2008年2月特別号 (1)
2面へ
12月議会
大宮市独立は可能
旧大宮市の分離独立を実現するための法的手続きについて政策局長が説明
 さいたま市が成立して間もなく7年。上尾、伊奈は合併に加わらず、新都心への市役所建設は立ち消え、開発予算や公共施設は浦和に集中し、病院や保健所も次々と浦和の方へ移されて、かつて「県下最大の商業都市」と呼ばれた大宮は、あたかも浦和の植民地と化してしまいました。そこで私は12月11日の一般質問で「合併前の大宮市に戻してほしい」という住民の声を取り上げたところ、市側(小林政策局長)は「旧大宮市の分離は可能」だと、その法的手続きを説明しました。
一般質問の冒頭で、私はまず「現在のさいたま市政に不満というより怒りを感じています。さいたま市解体の運動を起こしたらどうでしょう。地名がなくなった不満、区名への不満、浦和中心への不満、不満が渦巻いています」という深作の方からの手紙を紹介し、具体的な質問に入りました。

吉田一郎 旧大宮市が分離独立することは法的に可能か。もし可能ならば、分離独立の法的手続きはどのようなものか?
▼小林政策局長 地方自治法では、第7条で市町村の廃置分合が規定されており、市町村の合体、編入、分割、分離については、この規定に基づき行われる。具体的な手続きとしては、分離について市議会の議決を経た後、知事にその旨を申請し、知事は申請に基づき、県議会の議決を経て総務大臣に届け出ることとなっている。
▼吉田一郎 戦後、市町村が分離独立した具体例は?
▼小林政策局長 主な事例としては、昭和24年に山口県山口市から分離した小郡町、昭和25年に川口市から分離した鳩ヶ谷町、同じく昭和25年に神奈川県横須賀市から分離した逗子町、昭和26年に富山県高岡市から分離した新湊町などがある。
▼吉田一郎 住民投票を実施して分離したケースはあるのか。あるのなら、分離前の市町村全体で実施したのか、分離する一部の地域だけで実施したのか?
▼小林政策局長 川口市から分離した鳩ヶ谷町では、鳩ヶ谷地区の住民を対象とした住民投票を実施した。【動画で見る】

分離は合併より簡単
 法的手続きでは、合併よりも分離のほうが容易です。実際に、市町村の合併に至るまでは何年間もの協議が必要ですが、分離したケースでは多くが1年以内に手続きが完了しています。
 また、3市が合併した後、合併特例債を使用しましたが、分離独立したら返済する必要があるのかを岡田財政局長に問いただしたところ、「特段の定めもなく、総務省の見解も示されていない」との答弁でした。

合併協定は反故に
 さいたま市が昨年6月に実施した市民意識調査によれば、市へのその他の要望で、「住民税が高い」に次ぐ第2位は「浦和重点の市政の改善を」でした。
 しかし、3市合併時に合併協定書に明記された「新都心周辺への市役所建設」は事実上立ち消えになっています。2月議会では「協定書に盛り込まれた市庁舎建設基金を創設しないのか」という自民党の代表質問(清水賢一氏)に対して、相川市長は「区役所の建て替えも含めた基金なら検討する」と逃げ、今後もずっと浦和中心の市政運営を続ける姿勢を明確にしました。
 合併時の約束が反故にされた以上、私たちの街・大宮を守るためには、合併解消も選択肢の1つです。
旧大宮市の市章
大宮市章
市町村の分離独立
全国で70ヵ所
県内では鳩ヶ谷・志木など
 市町村の分離独立は、戦後に限っても、これまでに70カ所で市町村の分離が行われ、92の自治体が新たに成立しました。
 市が分離した例では、沖縄県美里村から石川市が独立した例があります(分離と同時に市制施行)。
 戦後の市町村の分離独立は、多くが昭和20年代から30年代にかけてです。当時は全国的に「昭和の大合併」が進められ国策による押付け合併に、住民の間で不満が広がり、分離独立へと至ったのです。
 「平成の大合併」でも、青森市と合併した旧浪岡町や、安中市(群馬県)と合併した旧松井田町では、分離独立運動が起きています。
 鳩ヶ谷は昭和15年に川口市と合併しました。これは川口を軍需産業の拠点として強化するための国策で、住民の意向はまったく無視でした。
 そこで戦後、鳩ヶ谷独立を求める署名運動が起こり、有権者6704人のうち3655人が応じましたが、川口市議会は「無効な署名が多い」「時勢の推移に逆行」と分離独立を拒否しました。
 しかし住民投票を実施したところ、56・9%が独立賛成という結果が出て、分離独立を認めざるを得なくなり、25年11月に鳩ヶ谷町(現在は市)が復活しました。公共資産の分割は、独立後に協議が行われ、1年半後に県知事の立会いの下で調印に至りました。
 また埼玉県では、昭和19年に4町村の合併で成立した志紀町が、分離派の町長が当選して昭和23年に再び4分割され、志木町と宗岡村(現在の志木市)、内間木村(朝霞市)、水谷村(富士見市)がそれぞれ独立するなど、戦後6カ所で自治体の分離・分割がありました。

12月議会でも大暴れ!!
【12月5日本会議】 【動画で見る】
▼「一般質問の時間・回数増加や一問一答形式の導入」「市民への公開」「予算委員会の人数拡大」など、私が提出した議会改革に関する請願25件の委員会審査を追及。「議会の内と外とで主張が異なることがあってはならない」と警告しましたが、自民・公明・民主の「相川与党」が反対し、否決されました。▼「市民活動サポートセンター」の運営をめぐる疑惑について、委員長報告を追及しました。▼議事進行への異議申し立てを行い、盆栽購入5億円の補正予算審議をたった1日で終わらせるやり方に抗議しました(議長が却下し、その日のうちに採決を強行)▼盆栽購入の委員会での審査報告を追及し、「このまま1日で審議を終わらせたら、5億の盆栽は疑惑の盆栽だと、市民の誤解や反発を招きかねない」と訴えました。
【11日一般質問】▼旧大宮市の分離独立を実現するための法的手続きについて、政策局長に具体的な説明をしてもらいました。
【13日建設水道委員会】▼首都高埼玉大宮線の宮前町までの延伸を問いただし、建設局から「実現に向けて、国へ積極的に働きかける」と答弁を得ました。
【18日政治倫理特別委員会】▼議員が逮捕された際の報酬支給について、「起訴された時点で支給停止、無罪が確定したら停止分を支給」と主張しました。
【19日本会議】▼大宮医師会市民病院の閉鎖問題について、保健福祉委員会の審査報告を追及。「閉鎖後の大宮北部の夜間・休日の救急医原体制」に関して問いただしました。▼議員報酬をわずか月額500円しか下げない「報酬見直し案」について議会運営委員会の審査報告を追及。本会議や委員会の開催が全国平均より大幅に少ない現状も問いただしました。
※民主党は私の発言を止めさせるよう議長に要求。
▼一括採択に対する異議を申し立て、市長給与の見直し議案について「減額のように見せかけて、実は支給額はほとんど変わらず、市民の目を欺くものだ」と反対理由を述べました。
※民主党と公明党が再び私の発言を止めさせるよう青羽議長に求めましたが、その後開かれた議会運営委員会で議長から「吉田議員に発言させなければ、議会運営が混乱する」と、逆に諌められていました。
吉田一郎は、相川市長から支給される政務調査費(年間408万円)を受け取らずに活動しています。

2008年2月特別号(2)
首都高大宮線
宮前町まで延伸約束
 新大宮バイパスの上を通る首都高埼玉大宮線は、その名称とは裏腹に大宮の手前で東に曲がってしまい、新都心官庁街を経て、第二産業道路へ向かっています。
 今後、さらに東へ伸ばして東北自動車道(浦和インター付近)へつなげようという構想がありますが、北への延長は、宮前町までバイパスの中央分離帯に建設用地が40年前から確保してあるにも関わらず、一向に具体化していません。
 私は12月13日の建設水道委員会でこの問題を取り上げ、「鉄道博物館のオープンで、首都圏各地から大宮北部へ来る車が増えた」「現在のルートは、大宮住民よりも新都心の官僚の利便性が優先されている」と追及。建設局に「(北への延長の)実現に向けて、国などへ積極的に働きかける」と約束させました。
 新大宮バイパスの渋滞緩和については、三橋交差点の立体交差化も問いただし、「三橋中央通り線(西口駅前通り)の拡幅整備の進捗をみて、国へ働きかける」との答弁も得ました。
 鉄道博物館が盛況ですが、大宮北部の交通渋滞に拍車がかかっています。今後も「浦和・新都心優先」の道路整備計画を是正させるために、あらゆる機会を通じて追及を続けます。

中核施設の建設は
4対1で浦和優先
 12月議会で、武蔵浦和の南区役所に併設される地域中核施設が発表されました。コミュニティセンターや図書館、老人・子育てセンター等で、「プラザサウス」になりそうです。
浦和に集中する地域中核施設 さいたま市では、「プラザ××」と言う地域中核施設を建設しています。北区でも「プラザノース」が今春オープンします。
 相川与党の議員は「大宮にも予算がまわって来ている」と宣伝しそうですが、浦和には昨秋「コムナーレ」もオープンし4ヵ所なのに対し、大宮はプラザノース1ヵ所だけ。箱物建設でも露骨な「浦和優先」です。
 コムナーレは中央図書館に、多目的ホール、レクリエーションルーム、市民活動サポートセンターや国際交流センター等を備えた豪華絢爛の施設です。
 浦和駅東口には、昨秋パルコがオープンしましたが、あの建物はパルコがお金を出したのではありません。さいたま市が税金を投じて建てたのです。
 広場の整備や駐車場コムナーレ建設、浦和駅高架化や道路整備と合わせ、1200億円もの血税を投じています。しかもさいたま市は、続いて浦和駅西口南側の再開発に着手しようとしています。
 市役所が浦和に置かれ、「さいたま市の中心」と位置づけられたことで、多額の税金が浦和に集中投資されています。
 大宮の発展のためには、「大宮の税収は大宮の街づくりに」使える仕組みが早急に必要です。

病院移転へ追加支出
5億円の盆栽を購入

相川議案厳しくチェック
 これまで本会議では、相川市長が提出した議案には、自民党と共産党と私しか意見表明をしない状態が続いていましたが、12月議会最終日の討論では、民主党が「5億円の盆栽購入」の相川議案に賛成の演説をしていました。

吉田一郎が反対した議案
■一般会計補正予算(5)
 浦和との境に建設中の市民医療センターに、1億4100万円を追加。引き換えに大宮医師会病院は閉鎖されるのに、大宮北部の医療施設、特に夜間・休日の救急医療体制をどうするのか一向に具体策を示さず、病院移転への追加支出は認められません。
■下水道事業受益者負担条例の改正
 現在の下水道普及率は、旧浦和市87・6%に対して旧大宮市77・7%と差があるにも関わらず、今年度以降、新たに下水道を整備する認可区域の面積と人口は、浦和が大宮のそれぞれ50倍と15倍で、大宮住民として到底容認できません。
■建築物制限条例の改正
 浦和駅東口の再開発に続いて、浦和駅西口南側(南高砂地区)の再開発を具体化するための条例改正。開発予算のこれ以上の浦和集中は許せません。
■議決事項の一部変更
 与野駅北側の大原橋(赤山東線)を4車線に拡幅し、旧中仙道との立体交差を建設する工事契約の総額を、57億2000万円に変更。
 赤山東線は新都心を取り囲む環状道路の南側部分ですが、新都心への市役所建設は立ち消え状態。周辺で交通渋滞は発生しておらず、環状道路の北東側でも住民が反対しており、市役所移転の目途がつくまで工事を凍結し、道路予算は他の箇所に使うべきです。
■心身障害者扶養共済の掛け金引き上げ
 障害を持つ子供の親が亡くなった後、子供が年金を受け取れる共済制度の掛け金を、最大2・7倍も引き上げ。国の法律改正に伴うものですが、さいたま市は他市に倣って独自の軽減措置を実施すべきです。
■一般会計補正予算(6)
■財産の取得(盆栽購入)
 栃木県の高木美術館から5億円の盆栽を購入し、土呂町に建設する「盆栽会館」に展示する予定。
 大宮の盆栽を世界へ紹介するのは賛成ですが、①他所から購入した盆栽が「大宮の文化」と言えるのか。②盆栽園は固定資産税や後継者問題でかつての40ヵ所から6ヵ所へ減少しており、こちらの対策が急務。③市は「鉄道博物館や岩槻人形会館と結ぶ観光ルートを設置すれば、経済効果が上がる」と説明しながら、肝心な道路(指扇宮ヶ谷塔線)を整備しようとせず矛盾。④市民への説明や意向調査が不十分等を指摘。 また「売主の意向」を理由に、1日で審議を終わらせるやり方に抗議し、反対しました。
■議員報酬の見直し
■議員報酬の5%減額特例の廃止
 4年前に37%も引き上げた議員報酬を5%減額する一方で、これまで続いてきた5%減額の特例も廃止して、実際の支給額は月500円下がるだけという内容。また4年前に7割もアップした政務調査費は据え置きです。
 まさに市民の目を欺くようなやり方で、議員報酬は4年前の水準に戻すべきだと反対しました。
■市長・副市長給与見直し
■市長・副市長給与の減額率引き下げ
 市長や副市長の給与を減額するとしながら、同時にこれまで特例で続けてきた減額率も引き下げて、実際の支給額は同じというもの。これも市民の目を欺くようなものです。
地方議会議員の位置付けの明確化を求める決議
 地方議員を「常勤職」と規定することで、議員報酬や政務調査費がさらに増額されかねません。
2007年12月議会の会派別議案賛否一覧表

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