2010年8月15日 第19号 (1)
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まさに税金の無駄!「枯れた盆栽」に続き、修復不可能な割れた人形も続々!
岩槻人形会館に展示する評価額9000万円の人形コレクション。フタを開けてみたらボロボロ崩れて…
 昨年夏、さいたま市が盆栽美術館に展示するために、5億円で購入した盆栽が続々と枯れていた事件が発覚しましたが、今度は建設予定の岩槻人形会館に展示するために、市が所有している人形コレクションが、割れたり崩れたりと、修復不可能なものが続出していることが判明しました。

触っただけで崩れる状態と確認しながら、税金使い購入!
 これは、江戸時代や鎌倉・室町時代の日本人形を含む5000体の「笛畝コレクション」で、鑑定評価額は9000万円です。
 このコレクションは、岩槻人形組合が05年に、越生町の笛畝人形美術館から3800万円で購入し、翌06年にさいたま市へ寄贈したものですが、実は人形組合が購入した際、市は市への寄贈を前提に、人形組合に購入費用の半額(1900万円)を補助しています。つまり、「市が1900万円を使って購入した人形」というのが実態です。
 市は岩槻人形会館開設準備委員会を設置し、昨年から人形の確認と調査を始めました。すると、傷みが激しくとても展示に耐えられない人形が多いことが判明しました。
 伝統的な日本人形の頭は、おがくずを固めた上に胡粉(貝殻の粉とニカワ)を塗って作ります。
 開設準備委員会では「相当な劣化があり、思っていたより厳しい。今、1割程度の資料を開けたが、その中で中心となる人形も、胡粉層のヒビや剥落の恐れがあるものが相当数ある」「触って出すだけでも、本当に割れてくるようなものなので、触るのも怖い」「これだけ資料が酷い状態になると…」などの悲鳴が上がっています。また衣装が傷んでいる人形もあり、約1割は展示に耐えられず、修復不可能な物も少なくありません。
 人形の購入にあたった岩槻人形組合の委員は、「笛畝美術館から引き取る時、一体一体確認するという作業を行ったが、作業中に触っている所からぐずぐず開いてくるような、大変怖い思いをした」と証言しています。
 つまり人形組合は、展示できない人形が含まれていると知りながら、市の補助金を使って人形を購入したのです。
 人形の悲惨な状況が明らかになったにも関わらず、清水市長は岩槻人形会館の年間入場者数や収入・経費の予測をまったく立てないまま、今年度予算で岩槻人形会館の建設費14億円を計上しました。

岩槻人形の振興のはずが「東南アジアの人形でも飾るか…」
 開設準備委員会では、展示できる日本人形が足りないからと、西沢笛畝氏が昭和初期に東南アジアや中国で買って来た人形がコレクションに多数含まれ、こちらは保存状態が良いことに注目して、岩槻人形会館を「世界の人形博物館」に変更してしまおうという提案も出ています。
 市は岩槻人形会館の基本計画で、「岩槻の人形を柱に、地域固有の歴史的・文化的資源である人形づくりや人形文化に親しむ機会を提供し…特色ある『さいたま文化』の創造に貢献する」という建設目的を掲げていました。
 しかし、コレクターが東南アジアや中国で買って来た人形を展示するのなら、「人形の町・岩槻」の歴史とは全く関係なく、市が14億円もの税金を使って建設する意義はありません。
 昨年の市長選挙で、清水市長は「無駄な箱物はもういらない!」「市民の皆様の税金を、1円たりとも無駄に使いません」を公約に掲げて当選しましたが、まさに岩槻人形会館こそ無駄な箱物であり、愚の骨頂です!

自公民共が建設促進。9月議会で着工か?ただちに計画中止を!
 議会では自民・公明・民主・共産などが、盆栽美術館に続いて人形会館の建設にも賛成し、「人形会館の建設促進」を第一の目的に掲げた文化振興議員連盟を結成しています。
会長:鶴崎敏康(自民) 事務局長:萩原幸弘(自民)  副会長:真取正典(自民)今村都代子(公明)  理事:高木真理(民主)神田義行(共産) 野呂多美子(みどりの風)  相談役:関根信明(議長) 特別顧問:清水勇人(市長)
 清水市長は9月議会に工事契約の議案を提出して、人形会館の着工に乗り出そうとしています。清水市長はただちに計画を見直し、中止すべきです!
吉田一郎は、市長から支給される政務調査費(年間408万円)を受け取らずに活動しています。

(2)
「公設民営」による浦和西部のゴミ処理場建設63億円も高く提示した企業が落札!?
 公共施設の建設にあたって、DBO方式(公設民営方式)というのが導入されています。これは建設工事と完成後の一定期間(15年以上)の管理運営をまとめて契約するという方法で、「設計・建設から管理運営まで、民間のノウハウを活用できる」「民間が管理運営するからコストが削減できる」と言います。
 ところが、さいたま市が初めてDBO方式で建設することになった浦和西部のゴミ処理場(桜環境センター)で、清水市政は入札で60億円以上高い価格を提示した企業と契約することを、6月議会で提案しました。

発電効率上げるため、石炭も燃やしてCO2排出もアップ
 桜環境センターは西浦和駅近くの荒川沿いに建設され、ゴミ焼却で出る熱を利用して、余熱体験施設(西楽園のような浴場)や発電を行います。2015年に完成すると、岩槻と大崎第一工場(浦和東部)のゴミ処理場が廃止になります。
 市は建設工事と15年間の管理運営契約を合わせた入札を行いましたが、応募は2社だけでした。
入札価格 A社【落札】 B社
建設費 289億6950万円 286億3980万円
管理運営費 271億8664万円 211億5652万円
合計(税込) 561億5614万円 497億9632万円

 B社の方が建設費で3億円、15年間の管理運営費では60億円も安く提示したにも関わらず、A社が落札したのは、業者選定にあたって価格を4割、価格以外の評価を6割として採点したからです。
 価格以外でA社が評価された点は、「ゴミの焼却温度が高く、高効率に発電でき、国からの交付金が23億円増える」などですが、B社はゴミだけを燃やすのに対して、A社は焼却温度を上げるためにコークスも一緒に燃やし、CO2の排出量も多くなるという問題があります。
 高効率の発電を国が奨励するのは環境対策のためですが、効率を上げるために不必要な石炭を燃やして、CO2が増えるのでは本末転倒です!
 もし価格面を5割、その他を5割で採点すれば、B社が落札することになっていました。

自分が管理するよう設計した施設を、他社が管理できるかは不明
 DBO方式自体にも問題があります。例えば、管理運営費には消費税がかかるため、15年以内に消費税が上がれば市の支出は丸々その分増えます。
 また15年後以降は、管理運営会社を新たに入札で決めるか市が直営することになりますが、A社が自分で管理しやすいように設計した施設を、他の会社や市が問題なく運営できるかどうかについて私が追及したところ、市は「前例がないのでわからない」と言葉を濁しています。結局のところ、A社が有利な形で契約更新するということになりかねません。
 結局、ゴミ処理場の建設契約に反対したのは無所属議員2人(吉田・北村)と共産党だけで、自民・公明・民主などは賛成し、可決されました(共産党は建設計画自体に反対、吉田・北村は建設計画には賛成したが、契約内容に反対)。
 「民間ノウハウの導入」というのは良いのですが、企業においしい汁を吸われるだけにならないよう、監視が必要です。

「病院へ行くのに必要だ」と2年前に提案 コミュニティバスの土曜運行、継続的に運転を!
 6月から11月まで、北区と桜区のコミュニティバスで土曜運行の実験が始まっています。
 コミュニティバスはもともと、交通不便な場所に作った区役所への足として、月~金だけの運行が始まりましたが、北区では08年にルートを変更して、大宮総合病院や大宮中央病院を経由するようになり、利用者が大幅に増えました。
 しかし、区役所は土日休みですが、病院は土曜も開いています。そこで08年6月のまちづくり委員会で、私はコミュニティバスの土曜運行を提案してみました。

吉田一郎 北区のコミュニティバスが病院を経由するようになり、利用者が大幅に増えたが、病院は土曜も開いている。土曜運行した場合、コミュニティバス全体の利用者と収支見通しは?
都市計画部 利用者は平日の8割、(全区の)運行経費は2690万、運賃収入は550万と推測される。
吉田一郎 病院を経由する路線だけでも、土曜の運行を早急に検討すべきだ。

コミュニティバス それから2年経って、ようやく実験的に運行が始まりましたが、6月と7月の集計では、北区の乗客数は平日の77%と出だし好調で、11月までのトータルでは予測の「8割」を超えそうです。
 しかし、実験運行は11月までとなっており、利用者が増えて予測を上回っても、土曜運行がいったん打ち切られてしまっては困ります。
 そこで私は「実験終了前に、予測を上回る乗客があったら、12月以降も続けるように」と、都市計画部に要望しています。

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