2015年8月特別号 (1)
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1戸あたり100万円超
武蔵浦和マンションに補助追加8億2604万円
2月に続いて6月も公金投入。割安価格に豪華賞品つけ販売

 震災の復興やオリンピックの開催決定などで、建設費が高騰しています。
 清水市長は6月の補正予算で、武蔵浦和第三街区の市街地再開発で建設中のマンション(770戸)に、5億2604万円の補助金を出すことを提案しました。


 このマンションは予約販売を始めています。私が浦和の住民から入手したチラシによれば、武蔵浦和駅とデッキで直結する至近距離で、販売価格は3LDKが4100万円と割安です。
 モデルルームの見学者には「東京湾ヘリコプター・クルーズ」や「北陸新幹線で金沢の旅」が当たるキャンペーンを実施しています。
 そこで私は6月11日の本会議で、チラシを手に問いただしました。

吉田一郎 このマンションの販売状況はどうなのか。
関都市局長 販売担当者が実績を公表していないので、把握していない。
【動画で見る】

チラシを示す吉田議員 実はこのマンションには、2月の補正予算でも3億円の補助を出しています。
 マンションが売れず建築費は高騰し、再開発組合が破綻しそうだから補助を出すのならともかく、販売状況も把握せずに、特定のマンションに合計8億2604万円もの公金を追加投入するのは、大問題です。

武蔵浦和は鉄道の拠点?
大宮のことは眼中になし

 なぜ武蔵浦和のマンションばかりに補助を追加するのか、私は6月25日の予算委員会でも追及しました。

吉田一郎 市街地再開発は市内あちこちで行っているが、なぜ武蔵浦和第三街区ばかりに追加補助するのか。
浦和西部まちづくり事務所長 武蔵浦和は副都心として、埼京線と武蔵野線の結節点である利便を生かした市の重要な拠点であり、第三街区は都市計画道路と緑豊かなオープンスペースを作り、賑わいを生み出す建築物を整備する都市計画事業なので、補助の対象になった。

 北陸新幹線の開業で、東日本のターミナルとして重要性が高まった大宮駅周辺こそ、再開発を進めるべきなのに、さいたま市には大宮の整備など、まったく発想になく、これではまるで「浦和市の答弁」です。
 私は7月3日の本会議で、武蔵浦和の特定のマンションばかりに補助金を追加する清水市政を批判。
 「建設費が高騰したのなら、販売価格を100万円ずつ上げればいいわけで、税金は他に使うべきところがあるはずだ」と補正予算に反対しました。

6月議会
大宮には予算追加ほとんどなし
地下鉄建設めざし浦和東部に集中投入
 2月議会で可決された2015年度の清水予算は、都市開発が浦和102億円に対して大宮36億円、公共施設の整備予算が浦和101億円に対して大宮17億円と、ことごとく浦和に偏っていました。
 そして6月議会では、補正予算や価格高騰による建設費追加などが審議されましたが、大宮にはほとんど予算がつかない状態です。
 岩槻~武蔵浦和の地下鉄建設に力を入れる清水市長は、浦和美園など浦和東部(緑区)に予算を集中投入。今後も331億円で市立病院と高等看護学校を建て替え、土地提供など100億円以上かかると言われる順天堂大学病院も誘致するなど、浦和東部に巨額の予算が投じられそうです。
6月議会で審議された再開発・施設整備事業
【旧浦和市】 市役所仮配置棟建設 3億1029万円
武蔵浦和第三地区市街地再開発追加 5億2604万円
高等看護学校建設 7547万円
浦和美園新設中学基本計画作成 3602万円
浦和美園コミセン建設費追加 3227万円
浦和美園コミセン指定管理費 1807万円
緑消防署複合施設建設費追加 4699万円
消防指令センター建設費追加 536万円
【旧大宮市】 大宮区役所移転準備 2385万円


市役所はあと40年間も浦和に!?
耐震化口実に「できる限り使う」新棟を建設
 浦和駅東口や湘南新宿ラインを停めるためのホーム新設など、浦和駅周辺に1000億円以上投じたのに続き、武蔵浦和に浦和美園と、さいたま市が浦和の開発に予算を集中投入したり、公共施設を浦和に大量建設しているのは、市役所が浦和にあるからです。
 01年のさいたま市発足にあたり、大宮市と与野市、浦和市が調印した合併協定書では、市役所は旧3市の中間になる新都心周辺に建設すると明記されました。
 浦和の市役所は、新都心の市役所が完成するまで「当面の間」使用しているに過ぎません。しかし相川前市長も清水市長も、浦和住民の反発を恐れて市役所を浦和から動かそうとせず、「さいたま市の中心は浦和」が既成事実となりつつあります。
 浦和の市役所の建物は、大宮区役所(旧大宮市役所)より約10年新しいのですが、構造的に地震に弱く、耐震診断では危険という結果が出ています。
 それなら早急に、合併協定書に基づいて新都心に市役所を移転すべきですが、清水市長は市役所は浦和のままで耐震化を進め、第一弾として仮配置棟10億2000万円かけて建設。そのうち3億円の補正予算を6月議会に提出しました。
 そこで私は6月11日の本会議で、浦和の市役所を今後一体いつまで使い続けるのか問いただしました。

吉田一郎 浦和の市役所の耐震化には、総額いくらかかるのか。
阿部財政局長 約39億1000万円。
吉田一郎 仮配置棟の耐用年数は何年か。
阿部財政局長 一般的に20~40年。
吉田一郎 つまり合併協定書では「新都心に市役所建設」とあるが、あと20~40年は浦和の市役所を使い続けるつもりか。
阿部財政局長 できる限り使っていきたい。

 私は10年2月議会で、「新市役所はいつ建設するつもりか」と質問したことがあります。その時、清水市政は「15年後(=2025年)を目途に建設に着手する」と答弁していました。
 しかし、今回の答弁で、仮配置棟の完成(2018年)から20~40年間(=2038~2058年)まで浦和の市役所を使うことを意味します。
 そこで私は「5年前と答弁が違うが、方針を変えたのか」と追及しましたが、清水市政はウヤムヤにするだけでした。
 合併協定書には、新都心を候補地とした市役所建設のために、基金や審議会の設置などの準備を「速やかに」進めると明記されています。
 しかし、今後40年間も浦和の市役所を使うのなら、合併から半世紀以上も浦和中心の市政運営や予算集中が続くことになります。
 やはり、旧4市の財布を分け、大宮の税収は大宮で使う仕組みが不可欠です。


2015年8月特別号(2)
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盆栽美術館の客寄せに1千万円を投じて
外国人にSIMカードを違法配布

 「毎年15万~20万人の観光客が増える」という触れ込みで、5億円で購入した盆栽を展示するために、10億5千万円かけて建設した盆栽美術館。入場者は市民と観光客で3万5千人、小中学生の社会科見学などを合わせても5万人に過ぎず、年間1億6千万円以上の赤字が続いています。清水市政は外国人観光客を誘致しようと、来場した外国人にSIMカードを配布するキャンペーンを、1千万円投じて始めましたが、私の調査でこれは違法であることが判明しました。

SIMカードと技適マーク SIMカードとは、スマホや携帯電話などに挿入して、ネット閲覧や通話を可能にするチップです。
 皆さんが使用している端末にも、ドコモと契約しているならドコモの、auならauのSIMカードが入っています。
 外国人観光客の端末に入っているSIMカードは、海外の通信会社のものなので、日本では使えません。
 日本で端末を使うには、①海外でローミングサービスに入る(料金が高い)、②公衆Wi-Fiが使える場所に行く(個所が少ない)、③日本国内用のSIMカードを購入して入れ替える…などの方法があります。
 そこでさいたま市は、観光客誘致のために、盆栽美術館に来場した外国人に、SIMカードを無料配布することを計画。2千枚の購入・配布費として1千万円を計上しました。
 盆栽美術館の入館料収入300円のために、5千円のコストをかけるのでは本末転倒です。また盆栽美術館の職員にビザのチェックは不可能で、日本在住の外国人がSIMカードを転売する恐れもあると、市民から配布中止を求める請願が提出されました。
 6月19日の総合政策委で私が追及したところ、観光国際課は盆栽美術館での配布対象はツアー客に限定し、他に市内5か所のホテル(浦和3、新都心1、大宮1)で配布し、ビザはホテルが確認すると言いました。
 しかし、ツアー客は盆栽美術館を訪れた後、すぐにバスで移動するので、市内の消費は結びつきません。
 またホテルは館内のWi-Fiを整備すべきであって、特定のホテルの客寄せのために、多額の税金を使うべきではありません。

総務省は違法と確認
それでも配布を強行

 実は外国人観光客へのSIMカード配布は、電波法違反なのです。 日本国内のスマホや携帯には、総務省認定の技適マークが付いています。マークがない端末で、国内用のSIMカードを使用することは禁止されています。
 海外で販売しているスマホや携帯には、日本の技適マークは付いていません。
 外国人観光客が気軽にスマホを使用するためには、規制緩和が必要で、総務省も法改正を進めていますが、まだ施行されていません。
 民間では空港などで外国人にSIMカードを販売するのが、事実上野放しになっていますが、行政機関が違法配布するのは別です。
 私が違法性を指摘したところ、審議が中断。6月25日に観光国際課は、総務省に確認したところ、技適マークがない端末でのSIMカード使用は違法だと認めましたが、「販売会社は、技適マークがない機種に挿入しても作動しないと言っている」と言い出し、7月10日から配布を始めました。
 本当に海外の端末に入れると使えないのなら、外国人観光客にSIMカードを配るだけ無駄です。議会を欺くような答弁で、配布を強行する清水市政のやり方に対し、私は7月3日の本会議で「法的措置も辞さない」と警告しました。

外国人観光客誘致に
効果疑わしい補助金

 清水市政は他にも外国人観光客の誘致を名目に、補助のバラマキをしています。
 例えば、飲食店のメニューの外国語翻訳や、店舗や企業のHPの多言語化に、1社につき50万円まで補助金を支給するというので、私は6月22日の総合政策委で問いただしました。

吉田一郎 メニューの翻訳は1軒1軒やったらキリがない。そば屋、喫茶店など50種類くらいの店の見本翻訳文を作成し、参考用に飲食店に配ればいいのでは。
商工観光部長 一理あるが、外国人観光客がその店を訪れてくれるようなコンテンツ作りを期待している。
吉田一郎 メニュー翻訳は何店舗を想定しているのか。
商工観光部長 20~30軒程度の申請を見込んでいる。
吉田一郎 20~30軒のためにメニュー翻訳をするなら、見本の翻訳文を1千店に配った方が、よほど外国人にも便利だ。

 また店舗のHP翻訳に補助金を出す件でも、「その店が通信販売をして、中国人が中国の自宅から購入したら、観光客誘致にならない」と追及したところ、執行部は反論できずじまいでした。
 私は効果が疑わしい補助金の乱用を、今後も厳しくチェックし続けます。

ニューシャトル各駅の市営駐輪場が有料化
えっ! 他駅よりも高額料金!?
 清水市政は10月1日から、これまで無料だった加茂宮・東宮原・今羽・吉野原のニューシャトル駅前にある市営駐輪場を有料化しようとしています。
 所管の自転車まちづくり推進課は、6月の時点では「料金は1日120円を予定」と説明していましたが、その後「10時間ごとに100円」に変更しました。
 通勤などで朝から夜まで停めれば、200円かかることになり、有料化直前に大幅引き上げされた形です。
 清水市政は有料化の理由を、「他の駅利用者との公平性」としています。
 しかし、他の駅前の市営駐輪場は1日単位の料金で、朝から夜まで停めても90~150円です。
 そもそも東京まで行く場合、JRの駅なら駐輪料金+JR運賃で済みますが、ニューシャトル各駅の場合は、駐輪料金+ニューシャトル運賃+大宮からのJR運賃が必要で、利用者の負担はより重くなります。

コンサル会社の利益
優先し料金別体系に

 ニューシャトルの各駅は料金体系が異なる理由は、「コミュニティサイクル」という貸自転車も同時に始めるからです。
 コミュニティサイクルは「自転車のまちづくり」をウリにしたい清水市長が力を入れている事業ですが、実際にはコンサルタント会社などに経営を任せ、駐輪料金もコンサルタント会社の利益を見ながら決めます。
 同様にコミュニティサイクルを併設している大宮駅東口の南側の駐輪場も、料金は6時間ごとに100円(ただし2時間以内は無料)と料金が高いうえ、コミュニティサイクルを始めてから駐輪スペースが狭くなり、駐輪の順番待ちの行列ができています。
 コンサルタント会社の利益のために、自分の自転車を利用する市民が犠牲になっているのが現状です。

大宮市の支援策やめ
岩槻地下鉄には補助

 これまでニューシャトルの市営駐輪場が無料だったのは、「ニューシャトルに対する経営支援」という目的があったからです。
 ニューシャトルは新幹線建設の見返りとして、83年に開通しました。
 第三セクターによる新交通システムは、多くが赤字経営ですが、ニューシャトルは県が沿線に高校や病院を建設し、大宮市は駐輪場を無料にして乗客誘致を図った結果、13年度までに累積赤字を解消しました。
 清水市政は採算の目途が立たない岩槻への地下鉄建設に向けては、ほとんど利用者がいない浦和美園~岩槻の快速バス運行など各種事業に、今年度7600万円もの補助金を注ぎ込みながら、ニューシャトルに対しては大宮市時代からの支援を打ち切るのでは、トンでもありません。
※      ※      ※
 大宮北部では合併以来、病院や警察署が奪われたうえ、市営駐輪場が割増料金になるのは納得できません。
 私は所管の自転車まちづくり推進課に対して、有料化計画の見直しや、有料化するのならニューシャトルとの乗り継ぎ割引を導入するよう申し入れています。

市営駐輪場の料金 (1日)
大宮駅110~130円 東大宮駅 150円
北大宮駅 120円 新都心駅  90円
宮原駅 90~120円 与野駅 110円
土呂駅 110円 与野本町駅 110円
日進駅 120円 南与野駅 110円
指扇駅 120円 北浦和駅 110円
大和田駅 110円 浦和駅  130円
ニューシャトル各駅100円
(10時間以上は200円)
武蔵浦和駅 150円
GoogleやYahoo!で「やっぱり大宮市民の会」と検索してくださいhttp://www.geocities.co.jp/WallStreet-Stock/9297/
2015年8月特別号(3)
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問題点が多いマイナンパー制度
自民の横ヤリで市が答弁を拒否 【関連動画】
 国民全員に番号が付くマイナンバー制度が導入され、10月から「番号通知カード」が送られてきます。
 6月議会では、マイナンバー制度導入に向けて、個人情報の保護やカード再発行手数料についての条例が審議されました。
 マイナンバー制度は、政府が国民の所得や資産を確実に把握し、公正な課税や、「収入は少ないが資産は多い人」への行き過ぎた福祉の抑制、生活保護の不正受給の防止が目的です。
 しかし制度開始に3000億円、運営コストに毎年1000億円近い費用がかかるにも関わらず、導入は中途半端で、確実に所得が把握できるか疑問です。
 また個人番号カードの顔写真は、自らスマホで撮影したものを、オンライン申請で送ることも可能です。こんな「プリクラ感覚」では、公的な身分証明書としての使用は問題です。
 6月10日の本会議では、自民党の要求でマイナンバーに関する市の説明は、市民の傍聴や議員の質問を認めない非公式な場で行うことになりました。
 17日の本会議でようやく議案への質問が行われ、私は①銀行口座へのマイナンバー申告が当面任意なのはなぜか、②株や投資信託の口座にも全面導入しないのか、③公営ギャンブルや宝くじ、パチンコの景品換金による収入は把握しないのか、④運転免許証のように役所で写真撮影をしないのか、⑤自分で写真を撮ったいい加減なカードで旅券業務も行うのか…などの点を問いただしました。
 ところが、榎本市民局長が答弁しようとしたところ、自民党議員が「答弁次第では、委員会でもやられる」などと横やりを入れて審議が中断。
 結局、榎本市民局長は私の質問には一切答えず、「非公式の場で説明したのでご理解を」と言うだけで、桶本議長は質問があれば担当職員に直接聞くべきだと言い出しました。
 議員が議会で質問するのは、「市民の代表」として市民に替わって質問するのです。その質問や答弁は、市民に公開されなくてはなりません。議員が「裏で職員にこっそり聞く」のでは、議会の審議とは言えません。
 私は7月3日の本会議で、制度の問題点を議会で取り上げさせない自民党の横暴や、それに屈して答弁を行わない清水市政を批判し、「これでは審議にならない」と議案に反対しました。

浦和に集中した予算に反対しました
吉田一郎が反対した議案
■一般会計補正予算(3)1面参照
PFI-審査委員会の設置
 公共施設の建設と管理を民間に任せるPFIは、長期的に見れば市の財政負担が増えてしまいます。
■個人保護条例の改正■マイナンバー個人番号カードの再発行手数料の制定3面参照■議員のボーナス増額■同修正案4面参照
■市税条例の改正
 ゴールデンバットを210円→340円など、低価格のタバコを5割以上値上げ。一方でビールの酒税は値下げでは、税の公平性に欠けます。
■浦和美園コミセンの建設費増額■同指定管理者決定
■緑消防署と複合施設の建設費増額1面参照
■消防指令センターの建設費増額
 浦和の市役所横に建設中の消防指令センター工事費を、536万円増額して、3億1772万円に変更。大宮市が自治医大横に建設したヘリポート付きの消防本部を生かさず、浦和に防災機能を集中するのは反対。
■監査委員の選任(萩原章弘市議)
 南部郡市公園管理事務所の不適切な事務処理に対する住民監査請求を棄却した監査委員の続投に反対。
■市民の健康づくりの充実を求める決議
 市に生活習慣病の予防への取り組みを求める内容ですが、提案した保健福祉委の伝田委員長は「市は必要性を十分認識していると思う」と言い、わざわざ決議をあげる必要はありません。
■地方単独事業に係る国保の国負担金減額の再検討を
 財政が豊かな自治体が、独自に子どもの医療費を無料化することに、国の補助を増やすことを求める意見書。地域格差が広がるうえに、6年前に無料化したさいたま市では、18億円と見込まれた経費が実際には32億円に達するなど、安易な受診を促してしまいます。
■司法修習生に対する経済的支援を国に求める意見書
 司法試験の合格者に、六法全書をプレゼントするなど物的支援を求める内容。裕福な家庭の合格者にも、一律に支給する必要はなし。

韓国・水原市へ2泊3日
海外視察lこ自費で参加
 自腹になった途端
民主・公明は参加せず
【関連動画】
 「議員特権」の1つが公費での海外視察です。
 参加者は各政党・会派が議長応接室に集まって談合のように決定し、市民に伏せられていました。
 私は姉妹都市との相互交流なら、公費で派遣するのは、議長や現地事情に精通した議員に限定すべきと提案してきました。
 すると、今年5月29日から31日に実施された韓国・水原(スウォン)市への視察では、公費は桶本議長(自民・南区)だけで、他の参加者は自費になりました。参加者も申込制です。
 視察の目的は、友好交流の覚書締結です。
 私は韓国語を勉強したことがあり、自費ならと参加を決めましたが、期限までに申し込んだのは私だけでした。
 「吉田と2人きりじゃ桶本議長が可哀想だ」と思ったのか、期限後に自民党の議員3人(関根、萩原、江原)も追加で申し込みましたが、これまで海外視察に毎回参加していた民主党と公明党の議員は、自費になった途端、1人も参加しませんでした。
 現地では、覚書締結式への出席や、水原市長や商工会議所との会食、サッカー親善試合への出場などのほか、私は著書『国マニア』が韓国で翻訳出版されたので、市長に贈呈しました。
 公式行事の終了後、私はバスを乗り継ぎ世界遺産に登録された華城や、3年前にオープンした「トイレ文化公園」を見学しました。
 トイレの歴史を紹介する便器型の建物のまわりに、トイレで排泄をする人たちの彫刻が並ぶ公園でしたが、日曜にも関わらず訪れる人は少なく、世界トイレ協会の会長を務める
水原市長の趣味で建てたのでした。
 私は6月10日の本会議で、トイレ文化公園を紹介しながら、赤字ハコモノ作りに熱中するさいたま市と水原市は似たもの同士だと、「視察の成果」を発表しました。
2015年6月議会の会派別議案賛否一覧表
『吉田一郎 市政レポート』のバックナンバーや、市議会での動画集が、インターネットでご覧になれます!
2015年8月特別号(4)
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実施は議会の
都合で決定に

議員のボーナス年17万6千円増額へ
反対は無所属2人だけ。不可解!?共産も反対せず

 アぺノミクスで景気が良くなった実感はありません。それもそのはずで、7月に厚労省が発表した1世帯あたりの年間平均所得は528万9000円で、前年と比べて1・5%(8万3000円)減少し、「生活が苦しい」と感じている国民は、過去最高の62・4%に達しています。
 ところがさいたま市議会では、6月議会で議員の期末手当(ボーナス)を年間17万6000円も増額する議案が可決。反対したのは無所属2人(私と川村議員)だけでした。


報酬総額は1331万円
政活費含め1739万円

 さいたま市議の年間報酬は1313万5962円です。ボーナスが増額されれば1331万円を超え、さらに私と川村議員以外は政務活動費(年間408万円)も受け取っています。
 ボーナス増額は2月議会でも審議されましたが、この時は市議選を控えていたので、「現職候補が批判されたら困る」と思ったのか、自民・公明・民主・共産は揃って廃案にし、市長や副市長などのボーナスだけが引き上げられました。
 そして市議選が終わると、6月議会でボーナス増額が改めて審議されたのです。
 増額によって、6月の期末手当は172万5971円、12月は190万1494円になります。総合政策委員会では、自民党が「実施日は議会が決める」と提案しました。

反対を!と言いながら
採決で逃げ出す共産党

 6月22日の総合政策委で、私は「さいたま市議会は04年に『政令指定都市になった』という理由だけで、議員報酬を3割、政務調査費(現:政務活動費)を一挙に7割もアップし、全国から『ふざけるな』という声が巻き起こったが、今回ボーナスを引き上げるとは、トンでもない話だ」と批判。自民党の修正案については「議会がいつでも好きな時に引き上げられるようにするのはおかしい」と批判しました。
 神田義行議員(共産・北区)も「賃金の減少が続き、市民の暮らしはますます大変になっている。こんな時に引き上げ提案がされた議会としては反対すべき」と発言しましたが、採決になると反対したのは私だけで、神田議員は自民党の提案に賛成し、ボーナス増額の採決では姿を消してしまいました。
 「議会としては反対すべき」と主張しながら、いざ採決では反対せずに逃げ出してしまう共産党の態度に、民主党議員も「わけがわからない」と呆れるばかりでした。
 7月3日の本会議でも、ボーナス増額の採決で共産党議員は全員退席し、反対は無所属2人だけです。

市議選前には減額主張
選挙終われば再び増額

 さいたま市議会では、市議選の直前に議員報酬などを引き下げ、選挙が終われば増額することが繰り返されています。
 4年前の市議選でも、直前の2月議会で共産党は議員報酬の23%削減(=3割アップ前に戻す)を提案し、みどりの風は20%削減、自民・公明は10%削減、民主党は10%削減を1ヵ月前倒しで実施すべきと主張。
 採決の結果10%削減が決定し、政務調査費は年間480万円から360万円にカットされましたが、市議選の2年後に、議員報酬も政務調査費も元の金額に戻されています。
 有権者の目を欺くようなやり方は、いいかげんに終止符を打つべきです。

大幅にアップしたさいたま市の議員報酬と政務調査費
2004年6月 議員報酬を大幅増額(月62万1000円→85万円)政務調査費は7割アップ(月20万円→34万円)私が市役所前でハンガーストライキで3日間抗議し、全国報道されたことで報酬は月80万7500円に減額。
2005年4月 岩槻市合併で、岩槻の議員報酬(月約29万円)や政務調査費(月2万円)をさいたま市と同額へ大幅アップ
2008年1月 議員報酬を500円減額し、月80万7000円に。
2009年4月 無所属議員だけ政務調査費を、月34万円→20万円に減額
2011年4月 議員報酬を1割減額
ただし議員年金廃止で9万9000円の掛け金天引きが廃止され、手取りは増額
政務調査費を月34万円→30万円(無所属は20万円→18万円)に減額
2013年4月 議員報酬を月80万7000円に、政務調査費を月34万円(無所属は20万円)に戻す

無所属議員の発言時間再び10分に
自民・公明・民主・共産の横暴は1ヵ月で頓挫
【関連動画】
 さいたま市議会では、自民・公明・民主・共産の各政党・会派が、「会議運営規程」という法的根拠がない申し合わせによって、市議選直前の3月から無所属議員の発言時間を、それまでの10分から3分に制限し、意見表明を事実上不可能にしてしまいました。
 そこで5月1日の臨時議会では、私と川村準議員(無所属・南区)が徹底的に抗議したところ大混乱に陥り、その後も議会の内外で発言権を奪還すべく闘いを継続。6月議会では、再び無所属議員の発言時間を取り戻すことができました。


 5月1日の臨時議会では、桶本大輔議長(自民・南区)が、私や川村議員の発言を途中で次々と打ち切り、法的な根拠を問いただしても、答えませんでした。
 そこで私は桶本議長の不信任案を提出したところ、自民党が対抗して信任案を提出。まず信任案成立の採決が行われましたが、民主党議員が賛成に躊躇したところ、自民党議員が「民主党!立て」「バカヤロー!」などと怒鳴り散らし、民主党議員もおずおずと立ち上がり、傍聴者も唖然とするなか議長続投が決まるなど、混乱した事態になりました。

閉会後も徹底抗戦続け
桶本議長が「大岡裁き」

 5月議会の終了後、私は無所属議員の発言権回復のために、次のような行動を起こしました。
①「会議運営規程」の即時見直しに反対した57人の議員(私と川村議員、桶本議長を除く全員)の行為は私に対する侮辱にあたると、地方自治法に基づいた処分要求書を提出。
 議会閉会後に提出したため却下されましたが、6月議会で再び提出すると警告。
②議長信任案の採決は法的に無効だと告発。
 5月14日の議会運営委員会で、法的に無効だったことが確認され、6月議会の冒頭で前代未聞の「採決やり直し」をすることに。
 また、桶本議長と同じ南区選出の川村議員は、「発言時間の制限撤廃」を求めて署名運動を開始、私も街宣車に乗り、少数派の意見を圧殺しているさいたま市議会の現状を訴えました。
 その結果、6月3日の議会運営委員会で、桶本議長が各政党・会派に「無所属議員から申し入れがあった発言時間について、見直してほしい」と要請。自民・公明・民主・共産は見直しを拒否したものの、「議会運営の混乱を避けるために、具体的な時間制限の運用は議長の裁量権に任せる」ことを確認しました。
 桶本議長は無所属議員に10分の発言を認めることを表明し、将来的な発言時間のあり方については、私もメンバーである議会改革推進特別委員会で話し合うことになりました。

時間制限を撤廃して
自由な発言の保障を

討論する吉田議員 こうして6月議会では、無所属議員の発言時間は元通り10分となり、6月10日の本会議で「採決やり直し」になった議長信任案では、桶本議長の「大岡裁き」に敬意を表して、私と川村議員も賛成し、全会一致で続投が決まりました。
 そもそも議員が議会で賛成や反対の意見を表明して討論するのは、他の議員に対して自分の意見に賛同するよう呼びかけるためです。
 私は7月3日の本会議で、「討論の段階では、少数派か多数派かは未定のはずで、討論を聴いた結果の採決で決まるはずだ。これを契機に討論とは何かを考え直してほしい」と、会派の人数によって発言時間を決める発想を批判しました。
 合併前の大宮市議会では意見の表明に時間制限はありませんでした。
 「住民の代表」である議員が自由に意見を言い合える議会を実現するために、私は今後も闘っていきます。
吉田一郎は、市長から支給される政務活動費(年間408万円)を受け取らずに活動しています。

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