2012年4月特別号 (1)
2面   3面   4面
2012 清水予算
大宮と浦和の予算格差
2000億円に拡大
「バランス取れている」と開き直る清水市政
 さいたま市が抱える最大の問題は、大宮と浦和との著しい予算格差です。
 昨年9月議会の決算審査で、合併から2010年度までの都市開発予算の総額は、浦和が大宮を1750億円も上回っていたことが判明しました。
 しかし、「地域に偏りのない公正公平な市政の実現」を掲げていたはずの清水市長は、格差を是正するどころかますます拡大させ、昨年度に続き今年度予算ではついに2000億円まで広がりました。
 予算格差を解消するには、かつて北九州市が導入したタッチゾーン方式、つまり合併前の旧市ごとに、「その地域の税収はその地域のために使うルール」を確立しなければなりません。
 そこで今年度の予算編成にあたり、私は昨年11月に清水市長へ要望書を提出。1月に回答が届きました。

要望 旧4市の財布をきっちり分け、その地域の税収はその地域で使うことを基本とし、政令市となって加わった新たな財源を、地域格差の是正や大型プロジェクト実施のために充てる制度が必要不可欠と考える。
回答 本市では総合振興計画に基づき、地域偏在のないバランスのとれたまちづくりを推進していることから、タッチゾーン方式による予算編成は考えていない。

 大宮の予算は浦和の6分の1という偏った予算を組みながら、「バランスのとれたまちづくりを推進している」などと言い放つ清水市政は、まさに相川前市長そのままです。
 また私は、「旧大宮市の都市開発予算の増額と、旧浦和市の都市開発予算の抑制」「過去10年間の著しい都市開発予算の格差を、今後10年間で埋め合わせるための年次計画の策定」なども要望しましたが、清水市長からの回答ではいずれも拒否され、これまで同様に
「必要な時期に必要な措置を適正に行っている」と開き直っています。

地下鉄7号線
専門家が採算性に赤信号
清水市長は建設向け決意
 清水市長は浦和美園から岩槻までの地下鉄7号線の建設に着手し、浦和の次は岩槻に、巨額の予算を投じようとしています。
 建設費は車両購入費込みで800億円、さらに岩槻や浦和美園、中間駅などの沿線開発を含めると、3000億円にのぼると言われます。さらに開業後の赤字負担も重くのしかかります。
 10年3月の予算委員会で、市は私の追及に対し「採算性の要件(開通後30年以内に黒字転換)をクリアした上で、建設のための申請に入る」と答えていました。
 その後、市は昨年6月に、専門家を集めて埼玉高速鉄道延伸検討委員会を設置。採算性の試算を行いました。
 今年2月に公表した予測では、浦和美園~岩槻の乗客は、人口減少社会の到来によって、開通時の1日2万3900人から、15年後には1日2万2000人に減少するという結果でした。
 1200億円以上かけて浦和美園の開発を進めても、乗客増は2400人、中間駅周辺の開発に330億円投じても、乗客は400人しか増えず、「30年以内に黒字転換」は、いずれも不可能だと判明しました。

浦和の次は岩槻に集中
大宮の開発は不可能に

 専門家が調査して「採算が取れない」と報告したにも関わらず、2月14日の本会議で清水市長は、地下鉄建設にあくまで強気の姿勢を強調。「地下鉄延伸は 市民、特に岩槻区民にとって長年の悲願であり、私も延伸実現に向けて、決意を持って最大限取り組む」と、浦和美園と岩槻、中間駅などに予算を集中投入し て、沿線の街づくりを積極的に進めることを宣言しました。
 地下鉄がすでに開通している赤羽岩淵~浦和美園では、1日8万5100人の利用者がいますが、10年度決算では41億円の最終赤字を出して1276億円の負債を抱え、県や市が出資や貸付、補助金など、開業から12年間で計1530億円もの税金を投じています。
 その4分の1しか乗客が見込めず、さいたま市が単独で赤字に責任を持つことになる地下鉄の岩槻延伸は、あまりに無謀です。
 私は3月25日、大宮区役所での地下鉄説明会で、「採算が取れないとはっきりした地下鉄建設を強行すれば、財政破綻を招く」と清水市長に強く抗議しました。
 今後、税収が落ち込んでいく中で、さいたま市が大宮の豊かな税収を、浦和の次は岩槻と地下鉄に注ぎ込むなら、巨大ターミナルという立地に恵まれているはずの大宮の開発は、永久に不可能です。
 私たちの街・大宮の発展を実現するには、やはり旧4市の財布をきっちり分けるか、旧大宮市の分離独立を図るしかありません。

2012年度都市開発予算
(平成24年度予算書概要より)
【旧浦和市】
浦和駅周辺鉄道高架化
武蔵浦和 第1街区 
武蔵浦和 第3街区
浦和東部第一特定土地区画整理
浦和東部・岩槻南部地域整備推進
浦和東部用地先行取得
東浦和第二土地区画整理
浦和駅周辺再開発推進
52億2705万
19億5862万
12億4530万
20億9400万
22億3721万
1億4948万
17億3800万
 1億5968万
合計148億0934万
【旧大宮市】
大宮駅西口都市改造事業
大宮駅西口まちづくり推進
大宮駅周辺地域戦略ビジョン
大宮駅東口用地先行取得
指扇土地区画整理 
西大宮駅周辺まちづくり推進
日進駅周辺まちづくり推進
深作西部土地区画整理   
19億2800万
1億1026万
 1億1723万
6394万
2億1400万
444万
3489万
3600万
合計25億0876万
【旧与野市】
南与野駅西口土地区画整理 
与野駅西口土地区画整理 
5億6300万
1億6237万
合計7億2537万
【旧岩槻市】
江川土地区画整理
岩槻駅西口土地区画整理
南平野土地区画整理
 5億6000万
 5億0463万
 1億3000万
合計11億9463万


2012年度施設整備予算
(平成24年度予算書概要より)
【旧浦和市】
新クリーンセンター建設
畷橋架け替え工事
駐輪場建設(2ヵ所)
緑消防署複合施設整備
浦和美園駅複合公共施設整備
消防指令センター庁舎建設
子ども総合センター建設
34億7537万
 3億6565万
3億4820万
2億3429万
4000万
2058万
132万
合計 44億8541万
【旧大宮市】
大宮駅西口複合施設建設
指 扇 駅 橋 上 化
東宮下調整池の整備
13億1461万
12億3432万
3億5700万
合計 29億0593万
【旧与野市】
高沼用水路の整備 9300万
合計 9300万
【旧岩槻市】
岩 槻 駅 橋 上 化
岩槻人形会館建設
6億0000万
4842万
合計 6億4842万


2012年度の教育施設建設予算
(平成24年度予算書概要より)
【旧浦和市】
美園中学校用地取得※
領家公民館改築等
美術館・岸町公民館LED化
さくら草特別支援学校建設
29億9012万
3億2762万
1億2100万
4884万
合計 34億8758万
【旧大宮市】
栄小学校増改築
内野地区公民館整備
大宮東中学校体育館増改築
三橋中学校プール改修
ひまわり特別支援学校増改築
10億4800万
2億4747万
1億9300万
6500万
5000万
合計16億0347万
【旧与野市】
与野本町小学校体育館耐震化 7811万
合計 7811万
【旧岩槻市】
給 食 施 設 整 備 28億8388万
合計 28億8388万
※2012年2月補正予算で計上

2012年4月特別号(2)
1面   2面   3面   4面
防犯・学校に続き、自治会に再び「動員令」
 清水市長は、「新しい公共」という方針を掲げています。これまで市が行っていた行政サービスを、地域組織や市民団体と共同で行う考え方ですが、市民団体への補助金や委託料が、新たな利権を生む恐れがあります。
 また高齢化が進む自治会に、次々と負担を押し付けることにもなります。
 各自治会では、数年前から防犯パトロールを始めていましたが、昨年からは学校警備員に替わって小学校の立哨ボランティアが要請され、さらに2月議会では、高齢者の見守り活動も行わせようとする「安心長生き条例」が審議されました。
 しかし、果たして自治会から協力の同意を得ているのか、私は2月議会の保健福祉委員会で問いただしました。

吉田一郎 見守り活動のスタッフは、自治会にどういう形でお願いをするのか。
高齢福祉課 昨年11月から自治会連合会で説明をして、厳しいという意見をかなりいただいた。
吉田一郎 4月から施行するのは可能なのか。
高齢福祉課 10月から本格稼働で考えている。4~6月の段階で各自治会に説明して、協力員の推薦を受けて、7、8月に研修を準備したい。

 自治会側から「厳しい」と言われているのに、強行する市の姿勢は問題です。
 私は2月15日の本会議で、現実には各自治会で一部の限られた人が、いくつものボランティアを掛け持ちすることになっていると指摘。
 また、かつては「租庸調」のように、年貢米や特産品と並んで労役負担が税として課せられていましたが、市が地域に「人を出せ」というのは、形を変えた増税だと批判しました。
 さらに江戸時代、中山道を大名行列が通るたびに、周辺の村々に「人を出して協力するように」と命令が下り、18世紀に大宮周辺の村々で大きな一揆(伝馬騒動)が起きた歴史を紹介して、自治会への過度な負担の押し付けを戒めました。

天下り!
元鳩ヶ谷市長を年間1200万円で縁故採用
知事に頼まれ?知事の元特別秘書を県との交渉担当に
「任期付職員」は、清水市長が新たに導入した制度です。市長が必要だと思った人を、月給最高97万7000円という副市長並みの高給で、幹部職員として雇 用でき、さらに同額の手当も支給できるというもので、いわば公然とした「縁故採用」です。 清水市長は今年1月、昨年10月の合併で失職した元鳩ヶ谷市長 の木下達則氏を、任期付職員として採用しました。まるで形を変えた「天下り」です。
 木下氏はもと県職員で、知事の特別秘書を務めた後、06年から鳩ヶ谷市長に就任。川口との合併では自民・共産が反対し、議会で賛否同数となっても住民投票を行わず、合併を強行しました。
 合併で木下氏は失業しましたが、上田知事から「面倒を見てやってくれ」と頼まれたのか、清水市長は木下氏を任期付職員として雇い入れました。
 木下氏の役職は政策局副理事で、新都心第8-1A街区の開発などでの、県との調整役が担当です。
 清水市長は、「もと県職員で、県との連携を構築することが可能」「合併を成就させるなど高い実務経験を生かしてほしい」と言っています。
 しかし木下氏は知事の特別秘書、つまり「女房役」だった人物です。
 清水市長は上田知事の言いなりとなって、患者や家族の強い反対を押し切って第8-1A街区へ病院移転を強行し、23億円を負担させられようとしていますが、その調整を知事の元女房役に任せるでは、県の思惑通りに進められかねません。
 ましてや住民を無視して合併を強行した「実務経験」を期待しての採用とは、トンでもありません!
 そこで私は2月8日の本会議で追及しました。

吉田一郎 木下氏の人件費は、年間いくらか。
野尻総務局長 1200万円程度を見込んでいる。
吉田一郎 来年の選挙で市長が替わり、木下氏を解雇したいと思ったら可能か。
野尻総務局長 地方公務員法に違反しない限り、木下氏の意に反して免職することはできない。【動画で見る】

 ようするに、市長が替わろうが、清水市長がいったん縁故採用した木下氏は解雇できないのです。
 木下氏は10年10月の鳩ヶ谷市長選で、地元県議(民主党)から陣中見舞いとして30万円を受け取り、公職選挙法に触れると報道されたり、後援会に使途 不明金が発生して、政治資金収支報告書が未提出のままになっていますが、清水市長は「刑事処分されていないから、問題ない」と開き直っています。

清水市長が縁故採用した幹部職員

自分の会社へ請負発注市役所丸ごと利権化へ
 清水市長はこれまでに12人の任期付職員を採用しました。うち6人は盆栽美術館の学芸員や技師ですが、残り6人は幹部職員としての「縁故採用」です。
 しかしその職務の内容は、企業のPR活動を担当させたり、旅行会社の出身者を雇って史実に反する観光パンフを作らせたり、清水市長が3年前の市長選で掲げたマニフェストの検証をさせたりと、果たして市が高給を出して雇う必要があるのか、はなはだ疑問です。
 また清水市長は、市から仕事を請け負っていたリサーチ会社の役員を、市のPR担当副理事として雇い入れています。
 総務局長は当初、「特定企業との癒着といった批判を招かないようにしたい」と言っていましたが、10年2月議会で私が改めて問いただすと、人事課長は「(請負の仕事を増やしても)特段問題はない」と開き直ってしまいました。
 市と取引のある企業関係者を、幹部に採用して権限を与えたら、市役所が丸ごと利権化しかねません!


敬老祝い金を半減し、業者へ委託費
支給額は旧大宮市の10分の1に
 敬老祝い金は、これまでの社会貢献への感謝として、75歳から5年ごとに1万円支給されてきました。
 清水市長は就任以来「敬老祝い金の見直し」を掲げ、2月議会で支給額の半減を提案してきました。
 市の財政が本当に苦しいのなら、減額や廃止もやむを得ません。
 しかし市は替わりに、健康サークルに参加した高齢者や、見守り活動などのボランティアにポイントを与えると言います。私は2月17日の保健福祉委員会で、その費用を追及しました。

吉田一郎 敬老祝い金の削減によって、どのくらい予算が浮くのか。その替わりのサービスで、どのくらいのコストがかかるのか。
高齢福祉課 削減で得られる財源は2億円。祝い金の見直しに伴って実施するサービスは、平成25年度で3億9000万円、26年度は7億4000万円という形で増えていく予定。

ポイント発行の事務作業は民間業者に委託され、その経費に年間3000万円がかかります。
 高齢者に手渡されていたお金が、業者に流れるのでは、何のための敬老祝い金削減かわかりません。
 合併前の大宮市では、75歳以上の高齢者に毎年8000円~1万5000円が支給されていました。しかし合併で「浦和方式」に統一されて5年に1回の支給になり、今回半額になることで、支給額は合併前の実質10分の1になります。
 浦和駅周辺の開発に1800億円以上もの予算を注ぎ込む一方で、高齢者への敬老祝い金は大幅カットするやり方は認められません。

選挙公約のはずなのに自民党が態度変え可決
 清水市長は敬老祝い金削減を2年前にも提案し、自民・公明・共産と無所属が反対して否決されました。
 特に自民党は反対の先頭に立って号外チラシを全戸配布し、昨年の市議選でも「高齢者いじめにNO」「予算カットは認めません」と公約に掲げたほどでし た。 しかし今回は、関根信明団長ら役員が、執行部から事前に説明を受けて了承してしまい、各地の新年会などで早々と「敬老祝い金が削減されますが、御理 解を」と、市長に替わって宣伝を始め、削減に反対したのは私と共産党だけでした。 結局、自民党内でも異論が出て、今年度は75歳だけ1万円支給という修 正案が出ましたが、「与党気分」が抜けきらず、執行部に頼まれたら選挙の公約をあっさり捨ててしまう姿勢は、有権者に対する裏切りです。
GoogleやYahoo!で「やっぱり大宮市民の会」と検索してくださいhttp://www.geocities.co.jp/WallStreet-Stock/9297/

2012年4月特別号(3)
1面   2面   3面   4面
1年で3回目の海外視察に反対しました
吉田一郎が反対した議案
■平成24年度一般会計予算1面参照
■国保特別会計予算
 2年前に最高5万円値上げされた国保税。しかし昨年度は41億円の黒字を出しており、元に戻すべきです。
■後期高齢者特別会計予算
 後期高齢者医療制度は、民主党政権の公約通り廃止すべきです。
■介護保険特別会計予算■介護保険料の値上げ
 最高56%(4万7172円)もの大幅値上げに反対。事務経費が多く、現場の介護労働者へ渡るお金が少ない現行の制度は抜本的に見直すべきです。
■東浦和第二土地区画整理特別会計予算■浦和東部第一特定土地区画整理特別会計予算
 浦和優先の開発予算には反対です。
■下水道事業会計予算
 2年前に最高4割も値上げしたうえに、無届けで下水管に接続した6200世帯への料金未納分の徴収を行おうとしないのは問題だと指摘し、反対しました。
■一般会計補正予算(8)
 新都心で市役所が建てられる最後の土地・第8-1A街区に、患者の声を無視して県立小児医療センターと日赤病院を移転するための準備予算には反対です。
■誰もが安心して長生きできるまちづくり条例2面参照
■敬老祝い金の支給額半減《2面参照
■外国人登録法の廃止に伴う5条例の改正
 不法滞在や不法入国の外国人に、市長の裁量で国民と同じ福祉サービスを提供できるという内容。市長の裁量で決まるのでは、法治社会ではなく人治社会です。
■障害者自立支援法の改正に伴う10条例の改正
 障害者の自立支援施設で、市が「目的を達した」と判断すれば、入所者を追い出せるという規定に反対しました。
■放課後児童クラブ条例の改正
 民間の学童保育との「料金格差の是正」を理由に、料金を段階的に2倍へ値上げすることは認められません。
■街路築造工事契約
 大宮では「4車線の道路しか整備しない」と言いながら、浦和では4車線の環状道路に加え、2車線道路にも14億円を費やす、清水市政の二枚舌は許せません。
■財産の取得(西区宝来
 旧大宮市が特養老人ホーム建設を予定していた土地を、グランドゴルフ場にするため15億円で購入する内容。当初の計画通り不足している特養を建設すべきです。
■国保税の1万円引き下げ
 最高5万円値上げされた国保税を、1万円下げればいいという共産党の主張には反対しました。
■議員報酬の10%減額■政務調査費の10%減額
 8年前に議員報酬は3割、政務調査費は7割もアップしましたが、それを1年間だけ1割下げるという内容。もとの水準に戻すべきです。
■こころの健康を守り推進する基本法の制定を
 精神科の通院者を精神障害者と同一に論じたり、不登校の生徒などに、学校や行政が積極的に精神科受診を勧める提言内容には疑問です。
■防災拠点の整備や公共施設の再編・整備の推進決議
 大宮区の自治会長が連名で提出した大宮駅東口の公共施設整備を求める請願を葬り去り、与野、岩槻と同様の整備にすり替えようという大宮区の議員(自民・公明・民主)らの策略に反対しました。
■東日本大震災で発生したがれき処理に関する意見書
 各自治体に「がれき受け入れ」を求める国に対し、まずがれきの放射能測定の体制を整え、焼却灰の最終処分について明確な基準を示すことを求める内容には賛成ですが、「無所属議員は賛成意見を述べてはならない」という馬鹿げたルールに抗議して反対しました。
■議員派遣(韓国視察)
 選挙が終わった途端、1年で3回 目の海外視察。参加者は中山議長、関根、加藤、新藤(以上自民)、井上(公明)、池田(民主)、細沼(改革)の7人。「海外視察は税金の無駄です」とチラ シをまいていた民主党議員が、視察メンバーに加わっているのはおかしいと指摘しました。

●1758万円使ったJアラート、本番では役に立たず
 4月13日、北朝鮮が「人工衛星」と称する弾道ミサイルを発射しました。1分後に空中分解し、韓国沖に墜落しましたが、Jアラート(全国瞬時警報システム)が作動しなかったことが問題になっています。
 Jアラートは、ミサイル接近情報を、各自治体の防災無線を通じて一斉に流すシステムで、さいたま市では2年前に1758万円で導入しました。
  09年12月議会で、私は「防災無線から突然『弾道ミサイル接近中』と流れたら、市民はどうすればよいのか」と問いただしたところ、市は「近隣の建物に避 難して、安全が確認されるまで外に出ないこと」と答え、「どうやって、避難方法をあらかじめ市民に周知徹底しておくのか」と聞くと、「パンフを1万部作っ て区役所などに置いておく」との答弁だったので、「これでは市民の安全が守れるとは思えない」と導入に反対しました。
 Jアラートの導入に、全国では数百億円使ったようですが、情報を瞬時に流さなかったり、情報を聞いた国民がどう行動すべきかをあらかじめ周知しないのでは、まったく意味がありません。
2012年2月議会の会派別議案賛否一覧表
『吉田一郎 市政レポート』のバックナンバーや、市議会での動画集が、インターネットでご覧になれます!

2012年4月特別号(4)
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プラザイースト
「市民に利用させず節電」の内幕を暴露
市の調査に館長がウソの回答
責任逃れ許さず重ねて追及
 昨年夏、電力不足が懸念された時、さいたま市は「庁舎の20%節電」「公共施設は市民の利用を制限せずに15%節電」を目標に掲げました。
 しかし2月議会で私は、外郭団体に管理運営を任せていたプラザイーストで、市民に部屋を使わせずに節電を図っていた事実を暴露。さらに市の調査に対してウソの回答をしていたことも明らかになりました。
 プラザイースト(緑区)の管理運営は、市の外郭団体である文化振興事業団が行っています。
  私が入手した資料によると、昨年6月にプラザイーストでは、予約システムを操作して、大ホールやセミナールーム(会議室)をはじめ、7~8月に空いていた 様々な部屋をニセの仮予約で押さえてしまい、市民が予約申し込みをできないように偽装。仮予約は直前にキャンセルして、空室を続出させて節電を図っていま した。
 そこで私は2月7日、市民局にこの問題を議会で取り上げると通告し、翌8日の本会議で追及しました。

吉田一郎 市はその事実を把握しているのか。市が命じて市民に使わせなかったのか、それとも事業団が勝手にやったのか。
小山市民局長 プラザイーストで6月に、予約を1年前から受け付けるホール、多目的ルーム、映像シアターで、7月と8月分の仮予約をした。事業団によれば館長の考えで行ったもので、市は把握していなかった。
吉田一郎 セミナールームについては、市は把握していないのか。
小山市民局長 把握しておりません。【動画で見る】

 私の通告を受けて、市は事業団に事情を問いただしたものの、館長に「貸さなかったのはホールなどだけで、一般市民にはほとんど影響がなかった」とウソの釈明をされて、そのまま鵜呑みにしたようです。
  私の再度の指摘を受けて、市が改めて調べたところ、3月2日の予算委員会では、セミナールームの他にも、展示室やリハーサルルーム、音楽スタジオ、フィッ トネスルーム、和室、茶室、キッチンスタジオ、アトリエなどの部屋も、ニセの仮予約で市民に使わせなかったことが確認されました。

公共施設の管理独占で
外郭団体に年間21億円

 市はホールや市民会館、コミニュティセンターなどで、指定管理者制度を導入し、民間などに管理を任せることにしていますが、実際にはプラザノースを除いて、すべて文化振興事業団が管理を独占しています。
 これは管理者の公募にあたって、「市内で500席以上のホールを、5年以上管理した経験があること」などの条件を付けて、事業団以外は事実上、応募できないようにしているためです。
 文化振興事業団は旧浦和市が設立した外郭団体で、2年前に旧大宮市が設立した公立施設管理公社を吸収合併し、公共施設の管理運営をほぼ独占するようになりました。市は年間21億1549万円もの委託料を支払っています。
 部屋を市民に貸さなかったら、市にその分損害が発生します。
 しかし、市は事業団に損害賠償を請求するつもりはなく、事業団に「今後は適正な管理を行うように」と通知し、事業団は館長に口頭で注意しただけでした。
 市の調査にウソの回答をしておいて、ひと言注意しておしまいで許されるはずがありません!
 私は3月16日の本会議で、「事業団との契約金額を見直すなど、ペナルティを課すべきだ」と批判したうえで、「そもそも公共施設の運営を1つの団体にほぼ独占させている弊害が出た」と、指定管理者制度の見直しを強く求めました。

事業団
「5億円の盆栽枯死」でもズサンな管理
 文化振興事業団の事実上のトップである副理事長には、清水市長の就任後も、相川前市長の後援会長だった佐伯鋼兵元市議が居座っていました。
  盆栽美術館に展示するために市が5億円で購入した盆栽のうち5700万円相当が、09年夏に枯れてしまう事件が起きましたが、この時、事業団は市と盆栽を 預かっていた各盆栽園との間に入り、年間数百万円の管理委託費をピンハネしながら、1ヵ月に1回盆栽園を巡回し、3ヵ月に1回盆栽を撮影するだけというズ サンな管理をしていたことが明るみになりました。
 また盆栽美術館のオープンにあたっては、盆栽園から盆栽美術館まで、盆栽100鉢を数百㍍運ぶ だけで、事業団は市に300万円もの運搬料(盆器の運搬料も含めると680万円)を請求していたことを、私は09年11月の市民生活委員会で追及。結局、 市が運送会社に直接見積りを取り、191万円に減額させることができました。

食品・給食
汚染状況に応じた放射能検査を提案
産地は県別ではなく、市町村・農協別に公表を
 私は昨年6月議会で、市内に流通する食品の放射能検査の実施を求め、9月から農産物、11月から水産物の検査がスタートしました。しかし、北海道産玉ねぎや青森産リンゴを調べて、「放射能は不検出」と発表しているのでは無意味です。
 文部科学省は昨年秋、東日本の放射能汚染マップ(ハザードマップ)を公表しました。 そこで私は2月21日の保健福祉委員会で、この活用を提案しました。

吉田一郎 ハザードマップに基づいて、汚染が多いと思われる地域の農産物を、重点的に調べるべきだ。
食品安全推進課 ハザードマップは、国が生産県で活用しろと言っている。
吉田一郎 消費地で活用してはいけないと、国から言われているのか。
食品安全推進課 特段言われてはいません。
吉田一郎 産地は県別ではなく、農協別や市町村別に公開すべきだ。
保健所長 国の検査計画では、原則として県名を公開することになっている。ただし管理が可能なら、県内を分割することもあり得る。
吉田一郎 市場への入荷は、農協から送られてくるのではないか。
食品衛生課 その通りです。

子供騙しな基準を追及
キノコ類は当面自粛を

 学校や保育園の給食の放射能検査が、2月からスタートしました。1週間分の給食の食材をまとめて検査し、年間の内部被曝量を推定。もし国際基準の1㍉シーベルトを超えそうだったら、メニューを変更して再検査するというものです。
 しかし、国際基準はすべての被曝量の合計であって、給食だけではないはずです。

放射能汚染図吉田一郎 国際基準では、給食だけで年間1㍉シーベルトなのか、それとも朝食や夕食、飲み物、外部被曝も合わせて1㍉シーベルトなのか。
保育部長 年間摂取量です。
 給食だけなら、0.1か0.2にすべきだ。
保育部長 どこに基準を置くか難しい。こういう形で公表したのは、保護者に安心してもらいたいから。
吉田一郎 素人が考えてもおかしな基準は見直すべきだ。キノコ類で基準値以上の放射能が各地で検出されているが、当分の間給食でキノコは避けるべきでは。
保育部長 給食は近隣小売店を中心に、市内で流通する食品を調達しているから、安全だと考えている。
吉田一郎 岩槻の保育園の給食から、微量の放射能が検出されたが、どの食材が放射能を含んでいたのか。
保育部長 1週間分の給食を混ぜて検査したので、どの食材かは特定できない。
吉田一郎 原因が特定できないのなら、疑わしいキノコ類は避けるべきだ。

シイタケから基準値を超える放射能が検出されたことを受けて、横浜市では給食で干しシイタケの使用を中止しています。
 せっかく食品や給食の放射能検査を実施しても、汚染の可能性が高い地域の物を調べなかったり、放射能が検出されても原因を特定しようとしないのなら、「安心」には至りません。
 私は今後も、食品特に給食の安全について、追及と提案を続けていきます。
吉田一郎は、市長から支給される政務調査費(年間360万円)を受け取らずに活動しています。

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