2010年10月特別号 (1)
2面へ
小学校の社会科副読本『新しいさいたま市』
「いつも賑やか」? 浦和を詳しく教えても
大宮・新都心は教えない!?

 小学校の社会科では、全国的に使う教科書の他に、郷土のようすや歴史を学ぶための副読本を使います。
 さいたま市でも教育委員会が編集した副読本『新しいさいたま市』を小学3・4年生で使用していますが、その内容は、大宮や新都心にはほとんど触れず、さいたま市の中心は浦和だと教えていることが判明しました。【関連動画】

 社会科副読本「新しいさいたま市」『新しいさいたま市』は全189ページで、市章や市の歌、市のシンボル(花、木など)の紹介に続いて、「①わたしたちのまち さいたま市」と題した市の現状を学びます。
 内容は、まず与野を舞台にした「学校のまわりのようす」に続き、「さいたま市のようす」として、浦和駅西口の周辺が大きく紹介されています。
 「駅の近くのデパートや商店がいは、いつもたくさんのお客さんで、にぎやかだよ」「地図を見ると、県ちょうや市役所、さいばん所などいろいろなしせつが集まっているよ」「中山道や国道17号などの道路は、車がたくさん通っているよ」などの記述が並んでいます。
 その後には、見沼田んぼや、岩槻北部の工業団地の紹介があるだけです。
 新幹線の巨大ターミナルであり、県下最大の商業地域である大宮駅周辺や、合併協定書に明記された将来のさいたま市の中心であり、国の官庁が集まる新都心のことは、紹介されていません。

大宮はまるで「よその市」
 巻末の「⑦わたしたちの埼玉県」では、熊谷や秩父、春日部、川越、川口と並んで、ようやく大宮駅の写真が登場し、「大宮駅には、たくさんの鉄道が集まっているね」という記述がありますが、まるで大宮はさいたま市ではないかのような扱いです。
 しかも川越の紹介に6ページを割いているに比べて、大宮駅の紹介はたった半ページに過ぎません。
 これではまるで、「浦和市の教科書」です!《2面へ続く》

それぞれの街の歴史を教える副読本を

元大宮市長 新藤享弘 新藤享弘さん(元大宮市長)
 この副読本は、子どもたちに一体何を 教えることが目的なのか、わかりません。
 副読本の役割は、大宮や浦和・与野・岩槻のそれぞれの都市の歴史を、子どもたちにきちんと教えることです。
 温故知新という言葉がありますが、それぞれの地域が歩んできた歴史があるからこそ、今日の文化があり、将来のさいたま市はその上に成り立つべきです。

2010年10月特別号(2)
えっ!?岩槻の子どもに、岩槻城すら教えないの?

画一教育を見直して、地域ごとに副読本を

 かつて大宮市が使用していた副読本では、現在のようすに加えて、大宮の歴史を教えていました。
 特に大宮が鉄道の町や商業都市として発展する礎を築いた白井助七翁(下 コラム参照)については、詳しく紹介していました。
 しかし、『新しいさいたま市』では、大宮や浦和、与野、岩槻がそれぞれ歩んできた歴史は全く教えず、わずかに見沼干拓と、それを指揮した井沢弥惣兵衛が紹介されているだけです。
 大宮の子どもたちに、大宮発展の歩みを教えず、岩槻の子どもたちに、岩槻城が存在したことすら教えないさいたま市のやり方では、自分が育った郷土への愛着や誇りは持てません。【関連動画】

作成者に著しい偏り
大部分が浦和の教員

 『新しいさいたま市』の編集には、市内小中学校の教員31人が携わっていますが、そのうち20人が浦和の学校に勤務し、大宮は5人、岩槻4人、与野2人と、著しく偏っています。さらに監修や歴代の編集委員長はすべて浦和の教員です。
 これでは、浦和市の視点で作成されて当然です。

街に愛着が湧く教育
住民の力で実現を!

私は9月28日の決算審査で、浦和駅周辺の現状だけ教えるのではなく、それぞれの地域の現状や歴史を教えるべきだと提案しました。

吉田一郎 旧4市ごとに別々の副読本を使ったり、一部のページを変えることはできないのか。大宮の子どもは大宮について学び、岩槻の子どもは岩槻城を学ぶことは可能か?
教育委員会 副読本は法的なものではなく、参考資料なので、ご意見を頂いて、反映できるところは反映していきたい。【動画で見る】

 大宮住民が声を挙げれば、副読本は変えられます。
 大宮の子どもたちが自分の街に誇りを持てる教科書を実現するために、どうか署名にご協力下さい。

白井助七白井助七
 (1841~1896)
 明治初め、大宮に県庁が置かれましたが、やがて浦和へ移され、大宮は一挙に衰退。明治16年に高崎線が開通した時、浦和駅の次は上尾駅で、大宮に駅は作られませんでした。 そこで白井助七は「このままでは大宮が危ない!」と立ち上がり、国や鉄道会社に陳情を続け、駅の用地を提供。さらに乗客確保のために大宮公園の建設にも奔走し、2年後に大宮は東北本線との分岐点に選ばれ、大宮駅が設置されました。
 続いて鉄道工場の誘致運動も始めて、大宮が「鉄道の町」として発展する基礎を築き、明治28年に大宮町長に就任しましたが、翌年急逝されました。
 鉄道が素通りした大宮が、新幹線の巨大ターミナルを擁する商業都市に変貌したのは、白井助七の献身的な努力があったからです。

浦和の視点で教える「さいたま市のようす」
  浦和の視点で教える
 「さいたま市のようす」

市長が変わっても…

図書館・公民館・教育予算などで
さいたま市の教育行政

露骨な浦和優先!!

■中高一貫校
 30億円かけた浦和中学校が07年にオープン。一方で大宮には、中高一貫校を作る予定はないと、議会で再三にわたり答弁。
■公民館
 南区に善前公民館(谷田地区公民館)を建て、公民館数は大宮18ヵ所に対し、浦和は30ヵ所。
■プラネタリウム
浦和の青少年宇宙科学館は04年に最新機材を導入し、年間入館者数は合併以降2万4千人増加。一方で大宮の宇宙劇場は予算が削られ、機材は老朽化し、年間入館者数は4万1千人減少。
■図書館
 昨年の図書購入数は、浦和13万0544冊に対して、大宮9万0751冊。
 浦和には県立図書館があるのに、07年に浦和に中央図書館を建て、「大英博物館」的な発想で、大宮や与野・岩槻の図書館から各地域の郷土資料を浦和へ集中させようと計画。しかし大宮住民から抗議が殺到したことで、郷土資料や行政資料、明治以降の新聞バックナンバー等は、大宮図書館へ残されることに。

旧4市ごとの2010年度の教育施設建設予算
(平成22年度予算書概要より)
【旧浦和市】
校舎耐震改築事業(浦和別所小) 3億1780万
美園地区小学校新設事業 13億0000万
特別支援学校整備事業(緑区)  5億6700万
尾間木公民館移転事業    4990万
領家公民館改築事業    5495万
武蔵浦和図書館整備事業  4億4600万
谷田地区公民館整備事業  1億5952万
合計 28億9517万
【旧大宮市】
内野地区公民館整備事業 990万
合計 990万
【旧与野市】
校舎耐震改築事業(与野西中)  4億4880万
合計 4億4880万
【旧岩槻市】
合計 0

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