2011年1月特別号 (1)
2面   3面   4面

岩槻人形会館の今年度着工を断念させました!

人形組合の言いなりに

数億円?の新たな人形購入を追及

 清水市政は3月までに、岩槻人形会館を着工しようとしていました。
 議会では自民・公明・民主・共産の議員が賛成するなかで、私は昨年夏から「展示用の人形がボロボロ」「展示品に岩槻の人形がない」「入場者数や収支、経済効果などの見通しが立っていない」「市は自ら『人形会館を建てても、岩槻への観光客は増えない』と言っている」など、お粗末な実態を次々と追及。新聞各紙で報道させるなどの攻勢をかけ、ついに今年度の着工を断念させることができました。

 着工延期は半年以上で、この間に市は「市民特に岩槻住民に建設への理解を得たい」と言っていますが、その裏で岩槻人形協同組合が、新たに数億円もの人形を市に買わせようとしている動きも判明しました。 
※      ※      ※
 人形会館の展示用に、市が所有している人形は、岩槻人形協同組合を通じて1900万円で購入した故・西沢笛畝氏の日本人形コレクション1720体と、人形組合が寄贈した同氏の海外人形など2600体です。
 展示品はこれで十分という話でしたが、人形組合が1体1体確かめて買って来たはずの日本人形は、320体は修復が必要でした。
 市は180万円かけて修復作業を始めましたが、これまでに修復が終わったのは32体に過ぎません。
 私は「修復済み」という人形を見ましたが、ツギハギだらけで、とても鑑賞に耐える状態ではありません。
 西沢氏のコレクションは、遺族が笛畝人形美術館で展示していましたが、良い人形は売却されたものもあり、人形組合が買って来たのは「美術館閉鎖まで残っていた人形」だったのです。

浅原コレクションを
買えと迫る人形組合

 私が人形会館開設準備委員会の会議録を調べたところ、人形組合の委員らは、散逸した西沢コレクションを買い集めることや、「本当に良い人形はこちらに揃っている」と、浅原コレクションを購入するように要求。浅原コレクションの価値を「市はもっと認識すべきだ」と迫っていました。
 そこで、私は12月7日の市民生活委で追及しました。

吉田一郎 浅原コレクションとは、いったい何点あって、評価額はいくらなのか。
文化施設建設準備室 1万点とも2万点とも言われていて、具体的には答えられない。価値についても不明。
吉田一郎 人形組合に「もっと買え」「もっと認識しろ」と言われて人形を買うのでは、人形組合の利権のための人形会館だと、市民に思われて当然だ。展示品収集の計画の策定からは、人形組合を外すべきだ。
文化施設建設準備室 人形組合とは、非常に連携をしていかなければならないと、逆に考えている。

 伝統産業である岩槻人形を展示するための博物館ならともかく、人形組合に言われるがまま、西沢さんや浅原さんが趣味で集めたコレクションを買い集めるのでは、一体何のための岩槻人形会館かわかりません。

推進派会合に参上し
人形組合を直接追及

 議会では、自民・公明・民主・共産の議員らが、「人形会館の建設促進」を第一の目的に揚げた文化振興議員連盟を結成しています。
 着工延期にうろたえた文化振興議連は、人形組合を招いて12月16日に会合を持ちました。
 「吉田にも声をかけないと、『建設推進派が密談!』と批判されかねない」と恐れたのか、メンバーでない私の自宅にも開催案内のFAXが届きました。
 そこで私は会場に乗り込み、西沢コレクションの宣伝をしていた人形組合に問いただしました。

吉田一郎 貴重な人形を後世に受け継ぐべきと言うのなら、人形組合が人形会館を建てるべきではないか。将来市長が代わって、箱物の建設中止や閉鎖になるリスクは考えないのか。
人形組合 市は必ず建ててくれるだろうと思っていた。
吉田一郎 人形の評価額は、一体どう決まるのか。人形組合が市に提出した西沢コレクションの鑑定書には、金額が書いてあるだけで、由来や修復の必要性は書かれていなかった。
人形組合 似たような人形がいくらかで決まる。

 また浅原コレクションの点数や評価額について質問しても、「買ってほしいと要望しているだけ」と明らかにしませんでした。

文化創造の条例作り
人形購入を正当化か

 清水市長は2月議会で「文化芸術都市創造条例」を制定し、本市に定着している文化として、盆栽・人形・サッカーを規定する一方で、文化創造の政策実現のための基金を設置しようとしています。また建設予算の1%を、基金に入れる構想もあります。
 道路など不十分な都市基盤の整備を犠牲にして、人形や盆栽購入のための財源確保の手段になるようでは、絶対に認められません!

  文化振興議員連盟の2010年度役員
会 長 鶴崎敏康(自民)
副会長 真取正典(自民) 今村とよ子(公明)
事務局長 萩原章弘(自民)
理  事 高木まり(民主) 神田義行(共産) 野呂多美子(みどりの風)
相談役 関根信明(自民)
特別顧問 清水勇人(市長)

鴻巣の「人形会館」は1億円で建設

地元人形を展示

鴻巣に建設される「人形会館」  岩槻と並ぶ雛人形の産地・鴻巣に建設される「人形会館」は、江戸時代から313年間続き、09年5月に廃業した老舗・吉見屋人形店の土地を、鴻巣市が1億1466万円で購入し、建物や人形などの資料2000点は吉見屋から寄贈を受けたものです。
 かねてから吉見屋では、明治時代に建てられた蔵に、収集した人形や道具・古文書などを展示した雛屋歴史資料館を一般公開していました。鴻巣市はこれを改装して、人形などの展示の他に、地元の特産品や農作物の販売も行う「まちの駅」として、2012年2月に歴史民俗資料館をオープンする予定です。
 26億円かけて箱物を建設し、何億円もかけて地元とは関係のない人形を買い集めようとする岩槻人形会館の建設計画は白紙に戻し、鴻巣市のやり方を見習うべきです。

署名にご協力ありがとうございました

桐淵教育長に1517筆の署名を手渡す吉田一郎大宮の子どもたちに大宮を知る教科書を

 1月17日、北区・西区・大宮区・見沼区の市民代表各1名の方々とともに、清水市長の立会いの下、桐淵教育長に1517筆の署名を手渡しました。
2011年1月特別号(2)
1面   2面   3面   4面
12月議会
個人市民税や都市計画税等

旧4市ごとに異なる税率を

財政局長も「法的に可能だ」と本会議でお墨付き

 9月議会の決算審査では、合併以来8年間の都市開発予算が、大宮は浦和の5分の1という実態が明るみになりましたが、12月議会で私は旧4市ごとに税の負担を変えるべきだと提案しました。

 さいたま市は1年前、岩槻駅前再開発ビルの経営再建に、55億円を投じましたが、12月議会では、今度は北与野駅前再開発ビルの再建に、市が14億円を投じる補正予算が審議されました。
 浦和への集中投資や、旧与野市や旧岩槻市がバブル期に行った無謀な再開発のツケを、大宮住民に負担させるのにも限度があります。
 そこで私は12月1日の本会議で、旧4市で違う税率を適用することが可能かを問いただしました。【関連動画】

吉田一郎 個人市民税や都市計画税等の税率を、1つの自治体の中で地域ごと、例えば旧4市ごとに変えることは、法的に可能か。
丸財政局長 法的には可能であると理解しています。【動画で見る】

 具体的には、法律では自治体の一部地域だけを、増税または減税することができると規定されています。
地方税法第6条の2「地方団体は、公益その他の事由により必要がある場合においては、不均一の課税をすることができる。」地方税法第7条「地方団体は、その一部に対して特に利益がある事件に関しては、不均一の課税をし、またはその一部に課税することができる。」

公平な予算の配分か
公正な受益者負担か

 さいたま市は都市開発予算の他にも、新浦和橋の無料化に33億円、湘南新宿ラインの電車を浦和駅に停めるための連続高架化とホーム新設に420億円を投じ、さらに沿線開発を含めると3000億円にのぼると言われる地下鉄7号線の岩槻延伸に、12年度中に着手しようとしています。 その一方で、税収が豊かな大宮では、東口再開発は縮小、北口開発は中止となり、市が所有する貴重な一等地が、次々と処分・売却されています。
 さいたま市は、大宮と浦和・与野・岩槻の財布をきっちり分けるとともに、地方税法に基づいて、「特に利益のある地域」に税負担を求めることで、公平公正な市政運営を行うべきです。

浦和に偏った市民活動のサポートを追及し

全てのコミセンに印刷機設置を実現

 さいたま市では、「公共施設の適正配置方針」によって、あらゆる中核的な公共施設が浦和に建設されました。市民活動サポートセンターもその1つです。
 私は「浦和でしか市民活動をサポートしないのか」と、追及を続けた結果、利用が多い印刷機は、11年度から5年以内に、すべてのコミュニティ施設に設置されることになりました。 
 ※     ※     ※
 市は「浦和1ヵ所で全域の市民活動をサポートできる」と強弁していました。
 しかし9月議会の決算審査で、私が市民活動サポートセンターを利用する団体の地域別内訳を公表させたところ、約7割が浦和の団体という実態が判明。
 そこで12月3日の市民生活委で、私は追及しました。

吉田一郎 著しく偏った利用実態を、市はどう評価しているのか。
市民生活部 市民活動は、地域の中で活動するのが本来。(大宮や岩槻の団体は)コミュニティセンター(コミセン)や公民館を利用し、それを市民活動サポートセンターが支援することで、平等性は保たれている。
吉田一郎 ロッカーやメールボックス、備品の貸出はコミセンにない。浦和の団体が7割を占める現状を変える具体的な提案はあるか。
市民生活部 各区のコミセンで出前講座を開き、市民活動サポートセンターの魅力を伝えている。
吉田一郎 ようするに「浦和まで来い」と誘うだけだ。浦和にあるから物理的に利用が偏るのではないか。
市民局長 今後探ってみたい。さいたま市内全域で同じような活動が展開できる形にしていきたい。

 そして12月6日の市民生活委員会で市民生活部は、ロッカーやメールボックスの設置、備品の貸出について「利用者から要望があれば、各コミセンでも実施を研究する」と約束しました。
 市民団体にとって、ミーティングや打ち合わせのたびに、各自が備品や資料を持ち寄るのは大変です。活動拠点にしているコミセンにロッカーやメールボックスが設置されれば、負担は大きく軽減されるはずです。

それぞれの地域に
市民活動の拠点を

 最近、各地の自治体で市民団体との連携や協働を進めるために、市民活動の拠点を設置しています。
 昨年は上尾や春日部にも相次いで設置されましたが、人口50万人の大宮には設置されていません。
 「市民活動をサポートしてほしければ、浦和まで来い」というさいたま市の姿勢は問題です。
 結果的に浦和の市民団体が中心となって市との連携が進み、大宮の声は市政に反映されにくくなります。
 清水市長が公約で掲げていた「地域に偏りがない公正公平な市政」を実現するためにも、大宮や与野、岩槻に、それぞれの街の規模に合わせた市民活動のサポートセンターが必要不可欠です。

印刷機が設置される予定のコミュニティ施設
大宮 西部文化センター 馬宮 宮原 日進公園
高鼻 大宮工房館 東大宮 七里 片柳
浦和 浦和 南浦和 ★プラザイースト ★プラザウエスト
与野 与野本町 上峰 西与野 下落合
岩槻 いわつき ★岩槻駅東口 ふれあいプラザ
★は設置済み。プラザノースは住民から要望があれば検討
料金:製版代50円+片面1枚1円(紙は持参)

市民活動サポートセンターの
 地域別の利用団体数

全体 大宮 浦和 与野 岩槻 市外
登録団体数 1057 129 703 77 17 131
備品貸出 189 19 127 8 12 23
ロ ッ カ ー 306 33 206 9 2 56
メールボックス 52 4 39 0 0 9

大宮の安全は大宮のやり方で守る!

自警消防団への補助金廃止

市民の声もとに白紙撤回させました

 自警消防団は、市が運営する消防団とは違い、主に自治会が運営しています。市内に41団体あり、うち39団体が大宮です。
 ところが清水市政は、「地域的に偏りがある」と、補助金の削減を強行。年間1団体9万8000円から、10年度はポンプや車両に対する補助を削って5万円に減額し、11年度はゼロにすると通告しました。
 補助金が廃止されれば、自警消防団の経費は全て自治会の負担となり、解散を促すようなものです。
 浦和では、自警消防団の多くは解散して、その役割の一部は自主防災組織に引き継がれています。
 自治会にきちんとした説明をしないまま、地域を火災から長年守ってきた大宮の自警消防団を「兵糧攻め」にし、浦和方式を押しつけるやり方は許せません!
 そこで11月17日、私と自民・共産の計7人が紹介議員となって、片柳地区の自治会連合会から、自警消防団への補助金継続を求める請願が提出されました。
 イデオロギーを超えた「大宮の怒り」に、清水市政は狼狽し、「11年度は補助金を継続する」と言い出しました。しかし12年度以降はわかりません。
 そこで私は12月3日の市民生活委員会で、1年限りの補助金継続ではないことを確認しました。

吉田一郎 「来年度は継続するけれども、自警消防団に説明をして再来年からの廃止を納得してもらう」と言うのではなく、改めて現場の声を聞いて、(補助金廃止を)一から考え直すと理解してよいか。
消防局総務課 そのような関係になります。

 12月6日の市民生活委員会で、私は「『大宮の安全は、大宮のやり方で守る』という考えに共鳴してもらいたい」と呼びかけ、請願は「清水与党」も含めて全会一致で採択(可決)されました。
 私は今後も、大宮住民の頭越しに「浦和方式」を押し付けるやり方と、徹底的に闘います!
GoogleやYahoo!で「やっぱり大宮市民の会」と検索してくださいhttp://www.geocities.co.jp/WallStreet-Stock/9297/

2011年1月特別号(3)
1面   2面   3面   4面

宮原メディカル跡地から

アスベストの破片

市民の安全を第一に

速やかな撤去を要求しました
宮原メディカル跡地から  大宮医師会市民病院が閉鎖され、浦和との境へ移転して、間もなく2年。
 私は09年12月議会で、病院跡地の市有地を民間へ売却しないことを確認しましたが、活用方法は未定で、更地になったままです。
 ところが、市民団体の調査で、跡地にアスベスト(石綿)のスレート片(屋根や内外装の建材)が散乱していることが判明しました。
 アスベストは建材として盛んに利用されましたが、長期間吸い込めば健康被害を引き起こすため、建物解体時には法に基づいた処分をしなくてはなりません。
 市も現場で「疑わしいもの」を発見しましたが、解体時にアスベスト処分はきちんと行われたことを「記録で確認した」ので、散乱原因は不明だと言います。
 また大気調査をしたところ、アスベスト濃度は基準以下だったので、「周辺住民への健康被害はない」と、そのまま放置しています。
 「人の命も浦和優先」とばかりに病院を奪ったうえに、有害物質を放置する姿勢は問題です。

「適切に処理」は曖昧
議会で徹底的に追及

 そこで私は12月6日の市民生活委員会で、アスベスト撤去を求め追及しました。

吉田一郎 「疑わしいもの」を、今後どうするつもりか。
環境共生部 土地の改変などで産業廃棄物が出たら、法に基づき適切に処理する。
吉田一郎 「適切に処理」とは、具体的に何か。
環境共生部 飛散防止対策で対応したい。
吉田一郎 地元からは、跡地をとりあえず多目的広場にして欲しいと要望が出ている。子どもたちが野球やサッカーをするようになっても、「疑わしいもの」を撤去しないのか。
環境共生部 撤去しないとは言わない。適切な方法を検討する。
吉田一郎 住民にとっては、「命を守ってきた病院を浦和の方へ奪われたうえ、毒までばら撒かれた」と感じる。撤去はあり得るのか、念を押して確認したい。
環境共生部 跡地を市民の利用に供する場合は、市民の安心安全を考えて対応したい。飛散防止の方法はいろいろあるので、撤去もその中で対応したい。
吉田一郎 撤去があり得るのなら、跡地はいずれ使うのだから、「疑わしいもの」は今すぐ撤去すべきだ。
環境共生部 次の利用方法が決まらないと、適切な方法が検討できない。

浦和では撤去で対応
大宮でも同じ扱いを

 私は09年9月の市民生活委員会で、市民団体から指摘があった、浦和青年の家跡地でのアスベスト破片(再生砕石と解体建材)の発見について、市の対応を追及したことがあります。
 市は、①土地所有者だった県にアスベストの撤去を指導する、②撤去方法や搬出方法、搬出先などについて地元住民に説明会を行うよう指導する、③通学路に近いので、学校へも情報提供する…と約束し、アスベストは撤去されました。
 大宮医師会市民病院跡地のアスベストも、ただちに撤去すべきです。

盆栽美術館に2千万追加浦和優先の公民館の整備

17議案に反対しました


吉田一郎が反対した議案
【関連動画】
■一般会計補正予算(4)
 年間収入が1000万円足らずの盆栽美術館に、1周年イベントや環境整備に2000万円を追加支出。
■一般会計補正予算(5) 《2面参照》
■公民館条例の改正
 公民館の数は大宮18ヵ所に対して、浦和が30ヵ所。清水市長は今後「公共施設マネジメント」を策定して統廃合を進めると言いますが、その策定を待たずに、公民館が1つの地区に3ヵ所も集中する木崎第一地区(浦和区)で、領家公民館を改築するのは疑問です。
■指定管理者の指定(仲本児童・老人福祉センター)
 「浦和への一極集中」を公然と唱える相川前市政の御用学者らが策定した、「公共施設の適正配置方針」に基づいた浦和への施設建設は認められません。
■指定管理者の指定(コミュニティセンター等)
 20ヵ所の管理運営を、相川前市長の後援会長が副理事長をしていた外郭団体「文化振興事業団」に委ねるというもの。これまで事業団が管理していた馬宮コミュニティセンターの修繕入札では、外部監査人から談合の疑いが指摘されたにも関わらず、市はそれを無視し、引き続き管理を任せることは問題です。
■指定管理者の指定(市民活動サポートセンター)
 管理運営を行う団体を募集したところ、説明会参加も応募も1団体しかなく、市は「市民団体の間で、この団体がふさわしいとの雰囲気になっていた」と説明。これは一種の談合です。
■埼玉県中央広域行政推進協議会の廃止
 市町村合併を進めて広域行政圏を廃止するのではなく、市町村合併を解消して広域行政圏としての連携を図るべきです。
■市道の認定・廃止
 清水市長は「すべての窓口業務を区役所で」と公約に掲げながら、計830の窓口業務のうち、区役所で行うのは最大で60業務という検討結果を発表。公約違反を批判し、関連する議案に反対しました。
■子ども手当の財源の地方負担に反対する意見書
 所得に関係なく一律に支給する子ども手当は「バラマキ」です。国会では反対の自民党が市議会では「国が全額負担するならいい」という態度にも疑問です。
■霧大統領の北方領土訪問に毅然とした外交姿勢を
 日本が北方領土を取り戻すには、ロシア大統領の訪問に抗議するだけではなく、香港の中国返還時の「1国2制度」を参考に、返還後のロシア人島民の処遇について具体的なプランを策定し、国際社会にアピールして交渉すべきです。
■子ども医療費の無料化を国の制度として実施を
 相川前市長が市長選挙の直前に「中3までの医療費完全無料化」を実施したところ、当初予算で40億円と見積もられた年間経費は50億円に膨れ、小児科の受診者は倍増し、小児医療がパンクしつつあります。
 全国で実施すれば5000億円必要で、無料化には所得制限を設けるべきです。
■議員報酬23%減額案の審議先送り 《4面参照》
2010年12月議会の会派別議案賛否一覧表
『吉田一郎 市政レポート』のバックナンバーや、市議会での動画集が、インターネットでご覧になれます!

2011年1月特別号(4)
1面   2面   3面   4面
12月議会

議員報酬の削減はウセムヤに

「議員も身を削る」現実になりかけて手打ち?

 選挙が近づくと、議会では「タヌキとキツネの化かし合い」が始まります。12月議会では、議員報酬の削減などをめぐって、混戦となりました。


 さいたま市議会では04年に、「政令指定都市になった」ことを理由に、議員報酬は3割、政務調査費は一挙に7割も増額されました。
 当時、議員ではなかった私は、浦和の市役所前でハンガーストライキ(絶食座り込み)を行って抗議し、5%減額させました。
 それから6年半たち、12月議会を前に「議員も身を削るべきだ」と報酬減額の動きが出ました。口火を切ったのは自民党で、マスコミに「報酬10%減額を提案する」と発表しました。
 自民党案には公明党も同調しましたが、なかなか議案は提出されず、先に共産党が12月14日、「11年1月から、報酬23%減額=04年の引き上げ前に戻す」という減額案を提出しました。

政務調査費も削減を
共産党を議会で追及

 しかし、7割も大幅アップした政務調査費には触れていません。そこで私は16日の本会議で、共産党の山崎団長を追及しました。

吉田一郎 議員報酬は元に戻せと提案しても、同時に7割上がった政務調査費は、元に戻せと提案しないのか。
山崎団長 議長には1割減額するよう申し入れた。しかし政務調査費の減額を求める請願は、継続審査が決まり、議会全体の意思として実施されるのが望ましいので、提案を見送った。
吉田一郎 なぜ7割アップした政務調査費は、1割減額しか申し入れないのか。
山崎団長 それは、私たちの考え方だ。
吉田一郎 議員報酬の減額は、「議会全体の意思」がまとまらなくても提案しているのに、なぜ政務調査費の減額は「議会全体の意思」がまとまらないと提案しないのか。矛盾している。
山崎団長 議員報酬の減額は、任期中(4月まで)に実現したいから。【動画で見る】

 議員報酬と政務調査費(月額
04年6月まで  62万1000円+20万円
04年6月改定案 85万0000円+34万円
04年7月から  80万7500円+34万円
08年1月から  80万7000円+34万円
09年4月から  80万7000円+※34万円
  ※無所属だけ20万円に減額

 実は6年半前、共産党は議員報酬の3割アップには反対しましたが、政務調査費の7割アップは、自民・公明・民主と一緒に賛成していたのです。
 ともあれ、共産党案に賛成するのは無所属2人(吉田・北村)だけで、自民党案が全会一致で可決されるだろうと予想されました。

実は手取りが増える
自民党案のカラクリ

 実際には自民党案が可決されても、議員は痛くもかゆくもありません。
 今年6月から議員年金が廃止され、報酬から掛け金(月額9万9千円)が天引きされなくなります。
 報酬を1割(8万円強)減額しても、議員は「身を削る」どころか、かえって「実入りが増える」のです。
 ところが、未来の会が「報酬20%カットを提案するつもりだ」と言い、民主党とみどりの風も同調したため、様相が一変しました。
 20%削減案が出れば、「清水与党」と共産・無所属が賛成して、僅差で可決される見通しです。削減額(約16万円)は天引き廃止額を上回ってしまいます。
 かくして、共産党案を審議していた12月16日の総合政策委員会では、自民党が「3つの提案が出ているので、2月議会まで一本化に向けて努力しよう」と言い出し、民主党は「すばらしい提案だ」と賛同。共産党も1月からの実施を延期することに同意しました。
 続く本会議では、共産党案の審議先送りが、無所属2人を除く賛成で決まり、減額案は「会派闇で調整」つまり密室談合で話し合うことになりました。

1ヵ月前と逆を言う
清水市長が乱入し…

 年が明けて、清水市長も乱入してきました。
 清水市長は1月6日、埼玉改援隊を結成して、「市議選で過半数獲得を目指す」とブチ上げました。
 そのマニフェストには、「議員報酬と定数の削減、政務調査費の適正化」が含まれていました。
 しかし、政務調査費について、私が11月25日の本会議で「なぜ減額を提案しないのか」と追及した時には、清水市政は「04年に、政令指定都市として適正な額(=7割アップ)になるよう見直した」と答弁し、現在のところ政務調査費を見直すつもりはないと言明していたのです。
 それが1ヵ月半で「やっぱり適正ではなかったので見直す」と言う清水市長の主張は、まるで行き当たりばったりです。
 かくして1月12日の議会運営委員会では、自民党が「清水市長の真意をただすまでは、協議に入れない」と言い出し、2月議会までに会派間で話し合うはずだった議員報酬の削減は、ウヤムヤになりそうです。  
※     ※     ※
 議員報酬の返上は、公職選挙法に抵触するのでできません。しかし本当に「議員報酬は多すぎる」と思っているのなら、政務調査費を使わなければいいのです。私は4年間そうしています。

グルメ視察に大学院のゼミ旅行…
政務調査費を使った海外視察は廃止を!

 政務調査費の使い道に関して、全国的に批判が相次いでいます。
 さいたま市でも、3年前に民主党市議団の4人(神崎、細川、熊谷、丹羽)が政務調査費を使ってアメリカへ海外視察に行き、900㌘の特大ステーキやロブスター、イタリア料理など
を連日のように食べ歩き、グルメ三昧を繰り広げたことが明るみになり、市民から批判の声が挙がりました。
 私は議会局に、政務調査費を使った海外視察の実態を公開させ、9月24日の決算審査で追及しました。

吉田一郎 添野議員と土井議員が、明治大学ガバナンス研究科の青山ゼミでイギリスへ視察に行ったと請求しているが、この2人は明治大学ガバナンス研究科の客員研究員だ。大学の研究員が、責任者の教授と一緒に学生を連れてイギリスへ行って、なぜ議会に費用を請求できるのか。
議会局総務課 政務調査費を使った海外視察は、視察の主催が大学のゼミであれ旅行社であれ、調査目的等を記載した実施計画書に沿っていれば差支えないと考えている

 他にも、コムナーレの参考にイタリアへ、見沼田んぼの参考にフランスへと、理解しがたい視察内容もあります。
 そもそも市会議員が法律の異なる海外へ視察に行っても、市政の参考にはなりません。法律を変えられるのは国会議員だけです。
 12月議会では、『海外視察の中止を求める請願』が否決され、『政務調査費の1割以上の削減を求める請願』は、2月以降に審議先送りとなりました。

政務調査費を使った海外視察
会派 参加者 視察先 目的 使用金額
07年度 自民 福島 仏、伊 浦和駅の拠点作り、見沼田圃活用 110,710
民主 池田,三神 独、仏 男女共同参画と少子化対策 732,000
08年度 自民 (未提出) 物流拠点の企業活動と五輪誘致 362,780
民主 三神 (記載なし) 85,500
民主 (4人) 子ども政策 1,474,140
09年度 民主 添野,土井 明大青山ゼミ中心の視察 343,635
出典:「決算特別委員会資料」より
吉田一郎は、市長から支給される政務調査費(年間408万円)を受け取らずに活動しています。

HOME | TOP| 市政レポート一覧
inserted by FC2 system