2009年7月1日 号外 (1)
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5億円の盆栽飾る美術館 年間約1億円の赤字予測が明らかに!
入館者数の見通しは4分の1、経済効果は10分の1に下方修正!それでも清水市長はゴーサイン
 バブルの頃、全国各地の自治体で、観光振興のためと称してさまざまな箱物施設が建設されましたが、その多くは来場者数が事前の予測を大きく下回り、地元自治体は多額の損失を出して、財政破綻にあえぐ結果を招いています。
 さいたま市は1年半前、栃木県の美術館から5億円の盆栽を購入し、市民やメディアから大きな批判を浴びましたが、その盆栽を展示するために、土呂2丁目に11億円をかけて「大宮盆栽美術館」の建設を進めています。
 しかし、すでに開館前の段階から、見通しの甘さが明らかになり、毎年約1億円の赤字が出ることになりそうです。

「観光客20万人増える」から一転。小中学生合わせて5万人
 清水市長は、盆栽美術館を来年3月に開館しようと、6月議会に「大宮盆栽美術館条例」の制定を提案。6月26日の市民生活委員会で審議が行われました。
 そこで私は、盆栽美術館の入館者数の見通しに関するデータを要求し、市が入館者数を「年間5万人」と予測していることを明らかにさせました。
 年間入館者数や経済効果については、5億円の盆栽購入前の06年12月議会では、政策局長が「現在の盆栽村の観光客数年間20万人に加え、新たに年間15万人から20万人の観光客が増加し、観光客1人あたり平均5755円を市内で消費するので、年間10億円の経済効果(=商店等の売り上げ増)が見込まれる」と説明していました。それと比べて、あまりにも大幅な下方修正です。
 しかも5万人という数字は、すでに盆栽村を訪れている層が立ち寄るケースや、市内小中学生の「社会科見学」なども含めた数で、新たな観光客の増加は、15万人から20万人どころか、その10分の1になりかねず、経済効果もそれに比例して、10分の1になりかねません。
 誇大な「観光客増加」や「経済効果」の数字を示して、盆栽購入や盆栽美術館の建設を認めさせ、美術館の建設が始まるや、何分の1にも下方修正する市のやり方は、まさに議会を欺き、市民を騙すようなものです!

入館料収入900万円に対し、経費は上積みで1億円に!?
 また私が入館料収入を問いただしたところ、年間900万円に過ぎず、一方で、盆栽美術館と盆栽の維持にかかる経費は、これまで年間9000万円と説明していたものが、「盆栽をしっかり手入れするためには、もっとコストがかかる」と、さらに上積みされることも明らかになりました。
 つまり盆栽美術館は、毎年1億円近い赤字を垂れ流すことになるのです。
 また市は、鉄道博物館や岩槻人形会館と連携した観光ルートの整備で、年間入館者数は将来12万人に増加するだろうと説明していますが、その具体的な整備はといえば、「案内板の設置」と「観光マップの作成」程度で、これで入館者が2・5倍に増えるとは到底考えられません。

「浦和優先隠し」の赤字箱物に、清水市長もゴーサイン
 地域文化を紹介し、後世に伝えるための文化施設の建設は、必ずしも採算性ばかりを重要視すべきだとは思いません。しかし栃木県の美術館から購入した盆栽を、果たして「大宮の文化」だと宣伝できるのか、そして市が毎年多額の税金を注ぐ必要があるのかは疑問です。
 盆栽美術館の建設は、浦和優先の市政の実態を覆い隠すために、大宮に盆栽美術館を建てることで、「大宮も大事にしています」というポーズを見せようという、相川前市長の政治的な意図が強く働いたものです。
 市長選でサッカープラザの白紙撤回を掲げ、「箱物建設反対」のイメージで当選した清水市長が、年間1億円近い赤字を垂れ流す盆栽美術館の建設に、改めてゴーサインを出したことは、厳しく批判せざるを得ません。
 市は「5億円で購入した盆栽の評価額は20億円だ」と繰り返しています。それならば、盆栽美術館の建設をただちに中止して、その損失は盆栽を売却して補うべきです!
吉田一郎は、市長から支給される政務調査費(年間408万円)を受け取らずに活動しています。

(2)
自民・公明・共産 「青羽与党」の難癖で、混乱続く議会運営
清水市長へのイジメ!?人事案や「多選自粛」「退職金半減」などの議案を、9月までたな晒しに! 
【関連動画】 新聞でも報道されましたが、清水市長にとって初舞台となった6月議会は、青羽健仁議長(自民党会派離脱・浦和区)を先頭に、自民・公明・共産の「青羽与党」による審議引き延ばしや、議案たな晒し等で混乱が続いています。

本会議中断の連続で、傍聴に集まった市民を追い返す!
 6月議会は6月17日からスタートしました。通常では、初日の本会議は、市長のあいさつに続き、市長が提案する議案の説明、議員からの質疑(質問)という順序で行われますが、青羽議長は突然「市長のあいさつは、議案の説明・質疑の後にする」と言い出しました。
 傍聴席は清水市長の初舞台を見ようと集まった約90人の市民で満席でしたが、議案の説明が終わった途端、本会議は延々3時間にわたって「休憩」となったため、市民の多くは帰ってしまい、市長のあいさつが始まった時に、傍聴席に残っていた人は3分の1でした。
 そして清水市長のあいさつが終わると、本会議は再び中断。急きょ開かれた議会運営委員会で、青羽議長や共産党が「あいさつの内容に問題があった!」と騒ぎ出しましたが、公明党はさすがにこれ以上の難癖には付き合いきれないと感じたのか、「何の問題もない」と言ったため、「青羽与党」の足並みは乱れ、本会議は再開。昼頃に終わるはずだった本会議が終了したのは、夕方5時過ぎでした。
 3月議会では、私が相川市長の議案に反対意見を述べ、本会議が15分遅れたことを理由に、出席停止処分が下されましたが、清水市長への嫌がらせのためなら本会議が何時間遅れても構わないというやり方には呆れてしまいます。

たった5分足らずの審議で、9月まで先延ばし
 翌18日の議会は、清水市長が提出した教育委員3人と監査委員2人の人事案の取り扱いをめぐって紛糾。民主党が「議会運営を混乱させた」と青羽議長の不信任案を提出しましたが、自民・公明・共産が青羽議長の続投を支持して、不信任案は否決されました。
 さいたま市議会では、法的な根拠がない「申し合わせ事項」によって、市長が提出した人事案は審議をせずにその場でYesかNoかを採決することになっていますが、自民・公明・共産は、「今回は特例ということで、他の議案と同じように委員会で慎重に審議しよう」と言い出し、民主党が猛反発したのです。
 私は、教育委員や監査委員の人選は重要であり、これまでの「審議省略」がおかしく、委員会できっちり審議することには賛成です。
 しかし24日の総合政策委員会では、教育委員1人目の審議が始まって5分足らずで、鳥海敏行議員(共産党、浦和区)が、「閉会中(9月議会まで)の継続審査にしよう」と提案。自民・公明・共産が賛成して、その場の審議は打ち切られました。
 「慎重に審議すべき」と言いながら、わずか数分間しか審議をしないで、6月27日で任期が切れる交代人事案を9月議会まで先延ばしにするというのは、無茶苦茶です。
 結局、教育委員1人の任命には同意したのを除き、残る4人の人事案は、共産党と自民党の委員が代わる代わる「継続審査」を言い出して、9月議会までのたな晒しが決定。
 26日の総合政策委員会では、清水市長が提出した「多選自粛条例」と「市長の退職金半減条例」も、9月議会まで先延ばしされることが決まりました。


 私は、相川路線を踏襲して市役所を浦和から動かそうとせず、「サッカープラザ白紙撤回」を掲げながら新たな箱物建設を進める清水市長を、議会で批判しています。市長のパフォーマンスに過ぎない「多選自粛条例」にも、大いに疑問です。
 しかし、嫌がらせのような手段で清水市長に自分たちの言うことを聞かせようと圧力をかけ、議会を混乱させる青羽議長や自民・公明・共産のやり方には反対です。
 清水市長への批判は、議会での言論・追及を通じて、堂々と行うべきです。


清水市長の市政運営に
与党        19
民主党        13
みどりの風       6
野党         45
自民党        15
公明党        11
自民彩政会       9
共産党         8
無所属(北村/吉田)  2


青羽議長の議会運営に
与党             34
自民党 ×          15
公明党 ×          11
共産党 ×          8
野党             30
民主党 ○          13
自民彩政会 △        9
みどりの風 ○         6
無所属(北村/吉田)○    2
○議長不信任案に賛成 ×反対 △退席

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