離れた無責任なものであることが明らかになり、議会側は市長に岩槻住民の声を改めて聞くよう要望。清水市長は調査費計上をいったん断念しました。

城祉公園と区役所跡地
開き直って2ヵ所建設

 ところが清水市長は、10月1日に改めて調査費の補正予算を提出しました。
 その内容は、人形会館を区役所跡地(展示・収蔵コーナー)と岩槻城址公園近く(教育・普及・歴史コーナー)の2ヵ所に建設するというもので、調査費も7000万円に増額されました。
 開き直ったような清水市長の提案に対し、私は同日の本会議でさっそく追及しました。

吉田一郎 人形会館を2つ建てるという案は、岩槻住民の意向や要望に基づいたものなのか。
野間スポーツ文化局長 私たちで機能分割をした方が効果的だと考えた。

 また清水市長は、区役所跡地に区役所機能を含む行政サービス施設も同時に建設する一方で、ワッツの現岩槻区役所も残すと発表しました。
 つまり人形会館も岩槻区役所も、2つずつにするというのです。これでは建設費も運営コストも莫大な費用がかかるだけです。
 岩槻区役所はワッツに年間7000万円もの家賃を払って入居しています。
 16年度末に東武野田線と伊勢崎線の直通運転(吉田プラン)が実現し、岩槻駅と東京都心が一本で結ばれれば、岩槻駅前のワッツに大型テナントを誘致することが可能です。
 岩槻区役所の跡地には、住民の意向に沿って区役所を建設してワッツを引き払い、岩槻と関係ない人形を展示して赤字を生む人形会館は、計画中止すべきです。
 私は「新たな岩槻区役所の一角に郷土歴史コーナーを設けて、岩槻城や岩槻人形を紹介すればいい」と提案しています。

再開発ビル救済で移転した岩槻区役所
 旧岩槻市は106億円の税金を投入して、岩槻駅前に再開発ビル「ワッツ」を建設しました。
 しかしテナントのサティが撤退を表明。運営公社を救うために、さいたま市は27億4240万円を追加投入したうえ、岩槻区役所を入居させて年間7000万円の家賃を支払う再建案を09年12月議会に提出しました。
 私は「区役所移転の必要性は無い」「パチンコ店を入居させてでも自主的な再建を図るべきだ」と反対しましたが、全会派が賛成して可決されました。
 ところが岩槻住民の間から「岩槻区役所は明治18年に役場が置かれて以来、岩槻の中心地であり、シンボルだ」という怒りの声が沸き起こり、自治会長ほぼ全員が署名して「移転白紙撤回を求める請願」が議会に提出されると、自民・公明・共産も「移転反対」に立場を転じ、10年6月議会で請願が可決されたのです。

「年間赤字1億4000万円」が大幅増に
 ハコモノは赤字が心配です。私は9月3日の本会議で盆栽美術館と人形会館の収支を質問しました。

吉田一郎 昨年度の大宮盆栽美術館の収入と人件費を含んだ経費、そして赤字額は。
野間スポーツ文化局長 収入が1736万1450円、経費は1億5986万7825円で、差し引き1億4250万6375円。
吉田一郎 岩槻人形会館の年間入場者数とその内訳、収入と人件費を含んだ経費の予測は。
野間スポーツ文化局長 平成22年の(仮称)岩槻人形会館管理運営計画では、来場者数は年間目標7万人。収入は年間2400万円、人件費を含んだ経費は1億6000万円を見込んでいる。しかし今回、建設地の拡充に伴い、再算出が必要になると考えている。

 つまり岩槻人形会館は、大宮盆栽美術館とほぼ同じ1億4000万円の赤字が予測されていましたが、人形会館を2つ建てれば、赤字は大幅に増加します。
吉田一郎は、市長から支給される政務活動費(年間408万円)を受け取らずに活動しています。

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