2015年2月特別号 (1)
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さいたま市にも
「号泣議員」
郵送料で政務活動費を二重取り
帆足議員の辞職勧告を議長に要望し、警察へ告発しました

 政務活動費(12年度までは政務調査費)とは、議員報酬の他に議員の活動経費として支給されるお金です。さいたま市では議員1人あたり年間408万円です。
 昨年はカラ出張や架空の切手購入で、多額の政務活動費を懐に入れていた兵庫県議会の野々村元県議が「号泣議員」として問題になりましたが、さいたま市議会でも切手購入で政務活動費を二重請求していた議員がいます。
『吉田一郎市政レポート』12月特別号で、「Ⅹ議員」として報じた帆足和之議員(自民党・浦和区)です。
 帆足議員は2011年3月30日に80円切手1600枚、4月27日に80円切手850枚などを購入し、計17万2311円の政務調査費を使用しました。
 また4月27日に料金別納郵便2374通を発送して、16万9911円の政務調査費を使用しました。
 しかし、①帆足議員が発送した広報誌は31グラム(送料90円)で、80円切手は使用できないこと、②大量購入した切手は「ケロロ軍曹」やディズニーキャラクターなど、マニア向けの収集用切手が多いこと等、不審な点がありました。
 そこで、帆足議員が切手購入で使用した政務調査費の返還を清水市長が勧告するよう求めて、昨年8月に住民監査請求を提出したのに続き、11月にさいたま地裁で住民訴訟を行いました。
 帆足議員は9月4日に議長が行った聞き取り調査に対し、「広報誌を料金別納郵便で2374通、切手で853通発送した」と供述していましたが、帆足議員が政務調査費の請求時に提
出した領収書を私たちが改めて調べたところ、政務調査費の二重請求が発覚しました。

支払いは送料1回分
領収書を2回分入手

不正の証拠 領収書 帆足議員の具体的な手口は、料金別納郵便の発送料を現金で支払わずに、購入した切手を使って料金を支払い、切手購入時の領収書(現金で購入)と、料金別納郵便の発送時の領収書(切手で納付)の2つの領収書を提出して、政務調査費を二重取りしていたのです。
 私は9人の市民とともに、12月18日に改めて住民監査請求を提出するとともに、帆足議員の辞職勧告決議を議会で挙げるべきだと、霜田紀子議長に要望書を提出しました。
 すると帆足議員は、29日に「二重支出だった可能性がある」と認め、2011年4月27日に切手購入で使用した政務調査費6万1911円を市へ返還しましたが、3月30日に使用した11万0400円は返還しないままです。
 また、帆足議員がニセの書類(2つの領収書)を提出して政務調査費を二重請求したことは刑法156条(虚偽公文書作成及び同行使)、議長の調査にウソの供述をして欺いたことは刑法246条(詐欺)に抵触します。お金を返したからと言って、罪が消えるわけではありません。
 現に兵庫県の野々村県議も、不正に受け取った政務
活動費は返済していますが、議員を辞職し、県議会は警察へ告発。今年1月19日に虚偽公文書作成・同行使と詐欺の容疑で、兵庫県警に書類送検されています。
 私は市民とともに、1月23日に帆足議員を浦和警察署へ刑事告発しました。
 しかし、さいたま市議会は、自民・公明・民主・共産・改革の各政党・会派は帆足議員の辞職勧告決議を取り上げようともしないで、二重請求を放置しています。
 さいたま市議会では、公認会計士に毎年約500万円を払って契約し、政務活動費の使用状況をチェックしています。しかし不正を見抜けないようでは、会計士の責任も重大です。

他の議員もズサンな使い道
 153万円のパソコンや海外グルメ視察
政務調査費を使っての海外視察に節度とモラルを求める請願 おかしな政務活動費の使い方をしている議員は、帆足議員の他にもいます。
 公明党のY議員は、パソコンのレンタル料として153万円を支出しています。新品を購入しても10数万円のはずだと、今年1月に浦和区の住民が住民監査請求を提出しました。
 7年前には民主党の議員4人が、147万円を使ってアメリカへ海外視察に行き、連日のようにグルメ三昧を繰り広げて、市民から批判を浴びました。
 私は海外視察のガイドライン制定を求める市民の請願を議会へ提出しましたが、自民・公明・民主・共産が反対し、否決されました。
 政務活動費は会派支給分(年間168万円)と議員支給分(240万円)に分けて支給されますが、共産党は「全額を共産党として使いたい」という党利党略の要求が認められています。
 その使い道は、調査研究のために使われたのは1%に過ぎず、3分の1以上が人件費に費やされています。共産党は国から政党助成金を受け取らないのは良いのですが、地方議会の政務活動費で共産党のスタッフを雇っているのなら、見過ごせません。 
※      ※      ※
 さいたま市議会議員の報酬は、年間1313万5942円です。これだけ支給されれば、年間408万円の政務活動費がなくても十分活動できます。
 実際に、私は政務調査費を1円も受け取らずに6年間議員活動をしました。
 私は今後も、政務活動費の不正使用について調査を続けていきます。
 
政務調査費の使用内訳とその割合(2008年度)
使用総額 調査研究費 人 件 費
自民党 5278万9424円 618万7549円
(11.7%)
936万6300円
(17.7%)
民主党 4778万8870円 479万7815円
(10.1%)
253万4057円
(5.3%)
公明党 3429万3879円 350万2312円
(10.2%)
274万6998円
(8.0%)
共産党  3113万1303円 31万8630円
(1.0%)
1119万2484円
(36.0%)
※さいたま市議会HPでは、2009年度以降の年間内訳は未公開
吉田一郎市政報告会 3月29日(日) 14:00~16:00 プラザノース第4セミナールーム(入場無料)
2015年2月特別号(2)
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8日間の視察で
1人92万円
呆れた海外視察の現状
目的は「議員同士の交流」
市民に隠す参加者リスト

 海外視察には2種類あります。議員が政務活動費(政務調査費)を使って勝手に行く視察と、議会としての公費の視察です。
 議会での視察先は主にさいたま市の姉妹友好都市ですが、費用は常識外れで、ピッツバーグ市への視察では、議員1人あたり92万6765円も費やしました。
 姉妹友好都市との相互交流が必要なら、視察参加者は議長や語学など現地の事情に精通している議員に限定すべきです。
 しかし現状は、議長応接室に各政党・会派の代表が集まり、参加者を談合のように決めています。
 清水市長も昨年8月29日の定例記者会見で、「議員同士の交流の一環ということでやっている」と言っています。姉妹友好都市との交流という本来の目的から外れているのが現状です。
 議会で承認する際も、視察の行き先や日程、参加者が記された資料は傍聴者には配られず、市民に伏せたまま審議されていました。
 私は毎回、「傍聴者にもわかるように、資料を読み上げてほしい」と議長に要求しましたが、拒否され続けました。
 各区役所の情報公開コーナーには「議場配布資料」のファイルがあり、議員に配られた資料が閲覧できるはずですが、議会局は視察の資料だけを行政透明推進課に渡さず、市民に隠しています。
 目的から外れ、参加者を市民に伏せ、「大名旅行」を続けている海外視察は、根本的に見直すべきです。

過去4年間の議会としての海外視察とその費用
●2011年11月15~19日 中国・鄭州 費用202万3700円
【自民】中島、野口、関根、帆足 【公明】小森谷
【民主】阪本 【改革】村松
●2011年12月24~28日 ラオス・ビエンチャン 費用22万0690円
【自民】中山
●2012年4月24~26日 韓国・水原 費用97万7340円
【自民】中山、加藤、関根、新藤 【公明】井上
【民主】池田 【改革】細沼
●2013年10月28~11月4日 米・ピッツバーグ 費用556万0590万円
【自民】萩原、吉羽、楠本、島崎 【公明】井上 【改革】野呂
●2014年8月3~8日 米・リッチモンド(費用未公開)
【自民】鶴崎、江原、渋谷 【民主】小川 【改革】細沼
●2014年10月26~11月1日 メキシコ・トルーカ(費用未公開)
【自民】武笠、高子 【民主】小柳

政務調査費を使った海外視察
会派 参加者 視察先 目 的 使用金額
07

自民 福島 仏、伊 浦和駅の拠点作り、見沼田圃活用 110,710
民主 池田、三神 独、仏 男女共同参画と少子化対策 732,000
08

自民 (未提出) 物流拠点の企業活動と五輪誘致 362,780
民主 三神 (記載なし) 85,500
民主 (4人) 子ども政策 1,474,140
09

民主 添野、土井 明大青山ゼミ中心の視察 343,635
11

共産除く各会派9人 ラオス 中山議長の視察(上の表)に同行 約2,000,000

さいたま市議選2015現状分析
北区は無風どころか無投票?
 さいたま市議選は4月3日告示、12日投票です。今回は出馬に向けて活動している人が少なく、特に北区は市議選も県議選も無投票だと言われています。
 これは、前回候補者を多く擁立した民主は勢いがなくなり、みんなの党は解党したこと、そして合併以来3回の市議選で、組織的な支援なしで当選した無所属新人は吉田一郎1人だけという厳しい現実があり、無所属で当選を目指す人もガタ減りしたためです。
 私はこれまで一匹狼で活動してきましたが、今回は一昨年の市長選から活動を共にしている無所属仲間が何人か立候補する予定で、応援をしています。
【西区】
弔い合戦で2議席狙う自民に共産恐々
 自民の稲川晴彦が今年1月に逝去し、妻の稲川智美が急きょ出馬へ。新人の金井康博とともに2議席獲得を狙う。共産の山城屋せきも引退し、新人の大塚武秀にバトンタッチ。民主と公明は現職が出馬へ。旧大宮市議で01年のさいたま市長選に出馬後、3回の市議選に落ちた高瀬広子も出馬の意向か。
【北区】
市議選も県議選もダブル無投票に?
 出馬の動きがあるのは現職6人と、13年の市長選出馬で失職した無所属元職の吉田一郎(つまり私)だけ。一時期は維新の中川と幸福実現党の山野もチラシをまいていたが、前者は浦和区へ、後者は伊奈町へ鞍替え。県議も現職2人しか動きがなく、このままでは市議選・県議選ともども無投票の恐れ。
【大宮区】
「大宮独立」掲げる新人に現職警戒
 現職5人に加え、共産新人の山本悠子と、「浦和優先の予算配分」「政務活動費の不正使用」を私と一緒に批判する無所属新人の石川康仁が出馬へ向けて活動中。幸福実現党も桜木町に事務所をオープンし、候補者擁立の構えか。
【見沼区】
政党候補尻目に「大宮復権」訴える新人
 現職8人に加え、13年の補選で10,812票を獲得した共産新人の鳥羽恵と、国政に転じた公明の輿水の後継・斉藤健一が、それぞれ2議席奪還を狙う。「浦和優先の予算配分」「政務活動費の不正使用」を私と一緒に批判する無所属新人の窪田朝岳も活動を開始。他に保守系新人の出馬も噂され、激戦に。
【中央区】
政党から無所属へ転じる新人相次ぐ
 現職5人のうち自民の加藤得二が引退し、後継の井原隆が出馬へ。新人は前回民主公認で落選した山田ちづ子と、みんなの党で出るはずだった佐久間翔一が、無所属で出る見込み。保守系新人が出馬を断念。
【桜区】
このまま無投票か
 現職5人のうち公明の高橋勝頼は引退し、後継の西沢鈴子が出馬へ。革新系新人が出馬を断念したため、このままでは無投票に。
【浦和区】
雪辱狙う共産元職と維新新人で激戦
 現職7人のうち自民長老の福島正道が引退し、後継の玉井哲夫(自民)が出馬へ。民主の原田は離党し無所属に。前回6票差に泣いた共産の元職・鳥海敏行と、北区で結いの党から出馬のはずが浦和区で維新に変わった新人の中川峻一も活動中。
【南区】
政務活動費の廃止掲げた新人が登場
現職9人がそろって出馬へ。みんなの党の解党で富田は無所属に。新人は「赤字の箱物・地下鉄建設」や「政務活動費の不正使用」を私と一緒に批判する無所属の川村準が活動中で、少数激戦に。前回に続き出馬に意欲を見せていた保守系新人の清宮喜三郎は、今回は断念した模様。
【緑区】
自民後継に元浦和レッズ選手
 自民の武笠が引退。後継は石関洋臣と前回は県議選に出た都築竜太。共産の加川も引退し、後継は松村としお。無所属の新人は前回は県議選だった堤日出喜と安達敏夫で計8人が出馬の激戦か。
【岩槻区】
定数の倍くらい出馬で混戦?
 前回の選挙終盤に倒れ、リハビリしながら議会活動をしていた自民の井上が引退。後継の息子が無所属で出馬へ。自民は現職の江原と新人を公募。民主・公明は現職が出馬。無所属(社民推薦)の野呂は引退し、後継は社民の松本翔。共産は新人の大木学。前回「人形会館反対」を掲げてトップの北村は、公選法違反で辞職した後、裁判で公民権停止を短縮してもらい再出馬に意欲を見せていたが現状不明。他に3~4人が立候補説明会に出席し、計10人くらい出馬かも。

2011さいたま市議選結果
◆西区(定数4
当 6,542 稲川晴彦 54 自民現
当 6,109 池田麻里 35 民主現
当 5,886 上三信彰 52 公明現
当 4,347 山城屋せき 62 共産元
  3,333 高瀬広子 53 みんな元
  2,065 掘本秀生 57 無所属新
 1,674 深谷 隆 61 無所属新

◆北区(定数7)
当 13,322 吉田一郎 47 無所属現
当 10,327 関根信明 52 自民現
当 5,791 武山広道 43 公明新
当 4,487 伊藤仕 28 民主新→無所属
当 4,295 小川寿士 47 民主新
当 3,402 神田義行 59 共産現
当2,852 伝田ひろみ 62 無所属現(改革)
  2,700 飯塚博之 39 無所属新
  452 常見龍太郎 35 無所属新

◆大宮区(定数5)
当 5,864 熊谷裕人 49 民主現
当 5,538 西山幸代 51 民主新
当 5,483 新藤信夫 60 自民現
当 4,981 宮沢則之 50 公明現
当 4,632 渋谷佳孝 38 自民新
  3,861 松本敏雄 64 無所属現
  2,984 小林直太 47 みんな新
  2,888 関口 正 57 共産新
  2,220 須田 悟 45 未来新

◆見沼区(定数8)
当 6,685 鶴崎敏康 61 自民現
当 6,515 中山欽哉 52 自民現
当 6,104 三神尊志 30 民主現
当 5,681 輿水恵一 49 公明現
当 5,338 小森谷優 52 公明現
当 4,613 武田和浩 50 民主新
当 4,328 細沼武彦 66 未来現(改革)
当 3,984 戸島義子 60 共産現
  3,388 吉山 悟 59 無所属元
  3,262 青柳伸二 63 共産現
  3,052 宮本英典 39 未来新
※輿水が辞職した後、補選で高子景(自民)

◆中央区(定数5)
当 5,326 井上伸一 45 公明現
当 4,794 高柳俊哉 49 民主現
当 4,791中島隆一 66 自民現
当 4,512 加藤得二 64 自民現
当 4,458 山崎 章 61 共産現
  4,269 山田ちづ子 61 民主新
  2,262 藤田昌弘 45 無所属新
 1,912 佐藤秀雄 65 無所属新

◆桜区(定数5)
当 5,945 高橋勝頼 56 公明現
当 5,447 島崎 豊 41 自民新
当4,637 土橋貞夫 58 無所属現→自民
当 4,599 阪本克己 51 民主規
当 4,190 久保美樹 47 共産新
  2,810 岡 成樹 46 無所属新
 1,363 池上敏治 31 無所属新
 1,151 飯島規之 44 無所属新

◆浦和区(定数7)
当 8,433 原田健太 44 民主現→無所属
当 5,373 青羽健仁 52 自民現
当 5,355 小柳嘉文 45 民主新
当 5,111福島正道 78 自民現
当 4,944 帆足和之 52 自民元
当 4,783 谷中信人 43 公明新
当4,697 添野ふみ子 62 無所属現(改革)
  4,691 鳥海敏行 62 共産現
  3,224 松崎良一 57 無所属元
  2,650 野上 潤 31 無所属新

◆南区(定数9)
当 6,587 松下壮一 48 公明新
当5,879 冨田かおり 32 みんな新(改革)
当 4,977 桶本大輔 42 自民現
当 4,850 守谷千津子 59 共産新
当 4,834 浜口健司 40 民主新
当4,805 土井裕之 39 無所属現(改革)
当 4,537 霜田紀子 70 自民現
当 4,485 野口吉明 64 自民現
当 4,430 萩原幸弘 56 自民現
  4,038 清宮喜三郎 43 無所属新
  3,249 丹羽宝宏 30 民主現
  2,248 秋本清一 57 無所属元
  2,176 佐野尚子 58 無所属新
   
◆緑区(定数5)
当 7,914 武笠光明 62 自民現
当 6,502 神崎 功 55 民主現
当6,497 村松順子 63 無所属現(改革)
当 5,853 神坂達成 44 公明新
当 5,341 加川義光 60 共産現
  5,314 石田昌生 50 民主新

◆岩槻区(定数5)
当 9,423 北村隆幸 42 無所属現
当 6,627 吉田一志 41 公明新
当 5,802 井上洋平 64 自民現
当 5,282 江原大輔 39 自民新
当4,460 野呂多美子 65 無所属現(改革)
操 2,795 高野秀樹 50 民主現
  2,436 末広慎二 31 民主新
  2,341 小宮秀介 33 みんな新
 1,898 横川庄一 55 共産新
未来=埼玉未来の会 改革=改革フォーラム
GoogleやYahoo!で「やっぱり大宮市民の会」と検索してくださいhttp://www.geocities.co.jp/WallStreet-Stock/9297/
2015年2月特別号(3)
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大宮東口から行政機関が消える
大宮区役所の移転で、市街地空洞化が加速の危機
 清水市長は大宮区役所(旧大宮市役所)を市民会館南側の県合同庁舎へ(旧大宮保健所)移転し、大宮図書館などと統廃合する計画を進めています。
 現在の大宮区役所の位置は、役所へ行くついでに周辺で買い物や食事ができる場所です。
 しかし移転先は大宮駅から離れるため、車での利用が多くなり、中心街へ寄ることがなくなります。
 大宮駅東口ではここ数年、十字屋や長崎屋、中央デパート、大宮ロフトなどが次々と閉店し、みんなパチンコ屋になってしまいました。このうえ中心街から行政機関まで消えてしまうのでは、県下最大の商業地と言われた大宮駅東口の衰退に拍車がかかります。

中核施設は浦和に集中
大宮区役所は南区以下

旧大宮市役所 さいたま市は「公共施設の適正配置方針」の名の下に、中央図書館や市民活動サポートセンター、国際交流センター、子ども総合センターなど、市の中核的な公共施設を浦和ばかりに建設しています。
 一方で、清水市長が進め旧大宮市役所ようとしている大宮区役所の移転では、図書館や博物館、子育て施設なども統廃合して、大宮駅東口周辺の公共施設を1ヵ所にまとめてしまおうとしています。
 その規模は6階建てで、武蔵浦和駅前に建設したサウスピア=南区役所の10階建てと比べても小さいものです。

大宮区役所は現在地で
高層化して建て替えを

 大宮市と与野市、浦和市が合併して、さいたま市になって13年経ちました。
 「さいたま新都心周辺に市役所を建設する」という合併協定書は守られず、市役所は浦和に置かれ続け、「さいたま市の中心は浦和」が既成事実となったことで、都市開発や施設建設の予算は、浦和に集中しています。
 さらに、さいたま市は浦和の市役所の裏手に労働団体が所有するビル(ときわ会館)を、年間1億2000万円支払ってほぼ丸ごと借り上げ、教育委員会など市役所機能の一部を配置しているうえに、清水市長は大宮区役所よりも耐震性で危険と診断された浦和市役所を、取り壊して新都心へ移転させようとせず、41億円もかけて新棟を建て、消防指令センターや危機管理センターを新設しています。
 私は昨年12月21日に大宮区役所で開かれた説明会に出席し、これらの問題を問いただしました。

吉田一郎 大宮駅東口周辺に、市全体を対象とする中核的な公共施設を整備するつもりはないのか。
区政推進室 現在の大宮図書館なら区役所と一緒に移転しますが…。
吉田一郎 浦和の労働団体のビル賃借をやめて、市役所機能の一部を大宮区役所へ移すつもりはないのか。
区政推進室 ありません。
吉田一郎 区役所の跡地は仮店舗やタクシーの待機場にすると言うが、中長期的に跡地を売却するのか。
区政推進室 現在のところは、売却の話はありません。

 旧大宮市が「将来の市役所建設予定地」として購入した富士重工跡地は島忠へ売り払われ、下町の分庁舎も売却されてしまいました。
 将来的には明治以来の大宮の資産である一等地の区役所も売り払われ、浦和中心の開発予算に使われることになりかねません!
 浦和の労働団体のビルの賃借や新棟建設はただちに中止して、大宮区役所は現在の場所で総合庁舎として高層化し、市役所機能の一部を大宮へ移すべきです。

市長選の「論功行賞」で特別秘書!?
 清水市長は1月20日、吉田太氏を翌日から特別秘書に任命すると発表しました。
 特別秘書は市から給料が支払われますが、市職員の秘書とは異なり、選挙活動なども手伝える、いわば公私両面の秘書です。
 相川前市長の時にできた制度で、清水市長はこれまで置いていませんでした。
 吉田太氏は北区選出の元市議(自民党)で、07年の市議選で落選。自民党市議団のスタッフとして働いていましたが、13年5月の市長選直前に自民党を辞めて清水市長を応援しました。
 すると、再選された清水市長は、同年8月に吉田太氏を任期付職員として縁故採用し、自民党議員からは「論功行賞だ」という批判の声があがっていました。

市長派に転じた議員の土地買い上げも
細沼議員の雑木林 清水市長による「論功行賞」といえば、09年の市長選の際にも、自民党市議でありながら民主党が支援した清水候補を応援し、清水市政誕生後に与党会派「未来の会」を結成した細沼武彦議員(見沼区)の事件がありました。
 清水市長は09年9月議会で、「見沼田んぼの景観保全」を理由に、大和田1丁目の雑木林の斜面4159㎡を、一般相場を上回る2億4319万円で購入する補正予算案を提出しましたが、自民党が「これは細沼議員の土地だ」と指摘し、紛糾しました。
 私がその顛末を『市政レポート09年11月特別号』で報告すると、細沼議員は「相続税の支払いが大変なんだ!」と抗議してきましたが、これでは便宜を図ってもらったと自ら明らかにしたようなものです。
 自民党は市長選で対立候補を立てていますが、それを抜けて自分の応援に馳せ参じた議員や元議員に、公金を使って褒賞を与えるのでは、市政の私物化です。

大宮図書館は3割縮小
大宮の歴史史料も浦和へ集約か
 清水市長は氷川参道の大宮図書館を取り壊し、市民会館の南側へ移転する大宮区役所と、統廃合しようとしています。
 移転後の大宮図書館の延床面積は、現在の35212㎡から約25002㎡へ3割も縮小し、北浦和や桜区の図書館よりも小さくなるという惨状です。
 大宮図書館は大正13年(1924年)に開館した市内最古の図書館で、明治以来の新聞の縮刷版やマイクロフィルム、大宮の歴史に関する郷土資料、旧大宮市が発行した『市報おおみや』のバックナンバーや市議会の議事録などが保存されています。
 07年11月に浦和駅前に中央図書館がオープンした際、さいたま市はこれらの資料を浦和へ移そうと、5000冊をリストアップしていました。
 そこで当時、私は大宮住民に「大宮図書館の蔵書を守ろう」と呼びかけ、9月議会で教育委員会を追及した結果、これら大宮の先人たちが遺した貴重な知的財産を守ることができました。
 しかし、大宮図書館の面積が3割も縮小したら、これらの資料は再び浦和の中央図書館へと移されかねません。
 自治体としては合併したとはいえ、大宮と浦和、与野、岩槻はそれぞれ独自の特色を擁し、異なった歴史を歩んできた街です。
 琉球王国の史料は沖縄に、薩摩藩や土佐藩の史料は鹿児島や高知に残されているように、歴史資料はその歴史を育んできた地域に残されてこそ、有効に活用されるのです。
 支配下に置いた地域の歴史遺産を略奪して一堂に揃えた「大英博物館」的な発想の中央図書館はいりません。
 私は10年2月の予算委員会で、大宮には大宮の中央図書館を整備すべきだと提案しました。

吉田一郎 大宮には大宮地区の中央図書館を建てるべきだ。将来、大宮駅周辺に大規模な図書館を建てる構想は?
教育委員会 大宮駅東口の再開発の中で、動向を考えていきたい。

 せっかく教育委員会がその気になっても、清水市長がぶち壊した形です。大宮図書館の移転・縮小計画はストップさせなくてはなりません。

主な図書館の床面積と蔵書数
延床面積 収容可能冊数 蔵書数
大宮図書館 3,521㎡ 30万冊 25万2775冊
大宮西部図書館 3,511㎡ 51.5万冊 44万5430冊
春野図書館 1,135㎡ 8万冊 11万3441冊
北図書館 2,114㎡ 20万冊 15万8388冊
中央図書館 5,799㎡  70万冊 44万0651冊
北浦和図書館 3,082㎡ 25万冊 28万3020冊
東浦和図書館 2,206㎡ 20万冊 21万9428冊
桜図書館 2,976㎡ 20万冊 15万3425冊
武蔵浦和図書館 1,296㎡ 8万冊 11万3080冊
南浦和図書館  1,315㎡  9.8万冊 13万6693冊
与野図書館 2,487㎡ 14,4万冊 13万3804冊
岩槻図書館 1,020㎡ 12万冊 12万5485冊
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2015年2月特別号(4)
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宮原メディカルの跡地に盆栽の「保養所」!?
盆栽業界の後継者育成のために、市が盆栽アカデミー計画

 大宮医師会市民病院(宮原メディカルセンター)が閉鎖され、浦和との境へ市民医療センターとして移転して6年。
 さいたま市は跡地に医療や福祉の施設を建てるつもりはなく、防災公園になる予定ですが、清水市長は新たに盆栽アカデミーという「盆栽の保養所」を建設しようと画策していることが判明しました。

 宮原メディカルセンターは、内科と小児科の24時間診療で、大宮住民の命を守って来た貴重な病院でした。
 自民・公明・民主・共産がこぞって閉鎖と移転に賛成する中で、ただ1人移転に反対した私は、オールナイト診療の継続を要求。小児科は大宮総合病院(さいたま北部医療センター)で継続されましたが、内科は中止になったままです。
 清水市長は2年前、跡地に、犬や猫などの夜間・休日診療を行う動物病院の建設を計画しました。
 私は2012年12月議会で、内科のオールナイト診療を復活させないまま、夜間診療の動物病院を建てる計画を批判したところ、計画は白紙になりましたが、清水市長はかわって盆栽アカデミーを建設しようとしています。

終夜診療復活させず
動物病院の次は盆栽

枯れた盆栽「靖国」 栃木県の美術館から展示品の盆栽を5億円で購入した盆栽美術館は、約6000万円相当の盆栽が枯れてしまったうえ、毎年1億6000万円以上の赤字を出しています。
 しかし、清水市長は盆栽美術館に続いて、新たな盆栽関連の箱物を建てようと言うのです。
 大宮の盆栽村は、相続税の支払いや、産業としての活力低下、国内愛好家の減少などで、盆栽園はわずか6ヵ所に減少しました。
 盆栽園の現状では後継者の育成が難しいため、盆栽園の人材の育成や、盆栽を体系的に学べる場を提供することで盆栽愛好家を増やすことを目的に、市は16年度末までに盆栽アカデミーを設置しようとしています。
 当面は、盆栽美術館や周辺の公共施設を使って講座を開設する予定ですが、実技講習や盆栽美術館で展示する盆栽の保管や培養を行う場所として、新たな施設の建設も行う予定です。
 具体的な建設場所について、昨年7月9日の盆栽美術館運営委員会では、宮原メディカルセンター跡地をはじめ市有地3ヵ所を候補に挙げています。

市民の施設は削減し
特定業界に公金投入

 大宮住民の命を守って来た病院を閉鎖して、浦和の方へ移し、内科のオールナイト診療は再開しようとしないうえに、その跡地に夜間診療の動物病院や、盆栽の保養所を建設するとは、大宮住民をこれほどまでに侮辱した行政はありません。
 そもそも、盆栽業界の人材育成や、盆栽を購入する愛好家を増やすための施設なら、盆栽の業界団体が建設すべきであって、さいたま市が特定業界の利益のために、税金を使って建設・運営すべきではありません。
 清水市政は「公共施設のマネジメント計画」を策定し、公民館や図書館、保育所、小中学校など、公共施設を統廃合して2割削減する方針を掲げています。そして氷川参道の大宮図書館を、大宮区役所とともに移転・統合して面積を3割縮小しようとしています。
 その一方で、盆栽や人形のための施設は『マネジメント計画』の対象外として、建設を認めるとしています。
 住民生活に不可欠な公共施設は縮小して、特定業界の利益につながる箱物は、市税を投入して建設を行うというやり方は、明らかに間違っています。

盆栽のセールスに1171万円
岩槻人形会館も再び着工を画策

 自民・公明・民主・共産が揃って賛成し、10年春に開館した大宮盆栽美術館。
 市は「盆栽村の既存の観光客に加えて、新たな観光客が年間15万~20万人増える」「経済効果は年間10億円」と説明していましたが、開館直前の10年2月議会で「年間入場者は5万人だが、5年後には12万人に増える」と、予測を大幅に下方修正しました。
 ところが実際の入場者数は5万人前後のまま低迷し、盆栽美術館での講座の参加者や小中学生の社会科見学を除くと、実質的には3万5千人足らず。そのうち観光客は、既存の観光客を合わせても数千人で、経済効果はゼロに等しい状況です。
 盆栽美術館の年間収入は1266万円、経費は1億7836万円(11年度)で、年間1億6570万円もの赤字を出しています。
 観光客が予測の10分の1以下で、経費が収入の14倍という大幅な赤字が続く状況では、もはや閉鎖を検討すべきですが、清水市政は逆に盆栽への税金投入を拡大しています。
 今年3月14日~22日には「大宮盆栽の輸出促進と観光客の誘致」を目的に、フランス・パリに大宮盆栽アンテナショップを開設しますが、さいたま国際観光協会を通じた費用は1171万8000円さらにべルギーとイタリアでも2日ずつ出店する費用は別です。
 このうえ盆栽村に6軒しかない盆栽業者の後継者育成のために盆栽アカデミーを建設しようとするなど、清水市政の特定の業界との癒着ぶりは異常です。

盆栽美術館の年間入場者数
市民・観光客 講座・学校 合計
2010年度 5万8353人 7210人 6万5563人
2011年度 3万9485人 1万0850人 5万0335人
2012年度 3万4829人 1万4570人 4万9399人
2013年度 3万5796人 1万5131人 5万0927人
※講座・学校は、講座参加者や小中学生の社会科見学、 視察など。

岩槻人形なき人形会館
展示用に鴻巣人形購入

 清水市長は盆栽美術館に続き、岩槻人形会館も建設しようとしています。その費用は用地買収に12億円、建物建設に14億円など総額30億円にのぼります。
 市は11年の着工を予定していましたが、10年9月議会で私は「市が展示品として用意している人形の多くがボロボロ」「展示品に岩槻の人形が1つもない」などお粗末な実態を暴露。
 さらに翌10月の市民生活委員会で追及した結果、市は「岩槻人形会館がオープンしても岩槻への観光客は増えず、経済効果はない」「盆栽美術館と同程度(年間1億6000万円超)の赤字が出る」と予測していたことを認め、岩槻住民の間からも「人形業者のための箱物建設か」と批判の声があがり、着工は中止になりました。
 しかし、清水市政は今年に入り、予定地を岩槻城址公園横から岩槻区役所跡地に変更して、2020年度開館を目指して、改めて着工する構えを見せています。
 そうなると、市が12億円で用地買収した土地はまったく無駄になります。また昨年度、市は展示品として鴻巣の雛人形を購入していたことも判明しました。
 人形組合に要望されるがままに、岩槻とは関係ない人形を次々と購入し、盆栽美術館の二の舞となる赤字確実の箱物を建設することは認められません。

まだ続く「人の命も浦和優先」
市立病院に213億円、浦和美園には大学病院
2015年以降の公的医療機関 合併以来、大宮の公的な病院が次々と浦和の方へ移されています。相川前市長が宮原メディカルセンターを閉鎖・移転したのに続き、清水市長は上田知事とともに、大宮駅西口から歩いて行けた大宮日赤(さいたま赤十字病院)を、小児医療センターと統合して、新都心へ移転させることを決定しました。
 また、大宮保健所は南与野へ移転し、大宮市民医院(東大成町)も閉鎖されています。
 一方で、清水市長は浦和の医療機関充実には熱心です。浦和東部(緑区三室)のさいたま市立病院は、213億円かけて同じ場所で建て替えを進め、浦和美園には自治医大(608床)を上回る800床規模の順天堂大学病院を誘致するために、数十億円を投じてURから用地を購入し、無償で貸し付ける計画を発表しました。
 さいたま市とすれば、「大宮の病院が減っても、浦和の病院が増えれば構わない」ということなのでしょう。
 やはり、大宮住民の医療体制を守るためには、大宮の税収は大宮で使い、大宮の行政は大宮で決める仕組みが必要です!
吉田一郎は、市長から支給される政務調査費(年間408万円)を受け取らずに活動していました。

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