2009年11月特別号 (1)
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論功行賞?

「清水与党」に転じた市議の雑木林を  

 市が2億4300万円で緊急購入

 5月の市長選で民主党が応援した清水市長が当選したことで、相川前市長を応援した自民・公明は野党になりました。しかし自民党でも市長選で清水氏を応援し、与党に転じる議員が現れ、4人が「未来の会」を結成。少数与党(議員64人中、民主党13人+みどりの風6人)で、議会対策に苦しんでいた清水市長にとっては、援軍の登場です。ところが…。
 清水市長が9月議会に提出した補正予算案に、未来の会へ移ったH議員や、その親族が所有する大和田1丁目の雑木林(4159平方㍍)を、市が2億4319万円(坪単価約20万円)で買い上げる項目が含まれていることが発覚。
 しかも市は所有者が誰かを隠していたため、H議員も審議に加わろうとしていた「事件」が起きました。

「これはH議員の土地だ」審議中に発覚して紛糾
【関連動画】 地方自治法では、議員は自分自身や親族の利害に関係する審議に参加してはいけないと市が補正予算で購入した雑木林定められています。
 土地を売りたい議員が、市が土地を買い上げる議案に賛成したら、自己への利益誘導になるからです。
 しかし、今回の雑木林買い上げに関して、市は「特別緑地保全地区として、国からの補助金(6000万円)の内示があったので取得する」としか説明せず、H議員も委員の1人として9月17日の予算委員会に参加していました。
 そして審議の途中で、自民党の委員から「これはH議員の土地だ!」との声が挙がり紛糾。急きょ理事会(各会派1名と私)が開かれて協議し、H議員は「自主的」に退席しました。
 特別緑地保全地区とは、市街地に残された緑を守るための制度で、①相続に際して評価額を8割減免、②固定資産税が最大5割減免、③土地所有者の求めに応じて市が買い取る場合は、譲渡所得税が2000万円控除…などの恩恵があります。
 このため、市街地に雑木林を所有する農家などでは指定を求める声が多いのですが、さいたま市が指定を認めたのは、これまで2ヵ所だけです。
 H議員の雑木林は見沼田んぼに面した斜面で、もともと父親が所有していましたが、父親の死去によりH議員や親族が相続することになり、H議員が特別緑地保全地区への指定と買い取りを求めていました。
 見沼田んぼの景観や緑を守ることは大事ですが、この雑木林は中途半端に宅地開発が進んでおり、補正予算を組んでまで買い上げる必要があるのかは疑問です。
 買い上げ価格についても、周辺の不動産業者の間では「現在の経済状況では、坪10万円でも売れない」との声が挙がっています。
 私は10月16日の本会議で改めてこの問題を取り上げ、「見沼田んぼの景観を保全するために、特別緑地保全制度を将来的にどう活用するのか、長期的ビジョンが不明確なままで、与党に転じた議員の土地を、現時点での相場を超える価格で、急きょ補正予算を組んでまで買い上げようとする行為は、市民の間に疑惑を生みかねない」と批判し、補正予算に反対しました。
 清水市長の強調する「絆」が、味方への利益誘導やしがらみを意味するようであっては、許されません!

大宮出身の宇宙飛行士・若田光一さん
帰国報告会の 大宮開催 を実現しました!
 大宮出身の宇宙飛行士・若田光一さんが、国際宇宙ステーションに4ヵ月半滞在し、7月に帰還しました。
 さいたま市では、小中学生と若田さんとの交信イベントや、長期滞在決定報告会、打ち上げカウントダウンなど、さまざまな交流イベントを開きましたが、これらは全て浦和の青少年宇宙科学館で開催されました。
 大宮には宇宙劇場という市の施設があるにもかかわらず、ここでは1回も開かれなかったのです。
 かつて若田さんが宇宙飛行をした際、大宮市は「大宮市民栄誉賞」を贈って街を挙げて応援し、宇宙劇場やソニックシティ、市民会館などでイベントが開かれ、凱旋パレードには15万人以上の市民が参加しました。
 何から何まで「浦和中心・浦和優先」のさいたま市ですが、大宮の誇りである若田宇宙飛行士との交流イベントまで、すべて浦和で開催するというのはメチャクチャです!
 私は9月9日の一般質問でこの問題を取り上げ、「宇宙飛行士との交信まで浦和優先か!」と追及したところ、清水市長は答弁に立てず、代わって宮沢副教育長が「大宮の宇宙劇場より、浦和の青少年宇宙科学館の方が広い」「若田さんの母校である別所小、宮原小、宮原中では、子供たちがアマチュア無線で交信した」と釈明するだけでした。
 浦和では誰もが参加できるイベントで、宇宙船内部の映像を観ながら若田さんとライブで交信し、大宮では母校の子供たちだけがアマチュア無線で交信とは、まるで僻地扱いです!
 そこで私は、若田さんの帰国イベントはぜひ大宮で開催するように、再三にわたって要求しました。

吉田一郎 若田さんの帰国イベントも浦和で行うのか。
宮沢副教育長 帰国報告会を予定しているが、日程や場所は今のところ未定。
吉田一郎 若田さんが生まれ育った大宮での開催を優先すべきだ。また「地域的に偏りがない公正公平な市政」のためにも、今回は大宮で開くべきだ。
宮沢副教育長 今後検討させていただきます。【動画で見る】

 また私は『市政レポート号外』を3万部配布して、「大宮住民の力で、若田さんの帰国イベントはぜひ大宮で!」と呼びかけた結果、10月25日の若田さんの帰国報告会は、大宮ソニックシティでの開催が実現。当日は子供たちを中心に2300人が集まり、若田さんが軽妙に語る「宇宙体験」に、夢を膨らませました。

予算削られる宇宙劇場
 さいたま市はここ数年、中央図書館や市民活動サポートセンター、国際交流センターなど新たな公共施設を浦和に集中的に建設する一方で、既存の公共施設でも浦和を強化しています。
 浦和の青少年宇宙科学館は、過去2年間で3500万円も予算が増やされ、入場者を2万人以上増やした一方で、大宮の宇宙劇場は予算を削られ、入場者も減少しています。
 大宮駅西口に隣接した宇宙劇場の地の利の良さを活かそうとせず、浦和への一極集中の道をひた走る、さいたま市の非合理的な現状は改めなくてはなりません。

冷遇される大宮宇宙劇場
宇宙劇場 青少年宇宙科学館
経費 入場者 経費 入場者
06年度 1億9305.4万 12万3138人 1億7462.7万 11万5135人
07年度 1億8583.8万 11万2678人 1億6592.1万 12万0315人
08年度 1億8406.1万 12万0170人 2億1085.4万 13万6363人

2009年11月特別号(2)
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盆栽枯死

矛盾だらけの「原因」で真相は迷宮入り 

八ツ場ダム見習い、盆栽美術館も建設中止を

 市が栃木県の美術館から5億円で購入した盆栽が続々と枯れていたことが、6月議会での私の「枯れている盆栽はないのか!?」という追及を契機に明らかになりました。昨年から枯れ始めていた「靖国」(2200万円相当)は、コガネムシが原因です。しかし今年6月から枯れ始めた盆栽2点(計3500万円相当)は、真相は闇の中です。
 市が購入した盆栽は、市内7ヵ所の盆栽園に預けています。しかし枯れたのは1ヵ所に集中しています。市は当初、「何者かが薬品をまいて枯らせた疑いがある」と発表していました。
 そこで私が所属する市民生活委員会では、7月27日に現地調査を行いました。

吉田一郎 園内に防犯カメラが設置されているが、盆栽園は映像データを警察や市に提出しているのか。
市職員 市はもらっていない。警察にも出していない。
吉田一郎 盆栽が枯れ始めて1ヵ月以上経つのに、盆栽園が防犯カメラの映像を提出しないのは、変だ。
市職員 普通にコピーできないシステムで、盆栽園が防犯会社に聞きながら、コピーを作成中だそうです。
吉田一郎 強盗事件などでは、警察はその日のうちにデータ解析を終えている。カメラのデータをそのまま警察に渡せば良いはずだ。
市職員 その細かい点は…。

銅原因」の矛盾を追及
 現地調査で「防犯カメラの怪」を突かれた市は、8月24日になって樹木医の診断結果を公表しました。
 ①盆栽園が改築で屋根を銅葺きにした。②銅イオンが雨で溶け出し、庭の盆栽にかかった。③盆栽に銅イオンが蓄積して枯れた…、という内容です。
 しかし盆栽園では「銅イオンは苔の生育に良く、植栽にお薦めです」と、銅のジョウロを販売しています。
 8月27日の全員協議会(議員への非公式説明会)で、その点を追及しました。

吉田一郎 盆栽園では、銅製ジョウロを使っているが。
市職員 銅は1年経つと、イオンが溶け出さなくなる。
吉田一郎 盆栽園は「銅イオンは良い」と宣伝して、新品の銅製盆栽用ジョウロを販売している。その製品を購入した人は、盆栽を枯らしているのか?
市職員 ジョウロについては、今お答えできません…。

 盆栽枯死を調査する市民生活委員会の正式な開催は、「樹木医の診断結果が出る8月に」「9月議会で」「9月議会が終わってから」と引き延ばされ、ようやく10月23日と11月11日に、参考人招致が実現しました。
 結局、盆栽が枯死した原因について、樹木医は「銅の屋根の近くで植物が枯れた例はあちこちにある」「銅イオンが根の生育に有害なのは常識」と証言する一方で、盆栽組合の関係者は「盆栽園の6割が銅の屋根」「新品の銅製ジョウロを使って枯れた話はない」と証言し、真相は迷宮入りです。

現物で弁償確認したが
 ところで、税金で購入した盆栽が枯死した賠償責任について、私が8月27日の全員協議会で追及したところ、盆栽園との間では「天災、盗難、枯死等不可抗力による場合は、盆栽園に責任を負わせない」という契約が交わされていたことが判明しました。
 となると、盆栽園には損害賠償を求められません。私は11月11日の委員会で、この点も追及しました。

吉田一郎 盆栽園への賠償請求はどうするつもりか。
市民局長 請求する考えで話し合いを進めている。
吉田一郎 契約の条文では賠償請求は難しそうだが。
生活文化部長 他の盆栽等で代わるものがあればという考え方で弁護士と相談中。
吉田一郎 代わりの盆栽の価値はどう考えているのか。
市民局長 被害に遭った物と同等の物をお願いしたい。

 市は、盆栽が枯れた原因はウヤムヤでも、代わりの展示品があればいいと考えているようですが、原因が究明できなければ、今後も盆栽枯死は起こります。

盆栽美術館オープンで
年間赤字は1億2千万超
 盆栽美術館の運営について、市はこれまで「指定管理者制度を導入して大宮盆栽組合等に任せる」「年間運営経堂は9000万円」と説明していました。
 しかし、今年6月議会で市は「運営経費は9000万円を超える」と言い出し、8月末に与野在住の市民が情報公開請求をしたところ、年間約1億3000万円の経費予測が判明しました。
 さらに「盆栽枯死事件」で盆栽組合が管理請負に難色を示したため、盆栽美術館は市が直営せざるを得なくなり、運営経費はもっと跳ね上がります。
 そこで私は、9月の予算委員会で、年間経費予測を改めて要求しましたが、市は提出を拒んでいます。
 一方で、年間観光客の予測は、15万~20万人から6300人へと大幅に下方修正され、年間収入はわずか955万円に過ぎません。

「盆栽利権」に群がる相川後援会幹部
外郭団体が委託管理料1千万円ピンハネ!
 市が購入した盆栽は、市の外郭団体である「さいたま市文化振興事業団」を通じて、盆栽園への管理委託が行われています。
 委託料について、市は盆栽園に年間1200万円を支払っていると、これまで説明してきました。
 しかし、8月27日の全員協議会で、私は市が文化振興事業団に支払っている管理委託料を問いただしたところ、昨年度は1516万4100円、今年度は2032万8000円(2月末までの11ヵ月分)だったことが判明しました。
 つまり事業団は、昨年度は300万円、今年度は約1000万円もの金額を、ピンハネしているのです。
 しかも事業団は月1回盆栽を見に行き、3ヵ月に1回写真撮影するだけです。
 これまで文化振興事業団の理事長は、名目的に市長が兼任していました。
 市(=相川前市長)と委託契約を結んだ副理事長は、昨年度は元助役の岩木浩氏でしたが、今年度は佐伯鋼兵氏に代わっています。
 佐伯氏は元市会議員(南区)で、2年前に引退した後、相川会連合会の会長をしている人物です。
 5億円の盆栽をめぐる利権に、徹底的にメスを入れなくてはなりません!
 つまり盆栽美術館がオープンすれば、盆栽組合が管理を請け負っても年間1億2000万円、市が直営すれば、さらに巨額の赤字が毎年発生します。

自民・共産からも
「盆栽売却すべき」の声
 私は6月議会で「盆栽美術館の建設を中止し、その建設費(11億円)は20億円の価値があるという盆栽を売り払って補うべき」と呼びかけましたが、盆栽枯死が明るみになると、これまで美術館建設を推進してきた議員たちの間でも、「やっぱり盆栽は売却すべき」との声が挙がり始めました。
 自民党市議団の青羽団長は、7月24日付『産経新聞』で「盆器だけ残し、盆栽は売却しても良いのでは」とのコメントを発表。共産党も9月議会で、美術館は建設続行しても盆栽は売却すべきだと言い始めました。
 まさに右からも左からも「盆栽売却」の声が巻き起こりつつありますが、「盆栽の鉢だけ飾る美術館」や「盆栽なき盆栽美術館」では、一体何のための美術館建設かわかりません!
 国政では鳩山内閣がこれまで3200億円の公費を投じた八ツ場ダムの建設を中止しようとしています。盆栽美術館もただちに建設を中止すべきです。

盆栽美術館をめぐる市議会各派の主張
吉田一郎(無所属)
「盆栽美術舘の建設を中止し、盆栽は売却すべき」
共産党
「盆栽美術館は建設するが、盆栽は売却すべき」
自民党(青羽団長の記者発表)
「盆栽美術館を建設し、盆栽の鉢だけ飾るべき」
民主党・公明党など
「盆栽美術館を建設し、5億の盆栽を飾るべき」

  30分の1に大幅下方修正された
    盆栽美術館への観光客数
■盆栽購入前(06年12月議会)
「既存の観光客とは別に、観光客が年間15万~20万人増える」
■盆栽美術館着工後(09年6月議会)
「観光客や小中学生の社会科見学を含めて 入場者年間5万人」
■盆栽美術館の開館準備審議(09年9月議会)
「入場者年間5万人のうち、市外からの観 光客は6300人」

盆栽美術館の収支見通し
経費 収入 赤字
初年度 1億2997.0万 1410.0万 1億1587.0万
2年目 1億3017.0万 1182.5万 1億1834.5万
3年目 1億2967.0万 955.0万 1億2012.0万
4年目 1億2987.0万 955.0万 1億2032.0万
5年目 1億3787.0万 955.0万 1億2832.0万
市が直営した場合は、経費はさらに上積み
GoogleやYahoo!で「やっぱり大宮市民の会」と検索してくださいhttp://www.geocities.co.jp/WallStreet-Stock/9297/

2009年11月特別号(3)
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「大宮市の独立は可能」
 地方自治法に基づき
 市議会で答弁した
 小林氏が副市長に 【関連動画】
 副市長は2年前まで助役と呼ばれ、日常的に市長を補佐する重要な役職です。
 相川前市長が任命した2人の副市長は、相川前市長の落選とともに辞職しました。代わって清水市長は9月議会で、五味裕一氏と小林敏氏の副市長就任を提案し、可決されました。
 私は五味氏には反対し、小林氏には賛成しました。
 五味氏は国から派遣された職員で、現職の総務省の官僚です。清水市長は「地域主権や地方政府の確立」を謳い、国からの自立を掲げながら、わざわざ退職金の規定を改正してまで、総務省の官僚を副市長に迎えるのは矛盾しています。
 一方、小林氏は市の職員OBです。
 07年12月議会で私の質問に対し、旧大宮市の分離独立を実現するための法的手続きについて詳しく説明したのが、当時政策局長だった小林氏です。
 私が「大宮住民の間では『もとの大宮市に戻してほしい』という声が多いが、大宮市の復活は法的に可能か」と問いただしたところ、小林氏は、①合併を解消して旧大宮市を復活させることは、地方自治法第7条の規定に基づいて、市議会と県議会の承認で可能。②住民投票を実施する場合は、旧大宮市の住民だけが対象で良い。③実際に戦後、住民投票で合併を解消した例は、横須賀から分離した逗子、川口から分離した鳩ヶ谷など全国各地にある…と答弁したのです。
 市長を日常的に補佐する副市長には、住民不在の合併を全国で推し進めた総務省の官僚ではなく、地域の実情に精通した市職員OBを登用すべきです。

武蔵浦和に新幹線停車の
 「相川プラン」を再び阻止
 相川前市長が出版したマニフェスト本『理相都市への挑戦』では、武蔵浦和駅に新幹線を停車させるプランに、1章を割いています。
 さいたま市は武蔵浦和の再開発に巨額の公費をつぎ込み、さらに10階建ての複合公共施設を建設しようとしています。
 地元要望で駅を開設する場合、建設費は全額地元負担になります。湘南新宿ラインを浦和駅に停めるために400億円もの税金を投じたうえ、続いて武蔵浦和に新幹線を停めようと何百億円も使うのは問題です。新幹線は超特急であって、通勤快速ではありません!
 私は2月のまちづくり委員会で、「(相川プランを)具体化させる計画はない」と市に明言させましたが、8月の総選挙では埼玉15区の候補者が「武蔵浦和に新幹線を」と訴えていました。
 そこで9月10日の一般質問で、私は改めてこの問題を取り上げました。

吉田一郎 武蔵浦和駅に新幹線を停車させるという「相川プラン」を、清水新市長は実行するつもりがあるのか、改めて伺いたい。
渋谷都市局長 市に莫大な費用負担が必要になり、武蔵浦和駅に新幹線を停車させる計画はない。【動画で見る】

 とりあえず、清水市政は取り組む計画はないことを明確にさせましたが、議場では浦和の議員が「新幹線を停めてやる!」と盛んにヤジを飛ばしていました。
 油断はできません!

「すべての議員が発言できる議会」の実現で
のべ18の議員が発言し、市長提出議案を初めて否決
 相川市政の下では、自民・公明・民主の「相川与党」が、相川前市長が提出した議案にすべて賛成し続けていました。さらに無所属議員の発言権を認めず、自民党と共産党の議員が1人ずつ、賛成意見と反対意見を述べて審議終了…という状態が続いていました。
 5月の市議補欠選で、私は「すべての議員が発言できる議会」を掲げ、圧勝したことで実現。9月議会の本会議では、のべ18人の議員が様々な立場から賛成・反対の意見を述べ、さいたま市で初めて、市長提出の議案2件が否決されました。
 これまで形骸化していた議会が変わりつつあります。

吉田一郎が反対した議案 【関連動画】
■平成20年度一般会計及び特別会計決算《4面参照》
■平成20年度水道事業決算
 毎年大幅な黒字を計上している水道料金を引き下げて、市民に還元すべきです。
■平成20年度病院事業決算
 市立病院で納入業者が4900万円を不正請求していたことが発覚。病院側のチェックの甘さや使い捨ての医療器異を再利用していた実態、市の隠ぺい体質も明るみになり、真相究明が終了していないので、決算は認められません。
■一般会計補正予算(6)
 ①清水与党に転じた市議の雑木林を、2億4300万円で購入。②盆栽が枯死した原因が究明できず、来場する観光客数は年間20万人から6300人へ大幅下方修正され、年間1億2千万円以上の赤字を出す盆栽柔術館の開館準備予算。③交通の利便性を無視して北浦和にハローワークを開設し、利用者が少ないからと800万円かけて宣伝用巨大モニターを設置…などに反対。
■清水市長のみを対象とした多選自粛条例
 清水市長の任期は3期12年までという条例。「多選禁止」ではなく「自粛」なので守らなくても構わず、清水氏だけが対象の条例制定は法の私物化であり、「すべての国民は法の下に平等」という民主主義の根本に反すると反対しました。
■行財政改革推進本部設置《4面参照》
■任期付職員の採用及び給与の特例条例の制定
 清水市長が民間人を月給最高97万7000円という副市長並みの高給で、市の幹部職員として雇用する制度。清水市長が「功績を上げた」と見なせば、月給と同額の手当も支給可。
 いわば形を変えた「縁故採用」で人数の上限はなく、コンサルタントの関係者を雇い入れるなど「市役所丸ごと利権化」につながりかねないと反対しました。
■グリーンニューディール条例の制定
 国から補助金が出ると言うので、電動アシスト自転車を80台購入し、CO2排出を削減…と言うが、公用車を何台削減するのかは不明確。国からの補助金に群がって、慌てて不必要なものを購入する体質は改めるべきだと反対しました。
■市道の認定・廃止
 清水市長は相川市政を「市民の声が届かない」と批判しながら、8万人が反対署名した「見沼区」などの区名を見直そうとしないのはおかしいと抗議し、関連する議案に反対。
■常勤特別職職員の給与条例の改正■副市長の選任《3面参照》
メキシコへの海外視察
 私は10月16日の本会議で、議会の承認前に自民・公明・民主の視察参加者が集まり、説明会が開かれていた実態を暴露。1人70万円の公費を使う海外視察をめぐる、不透明な談合体質は許せません!

2009年9月議会の会派別議案賛否一覧表
『吉田一郎 市政レポート』のバックナンバーや、市議会での動画集が、インターネットでご覧になれます!

2009年11月特別号(4)
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平成20年度相川決算
吉田一郎は大宮住民の立場から反対!
 9月議会では、さいたま市の平成20年度決算が審議されました。昨年度は一般会計と特別会計を合わせて93億円の実質黒字(前年度比十13億円)と、収支バランスは健全でしたが、地域バランスの面では、相変わらず「浦和優先」が強力に推し進められ、私は決算の認定に反対しました。
10月11日本会議で述べた反対理由(抜粋)
地域格差を拡大させる谷田地区の公民館の建設
「公民館の数は大宮18館に対して浦和29館と、浦和が圧倒しているにも関わらず、その格差を是正するどころか、『公共施設の適正配置方針』の名の下に、浦和の谷田地区に新たな公民館の建設に着手したことは許せません。
 2月の予算委では、『公民館建設にあたって、今後は地域バランスも考慮する』との答弁がありましたが、谷田地区公民館の建設は、公民館の地域格差が解消するまで凍結すべきです」

■浦和の中央図書館への集中が進む蔵書
「平成18年度と昨年度を比較した市内各図書館の蔵書数の変化では、浦和に中央図書館、大宮には北図書館とそれぞれ1館ずつオープンしたにも関わらす、大宮4万8419冊の増加に対して、浦和は16万4271冊の増加と、4倍近くも浦和優先です。
 さらに与野は6万1603冊の減少と、2割以上も蔵書が減らされています。3市合併にあたっては、『文化芸術の与野』と謳われたにも関わらず、与野の文化資産である蔵書はごっそりと奪い去られている現状は見過ごせません。
 かつて大英帝国は、ロンドンに大英博物館を建て、エジプトやインドなど支配下に置いた地域から歴史遺産・文化資産を略奪しましたが、さいたま市も浦和には県立図書館があるにも関わらず中央図書館を建て、大宮・与野・岩槻から地域の歴史遺産・文化資産である蔵書を奪うような行為は決して許せません。
 決算審査で大宮の委員(=伝田ひろみ議員)から、『中央図書館への一極集中型は良くない』との批判が出ましたが、合併によって成立した本市に、一極集中型の中央図書館はいりません。中央図書館は浦和図書館に格下げし、それぞれの街の文化資産はその街に残すべきです」

■年間2億円以上の公金を投じて浦和へ客寄せ
年間2億円もの公金投じて客寄せしているコムナーレ「地域的な偏りや交通の利便性を考慮することなく浦和駅前にコムナーレを建て、賑わいが足りないからと多額の税金を投じて、ジャズや中国楽器のコンサートから落語まで開催し、浦和に客寄せをしようと躍起になっているコムナーレ賑わい創出事業は税金の無駄です。
 コムナーレのような中核的複合公共施設は、わざわざ税金を投じなくても人が集まる大宮にこそ建てるべきです」

■「人の命も浦和優先!」の病院移転を強行
「市民医療センターのオープンは許せません。市民医療センターはもともと旧浦和市が立てた計画です。それを建設地点をちょっと北へずらして大宮との境にし、長年大宮住民の命を守ってきた大宮医師会市民病院を移し、大宮市が積み立ててきた病院建設の基金(20億円)をも流用して建設したことは、大宮住民の間から『人の命も浦和優先か!』『大宮は金も命も奪われるのか!』と、怒りの声が巻き起こって当然です。
 私が強く要求し続けてきたオールナイト診療の維持については、大宮総合病院でどうにか小児科は実施されることになりましたが、現場での運用について住民の間から新たな不満の声も挙がっています。
 早急に内科のオールナイト診療を復活させることも含め、かつての大宮市民医院のように、市が直接医師を雇うなどの抜本的な改善が必要です」

■大宮の一等地を売り払い、浦和の開発に集中
「まちづくり関係では、1,220億円もの総事業費をかけた市街地再開発事業は、浦和にばかり集中し、このうえ浦和駅西口南高砂地区や武蔵浦和駅第3街区など、浦和で新たな事業に着手しようとしています。浦和駅の高架化事業は湘南新宿ラインを浦和駅に停めるためのホーム新設を含めると400億円を超えることが明らかになりました。浦和東部・浦和南部の土地区画整理事業は総事業費1,200億円以上に膨らみ、まさに湯水のように浦和の開発に血税を投じる一方で、北部拠点宮原の土地区画整理事業は、かつて大宮市が『夢ひらくまち大宮』の21世紀の中核拠点として購入した富士重工跡地を、島忠へ売却したことは許せません」

■相川決算に対する大宮住民の審判は明白
「昨年度の相川決算を総括的に振り返るならば、やはりこの合併は失敗です。昨年度の市民意識調査では、『浦和重点の市政の是正』という不満が、住民税が高いという声を上回って第1位となった現実を、市は直視すべきです。3市合併は対等合併であったというのは幻であり、大宮は浦和の植民地にされたというのが実感です。
 合併によって成立した本市は、浦和への一極集中を進めるべきではありません。大宮・浦和・与野・岩槻がそれぞれの歴史や文化、地域の特性を生かして輝く、緩やかなそして離脱可能な連邦制のような連合都市を目指すべきです。北九州市が採用した『タッチゾーン方式』を導入し、旧4市からの税収はその地域のために使い、政令指定都市移行に伴う新たな財源を格差是正や大型プロジェクトのために使う仕組みを確立すべきです。
 それができないのであれば、一昨年の12月議会で当時の小林政策局長からご説明頂きましたように、地方自治法第7条に基づいて、旧大宮市の分離独立を主張せざるを得ません。
 5月の選挙では、相川前市長は大宮北部(北区)で4,991票しか得られず、一方で『大宮の自治と独立』を掲げ、『浦和優先の行政・予算配分の是正』を訴えた私は、27,045票のご支持を頂きました。
 さいたま市の市政運営・予算の使い方に対する大宮住民の審判は明白であり、昨年度の相川決算は当然のことながら認定できません」

タッチゾーン方式の導入で浦和への一極集中にストップを!
 さいたま市が抱える最大の問題は、大宮と浦和の地域格差・予算格差です。
 新都心周辺への市役所建設という合併協定書を無視して、市役所はいつまでも浦和に置かれ続け、都市再開発や道路整備、公共施設の建設等は、ことごとく浦和に集中しています。
 このような合併による弊害を防ぐ方法が、「タッチゾーン方式」です。つまり合併前の旧市町村に大きな権限と財源を与え、その地域の税収はその地域で使う仕組みで、北九州市やつくば市、いわき市などで導入されました。
 さいたま市も「タッチゾーン方式」を導入して、岩槻を含めた旧4市の財布を分け、大宮住民が払った税金は旧大宮の4区で使う仕組みを確立すれば、浦和への一極集中を阻止できます。

■都市内分権を否定する清水市政
 清水市長は「地域に偏らない公正・公正な市政」や「地域主権の確立」を掲げています。
 そこで私は9月3日の本会議で、清水市長が設置を提案した行財政改革推進本部の中身を追及するとともに、10日の一般質問では「タッチゾーン方式」の導入を改めて問いただしました。

吉田一郎 清水市長は「地域主権の確立」に向けて固い決意を述べているが、さいたま市にとって最も重要な「地域主権」、つまり大宮の税収は大宮の街づくりに使う財政改革や、大宮の街づくりは大宮で決められる行政改革、いわゆる「タッチゾーン方式」のような都市内分権は、この本部で推進されるのか。それとも財政も行政もすべて浦和の市役所で決めるという、現在の中央集権体制には一切手をつけないつもりか。
島田総務局長 旧市域から脱却すべき段階であり、旧市への分権に向けた取り組みは、行財政改革推進本部での改革には含まれない。
吉田一郎 真の「地域主権」の実現のために、今後の予算編成に向けて、「タッチゾーン方式」を導入する考えはないのか。
丸財政局長 清水市長が言う「地域主権の確立」とは、国から地方自治体に権限と財源を移譲し、地方のことはその地方で決められる真の地域分権型社会の実現だが、本市では「総合振興計画」に基づき、地域偏在のないバランスの良い街づくりを推進しているので、「タッチゾーン方式」による予算の編成や配分は考えていない。

■相川前市政を「地域に偏りがない」と評価!?
 結局、清水市政は相川前市長が制定した「総合振興計画」に基づく従来の市政運営を、「地域偏在のないバランスの良い街づくり」だと評価しており、浦和優先の市政運営を抜本的に見直そうとしていません。
 また、国に対してもっと財源や権限を移譲するように求める一方で、真の地域主権である都市内分権を否定し、大宮や与野・岩槻には財源や権限を与えないのでは、浦和の市役所による中央集権が強化されるだけです。
 大宮の税収は大宮の街づくりに使い、大宮の街づくりは大宮で決められる仕組みが必要です。
大宮と浦和の財布を分けるよう提案する吉田一郎
大宮と浦和の財布を分けるよう提案
吉田一郎は、市長から支給される政務調査費(年間408万円)を受け取らずに活動しています。

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