2008年4月18日 第10号 (1)
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選挙前は「減額賛成」、当選したら「減額に反対」!?
7割も上がった政務調査費の10%カット、民主・公明の議員が態度を変えて否決
 政務調査費とは、議員報酬とは別に、市長から毎月34万円支給される議員活動の経費です。しかし、その使い道がずさんだと、全国的に問題になっています。
 さいたま市では、4年前に「政令指定都市になった」というだけの理由で、政務調査費が月額20万円から34万円へ、一挙に7割もアップしました。また3年前に合併した岩槻の議員は、それまでの月額2万円から34万円へなんと17倍もアップしています。
 さいたま市議会では、昨年夏に「政務調査費の使途基準」が制定されましたが、使途基準の作成は、市民や報道関係者が傍聴できない議長の応接室に、各政党や会派の代表が集まって「談合」のように決めたのです。政務調査費を使って海外視察に出かけたり、大学院の学費に充てたり、はたまた浦和駅から市役所までのタクシー代に充てるなどの「濫用」も続いています。
 私は昨年の市議選で「政務調査費の廃止」を掲げ、当選後は相川市長から政務調査費を受け取っていません。

議会の内と外とで態度が異なれば、政治不信を招く
 2月12日の本会議では、私が紹介議員となって市民から提出された「政務調査費の交付額を少なくとも1割以上削減するよう求める請願」の審議が行われました。
 なぜ、「少なくとも1割以上削減」なのかと言うと、昨年3月にある市民団体が、市議選に出馬を予定していた候補者を対象にアンケート調査を行ったところ、民主党・公明党・共産党を中心に、政党・会派を超えた候補者たちが、「政務調査費の1割以上削減に賛成する」と表明して、当選していたからです。これら政党が賛成すれば、請願は可決され、政務調査費の減額は実現できます。
 ところが委員会での審査では、民主党と公明党は自民党とともに請願に反対しました。そこで本会議での採決に先立ち、私は委員会の審査報告を追及し、「議員1人1人が議会の内と外との整合性について、重い責任を負うべきという、さいたま市議会の厳しい姿勢を示すべきだ」と訴えました。
 また、「採決にあたっては、会派拘束を外すべき」「有権者に対して選挙前に発表した態度よりも、会派の意向を優先すべきではない」と重ねて呼びかけましたが、続いて行われた採決では、以下の結果で請願は否決されました。

政務調査費の1割以上減額を求める請願の採決結果
 《賛成18人》
共産党(8人)、自治ネット(3人)、無所属の会(2人)行政研究会(2人)、無所属(小松、北村、吉田)
 《反対44人》
自民党(21人)、公明党(11人)、民主党(10人)無所属の会(2人)


■政務調査費の1割以上の減額に…
選挙前のアンケートでは…賛成!
議会でも賛成した議員
(共産党)神田義行、青柳伸二、戸島義子、斉藤真起 (無所属の会)添野ふみ子、野呂多美子 (自治ネット)伝田ひろみ (無所属)小松豊吉、北村隆幸
※私は選挙直前に立候補を決めたので、アンケートは届かず。
■政務調査費の1割以上の減額に…
選挙前のアンケートでは…賛成!
議会では…反対した議員
(自民党)中山輝男 (公明党)今村都代子、輿水恵一、今城容子、白石孝志 (民主党)高木まり、池田麻里、熊谷裕人、丹羽宝宏


さいたま市議会に限った話ではありませんが、議員が議会の外で言っていたことと、実際の議場での態度が異なれば、国民の政治不信を招きます。
 一議員としての「公約」を、政党の都合でいとも簡単に変えてしまうことがまかり通る議会の現状を打破するために、私は引き続き全力で闘う決意です!
吉田一郎は、市長から支給される政務調査費(年間408万円)を受け取らずに活動しています。

(2)
大宮医師会病院に代わる救急診療施設 予算が実現!でも僅か350万円!?
 さいたま市では、旧浦和市が立てた計画をもとに、浦和との境(西区島根)に総事業費183億8300万円をかけて市民医療センターを建設しており、来年春に完成すると大宮医師会病院(宮原メディカルセンター)は引き換えに閉鎖される予定です。
 大宮医師会病院は、夜間・休日も24時間体制で診療を受け付けている病院です。特に小児救急医療センターが併設され、小児科医が24時間常駐している病院として、長年にわたって大宮住民の命を守ってきた存在です。
 私は昨年春に市議になってから、6月、9月、12月と議会が開かれるたびに本会議でこの問題を取り上げ、「人の命も浦和優先か!」「大宮は金も病院も奪われるのか」と、相川市政を徹底的に追及し、とりわけ夜間・休日の救急医療施設を大宮北部に残すことを要求し続けてきました。

「子育て支援」を言いながら、夜中に子供を診る病院は?
 そして平成20年度予算では、「(仮称)大宮休日夜間急患診療所整備事業費」が盛り込まれました。
 しかし、その金額はわずか350万円です。この金額で、現在の大宮医師会病院の代わりとなりうる夜間・休日の診療施設を、1年後に開設することができるのでしょうか?
 私は3月13日の本会議で、予算特別委員会の審査報告にこの問題が触れられていない点を追及し、「夜中の何時に行っても小児科のお医者さんに必ず診てもらえる体制でなくては、大宮住民の不安や不満は解消されない」と指摘したうえで、「果たしてこの予算で、現在の大宮医師会病院で実施されているオールナイト診療体制の維持が可能なのか、特に夜中に子供の具合が悪くなっても駆け込むことはできるのかについて、執行部側からの説明はなかったのか」と、関根委員長を問いただしました。

病院移転・予算格差…相川与党の横暴で追及中断
 私は続けて、大宮と浦和との予算格差を問いただしたところ、こともあろうに自民・公明・民主の「相川与党」は、私の追及を即刻中止させる動議を出して可決(自治ネットと行政研究会は中止に反対したが、共産党は議場から逃亡)。予算審査の追及は中断し、関根委員長は病院移転についても答弁を行いませんでした。
 そこで私は「肝心な点について具体的な説明がない状況で、大宮医師会病院の閉鎖を前提とした市民医療センターの建設に、1億4100万円もの追加支出を行うことは認められない」と、平成20年度予算案や病院移転に関する相川議案などに反対しました。
「浦和優先」の病院移転に対する大宮住民の怒りを前にして、ようやく夜間・休日の救急診療施設の設置に動き出した相川市政ですが、アリバイ的にほんの数時間だけ診療を行うような施設では、大宮住民の不安は解消されません。私は今後もあらゆる機会を通じて追及を続けます!

さいたま市議会の「政界再編」自民党分裂は吉田一郎のせいだ!?
 3月下旬から4月上旬にかけて、新聞各紙に「自民党のさいたま市議団が分裂」という記事が掲載されました。
 自民党市議団22人のうち、8人が除名されて新会派(自民・彩政会市議団)を結成したのですが、分裂の原因は「青羽健仁議長が進める議会改革や、政務調査費の使途・公開に不満を持つ議員が除名された」「議会人事をめぐる対立」等と報じられています。
 しかし、分裂のきっかけは、どうやら私のようです。
 市議会の議長はこれまで名誉職的なもので、最大会派の中から年功序列で決められ、1年で交代していました。しかし昨年の市議選で「相川市政と全力勝負だ!」を掲げた私が当選したことで、青羽健仁氏(自民党・浦和区)が「吉田を抑えられるのは自分しかいない」と名乗り出て、年功序列とは関係なく議長になった…という経緯があります。
 私は法的根拠のない「申し合わせ事項」によって、無所属議員が本会議の討論に参加し発言できない現状に「宣戦布告」し、議会のたびにあらゆる手段を使って発言や追及を繰り返し、これまでの登壇回数は28回に達しました。そして私の行動が契機となって議会改革の機運が高まり、青羽議長の強力なリーダーシップの下で改革が本格的にスタートし、2年目の議長続投を期待する声も広まりました。
 一方で、「年功序列なら議長になれるはずの人たち」は、青羽議長の「居座り」に不満が高まり、「議長が裏で吉田をけしかけて暴れさせている」との憶測まで飛び出しました。そして3月12日には、民主・公明とともに「明日の本会議では吉田に絶対発言させるな」と議長に迫ったようです。
 しかし翌13日の本会議では、私は自民・公明・民主の妨害をはねのけて、相川市長が提出した議案に反対する演説を行ったため議会は混乱に陥り、「まるで吉田劇場だ(浦和のある議員談)」とまで言われましたが、その結果、自民党内では「吉田がまたも発言した」ことを口実に、青羽議長に退任を迫る動きが噴き出し、議長側が「先制攻撃」に出て不満分子を除名した…というのが真相のようです。
 私は今後も、議員としての当然の義務・権利である発言を続けます。「無所属議員に発言させない」という法律無視に固守したあげく、会派分裂とは呆れるばかりです。

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