2009年9月1日 第15号 (1)
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「5億円の盆栽」枯死事件 矛盾だらけの「原因」で 賠償責任を回避!?
「情報公開日本一」を謳う清水市政のはずが、盆栽が枯れた真相を隠し続けて賠償はウヤムヤに!?
 市が土呂駅東口に建設中の「大宮盆栽美術館」で展示
するために、栃木県の美術館から5億円で購入した盆栽が続々と枯れていることが、6月議会での私の「枯れている盆栽はないのか!?」という追及を契機に明らかになりました。
 市が購入した盆栽は、市内7ヵ所の盆栽園に預けています。このうち1ヵ所の盆栽園で、これまでに「靖国」(2200万円相当)など盆栽3点(計5700万円相当)が完全に枯死し、盆栽2点(計3000万円相当)も葉が落ちるなどの被害が出ています。
 昨年から枯れ始めていた「靖国」は、コガネムシが原因です。しかし今年6月から枯れ始めた盆栽2点について、市は不十分な説明を繰り返し、賠償請求などをウヤムヤにしようとしています。

「誰かが薬をまいた」…防犯カメラをなぜ警察に提出しない!?
 市は当初、盆栽園が主張した通りに「何者かが薬品をまいて枯らせた疑いがある」と発表し、新聞報道されました。
 しかし警察は「その疑いは無い」と、被害届を受理しようとしませんでした。
 私が所属する市民生活委員会では、7月27日に現地調査を行いましたが、盆栽園の関係者は誰一人として姿を現さず、市の担当職員が出迎えて、「園側の話によると…」と曖昧な説明をするだけでした。

吉田一郎 園内に防犯カメラがたくさん設置されているが、盆栽園は映像データを警察や市に提出しているのか。
市職員 市はもらっていない。警察にも多分出していない。
吉田一郎 盆栽が枯れ始めてから1ヵ月以上経っているのに、盆栽園が防犯カメラの映像を提出しないのは、変だ。
市職員 システム的に普通にコピーできないそうで、盆栽園が防犯会社に聞きながら、コピーを作成中だそうです。
吉田一郎 銀行のATM強盗事件などでは、警察はその日のうちにデータの解析を終えている。防犯カメラのデータをそのまま警察に渡せば良いはずだ。
市職員 そこの細かい点は…。

「銅イオンが原因」…盆栽園は銅のジョウロを販売してるが
 現地調査で「防犯カメラの怪」を突かれた市は、8月24日になって樹木医の診断結果なるものを公表しました。それによると盆栽が枯れた原因は…。
①盆栽園が改築して、屋根を銅葺きにした。
②雨に屋根の銅イオンが溶け出し、庭の盆栽にかかった。
③盆栽に銅イオンが蓄積し、限界量に達して枯れた。
 しかし、市が盆栽を預けている他の盆栽園では、「銅イオンは苔の生育に良く、あらゆる植栽にお薦めです」と、銅のジョウロを通信販売しているのです。
 そこで8月27日に開かれた全員協議会(議員への非公式の説明会)で、私はその点を追及しました。

吉田一郎 他の盆栽園では、銅製ジョウロを使って水をやっている。「銅イオンが原因」と言うのなら、盆栽園に銅製ジョウロを使うなと指導しないのか?
市職員 銅製品は1年経つと、イオンが溶け出さなくなる。
吉田一郎 盆栽園は「銅イオンは良い」と宣伝して、新品の銅製盆栽用ジョウロを販売している。その製品を購入して盆栽に水をやった人は、盆栽を枯らしているのか?
市職員 銅のジョウロについては、今お答えできません…。

 盆栽愛好者の間では、銅のジョウロを使うのは一般的で、「ナメクジよけ」として盆栽に銅線を巻く人も多いのです。
 市が発表した「何者かが薬品をかけた(=盆栽園に責任なし)」や、「屋根から滴った雨水の銅イオン(=偶発的な事故なので、盆栽園に責任なし)」という原因は、いずれも信びょう性に欠けています。
 私は今後も盆栽が枯れた原因の真相究明と、賠償請求を含めた責任の明確化を徹底的に追及していきます!
吉田一郎は、市長から支給される政務調査費(年間408万円)を受け取らずに活動しています。

(2)
盆栽枯死の損害賠償は不可能!? 管理契約の中身を追及し、明るみにさせました
 枯死した3点の盆栽(計5700万円相当)の賠償責任はどうなるのでしょうか。
 市が5億円で購入した盆栽や盆器は、盆栽美術館が開館するまでの間、市内7ヵ所の盆栽園に預けています。しかし実際には、市の外郭団体である「さいたま市文化振興事業団」を通じて、盆栽管理の委託が行われています。
 私は8月27日の全員協議会でこの問題を追及し、それぞれの契約内容を明らかにさせました。
◆市と文化振興事業団との管理委託契約
「市の責任でない限り、事業団は賠償の責任を負う」
◆文化振興事業団と盆栽園との管理委託契約
「天災、盗難、枯死等不可抗力による場合は、盆栽園に責任を負わせない」
 つまり、盆栽は生き物なので枯死は「不可抗力」となり、ましてや銅イオンによる「偶発的な事故」なら、盆栽園に賠償を請求することはできません。
 市は文化振興事業団へは賠償請求ができますが、さいたま市が100%出資する外郭団体なので、結局「市の税金で市へ賠償する」ということにしかならず、意味がありません。
盆栽枯死を隠し続けたため、賠償請求期間が過ぎる
 また、昨年春から枯れ始めていた「靖国」は、購入前からついていたコガネムシの幼虫が根を食い荒らしたのが原因です。
 私の追及の結果、市と購入元との契約では、「1年以内なら賠償または交換ができる」となっていたことが明るみになりました。しかし、「靖国」は昨年春から異変が起き、コガネムシの幼虫が発見されていたにも関わらず、市は「枯れている盆栽はない」と隠し続けていたため、賠償や交換請求ができる1年間を過ぎてしまっていたのです。まったく許せません!

外郭団体が委託管理料1000万ピンハネ! 「盆栽利権」に群がる相川後援会幹部
 盆栽の管理委託料について、市は盆栽園に年間1200万円を支払っていると、これまで繰り返し説明してきました。
 しかし、8月27日の全員協議会で、私は市が文化振興事業団に支払っている管理委託料を問いただしたところ、昨年度は1516万4100円、今年度は2032万8000円(2月末までの11ヶ月分)だったことが判明しました。
 つまり事業団は、昨年度は300万円、今年度は約1000万円もの金額を、管理委託料からピンハネしているのです。
 市と文化振興事業団との契約では、盆栽の管理にあたって事業団は「現場責任者」と「技術者」を雇い、盆栽が保管されている現場(盆栽園)に常駐させることになっています。
 しかし、実際には盆栽の管理は盆栽園に丸投げされ、現場責任者や技術者は雇われず、事業団は毎月1回盆栽を見に行き、3ヵ月に1回写真撮影をしていただけでした。
 盆栽の管理委託料から多額の税金をピンハネしておきながら、現場での監督を放棄したような事業団の無責任なやり方が、盆栽枯死を招いた一因とも言えそうです。

5億の盆栽は「疑惑の盆栽」! 利権の徹底解明を
 これまで文化振興事業団の理事長は、名目的に市長が兼任していました。
 市(=相川前市長)と盆栽管理の委託契約を結んだ副理事長は、昨年度は天下り官僚(元助役)の岩木浩氏でしたが、今年度は佐伯鋼兵氏に代わっています。
 佐伯氏は元市会議員(南区)で、2年前に引退した後、相川会連合会(相川前市長の後援会)の会長をしている人物です。そして相川前市長と佐伯副理事長が結んだ契約で、盆栽の委託契約料は一挙に500万円も増額されたのです。
 5月の市長選挙まで、市が盆栽を預けていた盆栽園の門前には、「あいかわ宗一」や相川会連合会の看板が設置され、
大宮では「異様」な光景の一角でした。
 5億円の盆栽をめぐる利権に、徹底的にメスを入れなくてはなりません!

市民の怒りの声を議会に提出しました!
 盆栽枯死事件について、私は市民から預かった6つの請願を議会に提出しました。
◆枯れた盆栽は永久保存して、市民に公開して下さい
◆「盆栽の鉢だけ飾る盆栽美術館」にはしないで下さい
⇒自民党市議団の団長が、新聞に「盆栽を売却して、鉢だけ展示すべき」と発表したことに対する意見。「盆栽の鉢だけ飾る」のなら、もはや陶芸美術館です。盆栽を売却するなら、盆栽美術館の建設自体を中止すべきです!
◆盆栽枯死による損害の一部は、相川前市長と盆栽購入に賛成した議員たちが負担するよう求めます
◆盆栽美術館開館による赤字の一部は、相川前市長と美術館建設に賛成した議員たちが負担するよう求めます

⇒議員による負担は、政務調査費(年間408万円)を減額・返納して実行するように求める内容。
◆盆栽枯死に関する現地調査や一連の新聞報道を、市議会の議事録に掲載して下さい(2件)
⇒盆栽枯死を調査する正式な委員会を開こうとせず、「議会として記録に残さなくていい」「市民は新聞記事を読めば十分」という土井委員長(民主党・南区)の発言に抗議。
 私はこれらの請願を、9月議会で審議するよう求めましたが、12月議会まで先送りされることになりそうです。

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