2008年1月15日 8号-2 (1)
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公共施設の指定管理者制度 新たな「利権」の温床にメス!
市民活動サポートセンターで墓地の斡旋!?選定&運営の疑惑を追及しました
 指定管理者制度とは、市の公共施設の管理や運営を、民間企業や団体などに任せるという制度です。「小泉改革」の一環として、2003年から本格的に始まり、さいたま市ではすでに231ヵ所の施設でこの制度が導入されています。
 民間手法の導入によって、公共施設の管理コスト削減やサービス向上が図れるというメリットがある反面、公共施設の本来の意義から外れて「儲け主義」で運営されたり、配置されるのがパートや契約職員ばかりになって、手抜き管理や結果的にサービス低下につながる(愛想だけが良くなる)恐れが心配です。
 また、指定管理者には市から施設の管理料が毎年支払われます。したがってその選定にあたっては、工事の入札と同じように、透明で公正な審査が不可欠です。

審査基準のまとめ役が、審査をパスして管理者に
 昨年秋、浦和駅東口に完成した複合公共施設(コムナーレ)に、市民活動サポートセンターがオープンしました。同センターの運営には指定管理者制度が導入され、公募の結果、「さいたまNPOセンター」という団体が指定管理者に選ばれ、年間2500万円で運営を任されることになりました。
 私は昨年6月の議会で、「さいたまNPOセンター」を指定管理者として承認する議案に反対しました。
 その理由は、市はどのような市民活動サポートセンターの運営が望ましいかを「市民参加」で話し合う場として、05年11月から「市民活動サポートセンター整備検討委員会」を開いていましたが、さいたまNPOセンターの代表・N氏は、整備検討委員会の座長を務めていたからです。
 サポートセンターの運営はどのような形が望ましいか、さらに指定管理者の選定にあたってはどのような基準の審査が望ましいか…等を話し合ってきた場のまとめ役(座長)が代表を務める団体が、指定管理者に応募したら、審査基準を熟知しているので、断然有利なのは当然です。
 そこで私は「審査の公平性が損なわれる」「市民の誤解や疑惑の対象になりかねない」と議案に反対しましたが、他の議員はすべて賛成して、さいたまNPOセンターを指定管理者と認める議案は可決されました。

オープン初日は身内のイベント!議会で暴露し追及
 その後、10月に市民活動サポートセンターがオープンしましたが、「オープニングイベント」と銘打って初日に開かれたのは、葬式や墓地に関する相談会でした。
 なぜまた葬式や墓地なのか…と怪訝に思った私が調査したところ、イベント主催者の市民葬送情報センターは、さいたまNPOセンターの副代表・H氏が理事を務め、葬儀のコーディネートや墓地・墓石の斡旋で事業収入を得ている組織であることがわかりました。
 つまり、指定管理者の「身内」による収入確保のためのイベントだったのです。
 12月5日の本会議で、私はこの問題を改めて取り上げ、オープニングイベントのチラシを片手に、さいたまNPOセンターと市民葬送情報センターとの関係を暴露。「市民の誤解や疑惑を生むような事態が、現実になった」と、教育市民委員会の審査報告を追及しました。
 この問題については、自民党議員からも「市民活動サポートセンターの運営が私物化されているのでは」という声が上がり始めました。

公民館にも忍び寄る、指定管理者制度の影
 さいたま市では、市民会館などの文化施設やコミュニティ施設にも指定管理者制度が導入されました。さらにこれまで教育委員会の管轄だった公民館が、各区役所のコミュニティ課の傘下に移されつつあります。将来的には社会教育の場であるはずの公民館にも、指定管理者制度が導入され、「身内」のイベント利用が優遇されかねません。
 さいたま市ではかつて、現職市議が代表を務める団体が、市の養護老人ホーム「年輪荘」の指定管理者に選定され、マスコミ等で問題視されたこともありました。
 公共施設の運営が、新たな「利権」の温床にならないよう、私は今後も厳しくチェックしていきます!
吉田一郎は、市長から支給される政務調査費(年間408万円)を受け取らずに活動しています。

(2)
政治倫理委員長の民主党市議 大学院の入学金・授業料を政務調査費で
 政務調査費とは、議員報酬とは別に「議員活動の必要経費」として月34万円(年408万円)支給されるお金です。その使い道がずさんだと全国的に問題になっています。
 12月28日付『朝日新聞』夕刊に、「政調費、こんなのあり?」と題し、さいたま市の民主党市議が大学院の入学金・学費114万円を、政務調査費から払っていたと報じられました。
 この議員は、取材に対して「議員として政策能力をつけるのは大事で、まっとうな使い方だ。学んだ成果を市政に反映するしかない」とコメント。議員も勉強が必要なのは確かですが、大学院で学んだ知識や学歴は、議員活動以外や議員を辞めた後にも生かすことができ、政務調査費の乱用だと思います。
 過去にも政務調査費で大学院に通っていた自民党市議がいましたが、卒業して半年たらずの選挙で落選。議員にとって、「学んだ成果を市政に反映」できる保障はありません。
 政務調査費について、「1円から領収書を公開すべき」というのは当然ですが、使い道をきちんと規制しなければ無意味です。民主党の場合、政務調査費で浦和駅から市役所までのタクシー代を支払ったり、「海外視察の廃止」を掲げて当選した議員が、政務調査費でドイツやフランスへ海外視察に行ったりと、ずさんな使い方が目立ちます。
 さいたま市には、「政務調査費の使途基準」が存在しますが、議長応接室に各政党・会派の代表が集まって、「談合」のように決められた経緯があります。私は9月議会でこの問題を徹底追及し、12月から市民が誰でも傍聴できる政治倫理特別委員会で、使途基準の見直しが検討されることになりましたが、委員長は新聞報道された民主党市議でした。
 結局、青羽議長は新聞報道があった日に、議長応接室に各政党・会派の代表を集めて、使途基準の見直しを一方的に発表。再び「談合」に戻ってしまいました。
 このようなやり方では、市民の意見を反映した使途基準は制定できません。私は「政務調査費をカットすべき」という市民からの請願を提出し、2月議会で審議される予定です。

プラザサウスの概要発表 複合公共施設は浦和4ヵ所vs大宮1ヵ所
浦和に集中する「地域中核施設」12月議会で、武蔵浦和の南区役所に併設される地域中核施設の概要が発表されました。コミュニティセンターや図書館、老人・子育てセンター等で、「プラザサウス」になりそうです。
 さいたま市では、「政令指定都市にふさわしい風格を備えた街づくり」と称して、「プラザ××」と言うさまざまな公共施設を複合させた地域中核施設を建設しています。北区でもステラタウン西隣の、大宮市時代には市役所建設の構想があった場所に、「プラザノース」を建設中で、今春オープンします。
 相川派の議員は「大宮にも予算がまわって来ている」と宣伝しそうですが、施設の配置を見ると、浦和には昨秋に「コムナーレ」もオープンして4ヵ所なのに対し、大宮はプラザノース1ヵ所だけ。ハコモノ建設でも露骨な「浦和優先」ぶりが明らかです。
 コムナーレは中央図書館に加え、多目的ホール、レクリエーションルーム、15の集会室や6つもの音楽室、さらに市民活動サポートセンターや国際交流センター等を備えた豪華絢爛の施設ですが、肝心の利用率は低迷していて、12月議会では浦和の議員から「外壁に大きな看板をつけて宣伝すべき」との声が相次ぎました。そもそも巨大看板を取り付けて宣伝しないと人が集まらない浦和駅に、こんな施設を作ったこと自体が間違いで、この種の施設は空き地が目立つ大宮駅西口の再開発用地にこそ、建設すべきです。

1200億かけた浦和駅開発、続いて浦和西口も!
 浦和駅東口には、昨秋パルコがオープンしましたが、あの建物はパルコがお金を出して建設したのではありません。さいたま市が税金を投じて建てたのです。
■パルコの建物や駐車場の建設、広場の整備…723億円
■コムナーレや中央図書館など公共施設の整備…153億円
■浦和駅高架化と湘南新宿ラインのホーム設置…191億円
■浦和駅の東西を貫く「田島大牧線」の整備…148億円

 つまり浦和駅に1200億円以上もの血税を投じたのです。市民1人当たり10万円、4人家族なら40万円の負担です。
 にも関わらず、市は浦和駅西口の再開発に着手しようと、12月議会で建築条例改正の議案を提出。私は反対しましたが、自民・公明・民主の「相川与党」が賛成して、可決されました。
 市役所が浦和に置かれ、「さいたま市の中心」と位置づけられたことで、多額の税金が浦和に集中投資されています。
 私は9月議会で、さいたま市の現状を「浦和中心、浦和優先で、浦和のことしか考えず、大宮を植民地支配するかのような相川市政」と痛烈に批判しましたが、大宮の発展のためには、合併前の各市がそれぞれ財政的に独立し、「大宮の税収は大宮の街づくりに」使える仕組みが早急に必要です!

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