2014年12月特別号 (1)
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野田線の
東京直通

東武鉄道が「吉田プラン」実現へ
財政破綻招く岩槻への地下鉄建設は不可能に
【関連動画】
 私は昨年の市長選で、「財政破綻を招く岩槻への地下鉄建設の中止」を掲げました。かわりに東武野田線と伊勢崎線を直通運転して、日比谷線や半蔵門線に乗り入れる「吉田プラン」を提案し、直接世論に訴えました。それから1年後。東武鉄道は今年4月に発表した中期経営計画で、野田線と伊勢崎線の直通運転と、大宮~春日部間の急行運転を、2016年度までに実施すると発表。さらに19年度までに日比谷線の車両を一新し、野田線と同じサイズのものに取り換えることも明らかにしました。
 「吉田プラン」がいよいよ現実化したことで、無謀な地下鉄建設を葬り去ることができそうです。

吉田プラン 岩槻~浦和美園の地下鉄建設費は、トンネルと車両購入だけで800億円、沿線開発を含めると総事業費は3000億円で、市民1人あたり24万円、4人家族なら100万円近い負担です。昨今の建設コスト上昇で、さらに膨らむことになるでしょう。
 開業後の赤字も大きな負担になります。埼玉高速鉄道が経営する赤羽岩淵~浦和美園は、1日9万2000人の利用者がいますが、01年の開業から赤字が続き、14年度は29億円の赤字を出しています。
 市が依頼した専門家6人の検討委員会が、昨年2月に公表した採算性の予測では、岩槻~浦和美園の乗客は、開業時の1日2万3900人が、少子高齢化で15年後には2万2200人へ減少し、国の基準である「30年以内に黒字転換」は見込めないことが明らかになりました。
 しかし、清水市長は12年10月議会で岩槻への地下鉄建設は「これまでの検討段階から実行段階へ移行した」と宣言。浦和美園などに開発予算を集中投入し、2017年度に地下鉄建設に着手すると発表しました。
 議会でも、自民・公明・民主・共産などすべての政党・会派の議員で構成する「地下鉄七号線延伸事業化特別委」が、浦和美園の大型開発を進めて地下鉄建設を促進するよう求める提言書を、清水市長に提出。市議会で地下鉄建設に反対していたのは、私1人だけでした。

吉田プランの実現を
拒み続けた清水市長

 かわりに私が提案したのが、東武伊勢崎線に乗り入れている日比谷線や半蔵門線を、春日部経由で野田線と直通運転する「吉田プラン」です。
2012年夏に走った臨時電車 これなら市が地下鉄を建設しなくても、岩槻から東京都心まで1本で結べるほか、①2~3年で実現可能、②運賃が安い、③東岩槻や大和田・七里にも地下鉄が乗り入れる、④大宮と越谷・草加が電車1本で結ばれる、⑤開業後の赤字負担も不要…、などのメリットもあります。
 私は10年6月議会から、再三にわたって「吉田プラン」の実現を求めましたが、清水市政は「野田線と伊勢崎線の乗り入れは、技術的に不可能だと東武が言っている」とウソの答弁をしてまで拒否しました。
 しかし実際には、東武は12年夏から、大宮~春日部~スカイツリーを直通する臨時運転を始めました。
 そこで私は12年9月議会で、平日やラッシュ時の定期運行や、地下鉄への乗り入れを東武に要望しないのかと問いただしましたが、清水市政は「要望する予定はない」と、あくまで地下鉄建設にこだわり続けました。

清水市長はそれでも
浦和美園に予算集中

 昨年の市長選を経て、東武鉄道が実現に踏み切る野田線と伊勢崎線の直通運転ですが、大宮~春日部の急行停車駅は未定です。
 行き先は当面、浅草になる模様ですが、現在は1両の長さが18㍍で3つドアがある日比谷線の車両を、16年度から19年度にかけて、野田線と同じサイズの20㍍で4つドアの車両に取り換える計画も発表しており、「将来的に野田線と日比谷線の直通運転も視野に入る」と報道されています。
「吉田プラン」が実現することで、岩槻~浦和美園の利用者予測は、「15年後に1日2万2200人」よりさらに大きく減少し、採算など到底望めないことになりますが、清水市長は地下鉄建設を諦めようとしていません。
 今年度は、浦和美園の都市開発(浦和東部・岩槻南部地域整備推進事業)に昨年度の2倍にあたる37億円をつぎ込み(4面参照)、人口わずか5千人足らずの浦和美園に19億円(3年間で約50億円)も投じて複合公共施設を建設しています。
 また地下鉄建設の促進や沿線の「成長戦略」と称して、建設促進を掲げる市民団体に計750万円の補助金をばら撒くなど、8800万円を支出していますが、「地下鉄の需要を確かめるため」と、3060万円を使って走らせた岩槻~浦和美園の快速バスは、1日80人、1便あたり5人の利用者しか乗らず、需要がないことがはっきりしています。

経営破綻の埼玉高速鉄道は
県と市で6百億円追加負担

 埼玉高速鉄道は、建設費や開業後の累積赤字などで約1200億円の借金を抱え、さいたま市と川口市、埼玉県からの補助金で何とか運転を続けている状態です。さいたま市は今年度、5憶5920万円の補助金と貸付金を計上しました。
 しかし、9月に経営再建案が発表され、県と市で約600億円もの追加支出を行って、負債を半減させることになり、県議会と市議会で補正予算が可決されました。金利の負担を減らすことで、埼玉高速鉄道の業績を良く見せかけ、岩槻への延伸を図ろうという狙いもあるようです。
 合併しなければ、大宮市は埼玉高速鉄道の赤字負担とは無関係でした。大宮の税収はどんどん地下鉄に注ぎ込まれ、大宮の発展は滞るばかりです。

市長選から1年半経って
 わたくし吉田一郎は、昨年5月の市長選に「財政破綻を招く岩槻地下鉄建設反対」を掲げて立候補し、力及ばずの結果となりました。
 清水市政と議会が一丸となって、2017年度に地下鉄建設に着手しようとする状況の下で、無謀な計画に議会でたった1人反対を続けることに限界を感じた私にとって、市民の皆さんに直接訴えるしかないとの決断でした。
 マスメディア等で全国的に報道される市長選を通じて訴えた効果は大きく、私が提案した野田線と伊勢崎線の直通運転が、2016年度から実現することになりました。
 市長選出馬によって市議会議員は失職したため、その後は本業である執筆活動等を行っていましたが、大宮と浦和の予算格差は一向に解決しないままで、格差は広がっています。
 ふるさと大宮のために何とかしなければと、再び熱い情熱に駆られているところです。 北区では、清水勇人氏(13,416票)を上回る20,370票を賜ったことについて、公選法の規定により「選挙の御礼」を述べることが禁止されておりますので、どうかご理解ください。
2014年12月特別号(2)
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住民訴訟で
勝訴の判決

ウソの写真とニセ公文書で市民団体に補助金
地裁が清水市長に賠償命じる
 私は現在、議員ではありませんが、一市民としてできる限りの方法で、さいたま市のおかしな税金の使い方を追及しています。その方法が住民監査請求や住民訴訟です。昨年6月19日には、さいたま地裁で清水市長に2万9900円の賠償を命じる判決が出るなど、これまで市民団体に乱発された補助金を取り戻すことができました。
雨の日なのに写真では快晴 清水市長に賠償を命じる判決が出たのは、市が「西浦和駅周辺の街を住みよくする会」に、駅前の花壇を植え替えたとして交付した2011年度の補助金です。
 この団体は花購入の領収書は提出しても、補助対象期限の12年3月21日までに植えた形跡は無いにも関わらず、清水市長は「補助対象事業(=花の植替え)の完了を確認した」として、交付を決定していました。
 そこで私は補助金の取り消しを求めて、住民監査請求を提出したところ、監査委員は「駅前に花は植えられている」と請求を却下。
 その後、市は期限を3月末までに修正したうえで、市民団体に「3月31日に花を植えた」という報告書と、晴天下で花を植えている証拠写真を提出させました。
 ところが、3月31日は土砂降りの大雨で、花を植えられるはずはありません。実際に花を植えたのは4月だったのですが、そうなると11年度の補助金が使用できなくなるので、市はウソの写真と「完了確認」のニセの公文書を使ったのです。

選挙管理委のトップが
市長のお抱え弁護士に

 裁判では他にも、①この補助金は、まちづくりの計画を作るための制度で、環境美化には使えない、②要綱では、補助金は「集会、学習会、講演会」の開催にしか使えないのに、市は「花の植替え作業は、集会にあたる」とこじつけていた…、などの問題も明らかになりました。
 判決では、「花の植替えは集会にあたらない」「補助金は目的外に使用された」「3月21日の時点では、花の植替えは実施しておらず、『事業が完了した』という記載は虚偽であった」と、私の主張が全面的に認められ、補助金の交付決定は「さいたま市長の裁量権を濫用又は逸脱してなされた違法なものであり、さいたま市長の職にあった清水勇人は、これにより2万9900円の支出を確定させて、さいたま市に同額の損害を与えた」と、補助金を清水市長が市に弁償するよう命じました。
 その後、清水市長は判決を不服として東京高裁に控訴しましたが、その理由は「判決を知った市民団体が補助金を返還したので、市の損害は解消された」というものでした。
 私も「補助金が戻ったのなら清水市長が弁償する必要はない」と認め、高裁では一審の判決を取り消すことになりましたが、この事件を契機に、さいたま市では各種補助金の審査が、少しは厳格化されたようです。
 私は弁護士をつけずに裁判しましたが、清水市長は選挙管理委員会の前委員長だった早坂八郎弁護士を雇って応戦してきました。
 選管は、政治的に中立・公正でなくてはならないと規定されています。市長と議員との法廷での争いに、選管前委員長が片方の代理人として登場するのは、道義的に問題があります。

補助金が既得権益に
反発恐れ議会及び腰

 この市民団体は、桜区の自治会長らで構成され、西浦和駅の周辺整備に住民の意見を反映させる活動を目的に、市が「まちづくり支援補助金」を出していました。しかし、駅前整備が終わった後も、補助金が「既得権益」と化してしまい、補助対象ではない花の植替えに流用していたのです。
 清水市長は「新しい公共のあり方」と称して、市民団体への補助金を大盤振る舞いしています。
 これまで行政が行ってきたサービスを、民間組織や市民団体と協力して進めるのは良いのですが、補助金が新たな利権と化す恐れがあります。
 議会も、膨大な数の補助金をチェックしきれないうえ、市民団体への補助金を問題視すると有権者から反発されそうだと、及び腰になっているのが実情です。

住民監査請求と住民訴訟とは?
 住民監査請求とは、過去1年以内の自治体の支出について、監査委員が改めて調査し、必要な措置(補助金の返還や、市長・職員による弁償などの勧告)を行うよう求める制度で、住民ならだれでも提出できます。
 さいたま市ではこれまで、監査委員が住民監査請求をすべて却下や棄却しています。しかし、住民監査請求の提出で、市が慌てて是正することもあります。
 住民が監査結果に不満な場合、住民訴訟を起こすことができます。ただし行政を相手にした裁判では住民側が勝つケースは少なく、住民側の主張が全面的に認められて勝訴するのは3%、主張の一部が認められたケースを含めても6%に過ぎません。

住民監査請求で取り戻したおかしな補助金
 私が住民監査請求を提出したところ、市が慌てて補助金を取り消した例には、以下のものがあります。
①南区が市民団体に支給した補助金(90万円
「朝のあいさつ運動」と称して、代表者が駅前で毎日挨拶し、2011年の市議選に出馬(落選)。これでは選挙の事前運動に市が補助を出したようなものです。補助金の大部分はチラシを刷る印刷機のリース代に使われましたが、リース会社の領収書は正式なものではなく手書きで、かつ筆跡は代表者と同じでした。

②都市局が見沼区の市民団体に出した補助金
 補助金7万円のうち5万9900円が、補助期間終了の3~4日前に切手や印紙の大量購入に使われ、切手の購入場所は郵便局ではなく酒屋でした。結局、切手は4枚(320円)しか使われず、残りは返金に。

③市民局が文化団体に出した補助金(3万円)
 この団体が市に提出した領収書を調べたところ、補助金が氷川神社の玉串料や宮司への謝礼に使われていたことが判明。公金から玉串料を支出することは、最高裁で違憲という判決が出ています。

生活保護
不正受給

2042万円騙しても保護費を支給
住民訴訟で国の通知無視が判明

【関連動画】
 生活保護の不正受給が急増しています。さいたま市で発覚した不正受給の件数は、08年度の151件から12年度には422件に増えました。
 不正受給が発覚しても、さいたま市はこれまで1件も警察に届けず、すべてウヤムヤにもみ消しています。
 なかでも悪質な事件は、11年6月に発覚した西区の3人世帯(夫婦と子ども)です。
 不正受給額は2042万6390円で、「子どものために全部使った」と称していますが、こっそり働いていた妻は外国人で、海外に送金された疑いもあります。
 しかし清水市政は警察に届けないばかりか、被害額のうち約半分の1113万円だけを、月々2千円ずつ204年間かけて返せばいいと、非現実的な対応で誤魔化してしまいました。
 私が12年9月議会で追及したところ、この世帯は実際十分働いていたのに、その後も生活保護を支給していることが判明しました。
 そこで私は、とりあえず10月に支給した保護費を、清水市長か副市長、または西区の担当責任者が市に弁償することを求めて、昨年12月にさいたま地裁で住民訴訟を起こしました。
 今年10月8日の口頭弁論で、私はさいたま市が不正受給の発覚時に「生活保護が必要かの認定は、過去3ヵ月の平均収入をもとに決める」という厚労省の通知を無視して、「次の給料は15万円くらいだろう」という推定認定で、生活保護の支給継続を決めていたことを指摘しました。

裁判長 この「推定認定」というのは、何らかの法令等に基づいているのですか。
阿泉保護係長 基づいているわけではありません。

 判決は来年春になりそうですが、不正受給を見逃して生活保護を乱発し続けた場合は、市長や担当責任者が弁償すべきという判決が出れば、全国的に警鐘を鳴らすことになるでしょう。

不正受給ようやく対策
市が初めて警察に告発

 私はかねてから、悪質な不正受給は警察へ告発することや、不正受給の通報ホットラインを設置することを議会で提案し、昨年の市長選でも訴えましたが、市は今年3月にホットライン(048-822-7870)を設置しました。
 そして不正受給者の告発にも踏みきり、9月には295万円を不正受給した南区の女性が、初めて詐欺容疑で逮捕されました。
 ようやくさいたま市も不正受給対策に腰を上げたのですが、それならなおさら2000万円以上の不正受給者を放置している現状も、改めなくては不公平です。
GoogleやYahoo!で「やっぱり大宮市民の会」と検索してくださいhttp://www.geocities.co.jp/WallStreet-Stock/9297/
2014年12月特別号(3)
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官製談合事件
職員がネットに「でっち上げた書類も」と書き込み
議長に要望し、臨時議会を開催させる

他の年度も調査をと
2年前に指摘したが

 浦和・与野の公園などを担当する南部都市・公園管理事務所で、再び不祥事が明るみになっています。
 10月4日に公園の遊具修繕工事で、09年度末に官製談合をそそのかしていたとして、主任の田崎容疑者が逮捕されました。さらに実際には行われていなかった架空の工事を、「完了を確認した」と公文書を偽造して、業者に約1985万円の代金を支払っていたことも明るみになりました。
99万7500が円並ぶ入札結果 2年前、南部都市・公園管理事務所では、11年度の修繕工事をめぐり、実際には年度末までに工事が終わっていないのに、「完了を確認した」という公文書を偽造し、業者に代金を先払いした問題が発覚しました。
 私は当時、①1つの工事を細かく分割して、競争入札にすべき工事を随意契約にしていた、②工事代金の多くが99万7500円で契約、③他の年度にも同じ問題がある、④他の部署でも偽造公文書で「完了確認」が行われている…などの実態を次々と暴露しました。
 そして地方自治法第100条に基づいた調査(職員が偽証すれば禁錮刑になる)を実施することを提案。12年9月議会の最終日に、各政党・会派も同意して可決されましたが、調査対象は11年度の修繕工事だけに限定されてしまいました。

質問したのは1人で
議会は1時間で終了

 今回、職員の逮捕に至ったのは他の年度の事件で、議会の生ぬるい調査で、見逃してしまったものです。
 田崎容疑者は12年度から浦和・与野の道路整備を担当する南部建設事務所に転勤になりましたが、私は市民からの情報提供で、田崎容疑者がインターネット(フェイスブック)に、13年3月28日付で「でっち上げた書類もありますが、何とか検査が合格しますように」と書き込んでいたことを発見。12年度に他の部署でも、公文喜を偽造してズサンな支払いをしていた疑いが明らかになりました。
 そこで私は、10月16日に議長に要望書を提出。議会として改めて調査範囲を拡大し、徹底調査を行うよう求めるとともに、記者会見で公表しました。
 その結果、田崎容疑者のフェイスブックが新聞でも報道され、11月12日に臨時議会が開催されました。
 ところが、自民・公明・民主・共産などの各政党・会派は、事前に「全会派を代表して、高橋勝頼議員(公明党・桜区)だけが質問することにしよう」と申し合わせ、臨時議会はたった1時間で終了。田崎容疑者が自ら書き込んだ「でっち上げた書類」については、追及しないままでした。
 また、職員と業者との癒着について、関都市局長は「因果関係は明らかになっていない」と答弁していましたが、臨時議会からわずか6日後に、田崎容疑者は10年度の入札で便宜を図った別の業者に、自宅のカーポート(50万円相当)を無償で設置させていたと、収賄容疑で再逮捕されています。
田崎容疑者のフェイスブック田崎容疑者のフェイスブックへの投稿文
※      ※      ※
 業者に支払う代金は、市民からの税金です。工事を発注し、完了したかを確認しないまま、「完了確認」の公文書を偽造してまで支払うやり方は、市民団体への補助金でもまかり通っていたことが、住民訴訟(2面参照)で明らかになっており、さいたま市(特に旧浦和市)の体質です。
 本来、税金の使い道を厳しくチェックするべき議会が、「マスコミで報道されたから、議会も調査したことにしよう」という形だけの姿勢では、体質を改めることは不可能です。

吉田一郎の著書
世界飛び地大全 新刊
世界飛び地大全角川ソフィア文庫 ¥1,080(税込)
 本国とつながっておらず、他国に囲まれた孤高の領土「飛び地」。人も住めないミクロな場所から、観光名所として潤う場所、鉄条網で囲まれた紛争最前線の場所など、世界には個性あふれる飛び地が多数存在しています。飛び地が誕生した経緯や歴史、人々の生活まで、図版をふんだんに使用して多角的に紹介することで、驚きの世界史が見えて来る地理マニアへの1冊。

文庫
■「世界飛び地大全」吉田一郎著
世界には多くの飛び地が存在する。最大なのが米国のアラスカ。旧ソ連時代から宇宙基地で有名なバイコヌールはカザフスタン領内にあるが、今はロシアの租借地。本書はかつてあった飛び地を含め、それぞれの歴史を紹介。関係国同士の利害調整だったり、大国の横暴だったりと、その時々の国際情勢の一端が浮かび上がる。(角川ソフィア文庫・1000円)
2014年9月12日付
『日本経済新聞』
■消滅した国々
第2次世界大戦以降、崩壊した183ヵ国
消滅した国々社会評論社 ¥3,024 (税込)
 ソ連やユーゴスラビア、ビアフラのように世界的な注目を集めて消えた国から、ヘレロ、クワクワ、アイレク共和国、シャン邦共和国など、日本では知られな いまま消えた「泡沫国家」まで、戦後67年間に消滅した世界183カ国の歴史、亡国への経緯、現状、最後の大統領や国王のその後などを711ページにわ たって紹介。
 誰も書かなかった国際政治や現代史のエピソードが満載の1冊です。
■消滅した国々
吉田一郎〈著〉
 南ベトナム、東ドイツ、ソ連をはじめとした、「今はない国々」のうんちくが並ぶ。公海上に人工島を造ったり、無人の岩礁を占拠したりして独立を目指して挫折した例もある。「国」があやふやなものに感じられてくる。
 著者は合併で「消滅した自治体」となった旧埼玉県大宮市のさいたま市からの分離を訴える同市議。同市による旧大宮市への「植民地支配」を告発するあとがきが熱い。

(社会評論社・2940円)
2012年12月9日付『朝日新聞』書評面
国マニア 
世界の珍国、奇妙な世界へ!
ちくま文庫 ¥731(税込)
勝手に独立したり、国内に政府がなかったり、領土がなかったりと、日本の常識では考えられない世界の52ヵ国・地域を紹介。「国」とは一体何なのでしょう?真面目なのに笑える国際政治の入門書。海外でも翻訳出版されたベストセラー。

2014年2月5日付 『日本経済新聞』夕刊
『国マニア』
「変な国」見つけびっくり
ノンフィクション作家 高野 秀行①
国マニア 昨年私は『謎の独立国家ソマリランド』という本を刊行した。二十年以上内戦が続くソマリアの中に、そこだけ平和で民主主義の独立国家があるが、国際社会からは全く認められていないという。そんな謎めいた国が実際に存在するのか自分の目でたしかめた記録である。
 「そんな変な国、どうやって見つけてくるんですか?」とよく人に訊かれるのだが、別に独自の情報があるわけではなく、吉田一郎『国マニア』(ちくま文庫)に載っていたのだ。
 この本には実にいろいろな「変な国」が紹介されている。今でもレーニンの銅像が立ちコルホーズ(集団農場)を行っている旧ソ連の沿ドニエストル共和国、なぜかハローキティ金貨を公式の通貨として発行しているクック諸島、ギリシャの中にあり女人禁制の宗教独立地域アトス山など、「こんな国(地域)が存在していいのか!?」と驚かされる。
 私が最も興味を惹かれるのは南太平洋のナウル共和国。リン鉱石がとれるため国民は百年間働かずに暮らしていたが、十年ほど前リン鉱石が枯渇。労働を知らない国民は途方に暮れた。極度の経済悪化と政治的混乱のため、一時は一台しかない国際電話も止まり、「国ごと音信不通」となったというからすこい。今どうなっているのか見に行ってみたいものだ。
■国境線の謎がわかる本(大和書房・監修) ¥1,404
■世界飛び地大全(社会評論社) ¥2,592
■九龍城探訪~City of Darkness~ (イーストプレス・監修) ¥3,780
■国マニア(交通新聞社) 絶版
■中国アナーキー(アスペクト) 絶版
■香港的秘密(アスキー) 絶版
■香港街伝(徳間書店) 絶版
『吉田一郎 市政レポート』のバックナンバーや、市議会での動画集が、インターネットでご覧になれます!
2014年12月特別号(4)
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政務活動費
で住民訴訟

「趣味の切手」を大量購入
広報紙発送の名目で購入したが、封筒に切手は使用されず

 さいたま市議会では、議員報酬のほかに1人あたり年間408万円の政務活動費(旧・政務調査費)が支給されています。今年は兵庫県議会の「号泣議員」によって、政務活動費のズサンな使い方が全国的に注目されましたが、さいたま市議会でも「号泣議員」と同様に、何に使ったのかわからない切手を大量購入した事件が発覚しました。
 政務活動費は年度ごとに清算しますが、Ⅹ議員は毎年3月末に「広報紙の発送のため」と称して切手を大量購入しています。
 今年3月31日には82円切手を2500枚購入し、20万5000円を支出しましたが、消費税の増税で郵便料金が82円に値上げされたのは4月1日からで、13年度には82円切手は使えません。13年度に余った政務活動費を、14年度に流用したと言えます。
 さらにⅩ議員の地元住民に届いた広報紙の封筒には、切手は使用されておらず、郵便区内特別の料金別納郵便で送られたものでした。
 料金別納郵便は、封筒に切手を貼らずにスタンプを押すだけのもので、配達先が同じ郵便局内で百通以上の場合は、料金が大幅に安くなります。
 Ⅹ議員が購入した切手は、どこへ行ったのでしょう?

ケロロ軍曹の切手シート市議会は大慌てて
切手の購入を禁止

 Ⅹ議員は11年度や12年度にも切手を大量購入していますが、①普通切手ではなく、ディズニーや「ケロロ軍曹」など、コレクター向けの切手を数百枚単位で購入している、②広報紙の郵送に使用できない50円切手を大量購入、③広報紙の重量が31㌘(送料90円)なのに、80円切手を購入、④郵便局ではなく個人から切手を購入…、などの問題点が発見されました。
 そこで8月26日、Ⅹ議員が使用した切手代の返還を求める住民監査請求を提出したところ、監査委員は「違法である証拠が不十分」だと請求を棄却しましたが、10月15日に市議会各会派が政務活動費の運用指針を見直し、切手購入は原則禁止することが決まりました。
 つまり、Ⅹ議員の切手購入は市議会でも問題視されたようなものです。
 11月20日には、Ⅹ議員が過去3年間に切手購入で使用した約50万円を市に返還するよう、清水市長が勧告することを求めて、さいたま地裁に住民訴訟を行いました。


政活費から母親に
掃除代を毎月支給

 Ⅹ議員の政務活動費のおかしな使用は、切手購入だけではありません。
 埼玉県議会では、議員の親族に政務活動費で事務所の家賃を支払うズサンな仕組みがまかり通っていますが、さいたま市議会では禁止されています。
 しかしX議員は、駐車場代や事務所の清掃費の名目で、母親に毎月3万5000円を支出しています。
 またスタッフ2人を雇ったとして毎月12万円を支出していますが、政務活動費の運用指針で定められた勤務時間の記録は提出されていません。
 これらの支出約190万円についても、X議員が返還することを求めて、11月11日に住民監査請求を提出しています。

政党活動に使途拡げ
月額34万円に増やす

 従来の政務調査費は、13年度から政務括動費に改称しました。
 13年2月6日の本会議では、自民・公明・民主・共産など各政党・会派が共同で、改称と同時に政務活動費の使途を拡大し、国やその他の団体への陳情・要望活動にも使えるようにするための議案を提出しました。
 これでは、自民党議員が永田町、共産党議員が代々木の党本部(=その他の団体)へ打ち合わせに行く費用にも、政務活動費が使われかねません。
 そこで私は、政務活動費が政党活動に使われる問題点について質問したところ、各政党・会派は答弁を拒否。2月14日の本会議で、私以外の議員が全員賛成して、使途拡大が可決されました。
 同時に、政務活動費の金額も、それまでの月額30万円から34方円へと増額されています。
 私は議員をしていた6年間で、総額2300万円以上の政務調査費を受け取りませんでしたが、議会での質問や発言回数は断トツの1位でした。
 盆栽美術館の展示用の盆栽6000万円相当が枯れていたことや、岩槻人形会館に展示するために用意していた人形がボロボロだったことなど、私の追求をきっかけに明るみになった事件も多く、政務調査費や政務活動費は議員活動に不可欠なお金ではありません。

合併で7割~17倍もアップした
毎月の政務活動費(政務調査費) 
 合併前の大宮市・浦和市20万円
  合併前の与野市・岩槻市 2万円
2004年度から 34万円
2009年度から 34万円(無所属は20万円)
2011年度から 30万円(無所属は18万円)
2013年度から 34万円(無所属は20万円)

2014年度 清水予算
施設
整備
大宮と浦和の格差は25倍に!
 2001年に合併でさいたま市が成立して以来、一貫して問題となっているのが、大宮と浦和の予算格差です。
 2014年度の予算配分は以下の表の通りですが、都市開発予算は湘南新宿ラインを浦和駅に停車させるための高架化事業が終わったかと思えば、浦和美園の開発予算が2倍以上に増額されて、合計は13年度が浦和101億6485万円、大宮36億7524万円だったのとほぼ変わらす、3倍の格差のまま。
 施設整備予算に至っては、桜区のクリーンセンター建設に加えて、緑区では市民病院の建て替えが始まる一方で、大宮は3分の1に減額されて、合計は13年度の浦和112億5559万円、大宮25億5448万円から一挙に格差が拡大。大宮はなんと浦和の25分の1しか予算がない状態です。
 清水市長は09年の市長選で「地域に偏りのない、公正公平な市政」を掲げて相川前市長を破りましたが、市長の椅子に座れば、相川前市長以上の浦和優先ぶりです。
 やはり、「1都市4制度」の導入で、大宮・浦和・与野・岩槻の財布を分けて、大宮の税収は大宮で使える仕組みが不可欠です。

2014年度都市開発予算
(平成26年度予算書概要より)
【旧浦和市】
浦和駅西口南高砂地区市街地再開発 17億5056万
浦和駅鉄道高架化推進 3897万
武蔵浦和第3街区市街地再開発 10億7650万
武蔵浦和第1街区市街地再開発 2億2771万
武蔵浦和周辺地区まちづくり 240万
浦和東部・岩槻南部裡域整備推進 37億1133万
東浦和第二土地区画整理 20億2900万
浦和東部第一特定土地区画整理 20億1200万
大門下野田特定土地区画整理 4100万
合計 108億8947万
【旧大宮市】
大門町2丁目中地区市街地再開発 3億4000万
大宮駅西口整備推進 2225万
大宮駅西口第四土地区画整備 20億3900万
さいたま新都心将来ビジョン推進 2332万
日進駅周辺まちづくり推進 1360万
西大宮駅周辺まちづくり推進 4億1140万
指扇土地区画整理 6億2800万
指扇駅周辺まちづくり 2億1300万
深作西部土地区画整理 1640万
合計 37億0697万
【旧与野市】
与野駅西口土地区画整理 1億6269万
南与野駅西口土地区画整理 7億4800万
与野本町駅周辺地区まちづくり 851万
与野まちづくり推進 1438万
合計 9億3358万
【旧岩槻市】
岩槻駅周辺地区まちづくり 1620万
岩槻駅西口土地区画整理 6億6213万
江川土地区画整理 5億4200万
南平野土地区画整理 2300万
合計 12億4333万

2014年度施設整備予算
(平成26年度予算書概要より)
【旧浦和市】
新クリーンセンター整備 155億2719万
市立病院施設整備・更新 19億4396万
浦和美園駅東口複合公共施設整備 19億3271万
緑消防署等複合施設整備 16億1474万
消防指令センター庁舎建設 4億1480万
見沼通船堀公園整備 1億5974万
消防分団車庫整備 1億1850万
子ども総合センター整備 1億0015万
浦和美園図書館資料購入 5188万
浦和駅市民の窓口移転 4822万
危機管理センター構築 3690万
東浦和第二地区第3調整池 3000万
アーバンデザインセンターみその設置 1820万
合計 219億9699万
【旧大宮市】
ひまわり特別支援学校増改築 7億5219万
指扇駅橋上化 1億0885万
秋葉の森総合公園整備 1000万
アーバンデザインセンター大宮設置 900万
大宮区役所新庁舎整備 298万
合計 8億8302万
【旧与野市】
与野中央公園整備 3億3571万
高沼用水路整備 2億2587万
合計 5億6158万
【旧岩槻市】
岩槻駅舎改修 23億3422万
旧岩槻区役所解体 3億9084万
岩槻消防署太田出張所耐震補強工事 5026万
岩槻人形会館整備 2331万
合計 29億1946万
(単位は円)
吉田一郎は、市長から支給される政務調査費(年間408万円)を受け取らずに活動していました。

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