2010年9月16日 号外 (1)
2面へ
入館者激減の盆栽美術館「公共施設マネジメント計画」で存続見直しの対象に!
 今年3月28日にオープンした盆栽美術館。市は「予想以上の入館者数だ」と発表していましたが、実際の入館者数について、私が市民生活委員会で資料の公開を求めたところ、以下のような数字が明るみになりました。
一般入館 年間観覧 その他 合計
3月
(4日間)
2388 110 113 2611
4月 8746 342 608 9696
5月 11849 222 540 12611
6月 6153 122 226 6501
7月 3138 105 395 3638
8月 2424 100 725 3249
34698 1001 2607 38306

 「年間観覧」は年間パスポート(1000円)を購入して入館した人数、「その他」は取材や視察、講座・講習の参加者数です。4月は「館長辞任騒動」がマスコミで大きく取り上げられ、5月は盆栽村で「大盆栽まつり」が行われたため、多くの入場者を集めましたが、その後は激減。8月は実際に入館料を払ったのは2500人足らずで、「鉄道博物館との割引キャンペーン」を実施したにも関わらず、1日100人に満たない状態です。
 5億円の盆栽を購入した際、市は「盆栽村を訪れる観光客が年間15万~20万人増え、経済効果は10億円」だと説明していましたが、盆栽美術館の着工後は「入館者数は年間5万人、うち観光客は6300人」に大幅下方修正。さらに、初年度は開館効果で7万5000人と予測していたものを、オープン直前になって「初年度も5万人」と引き下げていました。

1年間の入館料収入は、オープン時の宣伝費だけで消える?
 おそらく初年度の実質入館者数は5万人を超え、市は「予想を上回った」と宣伝するでしょうが、入館料収入は、オープンにあたっての宣伝費(1222万円)とほぼ同額で、年間1億3000万円を超える運営経費はまるまる赤字となりそうです。
 さいたま市は既存の公共施設の維持管理に、今後莫大な費用がかかるとして、統廃合や再編を検討する「公共施設マネジメント計画」を策定しようとしていますが、9月10日の市民生活委員会で、私は盆栽美術館も統廃合や再編の対象とすることを追及して確認し、「収支状況や経済効果を含めた費用対効果を、改めて検証する」ことを確約させました。
 盆栽美術館を「聖域」とせず、今後も莫大な赤字を出し続けるのなら、思い切って閉鎖すべきです!

「民間委託料込みで6倍高いプラザノース コミュニティ施設の極端な料金格差を追及
 日進公園に隣接して勤労女性ホームがあります。約40年前に建てられた施設で、「勤労女性」のための講座開催などに利用されていますが、時代のニーズが変わって、利用率は27%と低迷しています。
 そこで市では、7年前に「公共施設の適正配置方針」で、勤労女性ホームをコミュニティ施設に転換し、部屋の貸し出しを有料化する代わりに、男性を含むすべての団体が利用可能とする方針を打ち出していましたが、9月10日の市民生活委員会で、勤労女性ホームを日進公園コミュニティセンターに変更する議案が審議されました。有料化後の講座室(30人収容)の使用料金は、午後4時間の場合300円です。
 周辺のコミュニティ施設では、宮原コミュニティセンター(30人)が500円、西部文化センター(30人)が620円ですが、プラザノース(36人)は1840円で、極端な料金格差があります。
 そこで私は料金設定の根拠を問いただしたところ、コミュニティ施設の使用料は、清掃費と光熱費をもとに算定されているものの、プラザノースの料金には、管理運営の委託料が加算されていることが判明しました。
 プラザノースの建設は、民間資本を活用し、完成後の管理運営も民間に任せるPFI方式が導入されましたが、結局のところ利用者に負担が跳ね返る仕組みになっています。
 13日の委員会では、共産党を除く委員が勤労女性ホームのコミュニティ施設への転換に賛成しましたが、私も「新しい施設や交通の便利な施設に利用が集中しないよう、ある程度の料金格差をつけるのはわかるが、6倍もの格差は異常だ」とプラザノースの使用料引き下げを要望して、賛成しました。
吉田一郎は、市長から支給される政務調査費(年間408万円)を受け取らずに活動しています。

(2)
「枯れた盆栽」の代替品「銘品ではなかろうか…」と唸っただけで3500万!?
【関連動画】 さいたま市が盆栽美術館に展示するために、5億円で購入した盆栽。昨年6月議会で私が「枯れた盆栽は無いのか?」と追及したのをきっかけに、実は盆栽がいくつも枯れていたことが発覚しました。
 枯死した盆栽3点のうち、購入時に虫が付いていた2200万円相当の盆栽は、職員らの怠慢で交換期限が過ぎてしまったと、盆栽担当の職員が処分されましたが、残る2点(計3500万円相当)は、盆栽を預かっていた盆栽園が責任を認めました。そこで私は昨年11月11日の市民生活委員会で、「枯れた盆栽と同じ価値の物で弁償してもらうこと」を確認しました。

吉田一郎 盆栽園との管理委託契約では、「天災、盗難、枯死等、不可抗力では責任を負わせない」とあり、賠償が請求できないのではないか?
市民局長 盆栽園に請求する形で話を進めている。
生活文化部長 盆栽美術館に多くの展示品があるのが理想なので、他の盆栽等で代わりがあればいいと考えている。
吉田一郎 盆栽が2点枯れたので2点あれば良い、という問題ではないはずだ。代わりの盆栽の価値はどう考えているのか?
市民局長 枯れた盆栽と同等の価値の物をお願いする。
吉田一郎その評価額は、誰が鑑定するのか?
生活文化部次長 第三者が見てもわかるような鑑定書か、証明できるものを付ける。

3500万円の算定根拠は、まるで『美味しんぼ』のセリフ
 それから10ヵ月経ち、清水市長は盆栽園から3点の盆栽を寄贈してもらうことで話がまとまったと、和解の提案をしました。
 9月2日の本会議で、私が盆栽3点の評価額を問いただしたところ、以下の内訳が判明しました。

真柏 五葉松 黒松
樹齢 約350年 約200年 約150年
A氏の
鑑定額
1000万円 1300万円 1250万円
B氏の
鑑定額
1200万円 1500万円 800万円

 しかし、その算定根拠を問いただしたところ、いずれも「珍品であっただろうと思われる」「銘品ではなかろうか」「風格を表している」といった内容でした。

吉田一郎 漫画『美味しんぼ』を思い出した。「まったりとして、味わいのある」「風格のある味」というセリフと同じじゃないか。算定根拠は、いずれも鑑定者の主観的な判断によるものか?
市民スポーツ文化局長 客観的な判断に、主観的な部分を加味した。
吉田一郎では、客観的な判断とはどの部分か?
市民スポーツ文化局長 客観的なのは、樹齢や枝ぶり。

 ところが、9月10日の市民生活委員会で再度追及したところ、樹齢は科学的に測定したのではなくて、「盆栽園側の主張」に過ぎず、枝ぶりの基準とは「太さなど」というもので、結局、鑑定の客観的な基準はないことが明確になりました。

被害額は3500万円だと知ったうえで、3500万円と鑑定!?
 盆栽3点のA氏とB氏による評価額はバラバラですが、合計すると3550万円と3500万円で、ほとんど同じです。
 委員会での追及で、鑑定者2名はあらかじめ枯れた盆栽の被害額が3500万円だと知ったうえで、鑑定を行っていたことが判明しました。もし公正な鑑定を期すなら、市でも盆栽園でもない第三者が、目的を伏せて鑑定を依頼するべきです。
 また、もともと盆栽園がこれらの盆栽を入手した経緯は、五葉松は他の盆栽業者から購入し、真柏と黒松は個人所有者との交換で入手したものでした。
 そこで私は、盆栽園が五葉松を購入した時の価格や、真柏と黒松を入手した時の鑑定結果を明らかにするよう求めましたが、市は「把握していない」「現在の鑑定評価額で十分だ」と、頑なに明らかにしようとしません。
 いくらで入手したのかわからない盆栽に、「銘品ではなかろうか」と一言お墨付きを与えただけで3500万円になるというのでは、まるで盆栽ロンダリングです!
 盆栽を好きな人が自分の金で購入するのならそれで良いのでしょうが、主観的な価値に過ぎない高級盆栽は、市が税金を使って購入すべきものではありません!

左:鑑定額1300万円(A氏) または1500万円(B氏) という五葉松
右: 鑑定額1250万円(A氏) または800万円(B氏) という黒松
五葉松 黒松

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