2015年6月特別号 (1)
2面へ
5月議会
政務活動費の使い道を批判したら発言中止に
無所属の発言権奪う
各政党と全面対決

 議会とは、選挙で選ばれた「住民の代表である議員」が、さまざまな考えや立場から、賛成や反対など自由に意見を言って討論し、最後に多数決で決めるものです。しかしさいたま市議会では、私の議員復帰後初の議会となった5月1日の本会議から、無所属議員の発言が事実上不可能になり、私や川村準議員(無所属・南区)の質問や発言が次々と打ち切られる事態になりました。しかし私が徹底的に抗議したところ、政党の議員たちは内紛を起こし、罵声が飛び交った挙句、「採決が法的に無効」という前代未聞の事態になりました。【動画で見る】


 無所属議員の発言が事実上不可能になったのは、市議選を控えた3月2日の議会運営委員会で、自民・公明・民主・共産などの政党・会派が、法的な根拠がない「会議運営規程」という申し合わせによって、無所属議員の発言時間を10分から3分へ、質疑(議案に対する質問)時間を、10分(質問と答弁)から2分(質問のみ)へ、大幅短縮することを決めたからです。
 私は市長選出馬のため2年前に議員を辞めるまで、議会では清水市政を批判するだけでなく、政務活動費のズサンな使い道の実態も批判し続けていました。
 2月にTBSテレビでさいたま市議会の政務活動費の不正使用が放送され、私以外にも「政務活動費の廃止」を掲げた無所属の新人議員が登場する可能性が出てきたので、先手を打って無所属議員の発言権を封じてしまおうとしたようです。

質問も発言も次々と
打ち切り命じる議長

 5月1日に選挙後初の議会が開催され、議長には桶本大輔議員(自民・南区)が選出されました。
 そして清水市長が提出した議案3件《2面参照》が審議されましたが、私や川村議員が執行部に質問を始めると、議長は途中で打ち切りを命じ、その場で私や川村議員が「打ち切りの法的な根拠」を問いただしても、答えないままでした。
 議会では質問にあたって、執行部に答弁を用意させるために、事前に「質問通告」を提出します。
 私は議長を通じて6項目の質問を通告し、議長も受理しましたが、途中で打ち切られたのでは、答弁を用意した執行部にも失礼です。
 私は「事前に通告した質問を最後まで行わせることを求める動議」を提出しましたが、自民・公明・民主・共産がこぞって反対して葬られました。
 その後、市民が提出した「今年度の政務活動費を受け取らないで下さい」という請願が審議されました。
 まず川村議員が請願に賛成する意見を表明すると、楠本議長は話が本題に入る前に打ち切りを命じました。
 次に登壇した私は、議員報酬が年間1313万円もあるのに、このうえ408万円の政務活動費は不要なことや、使い道について民主党が行ったグルメ三昧のアメリカ視察を批判し、続いて自民党が「見沼田んぼ活用の参考にするため」と称してフランスへ行った例を指摘したところ、桶本議長は打ち切りを命じました。

自民にバカヤローと
罵られ屈服する民主

 法的な根拠を説明しないまま、私や川村議員の質問や発言を次々と打ち切る桶本議長に対して、私は議長不信任案を提出しました。
 すると江原大輔議員(自民・岩槻区)が議長信任案を出して対抗。まず議長信任案の成立が採決され、自民党と共産党はすぐに賛成しましたが、民主党が躊躇したところ、自民党議員が「民主党!立て」「バカヤロー!」「覚えてろ」などと怒鳴り散らし、議場は混乱。傍聴者も唖然とするなか、民主党議員はおずおずと立ち上がり、桶本議長の続投が決まりました。
 自分たちの意に従わない議員を暴言で脅す自民党も問題なら、それに屈してしまう民主党も問題です。
 私はその場で「脅迫するような不規則発言の中で行われた議長信任は果たして有効なのか、総務省に録音を提出して確認するように」と申し入れ、桶本議長は無視しましたが、5月14日の議会運営委員会で私が改めて問題にしたところ、議長信任案の採決は、法的に無効だったと判明しました。

誰も意見表明しない
政党所属の議員たち

 無所属議員の発言時間を厳しく制限しておきながら、政党・会派所属の議員たちはほとんど発言しません。
 5月1日の議会でも、質問したのは3人だけ、賛成や反対の理由を述べたのは私と川村議員だけです。
 自民・公明・民主・共産の議員は、誰ひとり理由も言わないまま市長提出の議案にはすべて賛成し、市民が提出した請願には黙々と反対しただけで、審議は1時間足らずで終了しました。
 議会は「言論の府」とも言われますが、「住民から選ばれた代表」として議会で意見を述べるのが、議員の最も肝心な仕事のはずです。
 私は政党・会派の横暴には屈せず、6年前に北区住民の皆さんのお力で獲得した無所属議員の発言権を取り戻すために、あらゆる手段を使って闘います。
   
 5月議会で発言した議員
◆市長提出議案に対する質疑
 ・神田義行(共産党)
 ・川村準(無所属)→途中で中止命令
 ・吉田一郎(無所属)→途中で中止命令
◆市長提出議案に対する討論
 ・吉田一郎(無所属)→途中で中止命令
 ・川村準(無所属)
◆市民提出の請願に対する討論
 ・川村準(無所属)→途中で中止命令
 ・吉田一郎(無所属)→途中で中止命令
※他の議員(議長除く56人)は誰も発言せず。

慌てて起立する民主党 「バカヤロー信任」は法的に無効だ

北区住民の力で6年前に実現した
「すべての議員が発言できる議会」
 議員の発言時間は、合併前の旧4市では制限がなく、ほとんどの地方議会でも時間制限はありません。
 しかしさいたま市議会では、03年に「議会運営の効率化」を理由に、自民・公明・民主・共産などの政党・会派の議員らが、日本国憲法や地方自治法を無視して、法的な根拠がない申し合わせ(会議運営規程)を作り、会派所属議員の発言は15分、無所属議員は発言を禁止してしまいました。
 私は07年に初当選して以来、地方自治法で認められたあらゆる手段を使って、議会で意見を表明しましたが、そのたびに妨害され、演壇からの暴力排除や発言禁止、出席停止処分が繰り返されました。
 09年2月議会では、私が相川前市長の提出した予算案に反対理由を述べただけで、再び出席停止処分にされようとしたため、議員をいったん辞職しました。
 そして、5月に行われた補欠選挙に「すべての議員が発言できる議会」を掲げて立候補し、さいたま市議会始まって以来の2万7045票の得票を獲得し、復帰当選しました。
 住民の審判が下ったことで、自民・公明・民主・共産らは降参し、09年6月議会から、無所属議員にも10分の発言が認められるようになったのです。

さいたま市議会の討論(発言)時間
政党・会派 無所属
合併前 制限なし 制限なし
2003年まで 制限なし 制限なし
2003年よリ 15分 禁止
2009年よリ 9分+人数 10分
2015年よリ 3分×人数 3分

2015年6月特別号 (2)
議会で提案
大宮出身者のふるさと納税は
大宮のために!
法的には可能でも、清水市政は実施を拒否

 合併以来、さいたま市の予算は浦和に集中投入され、都市開発予算だけ見ても、大宮は浦和よリ2300億円も少ない惨状です。かねてから私は、旧4市ごとに財布を分けて、「大宮住民の税収は大宮で使う」仕組みを訴えてきましたが、議員復帰後初の議会では、ふるさと納税についても「大宮出身者のふるさと納税は大宮のために使う」ことを提案しました。

 ふるさと納税とは、出身地など自分が好きな自治体に寄付をし、現在住んでいる自治体の住民税がその分安くなる制度です。
 これまでは税務署に確定申告をする必要がありましたが、国は今年度から手続きを簡素化して確定申告を不要にして、ふるさと納税を積極的に拡大することを決定。それに合わせた市税条例の改正が審議されました。
 ふるさと納税の募集にあたって、さいたま市では岩槻人形会館や地下鉄7号線の建設など、32種類の事業や基金に指定した寄付も受け付け、納税者が寄付の使い道を選べるようにしています。
 そこで私は、5月1日の本会議で、大宮出身者が「大宮のために使って欲しい」と選べるようにすべきだと提案しました。

吉田一郎 大宮・浦和・与野・岩槻の旧4市別の事業に使途を指定した寄付の受け入れは法的に可能か。
阿部財政局長 法的には可能であると考えている。
吉田一郎 法的に可能なら、本市で実施するつもりはないのか。
阿部財政局長 さいたま市として寄付の受け入れを行っており、旧4市内の事業には導入する予定はない。
【動画で見る】

 また私の追及で、さいたま市に昨年度ふるさと納税した人は、5万円以上が29人、1~5万円が14人しかいないことも判明しました。
 そもそも現在の納税者が生まれ育った頃は、さいたま市はまだ存在せず、故郷は大宮市や与野市、浦和市、岩槻市だったはずです。
 さいたま市がふるさと納税を積極的に集めようとするのなら、赤字垂れ流しの岩槻人形会館や地下鉄建設のために使うというのではなく、大宮出身者には大宮のために、与野や浦和、岩槻出身者にはそれぞれの地域のために使うとアピールすべきです。

今の大宮住民にも
大宮限定の納税を

 ふるさと納税は、現在住んでいる自治体に対して行うこともできます。
 さいたま市が旧4市別に使途を限定した寄付の受け入れを行えば、大宮住民が実質的に自分が納める住民税を「大宮のために使ってほしい」「浦和の開発予算にはまわさないでほしい」と注文することが可能になります。


消費税増税の臨時給付金
16億円のパラマキに
  事務経費が
3億5000万円も!
 昨年4月から、消費税が8%に増税された影響の緩和として、国は今年度も住民税非課税世帯に臨時給付金(6千円)、児童手当の受給世帯に子育て世帯臨時特例給付金(子ども1人あたり3千円)を支給します。
 5月1日の議会では、支給にあたっての電算システムやコールセンター設置費用の補正予算が審議されましたが、その金額は3億4193万円にのぼります。
 しかし、支給にかかる事務経費は他にもありそうなので、問いただしました。

吉田一郎 支給によって、市で発生する職員の人件費コストはいくらか。
山本保健福祉局長 職員の時間外勤務手当として、1709万円を見込んでいる。
【動画で見る】

 2つの給付金の支給額は合計約16億円ですが、そのためにかかる事務経費は3億5千万円を超えるのです。これでは6千円配るのに、1200円以上コストがかかるようなものです。
 これらの事務経費は、国が負担しますが、私たちの税金が使われることに変わりありません。全国では数百億円になるでしょう。
 給付金の支給は、低所得者の救済措置だと言いますが、消費税値上げ後、物価は上がり続けているのに、支給額は昨年度の臨時給付金1万~1万5千円、子育て世帯臨時特例給付金1万円から大幅に減額されていて、救済になっていません。
 私はそもそも低所得者に負担が重い消費税の増税には反対ですが、国民の不満を一時的に誤魔化すために、多額の税金を事務経費に使うのは止めるべきだと、補正予算に反対しました。
2015年5月臨時議会の会派別賛否一覧表

●「無投票当選」で2年ぶりに議会へ復帰
 4月3日から市議会議員と県議会議員の選挙が行われました。
 2年前の市長選出馬で議員を失職していた私は、清水市政が相変わらず浦和に予算を集中させている現状や、政務活動費のズサンな使われ方がまかり通っている議会を変えるべく、「このままでは大宮が危ない」「政務活動費(年間408万円)の廃止」を掲げて、市議選に立候補しました。
 しかし、3日夕方までに北区(定数7)で立候補届を出したのは、現職6人+元職の私だけで、無投票当選が確定。県議選も同様で、北区は市議選も県議選も無投票という前代未聞の結果になりました。
 4年前の前回市議選では、1万3322票という市内トップの得票で当選させていただきましたが、今回は0票で当選とは情けない結果です。しかし初心を忘れず、ふるさと大宮のために頑張りたいと思います。

●「無所属・無党派」の仲間が南区で当選
 私はこれまで完全な一匹狼で活動していましたが、今回の市議選は、2年前の市長選挙を手伝ってくれた仲間と、選管に「無所属・無党派」という確認団体の届け出を行い、一緒に闘いました。
 確認団体の届け出を行うと、選挙期間中に候補者の選挙カーとは別に、政策宣伝力ーを出して街頭演説をしたり、「法定ビラ」を配布するなど、政党並みの活動を行うことができます。
 北区の市議選が無投票になりそうだったので、私の選挙カーを「無所属・無党派」の政策宣伝力一に変えて、仲間の応援にまわれるようにしたのです。
 「無所属・無党派」には、私の他に3人の新人候補者が参加し、石川康仁(大宮区)と河野正弘(見沼区)は残念な結果でしたが、川村準(南区)が初当選を果たすことができました《下図参照》。

●相次ぐ政党への合流で、無所属は2人だけに
 新しい議会の勢力図は下の表の通りです。
 今回の市議選では、私と川村準のほかに、5人の「無所属」が当選しましたが、当選後うち1人(伊藤)は自民党に入り、残リ4人(伝田、添野、土井、冨田)は民主党の会派と一緒になったため、純粋な無所属は私と川村議員の2人だけになりました。
 私はこれまで通り、いかなる政党にも属さず、自分の考え通りに議会で活動していきます。

市議会の会派別勢力
仲間の選挙区の開票結果
大宮区開票結果
渋谷 佳孝 5,947 自 民
西山 幸代 5,791 民 主
新藤 信夫 5,669 自 民
宮沢 則之 5,662 公 明
熊谷 裕人 5,643 民 主
山本 悠子 4,884 共 産
石川 康仁 4,121 無・無
見沼区開票結果
小森谷 優 5,798 公 明
中山 欽哉 5,728 自 民
鶴崎 敏康 5,576 自 民
高子 景 5,184 自 民
三神 尊志 5,179 民 主
斉藤 健一 5,147 公 明
戸島 義子 4,962 共 産
武田 和浩 4,476 民 主
細沼 武彦 4,338 無所属
鳥羽 恵 3,936 共 産
河野 正弘 2,351 無・無
南区開票結果
浜口 健司 7,995 民 主
守谷千津子 6,953 共 産
松下 壮一 6,411 公 明
野口 吉明 6,161 自 民
桶本 大輔 5,365 自 民
萩原 章弘 4,766 自 民
土井 裕之 3,725 無所属
冨田かおり 3,331 無所属
川村 準 2,571 無・無
佐野 尚子 1,795 無所属
岸 紀之 1,609 無所属
無・無=無所属・無党派
吉田一郎は、市長から支給される政務活動費(年間408万円)を受け取らずに活動しています。

HOME | TOP| 市政レポート一覧
inserted by FC2 system